長編歴史小説 尚巴志伝

第一部は尚巴志の誕生から中山王武寧を倒すまで。第二部はその後の尚巴志の活躍です。お楽しみください。

2-212.志慶真のウトゥタル(第一稿)

十二月になって、そろそろ湧川大主(わくがーうふぬし)が鬼界島(ききゃじま)から帰って来るだろうとウニタキは今帰仁(なきじん)に向かった。 鬼界島に何人の兵がいるのか知らないが、四百の兵と鉄炮(てっぽう)(大砲)で攻めれば、今年こそは鬼界島を攻め取っ…

2-211.ナコータルー(第一稿)

十一月の初め、島尻大里(しまじりうふざとぅ)ヌルが無事に女の子を産んだ。跡継ぎができたと島尻大里ヌルは涙を流して喜んだ。三十歳を過ぎて、跡継ぎの事はもう諦めていた。それなのに、突然、マレビト神が現れて、娘を授かった。島尻大里ヌルは何度も何度…

目次 第二部

尚巴志伝 第二部 このイラストはは和々様よりお借りしました。 山田のウニウシ(第二稿) 護佐丸、尚巴志を頼って首里に行く。 胸のときめき(第二稿) 護佐丸、島添大里で恋をする。 恋の季節(第二稿) サグルーとササ、山田で魂を抜かれる。 キラマの休日…

目次 第一部

尚巴志伝 第一部 月代の石 このイラストはは和々様よりお借りしました。 誕生(最終決定稿) 尚巴志、佐敷苗代に生まれる。 馬天浜(最終決定稿) サミガー大主とヤマトゥの山伏、クマヌ。 察度と泰期(最終決定稿) 浦添按司察度、過去を振り返る。 島添大…

第二部 主要登場人物

サハチ 1372-1439 尚巴志。島添大里按司。マチルギ 1373- 尚巴志の妻。伊波按司の娘。サグルー 1390- 尚巴志の長男。妻は護佐丸の妹、マカトゥダル。ジルムイ 1391- 尚巴志の次男。後の尚忠。妻はサムの娘、ユミ。ミチ 1393- 尚巴志の長女。島添大里ヌル、サ…

2-210.大義名分(第一稿)

シタルー(先代山南王)の命日に豊見(とぅゆみ)グスクのシタルーのお寺(うてぃら)で、護国寺(ぐくくじ)の僧たちと山南王(さんなんおう)のヌルたちによって法要が行なわれた。トゥイ様(前山南王妃)とマアサはいないが、子供たちや孫たちは皆集まって、シタ…

2-209.南蛮船の帰国(第一稿)

十月二日、リーポー姫たちは油屋の船に乗って無事に浮島(那覇)に帰って来た。今帰仁(なきじん)に帰ったテーラーがリュウイン(劉瑛)の家族を連れて一緒に乗っていた。 テーラーは明国に連れて行った二十人の兵を連れていた。テーラーの兵とマガーチの兵に…

2-208.国頭御殿(第一稿)

山北王(さんほくおう)と会って、今帰仁(なきじん)の城下を見物したあと、リーポー姫たちは山北王が用意した船に乗って国頭(くんじゃん)グスクに行った。案内してくれたのは山北王の側室のクンだった。 クンは二人の子供を産んだが、長女のマサキも長男のミン…

2-207.大三島の伊予津姫(第一稿)

奄美大島(あまみうふしま)を直撃して北上した台風は、九州に上陸して九州を縦断すると、周防(すおう)の国(山口県)、出雲(いづも)の国(島根県)を通って日本海に出て勢力を弱めた。ササたちがいる京都にも大雨は降ったが、被害が出るほどではなかった。 奈…

2-206.天罰(第一稿)

ミャーク(宮古島)の船が無事にミャークに着いたあと、ミャークの沖を台風が通過して北上して行った。 ユンヌ姫は琉球に帰ると、サハチにミャークの船の無事と台風が近づいている事を知らせた。サハチは山南王(さんなんおう)にも知らせて台風に備えさせた。…

2-205.王女たちの旅の空(第一稿)

ヒューガの船に乗ったリーポー姫たち一行は、夕方には無事に名護(なぐ)に到着した。 リーポー姫(麗宝公主)はチウヨンフォン(丘永鋒)、チャイシャン(柴山)、ツイイー(崔毅)、リーシュン(李迅)、ヂュディ(朱笛)の六人。シーハイイェン(施海燕)は…

2-204.重陽の宴(第一稿)

ササたちが生駒山(いこまやま)で菊酒を飲みながら重陽(ちょうよう)の節句を祝っていた頃、琉球の首里(すい)グスクでは冊封使(さっぷーし)たちを呼んで、重陽の宴(うたげ)が行なわれていた。 重陽とは陽の数字(奇数)が重なる事で、縁起のいい陽数(ようすう)…

2-203.大物主(第一稿)

大粟(おおあわ)神社から八倉比売(やくらひめ)神社に戻って、アイラ姫から父親のサルヒコの事を聞こうと思ったのに、アイラ姫はユンヌ姫と一緒に琉球に行ってしまっていた。幸いにトヨウケ姫がアキシノと一緒に残っていたので、ササはトヨウケ姫からサルヒコ…

2-202.八倉姫と大冝津姫(第二稿)

高橋殿と御台所(みだいどころ)様(将軍義持の妻、日野栄子)のお陰で、浜の南宮の秘宝である宝珠をササたちは拝むことができた。「神功皇后(じんぐうこうごう)様が豊浦(とゆら)の津(下関市長府)で海中より得られた如意宝珠(にょいほうじゅ)でございます。…

2-201.真名井御前(第二稿)

京都に着いたササたちは、三日後の夕方、箕面(みのお)の大滝に来ていた。大滝の下に役行者(えんのぎょうじゃ)が創建した瀧安寺(りゅうあんじ)があった。弁才天堂(べんざいてんどう)を中心に多くの僧坊が建ち並び、大勢の山伏がいた。 ササの連れの人数が多す…

2-200.瀬織津姫(第二稿)

精進湖(しょうじこ)のほとりで焚き火を囲んで、ササたちは瀬織津姫(せおりつひめ)様に出会えた感謝の気持ちを込めて酒盛りを始めた。 酒盛りの前に、ササは富士山の大噴火で犠牲になった人たち、森の中で暮らしていた生き物たちのために鎮魂の曲を吹いた。 …

2-199.満月(第二稿)

八月十五日、首里(すい)グスクで冊封使(さっぷーし)を迎えて中秋の宴(うたげ)が催され、島添大里(しましいうふざとぅ)グスクでは十五夜の宴が催された。中秋の宴は馬天(ばてぃん)ヌルと安須森(あしむい)ヌルが中心になって行ない、十五夜の宴はサスカサと久…

2-198.他魯毎の冊封(第二稿)

慈恩寺(じおんじ)が変わっていた。 前回、サハチが慈恩寺に来たのは六月の初めで、クマラパたちを連れて来た時だった。二か月足らずのうちに、慈恩寺の隣りに、『南島庵』というお寺ができていて、南の島から来たヌルたちと首里(すい)の女子(いなぐ)サムレー…

2-197.リーポー姫(第二稿)

安須森参詣(あしむいさんけい)から帰って来た安須森ヌルは、「ヤンバル(北部)のヌルたちもみんな参加してくれたのよ」と嬉しそうにサハチに言った。「金武(きん)ヌルも来てくれたわ」「金武ヌル?」「馬天(ばてぃん)ヌルの叔母さんも心配していたの。腰が…

2-196.奥間のミワ(第二稿)

六月十二日、ササたちは愛洲(あいす)ジルーの船に乗ってヤマトゥに行った。 島添大里(しましいうふざとぅ)グスクで安須森(あしむい)ヌルの帰国祝いとタキドゥン按司たちの歓迎の宴(うたげ)を開いた次の日の夕方、ササたちがアンアンたちを連れて島添大里グス…

2-195.サミガー大主の小刀(第二稿)

知念(ちにん)グスクに泊まったササたちは翌日、ヒューガに会うために浮島(那覇)に向かった。うまい具合にヒューガは水軍のサムレー屋敷にいた。与那覇勢頭(ゆなぱしず)とフシマ按司が来ていて、ヒューガは絵図を広げて南の島の事を聞いていた。「お前、ど…

2-194.玉グスク(第二稿)

那覇館(なーふぁかん)での歓迎の宴(うたげ)の翌日、南の島(ふぇーぬしま)の人たちとトンド王国(マニラ)のアンアンたちは安須森(あしむい)ヌルとササたちの先導で、隊列を組んで首里(すい)グスクへと行進した。沿道には小旗を振る人たちが大勢集まって、遠…

2-193.ササの帰国(第二稿)

進貢船(しんくんしん)を送り出した二日後、首里(すい)の武術道場で武科挙(ぶかきょ)が行なわれた。 明国の制度を真似して、サムレーになりたい若者は誰でも受ける事ができた。大勢の若者たちが集まって来て、武術の試合を行ない、勝ち残った五十人がサムレー…

2-192.尚巴志の進貢(第二稿)

土砂降りだった雨もやんで、佐敷グスクではお祭りが始まっていた。 馬天浜(ばてぃんはま)からシンゴたちも来ていて、山グスクに行っていたルクルジルー(早田六郎次郎)たちもマウシ(山田之子)と一緒に来ていた。 大きなお腹をしたナツも子供たちを連れて…

2-191.キキャ姫の遊戯(ゆけ)(第二稿)

奄美大島(あまみうふしま)の万屋(まにや)に着いた湧川大主(わくがーうふぬし)は機嫌がよかった。 琉球に来ていた鬼界島(ききゃじま)(喜界島)の船を永良部島(いらぶじま)沖で沈める事に成功していた。これで敵の兵力は五十人は減っただろう。大将だった青鬼…

2-190.パティローマ(第二稿)

トンド王国に滞在した四か月はあっという間に過ぎて行った。 都見物を楽しんだあと、ササたちはアンアンたちと一緒に川の上流にある大きな湖に行った。湖には王様の離宮があって、そこに滞在して舟遊びをして楽しんだ。 トンド湾(マニラ湾)の沖にあるルバ…

2-189.トンドの新春(第二稿)

琉球から遙か離れたトンド王国(マニラ)では、ササたちが新年を迎えていた。お正月といっても、トンドは琉球よりもずっと暖かかった。 宮殿の敷地内にある客殿に滞在しているササたちは、『宮古館』で出会ったツキミガとインミガを宮殿に連れて行って、アン…

2-188.サハチの名は尚巴志(第二稿)

島添大里(しましいうふざとぅ)グスクのお祭りの前日の夕方、マグルー夫婦、ウニタル夫婦、シングルー夫婦、サングルー、福寿坊(ふくじゅぼう)、カシマは無事に旅から帰って来た。婚礼の翌日、十六日に旅立って、十二日間の旅だった。 玻名(はな)グスクの残党…

2-187.若夫婦たちの旅(第二稿)

マグルーとマウミ、ウニタルとマチルーの婚礼も無事に終わって、サハチとウニタキとンマムイは親戚となり、今まで以上に固い絆(きずな)で結ばれた。 マグルー夫婦は島添大里(しましいうふざとぅ)グスクの東曲輪(あがりくるわ)にある、以前にサグルー夫婦が住…

2-186.二つの婚礼(第二稿)

山北王(さんほくおう)の使者たちを乗せた中山王(ちゅうざんおう)の進貢船(しんくんしん)が船出した翌日、ようやく、ヤマトゥに行った交易船が帰って来た。同じ日にシンゴ、マグサ、ルクルジルー(早田六郎次郎)の船も馬天浜(ばてぃんはま)に来たので忙しか…