長編歴史小説 尚巴志伝

第一部は尚巴志の誕生から中山王武寧を倒すまで。第二部は山北王の攀安知を倒すまでの活躍です。お楽しみください。

2015-02-24から1日間の記事一覧

12.恋の病(改訂決定稿)

旅から帰って来て二か月が過ぎていた。 うりずんと呼ばれる過ごしやすい日々が続いていたが、サハチ(佐敷若按司)は悶々(もんもん)とした日々を送っていた。 原因はマチルギだった。真剣な顔つきで剣術の稽古に励んでいるマチルギの姿、強い視線でサハチを…

11.奥間(改訂決定稿)

今帰仁(なきじん)から羽地(はにじ)まで戻って、郡島(くーいじま)(屋我地島)を左に見ながら海岸沿いを進んだ。 小高い丘の上に羽地グスク(親川グスク)があり、近くには仲尾泊(なこーどぅまい)(寒汀那港)があって、ヤマトゥ(日本)から来たらしい船が二…

10.今帰仁グスク(改訂決定稿)

伊波(いーふぁ)グスクをあとにしたサハチ(佐敷若按司)たちは、西側の海岸に出てから海岸沿いに北上した。 ヤンバル(山原)と呼ばれる北部に入り、山の中の細い獣道(けものみち)や海辺の砂浜を通って、時には海の中に入ったり、険しい岩をよじ登ったりして…