読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

長編歴史小説 尚巴志伝

第一部は尚巴志の誕生から中山王武寧を倒すまで。第二部はその後の尚巴志の活躍です。お楽しみください。

79.包囲陣崩壊(最終決定稿)

 中部の按司たちの兵が包囲陣から引き上げて行った事を知った、八重瀬(えーじ)按司のタブチは鬼のような顔をして、奥間大親(うくまうふや)を怒鳴っていた。
「どうして、こんな事になったんじゃ。今度こそ、必ず、山南王になれると信じていたのに‥‥‥くそっ!」
 島尻大里(しまじりうふざとぅ)グスクを包囲していた兵は、中部の七百人が抜けてしまい、約半数の七百五十人になってしまった。七百五十人でも包囲できない事はなかった。タブチは陣を立て直す事を命じた。
 奥間大親の配下の者の知らせで、首里(すい)グスクに『三つ巴』の旗がひるがえっている事を知らされ、タブチは島添大里(しましいうふざとぅ)按司首里グスクを奪い取って、浦添グスクを焼き討ちにしたという事を知っていた。
「あの男がこんな大それた事をするとは‥‥‥」
 先月の婚礼の時、戦の事を打ち明けたら、青ざめた顔をして震えていたサハチを思い出しながら、あれはすべて嘘だったのかと、はらわたが煮えくり返るほどに憎らしかった。
「島添大里按司に怪しいそぶりはなかったのか」とタブチは奥間大親を問い詰めた。
「そんなそぶりは、まったくございませんでした。佐敷グスクから島添大里グスクに移っても、あまり変わった所はなく、毎年、梅雨が明けると夫婦揃って、のんきに旅をしておりました。城下に武術道場を作って若い者たちを鍛えておりましたが、それも佐敷にいた時と同じで、特に兵力を増やしていたようでもありません。娘たちを集めて剣術の稽古もやっておりましたし、時々、笛の音も聞こえて参りました。あのグスクを手に入れて充分に満足しているようでございました。まさか、首里グスクを狙っていたなんて、そんなそぶりは、まったくありませんでした」
「そうか‥‥‥」
 佐敷に嫁いだ娘のマカミーが里帰りした時、「剣術のお稽古はずっと続けているのよ。あたし、前よりもずっと強くなったんだから」と自慢そうに言っていた。「それに、笛と踊りのお稽古も始めたの」と楽しそうに言って、持って来た笛を吹いてくれたのをタブチは思い出していた。マカミーは佐敷に嫁いで幸せそうだった。娘の顔を見ながら、いい所に嫁いだと思っていたのに、あの男はとぼけた顔をして、わしの邪魔をした。絶対に許せんと、また怒りがこみ上げてきた。
首里グスクを奪い取って、浦添グスクを焼き払うとは、何という大馬鹿者じゃ。しかし、奴も調子に乗りすぎたのかもしれんのう。首里グスクを奪い取ったとしても、中部の按司たちに攻められれば、まもなく落城するじゃろう。あのグスクにはまだ兵糧(ひょうろう)などないじゃろうからな。首里グスクを奪い返せば、若按司たちも戻って来るじゃろう。それまでは包囲を緩めずに、何とか持ち堪(こた)えるしかない」
 タブチは首里の様子を探るように奥間大親に命じた。
 それから一時(いっとき)(二時間)後、豊見(とぅゆみ)グスク按司が三百の兵を率いて島尻大里に攻めて来た。シタルーが首里を攻めるために豊見グスクに待機させていた兵だった。
 島尻大里グスクを包囲していた按司たちは、豊見グスクの兵を見ると動揺した。北に陣を敷いていた小禄(うるく)按司が、戦わずして陣を払って撤収した。それを見ていた瀬長(しなが)按司、兼(かに)グスク按司も陣を払って引き上げた。この三人の按司は中山王の命令で山南王を攻めていた。中山王の兵が包囲陣から抜けたので、これ以上、戦を続ける理由はなかった。こんな戦、馬鹿らしくてやっていられるかと撤収して行った。
 豊見グスク按司は包囲している敵に攻め込む事はなく、弓矢の届かない距離に留まって、そこに陣を敷いて包囲している敵を睨んでいた。
 米須(くみし)按司がタブチの本陣にやって来た。
 味方の按司たちには、中部の按司たちが抜けた理由は伝えてあった。浦添グスクが島添大里按司によって焼き討ちにされたので、若按司は中部の按司たちを引き連れて首里に向かった。島添大里按司を倒したら、すぐに戻って来るだろうと伝え、首里グスクが落ちた事は隠していた。
「豊見グスクの兵が攻めて来たという事は、東方(あがりかた)の按司たちは豊見グスクの包囲を解いたという事じゃ。一体、どうなっておるんじゃ。味方の兵が勝手に抜け出していたのでは戦にはならんぞ」
 米須按司は不機嫌そうな顔をして、タブチに文句を言った。
「東方の按司たちは一体、どこに行ったんじゃ」
「今、調べさせている」とタブチも苦虫をかみつぶしたような顔をして答えた。
「東方の按司たちが島添大里按司と合流したら、中部の按司たちはやられるかもしれんぞ」
「まさか、そんな事はあるまい」とタブチは言ったが、兵力はほぼ互角だった。
 東方の兵五百が加われば、島添大里按司の兵も七百前後になるだろう。中部の兵も七百だった。東方の按司たちが待ち伏せをしていれば、中部の按司たちはかなりの損害を受けるかもしれなかった。
「一つ聞くが、中山王は無事なのか」
 米須按司は中山王のすぐ下の弟だった。弟といっても、幼い頃に母親の実家の米須按司を継ぐために米須に移ったので、共に遊んだ記憶もなく、強い絆で結ばれているわけではなかった。妻は初代の山南王の妹で、中山王よりも山南王との結び付きの方が強く、浦添グスクが焼き討ちにされたと聞いても、中部の事には興味ないといった態度だった。やりたい放題の事をやってきたから、天罰が下ったのだろうと思っていた。
「中山王は浦添にはいなかったようじゃ。首里グスクに移っていたので無事じゃろう」とタブチは平気な顔をして嘘をついた。
「そうか、中山王が無事なら島添大里按司は挟み撃ちに遭って滅びるな。やがて、中部の者たちも復帰するじゃろう。豊見グスク按司はどうする。蹴散(けち)らすか」
「いや、放っておけばいいじゃろう。奴はまだ若い。戦を知らん。攻めて来る度胸はあるまい。もし、攻めて来たら蹴散らせばいい」
「わかった」と米須按司は帰って行った。
 小禄按司、瀬長按司、兼グスク按司の兵二百人が抜けて、五百五十人となってしまった包囲軍は、豊見グスク按司の動きを気にしながら陣地を立て直した。
 正午を過ぎて、未(ひつじ)の刻(午後二時)頃、奥間大親が血相を変えて戻って来た。
「そんなに慌てて、何があったんじゃ」とタブチは憮然とした表情で聞いた。
「とんでもない事が起こっております」と奥間大親は息を切らせながら言った。
「中山王が亡くなったのか」とタブチは島尻大里グスクの絵図を眺めながら聞いた。
 島添大里按司首里グスクを奪い取ったという事を聞いた時から、その事は覚悟していた。中山王なしで、どうやったら勝てるのか、タブチはずっと考えていたのだった。
「それどころではございません」
「何じゃと、中山王の死よりも重要な事などあるまい」
「中山王の若按司、勝連(かちりん)按司、北谷(ちゃたん)按司、越来(ぐいく)按司、中グスク按司、全員、戦死なさいました」
「何じゃと‥‥‥」
 タブチは固まってしまったかのように、口を開けたまま奥間大親を見つめていた。しばらくしてから、タブチは溜息をつき、気を取り直して、「中部の軍勢が全滅したと言うのか」と聞いた。
「中部の按司たちの兵は全滅。中山王の若按司は討ち死にし、浦添の兵は捕虜となりました」
 奥間大親は今まで見てきた事をタブチに話した。
 タブチに命じられて首里に向かった奥間大親は、長嶺(ながんみ)川に架かる橋の手前に散乱している兵たちの死体を見た。皆、鋭い一撃でやられていた。その中には、中グスク按司の死体もあった。
 さらに進むと、越来按司の死体と共に越来の兵たちの死体が散乱していた。まだ、血が流れていて、それほど時間が経っていない事がわかった。奥間大親は敵がまだ近くにいるかもしれないと思い、注意深く周りを気にしながら先へと進んだ。
 人のわめき声や喊声(かんせい)が聞こえてきた。奥間大親は馬から下りて物陰に隠れながら様子を見た。勝連按司の兵と北谷按司の兵が、何者かに襲撃されていた。敵兵の方が多く、勝連按司と北谷按司の兵は全滅した。敵は一人一人、丁寧に止(とど)めを刺すと整列して首里へと向かっていった。奥間大親は敵が隠れていないか気を付けながら敵を追って行った。そして、若按司の兵が敵に囲まれ、若按司が戦死し、重臣たちが斬られるのを見て、引き上げて来たのだった
「敵兵は七、八百はいました」と奥間大親は言った。
「敵兵というのは島添大里按司の事か」とタブチは信じられないといった顔をして聞いた。
「さようでございます。敵の大将は紛れもなく、島添大里按司でした」
「島添大里按司が七、八百の兵を指揮していたじゃと? やはり、東方の按司たちが加わっていたのじゃな」
「いえ、東方の按司たちは加わってはおりません。皆、島添大里按司の兵のようでございました。皆、鎧に『三つ巴』が描いてありました」
「何じゃと? 一体、その兵はどこから湧き出して来たんじゃ」
 奥間大親はわからないというように首を振った。
「中山王はいなくなった。島添大里按司が中山王になるつもりか」
浦添グスクは焼け落ちました。首里グスクにいる者が中山王になるかと思われますが」
「あいつが中山王になるのか‥‥‥」
 そう言うとタブチは急に大笑いをした。
「あいつが中山王か」ともう一度言うと、真顔になって悪態をつき、「出直しじゃ」と怒鳴った。
 その頃、島添大里グスクを包囲している兵たちは、こそこそと噂話をしていた。
 中山王が島添大里按司に討ち取られた。敵(かたき)を討ちに行った若按司も戦死して、勝連按司、北谷按司、越来按司、中グスク按司も戦死した。島添大里按司が新しい中山王になるらしい‥‥‥
 噂のもとはカデシガーの泉だった。兵たちは水汲みにカデシガーにやって来る。そこにヤキチの配下の者がいて、兵たちに噂を流したのだった。噂はあっという間に兵たちの間を駆け巡り、やがて、各按司の耳にも入って行った。
 按司たちは驚いて、真相を確かめるためにタブチのもとへとやって来た。タブチはそれは本当の事だと認めた。今さら隠しておける事ではなかった。タブチは按司たちをねぎらい、撤収するように頼んだ。
 それから半時(はんとき)(一時間)ほど経つと、島尻大里グスクを包囲していた兵たちは、すべて消えてなくなった。
 島尻大里グスク内にいたシタルーには、一体、何が起こったのか、まったくわからなかった。何かしら、天が助けてくれたような気がしていた。
 包囲していた敵兵がいなくなるのと同時に、豊見グスク按司のタルムイが兵を率いてやって来た。タルムイから事情を聞いて、シタルーは驚き、さらに詳しい情報を得るために石屋の者たちを各地に飛ばした。
「あのサハチが首里グスクを奪い取って、浦添グスクを焼き払ったというのか」とシタルーはもう一度、タルムイに確認した。
「妻のマチルーが侍女から聞いた話なので、確かかどうかはわかりません。侍女は豊見グスクが包囲される前に、知らせを受けたようです。もし、敵が豊見グスクを包囲したら、マチルーに話せと言われていたようです。俺もマチルーと一緒に話を聞きましたが驚きました。マチルーの兄が、そんなとんでもない事を考えていたなんて、本当に信じられませんでした。もし、作戦が成功すれば、包囲している兵は撤収して行くだろうから心配はいらないと言いました。実際に、包囲していた兵は今朝、撤収して行きました。そして、敵が撤収したら島尻大里を助けるために出撃しなさい。ただし、攻め込まなくてもいい。島尻大里グスクの近くに陣を敷いて敵を睨んでいれば、やがて、敵は撤収して行くだろうと言ったのです。実際に、その通りになりました。島添大里按司の作戦はすべて成功したようです」
「サハチの奴はお前までも動かしたのか」
 シタルーは苦笑した。
「何もかも、サハチにやられたようだが、敵が引き上げて行った事には感謝しなければなるまいのう」
 半時ほど経って、戻って来た石屋の者たちからの報告は、タルムイから聞いた事と大して違わなかった。ただ、ここから引き上げて行った中部の按司たちの兵が全滅して、中山王の若按司も戦死したというのは新しい情報だった。これを知ったので、タブチは引き上げて行ったのだろう。
 中部の兵は七、八百はいたはずだ。それを全滅させるとは、サハチはどんな作戦を取ったのだろうか。東方の按司たちが途中で待ち伏せをして、奇襲したのに違いない。それでも、全滅させたのは奇跡と言える。サハチの方もかなりの損害を出しているのに違いなかった。
「それで、中山王は亡くなったのか」とシタルーは聞いたが、はっきりとはわからないようだった。
 武寧(ぶねい)と一緒にいる側室のアミーの事が思い出された。山南王になれた時、お礼として武寧に美人を側室として贈ったが、あまり気に入られなかったようだった。山南王から贈られたという事で警戒しているのかもしれないと思い、商人に頼んで、アミーを入れると、アミーは武寧のお気に入りの側室となった。アミーと一緒に首里グスクに移った武寧は、シタルーの思う壺にはまっていた。あと、もう少しだったのに‥‥‥
 浮島から来た石屋は、久米村のアランポーが消えたと知らせた。
「消えた? どういう事じゃ」
「アランポーの屋敷にはアランポーの姿はなく、ワンマオがおりました。久米村をうろついていたアランポーの配下の者たちの姿もありません。アランポーだけでなく、一族の者がみんな、どこかに消えてしまいました」
「何じゃと? 一族の者が誰もいない?」
 石屋はうなづいた。
「村の者にアランポーの事を聞いても誰も知りません。まるで、アランポーなんて初めからいなかったような感じさえしました」
「久米村の支配者が消えた‥‥‥」
 シタルーには何が何だかわからなかった。
 唐人(とーんちゅ)の世界には、唐人の掟があるのかもしれなかった。中山王が亡くなったので、それと結びついていたアランポーの一族は消されたのかもしれなかった。
 中山王が亡くなれば、新しい中山王はサハチなのか‥‥‥
 シタルーは悔しさが急に湧き起こってきた。サハチが中山王になるなんて許せなかった。とぼけたような振りをして、こんな事をたくらんでいたなんて絶対に許せなかった。
 サハチの思い通りにはさせないと、シタルーは待機させておいた三百の兵を率いて出陣した。シタルーはまだサハチの兵力を知らなかった。三百から四百くらいだと思っていた。しかも、かなりの戦死者がいるはずだった。三百の兵で不意打ちを掛ければ、絶対に倒せると思っていた。
 偵察を出してサハチの兵がいない事を確認しながら、シタルーは首里へと向かった。途中、散乱している死体がいくつもあった。すでに何者かに武器や鎧は盗まれ、着物まで剥がされて裸同然の姿で転がっていた。まったく、哀れな姿だった。裸にされてしまえば、どれが按司だか、武将だかもわからなかった。皆、恨めしそうな顔をして死んでいた。
 サハチの兵に会う事なく、首里グスクの南の森まで来る事ができた。シタルーはグスクの石垣を見上げ、サハチの夢もこれで終わりだと思いながらニヤリと笑った。
 まもなく日が暮れる頃だった。森の中のウタキまで来たシタルーは兵に命じて、ウタキの後ろにある石の板を移動させた。抜け穴が現れるはずだったが、そこには穴はなかった。
 シタルーは自分の目を疑った。一体、どうした事か。穴はどこに行ったんだと自分で調べてみたが、穴はどこにもなかった。埋めたという形跡もない。もしかしたら、ここではなく、他にもウタキがあるのか。シタルーは兵に命じて、ウタキを探させたが、そんな物はどこにもなかった。
「サハチの仕業か」とシタルーはグスクを見上げて、地団駄を踏んで悔しがった。
 その頃、首里グスクの中では、一千二百の兵と武将たちが、浦添から運んで来た明国の酒を飲みながら、祝杯を上げていた。
 サハチの父も運玉森(うんたまむい)から移って来ていた。
 父は総大将として、ヤキチの配下が持って来る敵の動きに合わせて的確に兵を配置した。長嶺川の橋の手前に當山之子(とうやまぬしぃ)の兵百人を隠し、津嘉山(ちかざん)の山中にヒューガの兵百人を隠し、識名(しきな)の山中に苗代大親(なーしるうふや)の兵百人を隠し、新川森(あらかーむい)の裾野にサハチ、クマヌ、サム、美里之子(んざとぅぬしぃ)の兵四百人を配置して、敵が来るのを待ち受けたのだった。もしもの時のために、運玉森にはヤグルーの兵百人が待機していたが、ヤグルーの出番はなかった。
 父の計算では、當山之子の兵が最後尾の兵五十人、ヒューガの兵も最後尾の五十人、苗代大親の兵も最後尾の五十人を倒し、残った五百五十人の兵を七百の兵で挟み撃ちにして倒すという作戦だった。
 実際は、當山之子が中グスクの兵を全滅させ、ヒューガの兵が越来の兵を全滅させた。計算外だったのは、北谷と勝連の兵が立ち止まった事だった。苗代大親は最後尾を行く兵を倒す予定だったのに、目の前に二百の敵兵がいた。二百人の中に百人で突っ込めば、かなりの損害が出てしまう。どうしようかと考えていた時、ヒューガと當山之子が近づいて来るのを見て、兵たちに突撃させたのだった。北谷と勝連の兵も、そこで全滅し、最後は戦になる事もなく、若按司を討ち取り、重臣たちの首を斬り、兵たちは捕虜としたのだった。
 父は作戦がこの上もなく、うまく行った事に充分、満足していたが、すでに、明日からの戦いの事を考えていた。
 ウニタキも浦添から来ていた。
 ウニタキは一日中、浦添グスクから貴重な物を運び出す指示をしていた。財宝は勿論の事、兵糧もたっぷりと運び入れ、ナーサのお陰で寝返った重臣たちの指示で、重要な書類なども運び入れていた。
 アランポーを退治したファイチも、浮島からキラマの若者たちを連れてやって来ていた。
 久米村はワンマオを中心に、新しい村作りが始まっていた。アランポーの配下の者がうろうろしていて、常に目を光らせていた頃と違って、村の者たちは皆、明るくなっていた。やがて、アランポーによって追放されていた者たちも戻って来るに違いない。ファイチは女子供が安心して暮らせる村にしようと張り切っていた。
 浮島からはシンゴとクルシも一緒に来ていた。二人はグスクの中に建つ豪勢な宮殿を見て、「まるで、龍宮城のようじゃのう」と目を丸くして驚いていた。