長編歴史小説 尚巴志伝

第一部は尚巴志の誕生から中山王武寧を倒すまで。第二部はその後の尚巴志の活躍です。お楽しみください。

2-02.胸のときめき(第二稿)

 島添大里(しましいうふざとぅ)グスクへと向かう山道の途中だった。
「何者だ!」と誰かが言った。
 前を見ても後ろを振り返っても人影はなかった。さては左右の森の中に隠れているのかとマウシとマサルーは馬を止めて、刀に手を掛けた。
「若様(うめーぐゎー)、飛び道具かもしれませんぞ」とマサルーが低い声で言った。
 マウシはうなづいて、物音に耳を澄ませた。
「何者だ!」とまた聞こえた。
 上の方から聞こえたような気がして、上を見上げると木の上に人影があった。若い娘のようだった。娘は木の枝に座って下を見下ろしていた。二丈(じょう)(約六メートル)近くはある高さだった。娘の他には誰もいないようなので、マウシは一安心して、「お前こそ何者だ」と娘に聞いた。
「最初に聞いたのはこっちだ。先に答えろ」
「わかった。俺は山田按司の息子のマウシという」
「山田のマウシ‥‥‥」と言ったまま娘は黙り込んだ。
「今度はお前の番だ。名を名乗れ」
 娘は答えずに、木から飛び降りた。
「危ない!」とマウシが叫んだが、娘は体を一回転させ、平気な顔をして着地した。着地する時、着物の裾がめくれてお尻まであらわになった。無意識のうちに馬から下りていたマウシは、ほんの一瞬だったが娘の白いお尻に釘付けになった。娘はそんな事など気にもせず、振り返るとマウシに近づいて来て、「山田のマウシね」と言った。
「俺の事を知っているのか」
「知らない」と娘は首を振った。
「山田のウニウシ(鬼牛)と呼ばれる事もある」とマウシは自慢そうに言ったが、「聞いた事もないわ」と娘は興味なさそうに言った。
「お前は何者だ」とマウシは少し腹を立てて強い口調で聞いた。
「あたしの名はササ。馬天(ばてぃん)の若ヌルよ」
「若ヌルだと?」
 娘の格好は村の娘たちと変わりなかった。変わっているのは腰に鉈(なた)のような物を差していた。山の中で邪魔な枝でも切るのだろうかと思ったが、どう見てもヌルには見えなかった。
「どうしてあんな木の上にいたんだ」
「あんたが来るのを待っていたのよ」
「何だって? 誰かに命じられたのか」
 ササは首を振った。
「グスクに行くんでしょ。あたしが案内してあげるわ」
 そう言うとササはさっさと歩き始めた。
 マウシはマサルーと顔を見合わせ、「何だ、あれは」と聞いた。
 マサルーはササの後ろ姿を見ながら首を傾げた。
 島添大里の城下はそれなりに賑わっていた。山の上なので、それほど広いわけではないが、家々が立ち並んでいて、城下で暮らす者たちの顔付きは皆、穏やかだった。按司を信頼して安心して暮らしているようだ。若ヌルのササは人気者らしく、声を掛けてくる者たちも多かった。ササは何かを考えているのか返事もしなかったが、城下の者たちもそんな事には慣れているのか、笑って見送っていた。
 島添大里グスクは思っていたよりも立派なグスクだった。山田グスクよりもずっと大きく、高い石垣に囲まれていた。叔父は四年前にこのグスクを攻め落としたと言っていたが、そう簡単に落とせるグスクとは思えなかった。一体、どうやって落としたのだろう。
 グスクの正門まで来て、ササは立ち止まると門番に声を掛けた。
「佐敷ヌルは中にいるかしら」
 門番は笑うと、「先程、東曲輪(あがりくるわ)の方に行かれたようです」と答えた。
 ササはうなづくと門の中に入って行った。
 門番は慌てて、「お連れの方たちは?」と聞いた。
「山田按司の息子さん。按司様(あじぬめー)の甥っ子らしいわ」
 二人のやり取りを見ていたマウシとマサルーは門番に頭を下げた。
 ササはマウシから預かっていたマチルギからの書状を見せた。門番は書状の表と裏を見るとうなづき、書状をササに返した。
「どうぞ、お通りください」
 マウシとマサルーは門番に馬を預けて、グスクの中に入った。そこは広い庭になっていて、四方が高い石垣に囲まれていた。正面の石垣の向こうに立派な屋敷が見えた。庭には誰もいなかった。
 ササは正面に見える門には向かわず、右側の石垣の中央にある門に向かった。その門は開いていて、門番はいなかった。門をくぐるとまた広い庭に出た。そこも四方が高い石垣に囲まれ、正面に門が見え、左奥の方に大きな屋敷と物見櫓(ものみやぐら)が立っていた。
「このグスクも凄いですな」とマサルーが言った。
「ああ」とマウシもうなづいた。山田グスクと比べて、羨ましいほどの広さだった。
 このグスクのお膝元にいた叔父はじっと我慢を続け、四年前にこのグスクを奪い取った。詳しい状況は知らないが、このグスクを奪い取った時の叔父の喜びがマウシにもよくわかるような気がした。しかし、叔父はそれで満足する事はなく、さらに立派な首里(すい)グスクを奪い取った。改めて、叔父の凄さと人間の大きさにマウシは感服していた。
 マウシとマサルーがキョロキョロしているうちに、ササの姿が消えてしまった。ここの庭にも人影はない。物見櫓の上にも見張りはいなかった。奥にある屋敷に入ったのだろうとマウシたちも屋敷に向かった。
 マウシたちが屋敷に入ろうとしたら、ササが屋敷から出てきた。一緒に出てきたのは女子(いなぐ)サムレーだった。ここにも女子サムレーがいるらしい。
「奥方様(うなじゃら)の書状は読んだわ。お屋敷の用意はしておくわね」と女子サムレーは言った。
 思わず見とれてしまうほどの美人だった。
「佐敷ヌルよ」とササが言った。
「えっ?」とマウシは思わず言っていた。
 どう見てもヌルには見えなかった。
按司様の妹さんなの」
「ヌルなのに女子サムレーなのですか」とマウシは聞いた。
 佐敷ヌルは笑った。
「あたしの師匠の馬天ヌルが武術の名人だから、こうなってしまったのね。ササのお母さんよ」
「馬天ヌルもここにいるのですか」とマウシは聞いた。何となく、この娘の母親に興味があった。きっと、この二人のようにヌルらしくないヌルなのだろう。
「今は首里(すい)にいるわ」と佐敷ヌルは言った。
「そうですか‥‥‥グスクの中が静かですけど、みんな、首里に行っているのですか」
「そうね。手の空いている人は皆、首里の城下造りを手伝っているわ。按司様も首里に行っているのよ」
 佐敷ヌルと別れ、マウシたちはササの案内で、武術道場に向かった。城下の外れにある広い武術道場では百人余りのサムレーたちが稽古に励んでいた。
「凄いのう」とマサルーがまた言った。
 確かに、マウシも凄いと思った。自分よりも強そうなサムレーが何人もいた。マウシは負けるものかと拳(こぶし)を握りしめた。
 広い道場の隅に建つ屋敷に入ると、この道場の師範らしきサムレーがいた。何振りかの刀を前に座り込んで、刀の目利きをしているようだ。刀の刃を見つめる目は鋭く、百戦錬磨の武将という貫禄があった。
「叔父さん、山田按司の息子のマウシよ。ここで修行したいんですって」とササが師範に声を掛けた。
「なに、山田按司の息子?」
 そう言って、刀を鞘(さや)に納めるとササの叔父さんはマウシを見た。
「そう言えば、按司様から噂は聞いた事がある。敵(かたき)を討つために山の中で修行を積んでいるそうじゃのう」
 マウシを見る目は刀を見ていた時と違って、暖かみが感じられた。ササの叔父さんは優しそうに笑うと、「年齢(とし)はいくつじゃ」と聞いた。
「十六です」とマウシは答えた。
「なんだ」とササが言った。
「あたしと同い年じゃない。体つきが大きいから年上かと思ってたわ」
 マウシは改めてササを見た。大人びているので、一つくらい年上かなとマウシも思っていた。
「十六と言えばジルムイと同い年じゃな。一緒に稽古に励んで強くなれよ」
「ジルムイって誰だ」とマウシはササに小声で聞いた。
按司様の次男よ」
「強いのか」
 ササはマウシをじっと見て、「お前の方が強いかもしれない」と言った。
 同い年だとわかった途端にお前呼ばわりだった。生意気な娘だとマウシは思った。
「見ただけで、俺の強さがわかるのか」と聞くと、「わかるの」と何でもない事のように言った。
「どうして?」と聞くと、それには答えず、「サグルーとはいい勝負かもしれない」と言った。
「サグルーとは誰だ」
按司様の長男よ」
 この道場の師範であるササの叔父さんは苗代大親(なーしるうふや)といい、中山王の弟だという。首里に新しい武術道場が完成したら、そちらに移るがそれまでは、ここで若い者たちを鍛えているらしい。
 苗代大親に言われて師範代らしい男がサグルーとジルムイを呼びに行ったが、連れてきたのはジルムイだけで、サグルーは山の中だと言った。
「また山の中か」と苗代大親は笑った。
 ジルムイは真面目そうな顔をしたひょろっとした男だった。背丈はマウシと同じくらいだが、体が細かった。ササが言った通り、こいつなら勝てるとマウシは思った。
「山の中で、また昼寝してるのね」とササが言った。
「何じゃと? サグルーの奴は昼寝してるのか」
「この前、覗いたら昼寝してたわ。でも、あたしがいたずらしてやろうと近づいたら、本気であたしを打ってきたのよ。勿論、よけたけどね。眠っている所を襲われても大丈夫なように修行を積んでいるんだって生意気な事を言っていたわ」
「困った奴じゃ。同じ年頃の奴で、あいつにかなう者はおらんからのう。いささか自惚(うぬぼ)れているようじゃ。マウシ、お前がサグルーの思い上がりをたたきのめしてやれ」
 マウシは素直に「はい」とは言えなかった。今朝の自分の事を言われているような気がした。
 ジルムイが自己紹介して、「よろしく」と言った。マウシも自己紹介して、「よろしく」と言った。
「修行は明日からじゃ。今日はゆっくりと休め」と苗代大親が言った。
 マウシは「はい」とうなづき、ササと一緒に道場をあとにした。
「今度はどこに行くんだ」とマウシはササに聞いた。
「あなたたちのおうちよ」
 グスクの前を通るとやけに賑やかだった。木剣を持った稽古着姿の娘たちが何人も東曲輪の中に入って行った。
「何が始まるんだ」と娘たちを見ながらマウシはササに聞いた。
「剣術のお稽古が始まるのよ」
「娘たちが剣術の稽古をするのか」
「もう何年も前からやっているわ。奥方様(うなじゃら)が佐敷にお嫁に来て始めたの。その時、最初のお弟子になったのが、あたしのお母さんと佐敷ヌルなのよ」
「すると、この城下の娘たちは皆、剣術をしているのか」
「全員とはいえないけど、ほとんどの娘(こ)はしているわ」
「その中から選ばれた者が女子サムレーになるのか」
「そういう事ね」
 娘たちが剣術の稽古をしているなんて、山田では考えられない事だった。首里の女子サムレーのクムもここで修行を積んで強くなったに違いない。
「見てもいいか」とマウシは聞いた。
 ササは楽しそうに笑った。
「可愛い娘も多いから気をつけてね」
「何を気をつけるんだ」
「魂(まぶい)を抜かれないようにね」
「何を言っている。ところで、お前は加わらないのか」
「師範代が足らない時はあたしも教えるけど、普段はヌルのお仕事があるから無理よ」
「ヌルのお仕事?」
「こう見えても忙しい身なのよ。お母さんが首里に行っちゃったからね」
 マウシはフンと笑った。少しも忙しい身には見えなかった。毎日、遊んでいるような感じだ。
「それより、お前、師範代とか言ったけど、強いのか」
「お前よりは強いと思うわ」
「そんな馬鹿な」とマウシは思ったが口には出さなかった。二丈もある木の枝から飛び降りた時の身のこなしからして、かなりの腕があるように思えた。それでも、ササに負けるとは思っていなかった。
「さあ、目の保養に行きましょ」
 娘たちの剣術の稽古は夕方の一時(いっとき)(二時間)だけ行なわれ、師範は佐敷ヌルだという。集まって来た娘たちは百人近くもいるようだ。
「凄いのう」とマサルーが言った。「確かに目の保養じゃな」
 娘たちは実力に合わせて三組に分かれて稽古を始めた。今年入ったばかりの初心者の組と、二年目三年目となる組、そして、さらに強い者たちの組だった。娘たちの年齢は十六から十八歳で、それ以上の者は少ない。十八になれば、ほとんどの娘がお嫁に行ってしまう。中にはお嫁に行かずに、侍女になって按司に仕えたり、女子サムレーになる娘もいる。
 強い者たちの組でひときわ目を引く娘がいた。その中でも一番若く見えるが、剣術の腕はかなりのものだった。
「やはりね」とササはマウシを見ながら笑った。
「何が、やはりなんだ」
「お前があの娘に魂を奪われる気がしてたのよ」
「誰なんだ」
「聞かない方がいいわ。あの娘を狙っている男は多いのよ」
「勿体ぶらずに教えてくれ」
「マカマドゥ。あたしたちと同じ十六でね、苗代大親の娘なのよ」
「えっ、武術師範の娘か」
「幼い頃から剣術の修行をしているから、かなりの腕よ」
「師範の娘か‥‥‥」
「自分よりも弱い男には見向きもしないわ」
「俺とあの娘はどっちが強いと思う」とマウシはササに聞いた。
「あの娘ね」とササは何のためらいもなく答えた。
「何だと」とマウシはムッとなった。
「試してみる?」とササは言って笑った。首里にいた叔母さんと同じ口ぶりだった。
「いや」とは言えなかった。「試してやろうじゃないか」とマウシは思わず言っていた。
 ササはうなづくと佐敷ヌルの所に言った。佐敷ヌルはササの話を聞いて、マウシを見ると軽く笑った。
 佐敷ヌルは娘たちの稽古をやめさせ、呼び集めると、「今日はお客様がいらっしゃったわ」と言った。
「山田グスクからいらしたマウシさんよ。大師匠(うふししょう)(マチルギ)の甥御さんなの。ここで武術の修行をするためにいらっしゃったの。今日は皆さんに模範試合を御披露してくれるそうよ」
 マウシは佐敷ヌルに呼ばれて近くまで行き、娘たちに挨拶をした。娘たちはマウシを見ながらキャーキャー騒いだ。こんなにも大勢の娘たちを目の前に見るのは初めてだったし、キャーキャー騒がれるのも初めてだった。悪い気分ではないが、何となく恥ずかしかった。
 佐敷ヌルが娘たちを静かにさせ、マカマドゥを呼んだ。
 マカマドゥが娘たちの間を抜けてやって来た。綺麗な娘だった。まるで、天女のように見えた。佐敷ヌルの話を聞いているマカマドゥの横顔をマウシはぼうっとして見とれていた。なぜか、胸がドキドキ高鳴った。マカマドゥが佐敷ヌルにうなづいて、マウシを見た。目と目が合った。マウシは慌てて目をそらせた。
 佐敷ヌルが何かを言っていたが耳に入らなかった。マカマドゥが佐敷ヌルの方を見ると、マウシはまたマカマドゥを見つめた。
 マウシは佐敷ヌルから竹の棒を渡された。
「何ですか」とマウシは聞いた。
「これで試合をしてちょうだい。お互いに怪我をしたら困るでしょ」
 軽くて細い竹の棒だった。まるで、子供の遊びだと思ったが、マウシはうなづいた。
 娘たちが囲む中で、マウシとマカマドゥの試合が行なわれた。
 子供の遊びとはいえ、娘たちに見られている中で、マカマドゥに負けるわけにはいかなかった。必ず勝って、マカマドゥにも自分の強さを示さなければならない。マウシは本気になって竹の棒を構えた。
 マカマドゥが構えると佐敷ヌルが、「始め!」と言った。
 マカマドゥの構えを見て、マウシは動けなかった。マカマドゥは竹の棒を中段に構えて、静かにマウシを見ている。少しでも動けば、マカマドゥの竹の棒が打ってくる。その一撃はよける事ができても、次の一撃はよけられないかもしれない。マウシはじっと構えたまま、マカマドゥが動くのを待った。しかし、マカマドゥも微動だにしなかった。
 二人は固まってしまったかのように動かなかった。娘たちは驚いた顔をしながら、黙って二人を見つめていた。
 誰かが喉を鳴らすと、あちこちから溜め息やら吐息が聞こえてきた。それでも、マウシとマカマドゥは動かなかった。
 息苦しい時間が過ぎていった。
「それまで!」と佐敷ヌルが言った。
 マカマドゥが竹の棒を下ろして溜め息をつき、肩で息をし始めた。マウシも構えを解いて溜め息をついた。両手がしびれて、軽い竹の棒が鉄の棒のように感じられた。
 マカマドゥがマウシに頭を下げて笑った。
 マウシも照れくさそうに笑った。
「二人は互角ね」と佐敷ヌルが言った。
「でも、単なる引き分けとは違うのよ。お互いに相手の強さがわかって動けなかったの。あの境地に行くにはかなりの修行を積まなければならない。二人ともさすがだわ」
 素晴らしい技が見られると期待していたのに、まったく動かない二人を見て、わけがわからなかった娘たちも佐敷ヌルの説明を聞いて、二人に拍手を送った。
「さあ、お稽古を再開するわよ」
 座っていた娘たちは立ち上がって稽古を始めた。
 マウシはササとマサルーの所に戻って、娘たちの稽古を眺めた。どうしても視線はマカマドゥのもとへと行ってしまう。
「やるじゃない」とササが言った。
「マカマドゥとお前はどっちが強い」とマウシは聞いた。
「多分、互角ね」
「ふん」とマウシは鼻で笑った。
「マカマドゥより佐敷ヌルのが強いんだろう」
「当然ね」
「佐敷ヌルより強いのはいるのか」
「あたしのお母さんの方が強いわ」
「馬天ヌルか」
「でも、お母さんよりも大師匠の方が強いわね」
「大師匠というのは叔母さんの事だな」
「叔母さんて?」
「ここの奥方様(うなじゃら)だよ。俺の親父の妹がここの奥方様なんだ」
「あら、そうだったの」
「それじゃあ、叔母さんが一番強いという事か」
「女子(いなぐ)ではね。按司様も強いけど、奥方様とどっちが強いかわからないわ。でも、二人よりも強いのは苗代大親ね。二人の師匠でもあるからね。苗代大親よりも強いのは中山王(うしゅがなしめー)だわね。苗代大親の師匠だからね」
「すると中山王が一番強いのか‥‥‥上には上がいるものだな」
「あっ、もう一人強いのがいたわ。あたしのお父さん。按司様の師匠だったのよ。今は水軍の大将になってるわ」
「なに、お前の親父も強いのか」
 ササは答えず、「さあ、あなたたちのおうちに行きましょ」と言って、さっさと歩き出した。

 

 

 

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