長編歴史小説 尚巴志伝

第一部は尚巴志の誕生から中山王武寧を倒すまで。第二部は山北王の攀安知を倒すまでの活躍です。お楽しみください。

2015-03-09から1日間の記事一覧

33.十年の計(改訂決定稿)

風が冷たかった。今にも雨が降りそうな空模様だ。 今帰仁合戦(なきじんかっせん)のあった年の十二月の初め、サハチ(佐敷若按司)は祖父のサミガー大主(うふぬし)に呼ばれて、仲尾(新里)にある祖父の隠居屋敷に向かっていた。雪が降って来るヤマトゥ(日本…

32.ササの誕生(改訂決定稿)

島添大里按司(しましいうふざとぅあじ)(汪英紫)の後始末は、さすがと言える程に素早かった。 三男の大(うふ)グスク按司、ヤフス(屋富祖)がしでかした不始末をあっという間に解決してしまった。やはり、糸数按司(いちかじあじ)と比べて島添大里按司の方が…