長編歴史小説 尚巴志伝

第一部は尚巴志の誕生から中山王武寧を倒すまで。第二部は山北王の攀安知を倒すまでの活躍です。お楽しみください。

2015-03-16から1日間の記事一覧

41.傾城(改訂決定稿)

洪武(こうぶ)二七年(一三九四年)は正月から大忙しだった。 正月の十日にサハチ(佐敷按司)の弟、マサンルー(真三郎)の婚礼が華やかに行なわれた。花嫁は鍛冶屋(かんじゃー)のヤキチの娘、キク(菊)だった。二人の仲はサハチもまったく知らなかった。マ…

40.山南王(改訂決定稿)

夏真っ盛りの暑い日々が続いていた。 ヒューガ(三好日向)が佐敷を去ってから二か月が過ぎ、南部の各地に山賊が出没して、食糧が奪われたとの噂が流れて来た。また、その山賊の仕業かどうかはわからないが、貧しい村に、食糧が天から降って来たという噂も流…