長編歴史小説 尚巴志伝

第一部は尚巴志の誕生から中山王武寧を倒すまで。第二部は山北王の攀安知を倒すまでの活躍です。お楽しみください。

2-91.三王同盟(改訂決定稿)

 ンマムイ(兼グスク按司)が山北王(さんほくおう)(攀安知)の書状を持って今帰仁(なきじん)から帰って来たのは、伊是名島(いぢぃなじま)の戦(いくさ)が終わった三日後だった。
 山北王の書状には同盟のための条件が三つ書いてあった。
 一、伊平屋島(いひゃじま)と伊是名島は中山王(ちゅうさんおう)の領地とし、与論島(ゆんぬじま)以北の島々は山北王の領地とする事。
 二、山北王の次女マナビーと中山王の孫チューマチの婚礼、山北王の次男フニムイと中山王の孫娘の婚約の事。
 三、以前のごとく、材木の取り引きを続ける事。
 中山王の思紹(ししょう)はその条件に、鳥島(とぅいしま)(硫黄鳥島)とトカラの宝島は中山王の領地とする事を付け加えた。チューマチとマナビーの婚礼は来年の二月を提案して、五歳のフニムイと婚約する娘は、四歳の与那原大親(ゆなばるうふや)(マタルー)の次女のカナに決めた。
 次の日の夕方、サハチが麦屋(いんじゃ)ヌルを連れて首里(すい)に帰って来た。炊き出しをするために与論島に送った女子(いなぐ)サムレーと城女(ぐすくんちゅ)が乗って来たヒューガ(日向大親)の船に乗って帰って来たのだった。女子サムレーの中に与論島出身のウトゥがいて、十二年振りの帰郷を喜んでいた。
 サハチは祖父のサミガー大主(うふぬし)が与論島に来たのは知らなかったが、サミガー親方(うやかた)に聞いたら、東行法師(とうぎょうほうし)を名乗って若い者を連れて来たと言う。与論島に滞在中、親方の世話になって、二人の娘を連れて帰って行った。貧しい娘たちをキラマ(慶良間)の島に送ってクバ笠やクバ扇を作らせていると言っていたが、その娘が中山王に仕える女子サムレーになって戻って来るなんて信じられないと言って驚いていた。
 サミガー親方はサミガー大主が亡くなったという噂を聞くと、ウミンチュ(漁師)たちと一緒に馬天浜まで行ったらしい。行くのはよかったが、北風(にしかじ)に逆らって帰って来るのは大変だったと笑った。
 もう一人の娘はどうなったのかとサハチがウトゥに聞いたら、侍女になって島添大里(しましいうふざとぅ)グスクに務めていると言った。知っていたなら里帰りさせてやったのにとサハチは悔やんだ。
 麦屋ヌルは島人(しまんちゅ)のためにも与論島にいなければならないと言い張ったが危険だった。五年後には必ず戻れるからと説得して連れて来た。麦屋ヌルを馬天(ばてぃん)ヌルに預けて、龍天閣(りゅうてぃんかく)に登ったサハチは、思紹から山北王との同盟の話を聞いて驚いた。
「親父が考えたのですか」とサハチは聞いた。
「いや、ンマムイが今帰仁に着く前に、本部(むとぅぶ)のテーラー(瀬底之子)が山北王の書状を持ってやって来たんじゃ。その書状に同盟の事が書いてあったんじゃよ」
「向こうから言って来るとは以外ですね」
「まったくじゃ。去年、山南王(さんなんおう)と同盟したばかりなのに、山南王を裏切るような事を平気でやるとはのう」
 思紹はテーラーが持って来た書状と、ンマムイが持って来た書状をサハチに見せた。
「チューマチの嫁さんが決まったか」とサハチは笑って、「ヤマトゥ(日本)から帰って来たら驚くだろう」と言った。
「大役(うふやく)たちと相談して同盟する事に決めて、テーラーに書状を持たせたんじゃ。ンマムイはテーラー今帰仁に着くのを待ってから戻って来た」
「そうでしたか。山北王と同盟とは驚きました。マチルギも賛成しましたか」
「敵を解体するための同盟じゃと言ったら納得してくれた」
「敵を解体?」
「そうじゃよ。同盟を結べば、今帰仁にも行けるようになる。『油屋』のような商人を各城下に置いて、按司たちを山北王から離反させるんじゃ」
「成程。ンマムイの話だと、ヤンバルの按司たちは今帰仁だけが栄えていると反感を持っているようです。皆、親戚には違いないけど、うまくやれば離反させる事ができるかもしれませんね」
「まだ五年ある。五年間で、名護按司(なぐあじ)、羽地按司(はにじあじ)、国頭按司(くんじゃんあじ)、恩納按司(うんなあじ)、金武按司(きんあじ)を味方に付けるんじゃよ」
「面白くなって来ましたね。ウニタキ(三星大親)が忙しくなりそうだ」
「ウニタキの『まるずや』は勿論、出してもらうが、それとは別に、中山王の店として朝鮮(チョソン)の綿布(めんぷ)を売る店を出そうと思っているんじゃが、どうじゃろう?」
「山北王は朝鮮とは交易していないので、今帰仁にも綿布はないでしょう。ちょっと高価ですけど、丈夫な綿布は売れるかもしれませんね」
 思紹は満足そうにうなづいた。
「詳しい事はあとで決める事にして、とりあえずは返事を送らなければならん」と思紹は言って、山北王の三つの条件に付け足した条件と、婚礼と婚約に関する事をサハチに話した。
「もう一つ付け足してください」とサハチは言った。
「何じゃ?」
与論島の島人の事です。今回、ウニタキに協力してくれた島人がいますが、島人たちは知らずに手伝ったので罰しないという項目です」
「サミガー親方の事じゃな?」
「そうです。ウニタキはサミガー親方たちを与論島から引き上げさせようとしています。しかし、山北王としても鮫皮(さみがー)を作る者たちが与論島からいなくなったら困る事になるでしょうし、サミガー親方としても長年住んできた土地を離れたくはないでしょう」
「よし、その事も付け加えよう」
「ンマムイがもう一度、今帰仁に行って、戻って来たら、与論島の兵を撤収させるのですか」
「そうなるじゃろうな」
「炊き出しをするのも大変です。早く、撤収させた方がいい」とサハチは言った。
 翌日、思紹の書状を持って再び今帰仁に行ったンマムイは五日後に戻って来て、中山王と山北王の同盟は決まった。
 その次の日、思紹は家臣たちに山北王と同盟を結んだ事を告げた。その日、首里(すい)の城下は山北王との同盟の話で持ちきりとなった。山南王と山北王が同盟してからというもの、敵が攻めて来るかもしれないと怯えていた城下の人たちは、これで山北王は攻めて来ないと安心して、まるで、お祭りのように騒いでいた。
 サグルー(島添大里若按司)はウニタキの配下のヤールーと一緒にヒューガの船に乗って与論島に行き、同盟の事をウニタキと苗代之子(なーしるぬしぃ)(マガーチ)に知らせた。同盟の話を聞いてウニタキは驚き、サミガー親方を連れ去るのはやめて、山北王の出方を見る事にした。
 そして次の日、苗代之子は兵を率いて与論島を去り、炊き出しをしていた女子サムレーと城女もサグルーたちと一緒に与論島を去った。与論島を奪い取ってから十六日が経っていた。
 湧川大主(わくがーうふぬし)が新しい与論按司(ゆんぬあじ)を連れて、与論島にやって来たのは、中山王の兵が引き上げた翌日だった。新しい与論按司は国頭按司の次男のヘーザで、長い間、湧川大主の配下として交易の仕事に携わっていた。按司に抜擢されるなんて、まるで夢のようだと張り切っていた。
 中山王の兵が引き上げたあと、グスク内に閉じ込められていた家臣たちの家族によって、手足を縛られて屋敷に閉じ込められていた兵たち、按司とその家族、重臣たちは助け出された。食べ物は与えられていたとはいえ、糞尿は垂れ流し状態で悪臭を放ち、悲惨な状態だった。皆、やせ細って骨と皮だけになって、立つのもやっとの状態だった。
 島人たちにも手伝ってもらって、屋敷の掃除をして、湧川大主が来た頃には綺麗になってはいたが、悪臭はまだ漂っていた。
 見るも無惨な姿になっている叔父の与論按司を見て、湧川大主は怒鳴る気力もなくなり、「しばらくは今帰仁に帰って謹慎していてください」と言っただけだった。
 兵たちの話から二月頃にサミガー親方の所にやって来た三弦(サンシェン)を弾くウミンチュが怪しい事がわかり、そのウミンチュが麦屋ヌルと何度か会っていたらしいという。湧川大主はそのウミンチュと麦屋ヌルを探させたが、二人とも島にはいなかった。サミガー親方も怪しいという者もいたが、湧川大主はサミガー親方を責める事はなかった。
「もし、サミガー親方が中山王の味方だったとしても、山北王は中山王と同盟を結んだ。中山王は敵ではないという事をはっきりと肝に銘じておけ」と湧川大主は与論島の兵たちに言った。
 ウニタキは三人の配下と一緒にまだ与論島にいた。隠れて、サミガー親方を守っていたのだった。湧川大主が引き上げたあと、何日か様子を見て、サミガー親方の安全を確認してから、ウニタキたちは与論島をあとにした。


 中山王と山北王の同盟を山南王のシタルーが知ったのは、ンマムイが同盟を決めて首里に戻って来た次の日だった。首里の噂が島尻大里(しまじりうふざとぅ)にも流れて来て、シタルーは自分の耳を疑った。
 一体、どういう事じゃ‥‥‥
 山北王はわしとの約束を破って、中山王と同盟したのか‥‥‥
 シタルーは山北王が伊是名島を攻め、中山王と戦っていると聞いて、同盟を結んだからには傍観しているわけにもいかず、裏切った米須按司(くみしあじ)を攻めるための準備をしていた所だった。
 何という事じゃ‥‥‥山北王と挟み撃ちにして中山王を倒すという計画も、これで終わってしまった。首里グスクをサハチに奪われてからというもの、ツキからすっかり見放されてしまったようだ。
 シタルーは何もかもがいやになって、米須攻めを中止させると馬に跨がり、たった一人で座波(ざーわ)に向かった。座波には側室の座波ヌルがいた。側室に迎えたのは十年前で、座波ヌルは二人の息子を産んで育てていた。去年の十一月、伯母の座波ヌルが亡くなって、若ヌルから座波ヌルになった。うるさい伯母がいなくなって、シタルーとしても訪ね易くなり、気分転換のために座波に行く事が多くなっていた。
 グスク内にいる側室たちと違って、座波ヌルは歯に衣(きぬ)着せぬ物言いで、時には腹が立つ事もあるが、本音で話せる相手だった。
「噂を聞いて逃げて来たのですね」と座波ヌルは乾いた洗濯物をたたみながらシタルーに言った。
「ああ、重臣どもがうるさいから逃げて来たんじゃ」とシタルーは縁側に横になって空を見上げた。
「どうするつもりなのです?」と座波ヌルは聞いた。
「どうするも何もない。こうなったからにはしばらく様子を見ているしかあるまい」
「何もしなくてもいいのですか」
「何をしろって言うんだ?」
「このままじゃ、のけ者にされますよ」
「何の事を言っているんだ?」
「同盟ですよ。あなたも中山王と同盟した方がいいわ」
「何だって?」
「三人の王様が同盟を結べば、戦が起こる事もないでしょ。みんなが安心して暮らせるようになります」
「中山王と同盟か‥‥‥」
 シタルーは島添大里按司(しましいうふざとぅあじ)のサハチとは同盟を結んでいた。去年、進貢船(しんくんしん)を送る事ができず、ヤマトゥンチュ(日本人)との取り引きで、明国(みんこく)の商品が不足したが、サハチのお陰で助かっていた。わざわざ中山王と同盟しなくても、サハチと同盟していれば、それでいいと思っていたが、中山王と山北王が同盟した今、このままだと座波ヌルが言うようにのけ者になってしまうかもしれなかった。山南王に従っている按司たちも寝返ってしまうかもしれない。早いうちに、中山王と同盟した方がいいとシタルーは考え直した。


 同盟の噂が流れてから二日後、与論島を奪い取った苗代之子、伊是名島を守った伊是名親方(いぢぃなうやかた)と田名親方(だなうやかた)が兵を率いて凱旋(がいせん)して来た。首里の城下は再び、お祭り騒ぎに浮かれた。ウミンチュの姿で戦をした苗代之子の兵たちもきちんと武装して行進し、城下の人たちから喝采(かっさい)を浴びていた。
 伊平屋島伊是名島の問題も無事に解決して、サハチは久し振りに島添大里グスクに帰った。
 ナツが入れてくれたうまいお茶を飲みながら、やはり、ここが一番落ち着くなと思っていた。
「佐敷ヌルさんとユリさんとシビーが帰って来ましたよ」とナツが言った。
「そうか。もう一月が経ったのか」
「三人ともさっぱりとした顔付きで、前よりも美人(ちゅらー)になって帰って来ましたよ」
「そうか。もともと美人の三人がさらに美人になって帰って来たか。体の中の毒気を出して、より一層美人になったのだろう」
「女子サムレーたちもヂャン師匠の所に行きたいと言い出して、佐敷ヌルさんがみんなに教えてあげるって言ったら、みんな大喜びしていました」
「そうか」とサハチはうなづいた。
 暗闇の洞窟歩きをやらなくても、断食と静座をやって、呼吸法を取り入れた套路(タオルー)(武当拳の形の稽古)をやれば、毒素が取れて、皆、美人になるだろうと思った。
「ササたち、またヤマトゥに行ってしまいましたねえ」とナツが言った。
「ああ、与論島で見送ったよ。ササが行くって言ったんで助かったよ。ジクー(慈空)禅師には悪いが、ヤマトゥ旅はササで持っているようなものだからな。将軍様足利義持)の奥方様はササが来るのを首を長くして待っているだろう」
豊玉姫(とよたまひめ)様の事はもう終わったんでしょ。ササは将軍様の奥方様に会いに行ったの?」
「それもあるが、ササは別の神様から頼まれ事をされたらしい」
「神様から頼まれるなんて、ササも大したものね」
「何といっても、豊玉姫様の娘の玉依姫(たまよりひめ)様を琉球まで連れて来たからな。その事は神様たちの噂になって広まって、ササなら頼みをかなえてくれるに違いないと思ったのだろう」
「今度の頼みって何なの?」
「舜天(しゅんてぃん)(初代浦添按司)の父親探しだそうだ」
「そんな昔の事がわかるの?」
「ヤマトゥに行って神様に聞いて回るんだろう。それが解決するまでは、ササのヤマトゥ行きは続く。あまり早く解決しない事を願うよ」
「サスカサ(島添大里ヌル)もそれに巻き込まれるのね」
「サスカサにもいい経験になるだろう」
「チューマチも一緒に行くのかしら?」
「いや、チューマチは将軍様の奥方様には呼ばれないだろう。越来(ぐいく)の若按司と行動を共にすると思うが、ちょっと年が離れすぎているからな、うまくやってくれればいいが」
「ヤマトゥ旅から帰ったら驚くでしょうね。山北王の娘さんをお嫁に迎えるなんて、夢にも思っていないでしょう」
「ヤマトゥに行く時、中山王と山北王は伊是名島で戦をしていたんだからな。まさか、山北王の娘がお嫁に来るとは思うまい。驚く顔が目に浮かぶよ」
 侍女が顔を出して、「シタルーという人が訪ねて来ました」と言った。
「馬天浜(ばてぃんはま)のシタルーか」とサハチが聞いたら、
「シタルーは明国ですよ」とナツが言った。
「昔馴染みだと言えばわかると言っていましたけど」と侍女は言った。
 昔馴染みのシタルーと言えば、山南王しかいなかった。山南王が来たのかとサハチは大御門(うふうじょー)(正門)まで迎えに出た。
「やあ」と右手を上げてシタルーは笑った。
 サハチはまるで、昔に戻ったような錯覚を覚えた。連れている供のサムレーは二人だけだった。
 サハチは山南王のシタルーを迎え入れた。
「前回、来たのは五年前だったな」とシタルーは言った。
 サハチとシタルーは東曲輪(あがりくるわ)の物見櫓(ものみやぐら)に登った。
「山北王との同盟の話、聞いたぞ。お前が仕組んだのか」とシタルーは海を見ながら聞いた。
「同盟の話は山北王から言って来たのです」とサハチは答えた。
「なに、山北王からか」とシタルーは驚いたようだった。
「こっちの作戦では、与論島を奪い取って、伊平屋島伊是名島を交換する事だったのですが、中山王が与論島を奪って、さらに永良部島(いらぶじま)や徳之島(とぅくぬしま)も狙っていると勘違いしたようです」
「成程な。自分たちが奄美を従えようとしているから、中山王も同じ事を考えていると思って、奄美から手を引けと言って同盟の話を持ち出したというわけじゃな」
「そのようです」
「去年の十月、山南王と山北王が同盟した。そして、今年の五月、中山王と山北王が同盟した。次は山南王と中山王の番だな」
「えっ、中山王と同盟すると言うのですか」
 シタルーは笑って、「中山王と山北王に攻められたら、山南は簡単につぶれてしまう。それを防ぐには、中山王と同盟を結ぶしかあるまい」
「わかりました。わたしの一存では決められませんが、きっと、中山王も賛成するでしょう」
「頼むぞ。そなたとわしは二重の婚礼で結ばれているが、改めて、中山王と同盟するからには、やはり、婚礼は必要じゃろう。豊見(とぅゆみ)グスクの若按司はまだ八歳じゃが、そなたの娘と婚約したい。そして、わしの五歳の娘とそなたの息子の婚約もしたい」
 サハチの四女のマカトゥダルは七歳だった。そして、ナツが産んだナナルーは五歳だった。
「わかりました」とサハチはうなづいた。
「世の中、思い通りにはならんもんじゃのう」とシタルーはしみじみと言った。
 首里に帰ったサハチは思紹と大役たちと話し合って、山南王と同盟を結ぶ事に決まり、弟のクルーを使者として島尻大里グスクに送った。クルーの妻はシタルーの娘のウミトゥクだった。
 米須按司、八重瀬按司(えーじあじ)、具志頭按司(ぐしちゃんあじ)、玻名(はな)グスク按司、及び東方(あがりかた)の按司たちの領地は、中山王の領内と認める事を同盟の条件として山南王に告げたが、山南王は承諾した。自分から言い出した同盟だったため、承諾するしかなかったのだろう。その代わり、以前のごとく、交易のために必要な品々は、それ相応の価格で用意すると告げた。
 中山王と山南王の同盟が決まると、首里の城下はまたお祭り騒ぎとなった。
 島尻大里の城下でも、中山王と山北王の同盟を聞いて不安になっていた城下の人たちは喜んで、お祭り騒ぎとなった。
 油屋によって、中山王と山南王の同盟を知らされた山北王はニヤリと笑って、「三王同盟だな」と言った。
 山北王が、三王同盟を家臣たちに知らせると、その噂はすぐに城下に広まって、山北王と山南王が同盟して以来、いつ戦が始まるのだろうと心配していた城下の人たちは、戦はないと大喜びして、お祭り騒ぎとなった。
 その頃、本部のテーラー奄美大島攻めの大将として、新しい奄美按司と一緒に二百人の兵を率いて進貢船に乗って、奄美大島に向かっていた。

 

 

 

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