長編歴史小説 尚巴志伝

第一部は尚巴志の誕生から中山王武寧を倒すまで。第二部は山北王の攀安知を倒すまでの活躍です。お楽しみください。

2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

2-147.久高ヌル(改訂決定稿)

戦後処理も片付いた四月の三日、一月遅れの『久高島参詣(くだかじまさんけい)』が行なわれた。 グスク内に閉じ込められている女たちにとって、久高島参詣は年に一度の楽しみだった。それが戦(いくさ)のために中止になってしまったので、思紹(ししょう)(中山…

2-146.若按司の死(改訂決定稿)

山南王(さんなんおう)に就任した他魯毎(たるむい)は豊見(とぅゆみ)グスクから島尻大里(しまじりうふざとぅ)グスクに引っ越しを始めた。すぐ下の弟、兼(かに)グスク按司(ジャナムイ)が豊見グスクに移って、豊見グスク按司を名乗り、四男のシルムイが阿波根(…

2-145.他魯毎(改訂決定稿)

島尻大里(しまじりうふざとぅ)グスクが落城した翌日、大(うふ)グスク、与座(ゆざ)グスク、真壁(まかび)グスクが降伏して開城した。 長嶺按司(ながんみあじ)と瀬長按司(しながあじ)の兵に包囲されていた大グスクでは、サムレー大将の真壁之子(まかびぬしぃ)が…

2-144.無残、島尻大里(改訂決定稿)

三月十日の早朝、他魯毎(たるむい)(豊見グスクの山南王)の兵と山北王(さんほくおう)(攀安知)の兵によって島尻大里(しまじりうふざとぅ)グスクの総攻撃が行なわれた。 本部(むとぅぶ)のテーラー(瀬底之子)率いる山北王の兵二百人が大御門(うふうじょー)…

2-143.山グスク(改訂決定稿)

米須(くみし)グスクは予想外な展開で開城となった。 敵陣に突っ込んで行った米須按司の行動は不可解だったが、若按司の話から、ああなった経緯はわかった。 物見櫓(ものみやぐら)の上で若按司と喧嘩をした按司は、重臣たちを集めて戦評定(いくさひょうじょう…