長編歴史小説 尚巴志伝

第一部は尚巴志の誕生から中山王武寧を倒すまで。第二部は山北王の攀安知を倒すまでの活躍です。お楽しみください。

2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

2-183.龍と鳳凰(改訂決定稿)

遊女屋『飛馬楼(フェイマーロウ)』に行って松景寺(しょうけいじ)の慶真和尚(きょうしんおしょう)とお酒を飲んでいたササ(運玉森ヌル)たちだったが、日が暮れると日本人町も唐人町も門が閉まってしまうとカオルに言われて、和尚とクマラパを遊女屋に残して…

2-182.伝説の女海賊(改訂決定稿)

熊野権現(くまのごんげん)の広場から大通りを真っ直ぐ行くと、高い土塁で囲まれた唐人(とうじん)の町が見えた。 大通りの両側にも大きな屋敷があったので、ササ(運玉森ヌル)がカオル(キクチ殿の娘)に聞いたら、船乗りたちの宿舎だと言った。キクチ殿の町…

2-181.ターカウ(改訂決定稿)

黒潮は思っていたよりもずっと恐ろしかった。 船は揺れ続けて、壊れてしまうのではないかと思うほど軋(きし)み続けた。若ヌルたちは真っ青な顔をして必死に祈りを捧げていた。 甲板(かんぱん)に出る事はできず、ササ(運玉森ヌル)たちも船室の中で、じっと…

2-180.仕合わせ(改訂決定稿)

ササ(運玉森ヌル)たちはドゥナン島(与那国島)に一か月近く滞在した。 六日間掛けて各村々に滞在したあと、サンアイ村に戻ったササたちは、ナウンニ村にいるムカラーを呼んで、愛洲(あいす)ジルーの船をクブラの港に移動するように頼んだ。ゲンザ(寺田源…

2-179.クブラ村の南遊斎(改訂決定稿)

ヤンバル(琉球北部)の旅に出たトゥイ様(先代山南王妃)が、三日間滞在した今帰仁(なきじん)をあとにして本部(むとぅぶ)に向かっていた頃、ドゥナン島(与那国島)にいるササ(運玉森ヌル)たちは、ダンヌ村からクブラ村に向かっていた。 ダンヌ村のツカサ…