長編歴史小説 尚巴志伝

第一部は尚巴志の誕生から中山王武寧を倒すまで。第二部は山北王の攀安知を倒すまでの活躍です。お楽しみください。

2017-07-01から1ヶ月間の記事一覧

2-111.寝返った海賊(改訂決定稿)

中山王(ちゅうさんおう)(思紹)の使者たちが京都に着いて、ササたちが京都の街を行列していた頃、琉球では二月に行った進貢船(しんくんしん)が無事に帰国した。 正使の具志頭大親(ぐしかみうふや)、従者のクグルーと馬天浜(ばてぃんはま)のシタルー、サムレ…

2-110.鳥居禅尼(改訂決定稿)

八月の一日、ササ(馬天若ヌル)たちは熊野新宮(しんぐう)の神倉山(かみくらやま)に来ていた。 ササたちが大原から京都に戻ると、南蛮(なんばん)(東南アジア)から使者が来たとの噂で持ち切りだった。四年前に若狭(わかさ)(福井県)に来て、台風にやられた…

2-109.ヌルたちのお祈り(改訂決定稿)

六月の半ば、山南王(さんなんおう)のシタルーの娘が真壁(まかび)の若按司に嫁いで行った。先代の真壁按司が隠居して山グスク大主(うふぬし)となって、中山王(ちゅうさんおう)(思紹)の船に乗って明国(みんこく)に行ったのを牽制(けんせい)するつもりだろう…

2-108.舜天(改訂決定稿)

奥間(うくま)ヌルが首里(すい)に来た。 サハチ(中山王世子、島添大里按司)は驚いて、焦った。一昨年(おととし)の冬、ウニタキ(三星大親)と一緒に伊平屋島(いひゃじま)に行く途中、奥間に寄って会った時、奥間ヌルは、いつか首里に行きたいと言っていた。…

2-107.屋嘉比のお婆(改訂決定稿)

今帰仁(なきじん)をあとにした馬天(ばてぃん)ヌルの一行は運天泊(うんてぃんどぅまい)に行って、勢理客(じっちゃく)ヌルに歓迎された。 勢理客ヌルは、馬天ヌルがヤンバル(琉球北部)のウタキ(御嶽)巡りをしている事を知っていて、首を長くして来るのを待…