長編歴史小説 尚巴志伝

第一部は尚巴志の誕生から中山王武寧を倒すまで。第二部は山北王の攀安知を倒すまでの活躍です。お楽しみください。

2016-01-01から1ヶ月間の記事一覧

2-22.清(ちゅ)ら海、清ら島(改訂決定稿)

サハチ(島添大里按司)は首里(すい)グスクの西曲輪(いりくるわ)にある物見櫓(ものみやぐら)から輝く海を眺めていた。 早いもので、明国(みんこく)から帰って来て二十日が過ぎようとしていた。まったく慌ただしい二十日間だった。 明国からの船旅は、黒潮を…

2-21.西湖のほとりの幽霊屋敷(改訂決定稿)

龍虎山(ロンフーシャン)から七日を掛けて、サハチたちはやっと杭州(ハンジョウ)に到着した。梅雨に入ったのか毎日、雨が降っていて参ったが、早く三姉妹に会いたいという気持ちがはやって、雨に濡れるのも気にならなかった。 以前、三姉妹が泊まっていた宿屋…

2-20.龍虎山の天師(改訂決定稿)

サハチたちの一か月の拳術修行は無事に終わった。 わずか一か月で極意を得るのは不可能で、基本を身に付けるにとどまったが、断食(だんじき)をやって、呼吸法を会得した事で、以前よりも体が自由に動くようになっていた。毎日続けた『胎内くぐり』も壁に手を…