長編歴史小説 尚巴志伝

第一部は尚巴志の誕生から中山王武寧を倒すまで。第二部は山北王の攀安知を倒すまでの活躍です。お楽しみください。

2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧

03.察度と泰期(改訂決定稿)

浮島(うきしま)を見下ろす高台に立ち、右手を目の上にかざして、海を眺めている大柄な男がいた。武装はしていないが腰に長い太刀を佩(は)いて、ひとかどの武将という貫禄があった。 男の視線の先には、浮島の近くに浮かぶ明国(みんこく)(中国)から来た二隻…

02.馬天浜(改訂決定稿)

サハチルー(佐八郎)は六歳になっていた。 みんなから『サハチ』と呼ばれて可愛がられ、健やかに育っていた。 今日、サハチは、去年生まれた弟のマサンルー(真三郎)をおぶった母親に連れられて、馬天浜(ばてぃんはま)にある祖父のサミガー大主(うふぬし)…

01.誕生(改訂決定稿)

六百年以上も前、その島にはまだ名前がなかった。 島の人たちは『大島(うふしま)』と呼び、中国の商人たちは『琉球(りゅうきゅう)』と呼んでいた。ヤマトゥ(日本)の人たちは遠い昔、『オキナガ』あるいは『アコナワ』と呼んでいたが、中国の商人たちの影響…

『尚巴志伝 第一部』の年表

1124年 日本国の奥州平泉に中尊寺金色堂が建立される。 螺鈿細工のため大量のヤコウガイが琉球弧から運ばれる。 1156年 源為朝、伊豆大島に流刑となる。 1166年 舜天、生まれる。伝説では舜天の父親は源為朝、母親は島添大里按司の妹。 1185年 日本国で、壇…

尚巴志の略歴

1372年 1月、佐敷の苗代の修行小屋で生まれる。1歳 父親はサミガー大主の長男のサグルー、母親は美里之子の娘のミチ。 光る石に導かれて、志喜屋の大主が小屋に来て、赤ん坊の誕生を祝福する。 サグルーが久高島から帰り、長男の誕生を喜び、ミチを嫁に迎え…

クマヌの略歴

1346年 吉野の先達山伏の家に生まれる。1歳 髙師直、吉野を攻撃し吉野は炎上する。後村上天皇は賀名生に行幸。1348年 吉野の蔵王堂、北朝の兵に焼かれる。3歳1350年 感応の攪乱、起こる。5歳1361年 九州で、懐良親王が大宰府を占領する。16歳1369年 クマヌ、…