長編歴史小説 尚巴志伝

第一部は尚巴志の誕生から中山王武寧を倒すまで。第二部は山北王の攀安知を倒すまでの活躍です。お楽しみください。

2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧

2-10.麗しき三姉妹(改訂決定稿)

メイファン(美帆)の手下のスンリー(孫里)はグスク(城壁)の中にある宿屋にいた。それほど高級な宿屋ではなさそうだが、広い庭があって、二階建ての建物の中には大勢のお客がいるようで騒々しかった。 スンリーは頭に鉢巻きを付け、ちょっととぼけた顔を…

2-09.泉州の来遠駅(改訂決定稿)

何とか無事に泉州(せんしゅう)に着いたものの、すぐに上陸はできなかった。 半島に囲まれた泉州湾に入ると、役人らしい男たちが小舟でやって来た。サングルミー(与座大親)は丁重に役人たちを迎えて必要書類を見せた。役人たちは尊大な態度で丹念に書類を調…

2-08.遙かなる船路(改訂決定稿)

朝早くから浮島(那覇)はお祭り騒ぎになっていた。進貢船(しんくんしん)を見送るために集まった人出は、浮島が人々で埋まってしまったかと思えるほど凄いものだった。新しい中山王(ちゅうさんおう)、思紹(ししょう)が初めて明国(みんこく)に送る進貢船だっ…

2-07.首里の初春(改訂決定稿)

年が明けて、永楽(えいらく)五年(一四〇七年)となった。 思紹(ししょう)が中山王(ちゅうさんおう)になって初めての正月は、慣れない事ばかりで慌ただしくて忙しかった。元旦は東曲輪(あがりくるわ)にある物見櫓(ものみやぐら)から初日の出を拝む事から始ま…