長編歴史小説 尚巴志伝

第一部は尚巴志の誕生から中山王武寧を倒すまで。第二部は山北王の攀安知を倒すまでの活躍です。お楽しみください。

2016-05-01から1ヶ月間の記事一覧

2-46.博多の呑碧楼(改訂決定稿)

サハチ(島添大里按司)たちを乗せた交易船(進貢船)は浮島(那覇)から順風を受けて一気に伊平屋島(いひゃじま)に向かった。伊平屋島で、馬天浜(ばてぃんはま)から来たシンゴ(早田新五郎)とマグサ(孫三郎)の船と合流して、シンゴとマグサの船のあとを…

2-45.佐敷のお祭り(改訂決定稿)

四月二十一日、佐敷グスクでお祭り(うまちー)が行なわれた。思紹(ししょう)(中山王)が大(うふ)グスク按司から佐敷按司に任命されて、佐敷にグスクを築いてから二十九年の月日が経っていた。 サハチ(島添大里按司)が九歳の時で、村(しま)の人たちが総出で…

2-44.中山王の龍舟(改訂決定稿)

サグルー(島添大里若按司)たちの噂も落ち着いてきた閏(うるう)三月の下旬、侍女のマーミから、ウニタキ(三星大親)のビンダキ(弁ヶ岳)の拠点が完成したので、ヂャンサンフォン(張三豊)と飯篠修理亮(いいざさしゅりのすけ)を連れて来てくれと告げられ…

2-43.表舞台に出たサグルー(改訂決定稿)

島添大里(しましいうふざとぅ)グスクのお祭り(うまちー)の五日後、中山王(ちゅうさんおう)の久高島参詣(くだかじまさんけい)が行なわれた。去年の襲撃で懲りたので、徹底的に首里(すい)から与那原(ゆなばる)への道の周辺の山や森を調べて、万全の警護のもと…

2-42.兄弟弟子(改訂決定稿)

旅から帰って来たササが、シンシン(杏杏)と一緒に島添大里(しましいうふざとぅ)グスクにやって来た。ササは首から下げた赤いガーラダマ(勾玉(まがたま))を自慢そうにサハチ(島添大里按司)に見せた。綺麗に輝く明るい赤色で、二寸(約六センチ)程の大…

2-41.眠りから覚めたガーラダマ(改訂決定稿)

二月九日、三度目の首里(すい)グスクのお祭り(うまちー)が始まった。今年は楼閣の普請中で西曲輪(いりくるわ)が使えないため、北曲輪(にしくるわ)で行なわれた。西曲輪に上がれないので、百浦添御殿(むむうらしいうどぅん)(正殿)を見る事はできないが、城…