長編歴史小説 尚巴志伝

第一部は尚巴志の誕生から中山王武寧を倒すまで。第二部は山北王の攀安知を倒すまでの活躍です。お楽しみください。

2015-11-01から1ヶ月間の記事一覧

2-15.応天府の夢に酔う(改訂決定稿)

ファイチ(懐機)は再会した友、ヂュヤンジン(朱洋敬)と一晩中、話し込んでいた。お陰で、サハチとウニタキも妓楼『桃香楼(タオシャンロウ)』に泊まる事になった。 泊まったといっても、妓女(ジーニュ)と夜を共にしたわけではない。『富楽院(フーレユェン)…

2-14.富楽院の桃の花(改訂決定稿)

サハチたちは杭州(ハンジョウ)に来ていた。 海賊船の鉄炮(てっぽう)を見て驚いた次の日から五日間、サハチとウニタキは三姉妹から明国(みんこく)の言葉の特訓を受けた。メイユー(美玉)とメイリン(美玲)はサハチとウニタキから琉球の言葉を教わり、必ず琉…

2-13.首里のお祭り(改訂決定稿)

朝早くから首里(すい)グスクの太鼓が、ドンドコドドドンと鳴り響いていた。 今日は思紹(ししょう)王が首里グスクに入って一周年を祝うお祭り(うまちー)だ。サハチ(島添大里按司)たちが明国に旅立った日から十日余りが経った二月の九日、その日は朝からいい…

2-12.島影に隠れた海賊船(改訂決定稿)

襲撃されたのは隠れ家だけではなかった。城内にある店も何者かに襲撃され、チェンイージュン(陳依俊)の家族たちも全員、殺された。高価な絹織物は勿論の事、隠してあったと思われる財産すべても奪われた。ソンウェイ(松尾)と名乗ったヤマトゥンチュ(日…

2-11.裏切り者の末路(改訂決定稿)

福州(ふくしゅう)の街も泉州(せんしゅう)と同じように高い城壁で囲まれていた。 サハチたちは三姉妹と一緒に福州の街に来ていた。三姉妹は勿論、海賊の格好ではなく、ごく普通の女たちの格好だった。敵を倒すにはまず敵を知らなければならない。三姉妹の敵(…