長編歴史小説 尚巴志伝

第一部は尚巴志の誕生から中山王武寧を倒すまで。第二部は山北王の攀安知を倒すまでの活躍です。お楽しみください。

2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧

2-85.五年目の春(改訂決定稿)

永楽(えいらく)九年(一四一一年)の年が明けた。 月日の経つのは速いもので、首里(すい)で迎える五回目の春だった。 サハチ(中山王世子、島添大里按司)は四十歳になり、長男のサグルーは二十二歳になった。サハチは二十一歳の時に佐敷按司になった。自分…

2-84.豊玉姫(改訂決定稿)

我喜屋大主(がんじゃうふぬし)と田名大主(だなうふぬし)はいなかったが、山北王(さんほくおう)(攀安知)の兵もいなくなって、島人(しまんちゅ)たちは大喜びして、小舟(さぶに)に乗って、ヤマトゥ(日本)から帰って来た交易船を迎えに行った。 交易船に乗っ…

2-83.伊平屋島のグスク(改訂決定稿)

サグルー(島添大里若按司)たちが奥間(うくま)の木地屋(きじやー)の案内で、辺戸岬(ふぃるみさき)の近くにある宜名真(ぎなま)という小さなウミンチュ(漁師)の村(しま)に着いたのは、島添大里(しましいうふざとぅ)を出てから四日目の事だった。 三日目の夜…

2-82.伊平屋島と伊是名島(改訂決定稿)

島尻大里(しまじりうふざとぅ)グスクで山南王(さんなんおう)(汪応祖)と山北王(さんほくおう)(攀安知)の婚礼が行なわれた五日後、思紹(ししょう)とヂャンサンフォン(張三豊)を乗せた進貢船(しんくんしん)が無事に帰って来た。迎えに行ったのはマチルギ…

2-81.玉依姫(改訂決定稿)

伊勢の神宮参詣から京都に帰ったササたちは、御台所(みだいどころ)様(将軍義持の妻、日野栄子)と一緒にスサノオの神様の家族について整理をした。公家(くげ)の先生にも話を聞いたが、どうしても神様の話とは食い違っていた。 神様の話では、スサノオの妻は…