長編歴史小説 尚巴志伝

第一部は尚巴志の誕生から中山王武寧を倒すまで。第二部は山北王の攀安知を倒すまでの活躍です。お楽しみください。

2016-09-01から1ヶ月間の記事一覧

2-64.旧港から来た娘(改訂決定稿)

サハチ(琉球中山王世子)たちが家族水入らずの旅から帰って来ると、朝鮮(チョソン)に行った使者たちが博多に戻ったとの知らせが入った。 サハチはウニタキ(三星大親)とファイチ(懐機)を連れて、イトの船に乗って博多に向かった。使者たちは『妙楽寺』に…

2-63.対馬慕情(改訂決定稿)

サハチ(琉球中山王世子)たちが朝鮮(チョソン)から対馬(つしま)に戻ったのは、山々が紅葉している十月の初めだった。 九月の初めに漢城府(ハンソンブ)(ソウル)に着いた琉球の使者たちは、二十一日にようやく朝鮮王(李芳遠(イバンウォン))に謁見(えっけ…

2-62.具志頭按司(改訂決定稿)

九月十日、平田グスクでお祭り(うまちー)が行なわれた。 お祭り奉行の佐敷ヌルは、ヒューガ(日向大親)の娘のユリと一緒に張り切って準備に明け暮れた。メイユー(美玉)、リェンリー(怜麗)、ユンロン(芸蓉)の三人も手伝ってくれた。初めての大々的なお…

2-61.英祖の宝刀(改訂決定稿)

サハチ(島添大里按司)たちがヤマトゥ(日本)と朝鮮(チョソン)に船出した日から七日後の五月四日、豊見(とぅゆみ)グスクで毎年恒例の『ハーリー』が行なわれた。思紹(ししょう)(中山王)は王妃を連れて出掛けて行った。従ったのは馬天(ばてぃん)ヌルと五…

2-60.李芸とアガシ(改訂決定稿)

開京(ケギョン)(開城市)から漢城府(ハンソンブ)(ソウル)に帰ると、サハチたちを待っている男がいた。イトから話を聞いていた李芸(イイエ)だった。ヤマトゥ(日本)言葉が話せるというので、サハチも会いたいと思い、丈太郎(じょうたろう)に頼んでいた。 …