長編歴史小説 尚巴志伝

第一部は尚巴志の誕生から中山王武寧を倒すまで。第二部は山北王の攀安知を倒すまでの活躍です。お楽しみください。

2017-09-01から1ヶ月間の記事一覧

2-119.桜井宮(改訂決定稿)

手登根(てぃりくん)グスクのお祭り(うまちー)で、佐敷ヌルの新作のお芝居『小松の中将様(くまちぬちゅうじょうさま)』が上演された。 手登根の女子(いなぐ)サムレーも旅芸人も『小松の中将様』を上演したが、台本が違っていた。 最初に演じられた女子サムレ…

2-118.マグルーの恋(改訂決定稿)

キラマ(慶良間)の島から帰って来たら梅雨に入ったようだった。 サハチ(中山王世子、島添大里按司)はヤマトゥ(日本)に行く交易船と朝鮮(チョソン)に行く勝連船(かちりんぶに)の準備で忙しくなっていた。早いもので、今年で五度目だった。最初の年は朝鮮…

2-117.スサノオ(改訂決定稿)

佐敷ヌルたちがヤンバル(琉球北部)の旅から帰って来たのは、島添大里(しましいうふざとぅ)グスクのお祭り(うまちー)の四日前だった。「いい旅だった。琉球は本当にいい所だ」とマツ(中島松太郎)は満足そうな顔をして言った。「こんな所で暮らしているな…

2-116.念仏踊り(改訂決定稿)

二月四日、今年最初の進貢船(しんくんしん)が二隻の旧港(ジゥガン)(パレンバン)の船を連れて出帆して行った。 正使はサングルミー(与座大親)で、従者としてクグルーと馬天浜(ばてぃんはま)のシタルー、イハチも行き、垣花(かきぬはな)からはシタルーの義…