長編歴史小説 尚巴志伝

第一部は尚巴志の誕生から中山王武寧を倒すまで。第二部は山北王の攀安知を倒すまでの活躍です。お楽しみください。

2017-11-01から1ヶ月間の記事一覧

2-132.二人の山南王(改訂決定稿)

八重瀬(えーじ)グスクが炎上している頃、島尻大里(しまじりうふざとぅ)グスクでは山南王(さんなんおう)の就任の儀式が盛大に行なわれていた。 山南王になった摩文仁大主(まぶいうふぬし)(先代米須按司)は、シタルー(先代山南王)が冊封使(さっぷーし)から…

2-131.エータルーの決断(改訂決定稿)

サハチ(中山王世子、島添大里按司)はウニタキ(三星大親)と一緒に喜屋武(きゃん)グスク(後の具志川グスク)に行って、琉球を去るタブチ(先代八重瀬按司)たちを見送った。 喜屋武グスクは海に飛び出た岬の上にあって、思っていたよりも小さなグスクだっ…

2-130.喜屋武グスク(改訂決定稿)

タブチ(先代八重瀬按司)の豊見(とぅゆみ)グスク攻めの二日後、島添大里(しましいうふざとぅ)グスクにンマムイ(兼グスク按司)が訪ねて来た。一緒に連れて来たのはチヌムイと八重瀬(えーじ)若ヌルのミカだった。チヌムイもミカもウミンチュ(漁師)の格好…

2-129.タブチの反撃(改訂決定稿)

照屋大親(てぃらうふや)と糸満大親(いちまんうふや)の裏切りで、進貢船(しんくんしん)をタルムイ(豊見グスク按司)に奪われた事を知ったタブチ(先代八重瀬按司)は物凄い剣幕で腹を立てた。「なぜじゃ。なぜ、あの二人が寝返ったのじゃ?」「照屋大親も糸…

2-128.照屋大親(改訂決定稿)

長嶺按司(ながんみあじ)は長嶺グスクに閉じ込められた。 兵の半数近くが下痢に悩まされ、長嶺按司自身も悩まされていた。水のような下痢で我慢する事はできず、本陣となった屋敷に籠もって厠(かわや)通いが続いていた。こんな状態では戦(いくさ)はできん。出…

2-127.王妃の思惑(改訂決定稿)

島添大里(しましいうふざとぅ)グスクに集まった東方(あがりかた)の按司たちは、今度こそ、タブチ(先代八重瀬按司)に山南王(さんなんおう)になってもらおうと声を揃えて言った。その中にンマムイ(兼グスク按司)もいた。「お前が何で、ここにいるんだ?」…

2-126.タブチとタルムイ(改訂決定稿)

長い一日が終わった翌日、戦(いくさ)が始まった。 ウニタキ(三星大親)の報告によると、タブチ(先代八重瀬按司)はシタルー(山南王)の側室や子供たちを島尻大里(しまじりうふざとぅ)グスクから出して、タルムイ(豊見グスク按司)に味方したい重臣たちや…

2-125.五人の御隠居(改訂決定稿)

島添大里(しましいうふざとぅ)グスクから豊見(とぅゆみ)グスクに帰ったタルムイは母親(山南王妃)が来ていたので驚いた。「母上、どうしたのです。父上が見つかったのですか」「あなたが戻るのを待っていたのですよ。島添大里グスクに何をしに行ったのです…