長編歴史小説 尚巴志伝

第一部は尚巴志の誕生から中山王武寧を倒すまで。第二部は山北王の攀安知を倒すまでの活躍です。お楽しみください。

2019-09-01から1ヶ月間の記事一覧

2-230.混乱の今帰仁(改訂決定稿)

今帰仁(なきじん)でお祭り(うまちー)が最高潮の頃、島尻大里(しまじりうふざとぅ)グスクではトゥイ(先代山南王妃)の母親ウニョン(先々代中山王妃)を偲ぶと称して、家族たちが集まっていた。トゥイの夢枕に母が出て来て、急遽、家族を呼び集めたのだった…

2-229.今帰仁のお祭り(改訂決定稿)

ササ(運玉森ヌル)たちが乙羽山(うっぱやま)で『マジムン(悪霊)退治』をしていた頃、島添大里(しましいうふざとぅ)グスクに珍しい客がサハチ(中山王世子、島添大里按司)を訪ねて来た。瀬長按司(しながあじ)だった。 わざわざ訪ねて来るなんて、瀬長按司…

2-228.志慶真ヌル(改訂決定稿)

庶民の格好に戻ったササ(運玉森ヌル)たちは、朝早く勢理客(じっちゃく)村を発って、充分に気を付けながら今帰仁(なきじん)に向かった。 何事もなく、一時(いっとき)(二時間)足らずで今帰仁城下に着いた。城下の賑やかさにササたちは驚いた。交易に来てい…

2-227.悪者退治(改訂決定稿)

昨日は雨降りだったが、今日は朝からいい天気で、島添大里(しましいうふざとぅ)グスクのお祭り(うまちー)に大勢の人たちが集まって来た。 ミーグスクに滞在しているヤンバル(琉球北部)の長老たちとクチャ(名護按司の妹)とスミ(松堂の孫娘)も、マナビー…

2-226.見果てぬ夢(改訂決定稿)

ウニタキ(三星大親)はヤンバル(琉球北部)の按司たちの書状を持って、真喜屋之子(まぎゃーぬしぃ)とキンタ(奥間大親)を連れて首里(すい)に向かった。今後の作戦を思紹(ししょう)(中山王)と練るために、サハチ(中山王世子、島添大里按司)も一緒に行…

2-225.祝い酒(改訂決定稿)

ミーグスクでヤンバル(琉球北部)の長老たちの歓迎の宴(うたげ)をしていた頃、島添大里(しましいうふざとぅ)グスクの一の曲輪(くるわ)の屋敷の二階で、サハチ(中山王世子、島添大里按司)とウニタキ(三星大親)が、キンタ(奥間大親)と真喜屋之子(まぎゃ…

2-224.長老たちの首里見物(改訂決定稿)

首里(すい)グスクの北、会同館(かいどうかん)の西側には赤木が生い茂った森があった。赤木を伐り倒して整地をして、そこに大きな穴を掘って大池を造り、庭園として整備する事に決まった。 キラマ(慶良間)の島から次々に来る若者たちが、掘っ立て小屋を建て…

2-223.大禅寺(改訂決定稿)

二月一日、ジクー寺の落慶供養(らっけいくよう)が行なわれ、ジクー(慈空)禅師によって、『大禅寺(だいぜんじ)』と名付けられた。 龍の彫刻がいくつもある立派な山門に、ジクー禅師が書いた『大禅寺』という扁額(へんがく)が掲げられ、本堂には新助が彫った…