長編歴史小説 尚巴志伝

第一部は尚巴志の誕生から中山王武寧を倒すまで。第二部は山北王の攀安知を倒すまでの活躍です。お楽しみください。

2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧

2-106.ヤンバルのウタキ巡り(改訂決定稿)

ウタキ(御嶽)巡りの旅に出た馬天(ばてぃん)ヌルの一行は、山田グスクに行く途中、読谷山(ゆんたんじゃ)の喜名(きなー)で東松田(あがりまちだ)ヌルと会っていた。 馬天ヌルが東松田ヌルと会うのは十四年振りだった。馬天ヌルは再会を喜び、ササがガーラダマ…

2-105.小松の中将(改訂決定稿)

琉球の交易船の警護をしなければならないと言って、あやは上関(かみのせき)に帰って行った。 ササ(馬天若ヌル)たちはあやにお礼を言って別れ、京都へと向かった。 六月三十日、ササたちは京都に着いて、いつものように高橋殿の屋敷に入った。男はだめよと…

2-104.アキシノ(改訂決定稿)

無事に坊津(ぼうのつ)に着いた交易船から降りた佐敷ヌルとササたちは、『一文字屋』の船に乗り換えて博多に向かった。サイムンタルー(早田左衛門太郎)の船から降りたサタルー、ウニタル、シングルーも一文字屋の船に移った。 六月の七日、博多に着くと、『…

2-103.送別の宴(改訂決定稿)

佐敷ヌルとササ(馬天若ヌル)が安須森(あしむい)の山頂で、神様の声を聞いていた頃、馬天(ばてぃん)ヌルは首里(すい)グスクの『キーヌウチ』で、麦屋(いんじゃ)ヌル(先代与論ヌル)とカミーと一緒にお祈りを捧げていた。突然、カミーが悲鳴のような大声を…