長編歴史小説 尚巴志伝

第一部は尚巴志の誕生から中山王武寧を倒すまで。第二部は山北王の攀安知を倒すまでの活躍です。お楽しみください。

2016-02-01から1ヶ月間の記事一覧

2-27.廃墟と化した二百年の都(改訂決定稿)

北風(にしかじ)に乗って、ヤマトゥ(日本)から続々と船が浮島(那覇)にやって来た。毎年の事だが、浮島はお祭り騒ぎで、久米村(くみむら)も首里(すい)も大忙しだった。今年は進貢船(しんくんしん)が持って来た商品だけでなく、三姉妹が持って来た南蛮(なん…

2-26.マチルギの御褒美(改訂決定稿)

三つの御婚礼(ぐくんりー)は大成功だった。 華麗な花嫁行列と荘厳(そうごん)な儀式は噂になって各地に広がり、さすが、中山王(ちゅうさんおう)の御婚礼だと賞賛された。 サグルー(佐五郎)夫婦は島添大里(しましいうふざとぅ)グスクの東曲輪(あがりくるわ)…

2-25.三つの御婚礼(改訂決定稿)

華やかな花嫁姿のマカトゥダル(真加戸樽)はお輿(こし)に乗って朝早く、山田グスクから首里(すい)の都を目指していた。道の両側では城下の人たちが大勢、見送ってくれた。幸せいっぱいで涙がこぼれ落ちるほど嬉しかった。 二年前の正月、マカトゥダルが十五…

2-24.山北王の祝宴(改訂決定稿)

今帰仁(なきじん)グスク内の新しくなった御内原(うーちばる)の屋敷の二階の縁側から、山北王(さんほくおう)の攀安知(はんあんち)は夕日に輝く海を眺めていた。正面に伊是名島(いぢぃなじま)と伊平屋島(いひゃじま)が見え、東の空には満月がぼんやりと浮かん…

2-23.今帰仁の天使館(改訂決定稿)

八月の初めに旅に出たヂャンサンフォン(張三豊)たちが、旅から帰って来たのは九月の半ばだった。 サハチ(島添大里按司)が首里(すい)グスクの西曲輪(いりくるわ)の物見櫓(ものみやぐら)から曲輪内を見回して、『首里天閣(すいてぃんかく)』のような楼閣を…