長編歴史小説 尚巴志伝

第一部は尚巴志の誕生から中山王武寧を倒すまで。第二部は山北王の攀安知を倒すまでの活躍です。お楽しみください。

2016-10-01から1ヶ月間の記事一覧

2-70.二人の官生(改訂決定稿)

六月八日、思っていたよりもずっと早く、正月に出帆した進貢船(しんくんしん)が帰って来た。 正使の中グスク大親(うふや)の話によると、永楽帝(えいらくてい)はまだ順天府(じゅんてんふ)(北京)にいるが、わざわざ来なくてもいいとの事で、応天府(おうてん…

2-69.座ったままの王様(改訂決定稿)

今年の『丸太引き』のお祭り(うまちー)は華やかだった。 首里(すい)は赤(あかー)、島添大里(しましいうふざとぅ)は水色(みじいる)、佐敷は白(しるー)、久米村(くみむら)は黄色(きーるー)、若狭町(わかさまち)は黒(くるー)、今年から加わった浦添(うらしい)は…

2-68.思紹の旅立ち(改訂決定稿)

サム(マチルギの兄)の勝連按司(かちりんあじ)就任の儀式が終わったあと、ウニタキ(三星大親)は今帰仁(なきじん)に向かい、サハチ(島添大里按司)は島添大里(しましいうふざとぅ)に帰った。 次の日は島添大里グスクのお祭り(うまちー)だった。天候にも恵…

2-67.勝連の呪い(改訂決定稿)

正月の下旬、シンゴ(早田新五郎)とマグサ(孫三郎)の船が馬天浜(ばてぃんはま)にやって来た。イハチ(サハチの三男)とクサンルー(浦添若按司)が無事に帰国した。 ナナが来ているので、イハチと仲よくなったミツが一緒に来るかと思ったが、来なかった。…

2-66.雲に隠れた初日の出(改訂決定稿)

新しい年が明け、永楽(えいらく)八年(一四一〇年)となった。 去年は本当に素晴らしい年だった。何もかもがうまくいった。今年もいい年であるように初日の出に祈ったが、雲に隠れて拝む事はできなかった。何となく嫌な予感がした。 馬天(ばてぃん)ヌルが、…

2-65.龍天閣(改訂決定稿)

十二月二十四日、サハチ(島添大里按司)たちは無事に琉球に帰国した。あとを付いて来た旧港(ジゥガン)(パレンバン)の船も無事だった。 サハチたちは休む間もなく、旧港の人たちの接待に追われた。首里(すい)の大役(うふやく)たちに知らせて歓迎の宴(うた…