長編歴史小説 尚巴志伝

第一部は尚巴志の誕生から中山王武寧を倒すまで。第二部は山北王の攀安知を倒すまでの活躍です。お楽しみください。

2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

2-59.開京の将軍(改訂決定稿)

ファイチ(懐機)は開京(ケギョン)(開城市)でヘグム(奚琴)を手に入れる事ができた。ナナだけでなく、浦瀬小次郎も一緒に来てくれた。開京には宿屋もちゃんとあって、食事も酒も提供してくれた。サハチ(琉球中山王世子)たちは宿屋に滞在しながら、五日…

2-58.サダンのヘグム(改訂決定稿)

昨日はいなかったが、ハナにはナナという姉がいた。男の格好をして刀を背負い、二十歳を過ぎていると思えるが、お嫁に行かないで、商品の護衛を務めているという。そして、ヂャンサンフォン(張三豊)を師匠と呼んで、再会を喜んでいた。「ここにも師匠の弟…

2-57.漢城府(改訂決定稿)

早田(そうだ)五郎左衛門が言っていたように、都へと続く道はひどいものだった。道幅が狭くて、でこぼこで、ほとんどが山道同然と言ってよかった。こんな道では荷車は通れなかった。サハチ(琉球中山王世子)たちは馬に乗っていたが、十日以上もこんな道を行…

2-56.渋川道鎮と宗讃岐守(改訂決定稿)

サハチ(琉球中山王世子)たちは『倭館(わかん)』に向かっていた。 早田(そうだ)五郎左衛門、早田六郎次郎、ジクー(慈空)禅師と一緒だった。遊女屋に泊まった者たちはまだ帰って来ていなかった。 五郎左衛門は朝鮮(チョソン)の官服(かんぷく)を着ていた。…

2-55.富山浦の遊女屋(改訂決定稿)

すぐにでも朝鮮(チョソン)に行きたかったが、海が荒れてきて行けなくなった。ササ(馬天若ヌル)に聞くと台風が近づいているという。「でも、対馬(つしま)は直撃しないから大丈夫。三日か四日待てば行けるわ」「琉球は大丈夫だったのか」とサハチ(琉球中山…