長編歴史小説 尚巴志伝

第一部は尚巴志の誕生から中山王武寧を倒すまで。第二部は山北王の攀安知を倒すまでの活躍です。お楽しみください。

2021-01-01から1年間の記事一覧

3-11.アメキウディーの饗宴(第二稿)

ウンノー泊(どぅまい)(面縄港)に戻ってサグルーたちと合流したサスカサたちは、先代徳之島按司(とぅくぬしまあじ)の妹の犬田布(いんたぶ)ヌル(先代徳之島ヌル)と会った。犬田布ヌルは山北王(さんほくおう)を倒してくれた事を感謝したが、中山王(ちゅうざ…

3-10.トゥクカーミー(第二稿)

シンシンとナナが予想したように、島ヌルのカリーと親方の息子のサクラーは消えてしまった。どこに行ったのかわからないが、無事に帰ってくるまで、サスカサたちは待っている事にした。 ヒューガは先に帰ったが、サンダラたちは一緒に残った。トカラの宝島ま…

3-09.海の『まるずや』(第二稿)

越山(くしやま)のウタキ(御嶽)で神様の話を聞いた翌日、鳥島(とぅいしま)(硫黄鳥島)の事を聞こうとサスカサたちはサミガー親方(うやかた)に会いに行った。永良部按司(いらぶあじ)になったサミガー親方だったが、仕事の引き継ぎをしなければならないと言…

3-08.永良部ヌルと鳥島(第二稿)

世の主(ゆぬぬし)(永良部按司)が以前に暮らしていた玉グスクは、新しいグスクの東、半里(約二キロ)ほどの小高い丘の上にあり、浦添(うらしい)グスクを小さくしたようなグスクだった。 高い石垣はかなり古く、英祖(えいそ)の弟が永良部按司(いらぶあじ)に…

3-07.永良部島騒動(第三稿)

武装船を先頭に中山王(ちゅうざんおう)(思紹)の船は永良部島(いらぶじま)(沖永良部島)に向かっていた。 永良部島には『アキシノ様(初代今帰仁ヌル)』の子孫のヌルがいるという。母(マチルギ)から聞いた話では初代の永良部ヌルはアキシノ様の孫で、代…

3-06.与論島平定(第三稿)

梅雨が上がった五月の五日、山グスク大親(うふや)(サグルー)が奄美の島々を平定するために水軍大将のヒューガ(日向大親)の武装船に乗って親泊(うやどぅまい)(今泊)を出帆した。弟のジルムイ(島添大里之子)とマウシ(山田之子)とシラー(久良波之子…

3-05.伊江島と瀬底島(第三稿)

瀬底(しーく)の若ヌルが今帰仁(なきじん)に来た翌日、雨がやんで、久し振りに日が出たので、サスカサ(島添大里ヌル)、シンシン(今帰仁ヌル)、ナナ(クーイヌル)、タマ(東松田の若ヌル)、志慶真(しじま)ヌルがサグルー(山グスク大親)とマウシ(山田…

3-04.今帰仁再建(第三稿)

今帰仁(なきじん)グスクの外曲輪(ふかくるわ)に朝鮮(チョソン)の綿布(めんぷ)で作った仮小屋がずらりと並んで建っていた。戦(いくさ)の被害が少なく、広い外曲輪が今帰仁再建の拠点として機能していた。 三の曲輪と中曲輪を囲む高い石垣は所々に鉄炮(てっぽ…

3-03.逃避行(第三稿)

今帰仁(なきじん)の戦(いくさ)が始まる半月ほど前の三月二十八日、武装船に乗って逃亡した湧川大主(わくがーうふぬし)(攀安知の弟)は与論島(ゆんぬじま)に着いた。前日の夕方、運天泊(うんてぃんどぅまい)を出帆し、奥間(うくま)沖で一泊してから与論島に…

3-02.凱旋(第三稿)

山北王(さんほくおう)(攀安知)を倒した六日後の四月十七日、サハチ(尚巴志、島添大里按司)は中山(ちゅうざん)軍を率いて首里(すい)に凱旋(がいせん)した。 今帰仁(なきじん)を発ったのは十四日で、その日は名護(なぐ)まで行き、二日目は恩納(うんな)まで…

3-01.沖の郡島(第三稿)

永楽(えいらく)十四年(一四一六年)の四月十一日、総大将を務める島添大里按司(しましいうふざとぅあじ)のサハチ(尚巴志)が率いた中山(ちゅうざん)軍は、今帰仁(なきじん)グスクを攻め落として山北王(さんほくおう)を滅ぼした。 山北王の攀安知(はんあん…

琉球国派遣船一覧(1372-1416)

西暦 明歴 派遣王 行き先 出帆 入貢 帰帆 使者1372年 洪武5年 察度1 明国 10月 12月29日 翌年5月 泰期 ※明国の使者、楊載。 1374年 洪武7年 察度2 明国 8月 10月26日 翌年5月 泰期 ※琉球に帰る船で、李浩が来る。 1376年 洪武9年 察度3 明国 2月 4月1日 7月 …

アキシノの略歴(1163-1226)

1178年 弓矢の腕を見込まれて厳島神社の内侍(巫女)になる。16歳 1180年 3月 厳島神社に来た平維盛と出会う。18歳 4月 安徳帝が即位する。 1181年 閏2月 平清盛が病死する。19歳 1183年 4月 平維盛が総大将として北陸に出陣する。21歳 5月 弥山で青い勾玉を…

ナナの略歴(1388-1416)

1387年 5月 早田三郎左衛門がサハチを対馬に連れて帰る。 1388年 1月 早田左衛門太郎がサハチを連れて琉球に行く。 5月 左衛門太郎が琉球から帰る。 8月 高麗を襲撃して多くの兵を失い、三郎左衛門たちが対馬に帰る。 9月 高麗の富山浦(釜山)で生まれる。1…

シンシン(范杏杏)の略歴(1390-1416)

1390年 明国の襄陽郊外の村に生まれる。1歳 1398年 張三豊がファイホン夫婦を連れて武当山に戻る。9歳 1399年 村が山賊に襲われて、父は殺され、母はさらわれる。10歳 張三豊に助けられ、武当山に行き、ファイホン夫婦に預けられる。 両親の敵を討つために、…

シジマの略歴(1389-1416)

1383年 10月 志慶真若ヌルが出産に失敗して亡くなる。 1384年 1月 志慶真ヌルが志慶真大主の娘を若ヌルとして育てる。 1389年 ミナ、志慶真村に生まれる。1歳 1391年 4月 今帰仁合戦で祖父と父が戦死。志慶真村も今帰仁城下も焼かれる。3歳 1393年 4月 今帰…

愛洲次郎の略歴(1390-1416)

1281年 弘安の役(元寇)で水軍を率いて愛洲氏が活躍する。 1324年 愛洲憲俊とその子能俊は、大塔宮、正成らと共に赤坂城に篭城して戦う。 1338年 後醍醐天皇の綸旨に、紀州高田が愛洲憲俊に安堵される。 1339年 神山城(松阪市)の戦いに南朝方として愛洲六…

湧川大主の略歴(1377-1416)

1361年 祖父の羽地按司が今帰仁グスクを奪い取り今帰仁按司になる。 1376年 兄ハーンが生まれる。 1377年 本部で本部大主の次男に生まれる。童名はジルータ。1歳 1379年 妹マハニが生まれる。3歳 1380年 1月 ウクヌドー(奥堂)が今帰仁に来て、城下に「油屋…

ファイチ(懐機)の略歴(1406-1416)

1406年 1月 サハチが中山王武寧を倒し、首里グスクを奪い取る。32歳 アランポー一族を抹殺し、王茂を中心に新しい久米村を作る。 中山王になるサハチの父サグルーの名前を「思紹」と決める。 永楽帝が順天府に紫禁城の改築を始める。 5月 中山王の進貢船が帰…

尚巴志伝 第二部 登場人物一覧

あ 東松田ヌル 読谷山の喜名のヌル。1367- 東松田若ヌル タマ。東松田ヌルの姪。マレビト神はサハチ。1398- 安謝大親 中山王の重臣。武寧の重臣→思紹の重臣。1348- 天久之子 安謝大親の四男グラー。1388- 新垣大親 中山王の正使。国子監に留学。武寧の正使→…

尚巴志伝 第一部 登場人物一覧

あ アサ 奥間でのクマヌの一夜妻。1358- アランポー 亜蘭匏。久米村を支配している唐人。1342-1406 アミー シタルーが刺客として武寧に贈った側室で、武寧を殺す。1387- 安謝大親 中山王の重臣。1348- 安勢理大親 勝連按司の重臣。1358- い 伊波按司 マチル…