長編歴史小説 尚巴志伝

第一部は尚巴志の誕生から中山王武寧を倒すまで。第二部は山北王の攀安知を倒すまでの活躍です。お楽しみください。

2016-11-01から1ヶ月間の記事一覧

2-76.百浦添御殿の唐破風(改訂決定稿)

八重瀬按司(えーじあじ)のタブチが帰ったあと、側室としてのメイユー(美玉)の歓迎の宴(うたげ)が開かれた。主立った重臣たち、サグルー夫婦とサスカサ(島添大里ヌル)、女子(いなぐ)サムレーと侍女たちも呼んで、与那原(ゆなばる)にお祭りの準備に行って…

2-75.三か月の側室(改訂決定稿)

ンマムイ(兼グスク按司)たちが今帰仁(なきじん)を発って、本部(むとぅぶ)の海辺で遊んでいた頃、浮島(那覇)に三姉妹の船が今年も二隻やって来た。 サハチ(中山王世子、島添大里按司)は十月に明国(みんこく)に送る官生(かんしょう)(留学生)を決める会…

2-74.刺客の襲撃(改訂決定稿)

奥間(うくま)から今帰仁(なきじん)に帰って来たンマムイ(兼グスク按司)は、山北王(さんほくおう)(攀安知)に付き合って早朝の弓矢の稽古をしたり、湧川大主(わくがーうふぬし)と少林拳(シャオリンけん)の稽古をしたり、遊女屋(じゅりぬやー)に繰り出して…

2-73.奥間の出会い(改訂決定稿)

本部(むとぅぶ)から今帰仁(なきじん)に帰った二日後、ンマムイ(兼グスク按司)はヤタルー師匠(阿蘇弥太郎)を連れて、アタグ(愛宕)の案内で国頭(くんじゃん)グスクに向かった。遠いので子供たちを連れて行くのは無理だった。国頭按司の妻はマハニの叔母…

2-72.ヤンバルの夏(改訂決定稿)

歓迎の宴(うたげ)で出たヤマトゥ(日本)酒はうまかった。京都の高橋殿の屋敷で飲んだ上等の酒と同じような気がするとンマムイ(兼グスク按司)は思った。酒も料理もうまかったが、緊張していたので、あまり酔う事もなかった。 なぜ、緊張していたのかわから…

2-71.ンマムイが行く(改訂決定稿)

明国(みんこく)の陶器や南蛮(なんばん)(東南アジア)の蘇木(そぼく)、朝鮮(チョソン)の綿布(めんぷ)などを大量に積み込んだ『油屋』の船に乗って、ンマムイ(兼グスク按司)は家族を連れて今帰仁(なきじん)に向かっていた。 妻のマハニ(真羽)、十二歳の長…