長編歴史小説 尚巴志伝

第一部は尚巴志の誕生から中山王武寧を倒すまで。第二部は山北王の攀安知を倒すまでの活躍です。お楽しみください。

2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

2-54.無人島とアワビ(改訂決定稿)

家族水入らずで過ごした次の日、サハチ(琉球中山王世子)はイトに連れられて、近くの無人島に行った。二つの島が並んでいて、一つの島に砂浜があった。サハチたちは砂浜に上陸した。すぐ目の前に島があるので、船越の方は見えなかった。「ここは船越の若者…

2-53.対馬の娘(改訂決定稿)

瀬戸内海を無事に通過して、サハチ(琉球中山王世子)たちが博多に着いたのは七月二十五日だった。 児島(こじま)の下(しも)の津で塩飽(しわく)三郎入道が待っていて、前回の約束通り、進貢船(しんくんしん)を見せるために船大工の与之助(よのすけ)を同行させ…

2-52.唐人行列(改訂決定稿)

鞍馬山(くらまやま)での三日間の修行は終わった。 サハチ(琉球中山王世子)とウニタキ(三星大親)、ササとシズは何とか、目隠しでの木の根歩きを成功させた。やはり暗闇のガマ(洞窟)歩きのお陰だろう。高橋殿はあともう少しという所でつまづいてしまい悔…

2-51.鞍馬山(改訂決定稿)

『七重の塔』で将軍様(足利義持)に会った、その夜、ヂャンサンフォン(張三豊)が高橋殿の屋敷に呼ばれた。中条兵庫助(ちゅうじょうひょうごのすけ)の娘の奈美も加わって宴(うたげ)が開かれた。 また夜明けまで飲むつもりかと、サハチ(琉球中山王世子)は…