長編歴史小説 尚巴志伝

第一部は尚巴志の誕生から中山王武寧を倒すまで。第二部は山北王の攀安知を倒すまでの活躍です。お楽しみください。

2017-10-01から1ヶ月間の記事一覧

2-124.察度の御神刀(改訂決定稿)

夜が明ける前の早朝、華麗なお輿(こし)が島尻大里(しまじりうふざとぅ)グスクに向かっていた。四人の男が担いでいるお輿に従っているのは、頭を丸めた貫禄のあるサムレーとヌルだけで、二人とも馬に乗っていた。「姉のために作ったお輿が、弟のために役に立…

2-123.タブチの決意(改訂決定稿)

日が暮れてからブラゲー大主(うふぬし)を連れて、八重瀬(えーじ)グスクに来たミカ(美加)とチヌムイ(角思)を見て、タブチ(八重瀬按司)は首を傾げた。 ブラゲー大主が訪ねて来るのは久し振りだった。ブラゲー大主は中山王(ちゅうさんおう)のために貝殻を…

2-122.チヌムイ(改訂決定稿)

馬天浜(ばてぃんはま)のお祭り(うまちー)も終わって、三姉妹たちも、旧港(ジゥガン)(パレンバン)のシーハイイェン(施海燕)たちも、ジャワ(インドネシア)のスヒターたちも帰って行った。浮島(那覇)は閑散としていて、ヤマトゥ(日本)の商人たちが来…

2-121.盂蘭盆会(改訂決定稿)

湧川大主(わくがーうふぬし)が武装船に乗って鬼界島(ききゃじま)(喜界島)に向かっていた七月十五日、首里(すい)の大聖寺(だいしょうじ)で『盂蘭盆会(うらぼんえ)』という法会(ほうえ)が行なわれた。 『盂蘭盆会』というのは、七月十五日に御先祖様の精霊(…

2-120.鬼界島(改訂決定稿)

明国(みんこく)の海賊、リンジョンシェン(林正賢)から手に入れた鉄炮(大砲)を積んだ武装船に乗った湧川大主(わくがーうふぬし)は、意気揚々と鬼界島(ききゃじま)(喜界島)に向かっていた。 去年、前与論按司(ゆんぬあじ)の父子を鬼界按司(ききゃあじ)と…