長編歴史小説 尚巴志伝

第一部は尚巴志の誕生から中山王武寧を倒すまで。第二部は山北王の攀安知を倒すまでの活躍です。お楽しみください。

2017-03-01から1ヶ月間の記事一覧

2-93.鉄炮(改訂決定稿)

側室のハルはほとんど佐敷ヌルの屋敷に入り浸りで、二人の侍女も佐敷ヌルを尊敬したようで、真剣に武当拳(ウーダンけん)を習っていた。 石屋のクムンは職人たちと一緒に、島添大里(しましいうふざとぅ)グスクの石垣を見て回って修繕していた。職人の中に腕の…

2-92.ハルが来た(改訂決定稿)

六月になってウニタキ(三星大親)が与論島(ゆんぬじま)から帰って来た。「麦屋(いんじゃ)ヌルは馬天(ばてぃん)ヌルに預けたけど、会って来たか」とサハチ(中山王世子、島添大里按司)が聞くと、ウニタキはうなづいた。「慈恩禅師(じおんぜんじ)殿がヤンバ…

2-91.三王同盟(改訂決定稿)

ンマムイ(兼グスク按司)が山北王(さんほくおう)(攀安知)の書状を持って今帰仁(なきじん)から帰って来たのは、伊是名島(いぢぃなじま)の戦(いくさ)が終わった三日後だった。 山北王の書状には同盟のための条件が三つ書いてあった。 一、伊平屋島(いひゃじ…

2-90.伊是名島攻防戦(改訂決定稿)

サハチ(中山王世子、島添大里按司)とウニタキ(三星大親)が与論島(ゆんぬじま)の海に潜ってカマンタ(エイ)捕りに熱中している頃、伊是名島(いぢぃなじま)では戦(いくさ)が始まっていた。 伊是名親方(いぢぃなうやかた)が伊是名島に、田名親方(だなうや…