長編歴史小説 尚巴志伝

第一部は尚巴志の誕生から中山王武寧を倒すまで。第二部は山北王の攀安知を倒すまでの活躍です。お楽しみください。

2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

2-40.ササの強敵(改訂決定稿)

正月の二十八日、中山王(ちゅうざんおう)の進貢船(しんくんしん)が出帆した。今回の正使はサングルミー(与座大親(ゆざうふや))、副使は中グスク大親で、サムレー大将は宜野湾親方(ぎぬわんうやかた)、副大将は伊是名親方(いぢぃなうやかた)だった。 副使の…

2-39.娘からの贈り物(改訂決定稿)

マチルギと話したい事がいっぱいあったのに、サハチ(島添大里按司)は飲み過ぎてしまい、朝起きたら、マチルギは首里(すい)に行ってしまっていなかった。 ナツを呼んで、「昨夜(ゆうべ)、マチルギから旅の話を聞いたか」と聞くと、「楽しいお話を色々とお聞…

2-38.マチルギの帰還(改訂決定稿)

十二月になると冷たい北風(にしかじ)に乗ってヤマトゥ(日本)の船が次々に浮島(那覇)にやって来て、忙しい毎日が始まった。 大役(うふやく)の安謝大親(あじゃうふや)からヤマトゥの王様、北山殿(きたやまどの)(足利義満)が亡くなった事をサハチ(島添大…

2-37.初孫誕生(改訂決定稿)

台風で潰れた馬天浜(ばてぃんはま)のウミンチュ(漁師)たちの家々も何とか再建された。佐敷グスクの仮小屋で暮らしていた避難民たちもいなくなった十月の八日、ジルムイの妻、ユミが元気な男の子を産んだ。 御内原(うーちばる)の女たちに囲まれて、祝福され…

2-36.笛の調べ(改訂決定稿)

台風の復興対策に付きっきりだったサハチ(島添大里按司)が、久し振りに首里(すい)に顔を出すと、ジルムイの嫁のユミのお腹が大きくなっていた。 島添大里(しましいうふざとぅ)グスクにいるサグルーの嫁のマカトゥダルは、女子(いなぐ)サムレーたちと一緒に…

2-35.龍の爪(改訂決定稿)

ナツとメイユー(美玉)の試合のあと、二人は仲良しになって、メイユーは度々、島添大里(しましいうふざとぅ)グスクにやって来た。リェンリー(怜麗)は来なくなって、メイユーはユンロン(芸蓉)と一緒に来て、子供たちと遊んでいた。子供たちから琉球の言…

2-34.対馬の海(改訂決定稿)

博多に着いたマチルギたちは『一文字屋』のお世話になって、二十日間、博多に滞在した。梅雨も上がって、琉球ほどではないが、暑い夏になっていた。 博多に滞在中、白い袴をはいて腰に刀を差して、街中をうろうろしているマチルギたちは目立ち、街の者たちの…