長編歴史小説 尚巴志伝

第一部は尚巴志の誕生から中山王武寧を倒すまで。第二部は山北王の攀安知を倒すまでの活躍です。お楽しみください。

2018-01-01から1ヶ月間の記事一覧

2-142.米須の若按司(改訂決定稿)

南部での戦(いくさ)は続いていたが、二月二十八日、島添大里(しましいうふざとぅ)グスクで例年通りのお祭り(うまちー)が行なわれた。いつもよりも厳重な警備の中でのお祭りだったが、天候に恵まれて、大勢の人たちが集まって来て、お祭りを楽しんだ。いつも…

2-141.落城(改訂決定稿)

首里(すい)グスクのお祭り(うまちー)から六日後の昼下がり、玻名(はな)グスクに一節切(ひとよぎり)の調べが流れていた。 吹いているのは勿論、サハチ(中山王世子、島添大里按司)である。高い櫓(やぐら)の上から海の方を見ながら吹いていた。 戦(いくさ)を…

2-140.愛洲のジルー(改訂決定稿)

シンゴ(早田新五郎)とマグサ(孫三郎)の船が馬天浜(ばてぃんはま)にやって来た。 知らせを聞いたサハチ(中山王世子、島添大里按司)は玻名(はな)グスクから馬天浜に向かった。 すでに、『対馬館(つしまかん)』で歓迎の宴(うたげ)が始まっていた。マチル…

2-139.山北王の出陣(改訂決定稿)

山北王(さんほくおう)(攀安知)の兵が南部に出陣する前、今帰仁(なきじん)に驚くべき知らせが届いていた。知らせたのは奄美按司(あまみあじ)の使者で、鬼界島(ききゃじま)(喜界島)の鬼界按司の兵が全滅して、以前のごとく、御所殿(ぐすどぅん)(阿多源八…

2-138.ササと若ヌル(改訂決定稿)

玻名(はな)グスクから引き上げたササは、八重瀬(えーじ)グスクに寄ってマタルー(八重瀬按司)の長女のチチーを連れて、兼(かに)グスクに寄ってンマムイ(兼グスク按司)の次女のマサキを連れて与那原(ゆなばる)グスクに帰った。チチーを八重瀬ヌルに、マサ…