長編歴史小説 尚巴志伝

第一部は尚巴志の誕生から中山王武寧を倒すまで。第二部はその後の尚巴志の活躍です。お楽しみください。

2-181.ターカウ(第一稿)

 黒潮は思っていたよりもずっと恐ろしかった。
 船は揺れ続け、壊れてしまうのではないかと思うほど軋(きし)み続けた。若ヌルたちは真っ青な顔をして必死に祈りを捧げていた。
 甲板(かんぱん)に出る事はできず、ササたちも船室の中で、じっと無事を祈っていた。
 いつまで経っても船は揺れ続け、トカラの黒潮よりも、かなり幅があるようだった。
 長い恐怖の時間が二時(にとき)(四時間)余りも続いた。ジルーが船室に顔を出して、「無事に越えたぞ」と言った時は、ほっと胸を撫で下ろし、どっと疲れが出て来た。若ヌルたちは急に気が緩んで、その場に倒れ込んでいた。
 ササはナーシルと一緒に甲板に出た。正面に大きな島(台湾)が見えた。それは想像していたよりもずっと大きかった。高い山々が連なっていて、山の上には白い雪も見えた。
「大分、北(にし)に流されたみたい」とナーシルが言って、左の方に小さく見える島を指差した。
「前に行った時は、あの島で一休みしたのよ」
 ササは周りを見回した。先を行っていたキクチ殿の船がその島を目指しているのが小さく見えた。後ろを見ると平久保太郎(ぺいくぶたるー)の船はいた。
「大丈夫よ」とミッチェが言った。
 サユイとタマミガも一緒にいた。
「普通はあの島から南下してターカウ(高雄)に行くんだけど、島の最南端から北上してターカウに行くのが大変なのよ。このまま、島の北を回って南下した方が速くターカウに行けるわ」
 ミッチェはターカウに五回も行っていて、一度、北回りで行った事があるという。
 ササは安心して船室に戻った。若ヌルたちが唸っていて、安須森(あしむい)ヌルと玻名(はな)グスクヌルが看病していた。
「みんな、どうしちゃったの?」とササは安須森ヌルに聞いた。
「極度の緊張状態が続いたので、具合が悪くなってしまったらしいわ」
「薬を飲ませたから大丈夫だろう」とガンジューが言った。
 ササはガンジューにお礼を言って、「みんな、聞いて」と若ヌルたちに言った。
「こんな時こそ、ヂャン師匠の呼吸法が役に立つのよ。寝たままでいいから呼吸を整えましょう」
 ササの掛け声に合わせて、若ヌルたちはゆっくりと息を吐いたり吸ったりを繰り返した。だんだんと顔色もよくなってきて、マユとチチーとウミが、「大丈夫よ」と言って起き上がった。
 ミミとマサキはまだ苦しそうだった。二人はまだ十一歳だった。ヌルの修行をさせたのは早過ぎたのかなとササは思った。ミミは手登根大親(てぃりくんうふや)(クルー)の娘で、マサキは兼(かに)グスク按司(ンマムイ)の娘だった。無事にこの苦難を乗り越えてくれとササは祈った。
 日暮れ前に大島(台湾)の北側にある浜辺の近くに船を泊めて、具合の悪い者たちを上陸させた。ぐったりとしていたミミとマサキも、浜辺で休んだら精気を取り戻した。みんなで、よかったと喜んだ。首狩り族が出没するので、浜辺で夜を明かすのは危険だった。暗くなる前に船に戻り、若ヌルたちがまた具合が悪くならないかと心配したが、大丈夫だった。
 元気になって戻って来た若ヌルたちを見て、
「さすがですね」とガンジューがササに言った。
「呼吸を整えるなんて気がつきませんでした」
「すべては呼吸にあるってヂャンサンフォン様に教わったのです。ところで、若ヌルたちに飲ませた薬は何だったの?」
ヨモギですよ」
「フーチバーだったの」
「どこにでもある万能薬です」
「何かあったら、またお願いね」
 沖に泊まった船の中で夜を過ごして、翌朝、大島の北側に沿って西へと向かった。島の西側に出るのに二日も掛かり、島の大きさを思い知らされた。
 左側に大島を見ながら船は南下した。いつまで経っても同じ景色が続いた。岩場と深い密林が続き、所々に大きな川があって、時々、河口近くに人影が見えた。普通の島人(しまんちゅ)に見えるが、言葉が通じないので危険だという。上陸する事もできず、夜になると沖に船を泊めて船内に泊まった。体を動かさないので、お酒もおいしくなかった。
 ドゥナン島を出て七日目、風が止まり、雨がシトシト降り続いた。船は沖に止まったまま動かなかった。大声で叫びたいくらいに退屈だった。ササは若ヌルたちにせがまれて、ヤマトゥ旅の話を聞かせた。話をしながら、今頃、タミーとハマは対馬にいるのだろうと思った。そして、御台所(みだいどころ)様(日野栄子)を思い出して、御台所様に南の島の話をしたら目を丸くして驚くだろうと思った。
 翌日は雨もやみ、いい風が吹いて船は気持ちよく進んだ。大島の西側に島がいくつも見えた。船はその島を目指して進んだ。
 珊瑚礁に囲まれた綺麗な島だった。平久保太郎が小舟に乗って上陸すると、小舟が続々とやって来て、ササたちも上陸した。ポンフー(澎湖)と呼ばれる島で、キクチ殿の拠点だった。
 ヤマトゥから来た船は、この島で一休みしてからターカウに行くらしい。以前は唐人(とーんちゅ)たちが住んでいたが、倭寇(わこう)に追い出されて倭寇の拠点となった。キクチ殿がターカウに来てからはキクチ殿が任されて、この島を守っているという。
 キクチ殿の妹婿の隈部(くまべ)源十郎が大将として島を守り、ターカウにいるマカタオ族の娘が産んだ先代のキクチ殿の娘、キンニが一族を引き連れて島で暮らしていた。
 久し振りに船から降りたササたちは、その島で二日間、のんびりと過ごした。ヤマトゥンチュたちの宿舎があり、ササたちはそこにお世話になった。もう少ししたら、ヤマトゥンチュたちがやって来て、この島も賑やかになると源十郎の妻のオネが言った。
 ミッチェとサユイはこの島に来た事があるが、何度もターカウに行った事のあるクマラパは初めて来たという。それでも、オネと源十郎との再会を喜んでいた。二人がこの島に来たのは八年前で、それ以前はターカウにいた。
 源十郎は今のキクチ殿と同い年で、共に武芸の修行に励んだ仲だった。二人は若い頃、ターカウに来たクマラパから武芸を習っていて、源十郎はクマラパをお師匠と呼んでいた。
 ササたちは源十郎の娘のミホの案内で島の中を見て歩いた。若ヌルたちは地上を歩くのが嬉しいらしく、皆、楽しそうな顔をして歩いていた。ササも嬉しかった。歩くのがこんなにも楽しい事だったなんて、ずっと、船の中に閉じ込められなかったら気づかなかっただろう。
 島内には奇妙な形をした岩がいくつもあったが、ウタキらしいものはなかった。小高い丘の上に石の祠(ほこら)があったので、熊野権現(くまのごんげん)様かと聞いたら、阿蘇津姫(あそつひめ)様だとミホは言った。
「わたしはターカウで生まれたので知りませんが、九州の菊池の故郷の近くに阿蘇山という大きな山があるそうです。その山の神様が阿蘇津姫様です。古くから菊池家の神様で、航海の神様のようです」
「航海の神様? 航海の神様が山の神様なの?」
 ミホは首を傾げた。
「わたしにはよくわかりません。わたしの祖母は阿蘇神社の大宮司(だいぐうじ)様の娘です。祖母なら詳しい事がわかると思います」
「あなたのお祖母(ばあ)さんというのは、先代のキクチ殿の奥さんの事ですね?」
「そうです。祖父の死後、ターカウの熊野権現様の境内に庵(いおり)を建てて、祖父の冥福(めいふく)を祈っています」
 ササはミホにうなづいて、祠にお祈りを捧げた。神様の声は聞こえなかった。ドゥナン島(与那国島)と同じようにこの島も風が強かった。
 ポンフーに別れを告げて船に乗った。また何日も船に揺られるのかと覚悟をしたが、二日めにはターカウに着いた。
 ターカウの港は天然の門を抜けた中にあった。左側は山の裾野が海に落ち込み、右側は細長い半島の先端にある岩場だった。岩場にも山の方にも見張り台があって、武装した兵が船の出入りを見張っていた。岩陰には船も隠れていて、怪しい船は通さないのだろう。平久保太郎の船が一緒なので、ササたちの船も何の問題もなく港に入れた。
 細長い半島が港を囲んでいて、まるで湖のようだった。その湖には大きなターカウ川が流れ込んでいて、天然の門とターカウ川の間にターカウの町があった。港には進貢船(しんくんしん)に似た大きな船が三隻泊まっていた。進貢船を小さくしたような船や見た事もない奇妙な形をした船も泊まっていた。もう少ししたらヤマトゥの船が何隻もやって来るのだろう。港の向こうには高い土塁に囲まれたグスク(城)が二つあった。右側の大きいのがキクチ殿の町で、左側が唐人の町だとナーシルがササに教えた。
 平久保太郎が小舟に乗って上陸すると、ここでも小舟が迎えに来て、ササたちは上陸した。砂浜の先に、水をたたえた堀と高い土塁に囲まれたキクチ殿の町があった。土塁の上に道があるようで武装した兵たちが移動しながらササたちを見下ろしていた。
 堀に架かった橋を渡って、大きな門を通って土塁の中に入った。槍(やり)を持った門番が何人もいたが、平久保太郎のお陰で、何の問題もなく、中に入れた。
 門を抜けた所は広場になっていて、その先に大通りがあった。大通りの両側に、ヤマトゥ風の家々が建ち並び、大通りの正面に堀と土塁に囲まれたキクチ殿の屋敷があった。立派な櫓門(やぐらもん)があって、櫓の上に武装した兵がいた。
 クマラパの案内で、大通りを左に曲がって、しばらく行くと、ミャークの宿舎である『宮古館』があった。それほど高くない石垣に囲まれた『宮古館』を管理していたのは、池間島(いきゃまじま)のウプンマの妹のツカサだった。
 どうして、池間島のツカサがいるのか不思議だったが、『宮古館』の中にウパルズ様のウタキがあるという。ウタキを造ったのは多良間島(たらまじま)のボウで、ボウが来なくなってから、池間島のウプンマの妹がターカウに来て、ずっとここで暮らしていた。
 ササたちはツカサの案内で、ウタキに行った。ウタキの手前に石の祠があった。
「男はウタキに入れんので、ここで無事の航海のお礼を言うんじゃよ」とクマラパが言った。
 こんもりとした森の中のウタキは池間島のナナムイウタキを小さくしたようなウタキだった。
多良間島の女按司(みどぅんあず)(ボウ)がこのウタキを造ったのですか」とササはツカサに聞いた。
「ナナムイウタキに似ている森を見つけた多良間島の女按司が、そのそばに、ミャークの宿舎を建てたようです。その頃はこんなにも家が建っていなくて、この辺りは樹木が生い茂っていたようです」
 ウパルズ様はいないだろうと思ったが、ササたちは無事の航海のお礼を言った。
「遠い所からよく来てくれたわね」と神様の声が聞こえたのでササは驚いた。
 でも、ウパルズ様の声ではないようだった。
「三代目のウパルズよ。多良間島のボウがターカウに連れて来たのよ」とユンヌ姫の声が聞こえた。
「あたしの従姉(いとこ)なの。こんな所で会えるなんて驚いたわ」と赤名姫(あかなひめ)が言った。
池間島には祖母と母がいて、わたしの居場所はないのよ。それで、ここに来たの。ボウには感謝しているわ」
 ササはターカウに来るミャークの人たちをお守り下さいと言って、三代目ウパルズ様と別れた。三代目ウパルズ様は、ユンヌ姫様たちを連れてきてくれてありがとうとササたちにお礼を言った。
 『宮古館』に入って一休みしていると、平久保太郎が来て、キクチ殿の船はまだ着いていないと言った。ササ、安須森ヌル、シンシン、ナナ、クマラパとタマミガ、ミッチェとサユイ、愛洲次郎、寺田源三郎、河合孫次郎が平久保太郎と一緒に、キクチ殿の屋敷に向かった。
 櫓門を抜けると広い庭があって、両側に大きな建物があり、正面の小高い丘の上にキクチ殿の屋敷があった。石段を登って行くと、キクチ殿が出迎えてくれた。
「お師匠、お久し振りです」とキクチ殿はクマラパに挨拶をした。
 五十年配の貫禄のある武将だった。二代目なので、何の苦労もなく育ったのだろうとササは思っていたが、右頬にある古い刀傷は危険な目に遭ってきた事を物語っていた。倭寇のお頭を継ぐために、それなりの苦労を積んできたのかもしれなかった。
「イシャナギ島(石垣島)の女武者も御一緒か」とミッチェとサユイを見て、キクチ殿は笑った。
 クマラバがササたちと愛洲次郎たちを紹介した。
琉球の王様の娘がターカウに来るとは驚いた。それに、愛洲隼人(あいすはやと)殿の孫が来るとは、親父が生きていたら、さぞ、喜んだ事じゃろう」
 ササたちはキクチ殿に歓迎されて、会所(かいしょ)でお茶を御馳走になった。
琉球のお姫様方が何の用でターカウに来たのですかな」とキクチ殿は静かな声で聞いた。
「わたしたちはミャークに来るまで、ターカウの存在は知りませんでした。南朝で活躍したキクチ殿という武将が造った国で、大層栄えていると聞いて、どんな所なのか見てみたくなったのです」と安須森ヌルが答えた。
「まだ、国とは言えんが」と言って、キクチ殿は微かに笑った。
「来て見て、どうじゃな?」
「高い土塁に囲まれたお城には驚きました。誰かが攻めて来たのでしょうか」
「そうではない。ミャークで暴れた佐田又太郎のせいなんじゃよ。奴はミャークに行くと言ってターカウから出て行ったが、その後、挨拶にも来ないで薄情な奴だと思っていたんじゃよ。何年かして、わしはミャークに行ったんじゃ。その時、初めて、又五郎がミャークの者たちを無残に殺して、挙げ句の果てには退治された事を知ったんじゃ。その事を親父に話したら、第二、第三の又五郎が現れるに違いないと言って、城下の町を囲む土塁を築き始めたんじゃよ。その後も、誰かが攻めて来る事はないが、最近になって、少し危険な状況になってきてはいる。一番勢力を持っていた海賊のリンジョンシェン(林正賢)が明国の官軍にやられたからのう。ここにも攻めて来るかもしれん」
「ヂャン(張)三姉妹を御存じですね?」とササが聞いた。
「ああ。メイユーはターカウに何度も来ていたからな。今は琉球に行っているらしいな。トンド(マニラ)の王様の娘が来ているんじゃが、その娘もヂャンというんじゃよ。わしが親戚かと聞いたら違うと言った。明国にはヂャンという姓を名乗る者が多いようじゃ」
「トンドのお姫様が来ているのですか」
「明日、帰るというので、今晩、送別の宴(うたげ)をやる予定なんじゃが、そなたたちの歓迎の宴も兼ねて盛大にやろう」
「トンドのお姫様は、唐人(とうじん)たちの町にいるのですね?」
「そうじゃが、残念ながら、そなたたちのように日本の言葉はしゃべれん。琉球では日本の言葉をしゃべっているのかね?」」
琉球にも琉球の言葉があります。日本の言葉は通じません。わたしたちは何度も日本に行っているので、しゃべれるのです」
「なに、そなたたちは日本にも行っているのか」とキクチ殿は驚いた。
「そういえば、琉球の船が毎年、日本に行っていると聞いたが、その船に乗って行ったのか」
「そうです」
将軍様のお屋敷に滞在している琉球のお姫様がいると聞いたが、もしかして、そなたたちの事か」
 ササはうなづいた。
将軍様にも会った事があるのか」
 ササはうなづいた。
 キクチ殿は楽しそうに笑った。
「大した女子(おなご)じゃのう。将軍様に会ったとはのう」
 キクチ殿は一人一人に声を掛けて話を聞いた。シンシンが明国人だと知って驚き、ナナが早田(そうだ)次郎左衛門の娘だと聞いて驚いた。キクチ殿は早田次郎左衛門を知っていて、一緒に高麗(こうらい)を攻めた事もあったと言った。
「早田次郎左衛門殿は勇敢で人望のある武将じゃった。惜しい事に、その何年か後に高麗で戦死してしまったんじゃよ」
 父を知っている人がターカウにいた事に、ナナは感激して涙ぐんでいた。
 ジルーたちを見たキクチ殿は、
「残念ながら、わしは愛洲隼人殿を知らんのじゃ」と言った。
「わしがターカウに来たのは十歳の時じゃった。親父が愛洲隼人殿と一緒に活躍していたのは、それ以前の事じゃ。子供の頃、会っているかもしれんが覚えておらんのじゃよ」
「祖父の事はドゥナンの南遊斎(なんゆうさい)殿から色々と伺いました」とジルーは言った。
 キクチ殿はうなづいた。
「当時、活躍していた者たちは皆、亡くなってしまった。愛洲隼人殿の事を覚えているのは南遊斎だけかもしれんのう」
 今晩、歓迎の宴で会おうと言って、キクチ殿は引き上げて行った。
 ササたちはキクチ殿の屋敷から出て、宮古館に戻った。まだ、日暮れまで間があるので、ササが熊野権現まで行こうとしたら、三人の娘が訪ねて来た。見るからに唐人だった。トンドの王女かなと思っていると、
「ササ?」と唐人の娘がササに聞いた。
 ササはうなづいたが、唐人の言葉はわからなかった。シンシンに通訳してもらうと、娘はやはり、トンドの王女で、名前はヂャンアンアン(張安安)と言った。シーハイイェン、スヒター、メイユーからササの事は聞いていて、琉球の王様の娘が来たと聞いたので、ササかもしれないとやって来たという。
 ササだとシンシンが言うとアンアンは大喜びして、ササの手を取った。年齢はササと同じ位だった。一緒にいるのはユーチー(羽琦)とシャオユン(小芸)で、アンアンの友達で護衛も兼ねていた。二人とも弓矢が得意と見えて、弓矢を背負っていた。
 ササはシンシンの通訳でトンドの事を聞いた。話を聞いて、トンドに行きたくなったと言うと、アンアンは一緒に行きましょうと言った。明日、帰るのでしょうと言ったら、二、三日、延期してもいいと言うので、ササは一緒に行こうと決めた。安須森ヌルに言ったら、ここにはアマミキヨ様の痕跡はなさそうだし、一通り見物したらトンドに行きましょうとうなづいた。
 アンアンたちと一緒にキクチ殿の屋敷に行って、歓迎の宴に参加した。アンアンがキクチ殿に船出を延期すると言ったら、送別の宴はまた改めてやろうと言ったらしい。
 平久保太郎が持って来た牛肉が出てきてササたちは喜んだ。肉を食べるのは久し振りだった。明国の酒も出てきて、クマラパが喜んだ。着飾った遊女たちも出てきて、船乗りたちが喜んだ。船乗りたちは半数が船に残って船を守り、半数の者たちが宴に参加していた。
 キクチ殿の娘のカオルに、
「遊女たちは日本から連れて来たの?」とササが聞いたら、
倭寇が連れて来た朝鮮(チョソン)や明国の娘たちです」と言った。
 カオルはターカウに来たメイユーに憧れて武芸に励み、女海賊になると言ってお嫁には行っていなかった。ササより一つ年下だった。メイユーから武芸を習ったのと聞いたら、メイユーは日本の言葉がわからないので、話をした事もないという。そういえば、メイユーはヤマトゥ言葉を知らなかった。何度もターカウに来ていても、ヤマトゥ言葉を話そうとは思わなかったのだろうか、不思議だった。
「今でも、倭寇に連れ去られた人たちがターカウに来るの?」
熊野権現様の前の広場で市場が開かれて、売り買いされるのです」
「えっ、人を売り買いするの?」
「そうです。力持ちや何か特技を持っている人は高く売れます。器量のいい娘は市場に出る前に遊女屋に高く買い取られます」
「誰がそんな人を買うの?」
「トンドの人たちも買うし、明国の海賊たちも買います。お城を造った時の人足たちもそんな人たちだったのですよ」
「売れ残った人たちもいるんでしょ。そういう人はどうなるの?」
「売れ残った人たちは日本に連れて行かれて、朝鮮と交易している武将に売るのです。そういう人たちを朝鮮に連れて行くと喜ばれるらしいわ」
「明国の人も朝鮮に連れて行くの?」
「そうらしいわ。朝鮮の王様が倭寇に連れ去られた人たちを取り戻したと言って、明国に連れて行くみたい。明国の皇帝の御機嫌取りの道具になるのよ」
 よその国から人をさらって来て、売り飛ばすなんて考えられない事だった。そんな事が平然と行なわれているここは、やはり、倭寇の町だった。ここで育った子供たちは人身売買を当然の事と思ってしまう。恐ろしい事だった。
 翌日、ササたちはカオルと一緒に熊野権現に行った。宮古館の近くに西門があって、そこから大通りが唐人の町まで続いていた。その中程に広場があった。広場の周りは市場になっていて、野菜や魚などの食糧を始め、古着や髪飾りなどの装飾品、刀や鎧(よろい)なども売られていた。ヤマトゥンチュや唐人、古くから住んでいる島人の女たちが買い物をしていた。ここでも、明国の銅銭が流通していた。
 広場の南側に鳥居があって、その奥に熊野権現があった。
「まさか、ここに戻って来るとは思ってもいなかった」とガンジューが言った。
「日本からの船賃はどうしたの?」とナナがガンジューに聞いた。
「船賃は掛からなかったんですよ」とガンジューは笑った。
「名前を名乗っただけで、乗せてくれたんです。どうも話がうますぎると思ったのですが、ターカウに着いてわかりました。わしは寛照坊(かんしょうぼう)という山伏と間違われたのです。寛照坊が来るはずだったのに、わしが来てしまったというわけです。わしは寛照坊の代わりに熊野権現で働いていたのです。一年後、寛照坊がやって来て、わしは開放されて、イシャナギ島に行ったというわけです」
 境内(けいだい)は広く、正面に熊野権現の本殿があり、その裏には僧坊もあった。
「ここができた当初、十人の山伏がいたようですが、今は寛照坊一人しかいません」とガンジューが言った。
「えっ、一人しかいないの?」と安須森ヌルが驚いた。
「前にいた人はどうしたの?」
「わしが来たので、その年の夏に、さっさと帰ってしまいましたよ。妙厳坊(みょうげんぽう)という山伏で、二十年もこの島にいたそうです。ここの熊野権現様は那智の尊勝院(そんしょういん)の山伏が勧請(かんじょう)したそうです。この島には修行に適した険しい山々もあって、信者を増やそうと張り切っていたようですが、ある日、一人の山伏が首狩り族にやられたようです。その後は恐れて山に入る事もなく、一人が去り、二人が去って、妙厳坊が一人取り残されたのです。妙厳坊は真面目な男で、身代わりが来るまで、じっと待っていたのです。わしの顔を見た途端に、涙を流して喜びましたよ。わしが人違いだった事なんて、妙厳坊にとってはどうでもよかったのです」
「今、いる山伏は自ら進んでやって来たの?」
「寛照坊も本当の事は言いませんが、何となく、何か失敗をしでかして、ほとぼりが冷めるまで隠れているような気がします」
 本殿の右側に八幡神社があって、左側に阿蘇姫神社があった。阿蘇姫神社の隣りに庵があって、カオルの祖母、五峰尼(ごほうに)はそこにいるという。
 ササたちは熊野権現阿蘇姫神社、八幡神社にお参りしてから五峰尼を訪ねた。狭い庵の中には誰もいなかった。
「きっと草むしりよ」とカオルが言って、辺りを見回してから阿蘇姫神社の裏に回ると五峰尼がいた。野良着姿の品のいい顔立ちをした白髪の老婆だった。
「お婆ちゃん、琉球からお客さんが来たわ」とカオルが言うと、
琉球?」と怪訝(けげん)な顔をしてササたちを見て、「女海賊かい?」と聞いた。
「何を言っているの。琉球の王様の娘さん。お姫様よ」
「ほう」と五峰尼は目を丸くして、
琉球のお姫様は威勢がいいのう」と笑った。
 若ヌルたちは玻名グスクヌルと一緒に市場に行かせて、ササ、安須森ヌル、シンシン、ナナは五峰尼から阿蘇津姫の事を聞いた。ガンジューはミッチェと一緒に寛照坊に挨拶に行った。
阿蘇津姫様はとても古い神様です。遙か昔に南の国から九州にやって来て、人々をまとめて首長になったようです」と五峰尼は言った。
「ヤマトゥの国の女王になったヒミコとどっちが古いのですか」とササは聞いた。
阿蘇津姫様の方が卑弥呼(ひみこ)様よりもずっと古いと思います。阿蘇津姫様は阿蘇氏の御先祖様ですが、菊地氏も御先祖様だと思っております」
「南の国というのはどこだかわかりますか」
 五峰尼は首を振った。
「どこから来たのかはわかりません。文字がなかった頃の大昔の事ですから、今となってはわからないでしょう。兵庫の武庫山(むこやま)(六甲山)に祀られている武庫津姫(むこつひめ)様、伊勢の神宮ができる前に、伊勢に祀られていた伊勢津姫様、熊野の那智の滝に祀られている瀬織津姫(せおりつひめ)様、皆、同じ神様で阿蘇津姫様の事です」
那智の滝の神様は瀬織津姫様というのですか」
「瀬織というのは滝の事です。津は『の』を意味していて、瀬織津姫というのは滝のお姫様という意味です」
阿蘇のお姫様、武庫のお姫様、伊勢のお姫様、那智の滝のお姫様は、皆、同じ、南から来たお姫様なのですね?」
「そうです。阿蘇にいた時は阿蘇津姫様、武庫にいた時は武庫津姫様です。多分、伊勢で亡くなったのだと思います」
 ササは伊勢の内宮(ないくう)に封じ込められた龍神(りゅうじん)様を思い出した。
「マシュー姉(ねえ)、伊勢の神宮に行った時、内宮の龍神様が琉球と関係あるかもしれないって言ったわよね」
「あの時、そう感じたのよ」と安須森ヌルは言った。
那智には二度も行ったのに、そんな神様がいたなんて、全然、知らなかったわ」とササが言うと、
「凄い滝だと思っただけで、何も感じなかったわ」と安須森ヌルも言った。
「あなたたち、伊勢や那智にも行ったの?」と五峰尼は驚いていた。
 ササは五峰尼にうなづいて、「豊玉姫(とよたまひめ)様なら知っているかしら?」と安須森ヌルに言った。
「知っているかもしれないけど、琉球に帰ってからじゃないと聞けないわね」
「あたしが聞いてくるわ」とユンヌ姫の声がした。
「ユンヌ姫様は阿蘇津姫様の事を知っていたの?」とササは聞いた。
「初めて聞いたわ。でも、南の島から来たお姫様なら、アマミキヨ様の子孫かもしれないわよ。ミントゥングスクから垣花(かきぬはな)に移った頃、誰かがヤマトゥに行ったはずよ。きっと、最初にヤマトゥに行ったのが、阿蘇津姫様に違いないわ。お祖母(ばあ)様に聞いてくるわ」
「その必要はない」と声が聞こえた。
 ササと安須森ヌルは驚いて顔を見合わせた。
スサノオ様なの?」とササが聞いた。
「お祖父(じい)様、どうして、ここにいるの?」とユンヌ姫も驚いていた。
「ヤキー(マラリア)退治がやりっ放しだったからのう。うまく行ったのか様子を見に来たんじゃ。どうやら、うまく行ったようじゃ。お前たちがドゥナン(与那国島)に行ったと聞いてドゥナンに行ったら、ターカウに行ったと聞いたんで、船を追ってきたんじゃよ。こんな所にも熊野権現があるとは驚いた」
スサノオ様は阿蘇津姫様を御存じなのですか」
「わしらの御先祖様じゃよ。対馬の船越にアマテル神社があるじゃろう。南の国から来た阿蘇津姫様は対馬でアマテル様と結ばれたようじゃ」
「えっ、アマテル様はスサノオ様ではなかったのですか」
「アマテル様はわしよりもずっと昔の神様じゃょ。わしがあの地に砦を造った時に、守り神として祀ったんじゃよ。太陽の神様としてあちこちに祀られていたんじゃが、姿を消してしまったんじゃ。わしの娘がアマテラスになったので、変えられてしまったのじゃろう。阿蘇津姫様は月と星の神様から海の神様になって、さらに、水の神様になって、あちこちの滝や川に祀られている。那智の滝阿蘇津姫様がいたかどうかはわからんが、阿蘇山、武庫山、伊勢にいた事は確かじゃろう。特に伊勢は阿蘇津姫様の終焉の地に違いない。わしは阿蘇津姫様のお墓と思われる宇治の地を孫のホアカリに守らせ、山田にある月読の宮をトヨウケヒメに守らせたんじゃよ」
阿蘇津姫様は琉球からヤマトゥに行ったのですか」
 ササは期待して聞いたが、
「そいつはわからんのう」とスサノオは言った。
阿蘇津姫に会う手立てはありますか」と安須森ヌルがスサノオに聞いた。
「そうじゃのう。阿蘇津姫様も勾玉(まがたま)を持っていたはずだが、その勾玉がどこにあるのかわからん。勾玉を見つければ会えるかもしれんな」
「そんな昔の勾玉を見つけるなんて無理です」とササは言った。
 スサノオは笑って、
「無理な事をするのが好きなんじゃろう。探してみる事じゃ。案外、琉球にあるかもしれんぞ」
「あるとすれば、玉グスクか垣花ね」とシンシンが言った。
 スサノオが帰ると言ったので、ササは一緒にトンドに行きましょうと誘った。
「トンドにも熊野権現があるのかね」
 ササがカオルに聞いたら、トンドにもあると言った。
「それなら行ってみるか」とスサノオは言って。ユンヌ姫たちを連れて島内の見物に出掛けた。
「すっかり元気になってよかったわね」とナナが言った。
「あなたたちは神様とお話ができるのね?」と五峰尼がササたちに聞いた。
 ササたちはうなづいた。
「昔は阿蘇の巫女(みこ)たちも神様とお話ができたんだけど、今はそんな巫女はいなくなってしまったわね」
阿蘇弥太郎様という人を御存じですか」とナナが聞いた。
阿蘇弥太郎?」
「武芸者です。慈恩禅師(じおんぜんじ)様の弟子です」
 五峰尼は考えていたが首を振って、
「わからないわ」と言った。
阿蘇家は古いから分家も多いのよ。その弥太郎という人がどうかしたの?」
「今、琉球にいます。二十年も前に琉球に来たようです」
「そう。琉球阿蘇の一族がいたなんて驚きね」
 ササたちは五峰尼と別れて、ガンジューとミッチェを呼び、市場にいる若ヌルたちを連れて、アンアンたちが待っている唐人の町に向かった。

 

 

 

増補版 図説 台湾の歴史

目次 第二部

尚巴志伝 第二部

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このイラストはは和々様よりお借りしました。



  1. 山田のウニウシ(第二稿)   護佐丸、尚巴志を頼って首里に行く。
  2. 胸のときめき(第二稿)   護佐丸、島添大里で恋をする。
  3. 恋の季節(第二稿)   サグルーとササ、山田で魂を抜かれる。
  4. キラマの休日(第二稿)   尚巴志夫婦、毎年恒例の旅で慶良間の島に行く。
  5. ナーサの遊女屋(第二稿)   中山王の家臣たちの懇親の宴。
  6. 宇座の古酒(第二稿)   尚巴志、宇座の御隠居の倅と古酒を飲む。
  7. 首里の初春(第三稿)  中山王となった思紹の初めての正月。
  8. 遙かなる船路(第二稿)  尚巴志、ウニタキ、懐機、明国に行く。
  9. 泉州の来遠駅(第二稿)   明国に着いた尚巴志たちは来遠駅に落ち着く。
  10. 麗しき三姉妹(第二稿)   尚巴志たち、福州に行きメイファンと再会する。
  11. 裏切り者の末路(第二稿)   尚巴志たち、メイファンの敵討ちを助ける。
  12. 島影に隠れた海賊船(第二稿)   尚巴志たち、明の海賊船に乗る。
  13. 首里のお祭り(第二稿)   護佐丸、ササたちと祭りの警備をする。
  14. 富楽院の桃の花(第二稿)   尚巴志たち、明国の都、応天府に着く。
  15. 応天府の夢に酔う(第二稿)   尚巴志たち、最高級の妓楼で夢を見る。
  16. 真武神の奇跡(第二稿)   討伐軍を破って皇帝になった永楽帝
  17. 武当山の仙人(第二稿)   尚巴志たち、武当山で張三豊と出会う。
  18. 霞と拳とシンシンと(第二稿)   尚巴志とウニタキ、張三豊に武術を習う。
  19. 刺客の背景(第二稿)   馬天ノロ、刺客の正体を探る。
  20. 龍虎山の天師(第二稿)   尚巴志たち、道教の本山、龍虎山に行く。
  21. 西湖のほとりの幽霊屋敷(第二稿)   尚巴志たち、三姉妹と再会する。
  22. 清ら海、清ら島(第二稿)  三姉妹と張三豊が琉球に来る。
  23. 今帰仁の天使館(第二稿)   旅に出た張三豊たちが帰って来る。
  24. 山北王の祝宴(第二稿)   攀安知、志慶真の長老から今帰仁の歴史を聴く。
  25. 三つの御婚礼(第二稿)   サグルー、尚忠、護佐丸、妻を迎える。
  26. マチルギの御褒美(第二稿)   尚巴志、妻のマチルギにしぼられる。
  27. 廃墟と化した二百年の都(第二稿)   尚巴志、ウニタキと浦添に行く。
  28. 久高島参詣(第二稿)  思紹王、女たちを連れて久高島へ行く。
  29. 丸太引きとハーリー(第二稿)   尚巴志、豊見グスクでハーリーを見る。
  30. 浜辺の酒盛り(第二稿)   尚巴志、ヤマトゥに行くマチルギたちを見送る。
  31. 女たちの船出(第二稿)   マチルギたち、長い船旅を楽しみ博多に着く。
  32. 落雷(第二稿)   尚巴志、雷鳴を聞きながらマジムン退治を思い出す。
  33. 女の闘い(第二稿)   三姉妹の船が来て、メイユーとナツが会う。
  34. 対馬の海(第二稿)   マチルギ、対馬島でイトとユキに会う。
  35. 龍の爪(第二稿)   尚巴志、ウニタキ、懐機、朝鮮旅の計画を練る。
  36. 笛の調べ(第二稿)   久し振りに佐敷グスクから笛の音が流れる。
  37. 初孫誕生(第二稿)   尚忠の長男、尚志達、生まれる。
  38. マチルギの帰還(第二稿)   女たちがヤマトゥから無事に帰国する。
  39. 娘からの贈り物(第二稿)   尚巴志、マチルギから旅の話を聞く。
  40. ササの強敵(第二稿)   馬天ノロ、日代(ティーダシル)の石を探し始める。
  41. 眠りから覚めたガーラダマ(第二稿)   ササ、読谷山で古い勾玉を見つける。
  42. 兄弟弟子(第二稿)   尚巴志、兼グスク按司武当拳の試合をする。
  43. 表舞台に出たサグルー(第二稿)   サグルー、尚巴志の代理を見事に務める。
  44. 中山王の龍舟(第二稿)   ウニタキの新しい隠れ家が完成する。
  45. 佐敷のお祭り(第二稿)   尚巴志の一節切と佐敷ヌルの横笛に大喝采
  46. 博多の呑碧楼(第二稿)   朝鮮旅に出た尚巴志たち、博多に着く。
  47. 瀬戸内の水軍(第二稿)   尚巴志村上水軍と塩飽水軍の頭領と会う。
  48. 七重の塔と祇園祭り(第二稿)   尚巴志たち、京都に着く。
  49. 幽玄なる天女の舞(第二稿)   尚巴志が一節切を吹くと美女が舞う。
  50. 天空の邂逅(第二稿)   尚巴志たち、七重の塔に登って感激する。
  51. 鞍馬山(第二稿)   尚巴志たち、鞍馬山で武術修行。
  52. 唐人行列(第二稿)   尚巴志、増阿弥の芸に感動する。
  53. 対馬の娘(第二稿)   尚巴志、イトと再会、ユキとミナミに会う。
  54. 無人島とアワビ(第二稿)   尚巴志、昔の顔なじみと再会する。
  55. 富山浦の遊女屋(第二稿)   尚巴志たち、富山浦(釜山)に渡る。
  56. 渋川道鎮と宗讃岐守(第二稿)   尚巴志九州探題対馬守護に会う。
  57. 漢城府(第二稿)   尚巴志たち、朝鮮の都に到着する。
  58. サダンのヘグム(第二稿)   尚巴志たち、ナナの案内で都見物。
  59. 開京の将軍(第二稿)   尚巴志たち、高麗の都に行く。
  60. 李芸とアガシ(第二稿)   尚巴志、李芸と会う。
  61. 英祖の宝刀(第二稿)   佐敷ノロ、神様の声を聞いて宝刀を探す。
  62. 具志頭按司(第二稿)   佐敷ノロ、お祭りでお芝居を上演する。
  63. 対馬慕情(第二稿)   尚巴志、家族を連れて舟旅に出る。
  64. 旧港から来た娘(第二稿)   尚巴志、旧港の施二姐と会う。
  65. 龍天閣(第二稿)  尚巴志、旧港の船を連れて琉球に帰る。
  66. 雲に隠れた初日の出(第二稿)   尚巴志、上間グスクの警固を強化する。
  67. 勝連の呪い(第二稿)   尚巴志の義兄サムが勝連按司になる。
  68. 思紹の旅立ち(第二稿)   思紹、張三豊と一緒に明国に行く。
  69. 座ったままの王様(第二稿)   佐敷大親とジクー禅師、ヤマトゥに行く。
  70. 二人の官生(第二稿)   尚巴志、明国に送る留学生を決める。
  71. ンマムイが行く(第二稿)   兼グスク按司、家族を連れて今帰仁に行く。
  72. ヤンバルの夏(第二稿)   兼グスク按司、家族を連れてヤンバルを巡る。
  73. 奥間の出会い(第二稿)   兼グスク按司、奥間で隠し事を聞いて驚く。
  74. 刺客の襲撃(第二稿)   兼グスク按司、ヤンバルの山中で襲われる。
  75. 三か月の側室(第二稿)   メイユー、尚巴志の側室になる。
  76. 百浦添御殿の唐破風(第二稿)   首里グスク正殿の改築が完成する。
  77. 武当山の奇跡(第二稿)   思紹、武当山で張三豊の凄さを知る。
  78. イハチの縁談(第二稿)   米須按司と玻名グスク按司が東方に寝返る。
  79. 山南王と山北王の同盟(第二稿)   山北王の娘が山南王の三男に嫁いで来る。
  80. ササと御台所様(第二稿)   ササ、伊勢神宮で神様の声を聞く。
  81. 玉依姫(第二稿)   ササ、豊玉姫のお墓で玉依姫の声を聞く。
  82. 伊平屋島と伊是名島(第二稿)   伊平屋島の親戚たちが逃げてくる。
  83. 伊平屋島のグスク(第二稿)   サグルーと尚忠と護佐丸、伊平屋島に行く。
  84. 豊玉姫(第二稿)   ヒューガの師匠、慈恩禅師が琉球に来る。
  85. 五年目の春(第二稿)   尚巴志、龍天閣で今年の計画を練る。
  86. 久高島の大里ヌル(第二稿)   ササ、神様から願い事を頼まれる。
  87. サグルーの長男誕生(第二稿)   兼グスク按司の新しいグスクが完成する。
  88. 与論島(第二稿)   ウニタキ、与論島に行き、与論ヌルと再会する。
  89. ユンヌのお祭り(第二稿)   尚巴志、ササたちと与論島に行く。
  90. 伊是名島攻防戦(第二稿)   伊是名島で中山王と山北王の戦が始まる。
  91. 三王同盟(第二稿)   中山王と山北王の同盟が決まり、山南王も加わる。
  92. ハルが来た(第二稿)   山南王から尚巴志に側室が贈られる。
  93. 鉄炮(第二稿)   三姉妹がアラビアの商品と鉄炮を持って来る。
  94. 熊野へ(第二稿)   ササ、将軍様の奥方と一緒に熊野詣でに出掛ける。
  95. 新宮の十郎(第二稿)   サスカサ、神倉山で十郎の話を聞く。
  96. 奄美大島のクユー一族(第二稿)   本部のテーラー奄美大島を攻める。
  97. 大聖寺(第二稿)   首里に最初のお寺が完成する。
  98. ジャワの船(第二稿)   ヤマトゥに行った交易船がジャワの船を連れて来る。
  99. ミナミの海(第二稿)   早田左衛門太郎が、イトとユキとミナミを連れて来る。
  100. 華麗なる御婚礼(第二稿)   チューマチ、山北王の娘マナビーを妻に迎える。
  101. 悲しみの連鎖(第二稿)   玉グスク按司から始まって、続けて五人が亡くなる。
  102. 安須森(第二稿)   佐敷ノロ、ササたちを連れて安須森に行く。
  103. 送別の宴(第二稿)   尚巴志、早田左衛門太郎たちを連れて慶良間の島に行く。
  104. アキシノ(第二稿)   ヤマトゥ旅に出た佐敷ノロとササたち、厳島神社に行く。
  105. 小松の中将(第二稿)   大原寂光院で高橋殿が平維盛と華麗に舞う。
  106. ヤンバルのウタキ巡り(第二稿)   馬天ノロたち、今帰仁に行く。
  107. 屋嘉比のお婆(第二稿)   馬天ノロ、安須森で神様にお礼を言われる。
  108. 舜天(第二稿)   馬天ノロ浦添ノロを連れて喜舎場森に行く。
  109. ヌルたちのお祈り(第二稿)   馬天ノロたち、南部のウタキを巡る。
  110. 鳥居禅尼(第二稿)   佐敷ノロ、熊野で平維盛の足跡をたどる。
  111. 寝返った海賊(第二稿)   三姉妹が来て、大きな台風も来る。
  112. 十五夜(第二稿)   サスカサ、島添大里グスクで中秋の名月を祝う。
  113. 親父の悪夢(第二稿)   山南王、悪夢にうなされて、出陣を決意する。
  114. 報恩寺(第二稿)   ヤマトゥの交易船が旧港の船を連れて帰国する。
  115. マツとトラ(第二稿)   尚巴志対馬の旧友を連れて首里に行く。
  116. 念仏踊り(第二稿)   辰阿弥が首里のお祭りで念仏踊りを踊る。
  117. スサノオ(第二稿)   懐機の娘が佐敷大親の長男に嫁ぐ。
  118. マグルーの恋(第二稿)   ヤマトゥ旅に出たマグルーを待っている娘。
  119. 桜井宮(第二稿)   馬天ノロ、各地のノロたちを連れて安須森に行く。
  120. 鬼界島(第二稿)   山北王の弟、湧川大主、喜界島を攻める。
  121. 盂蘭盆会(第二稿)   三姉妹、パレンバン、ジャワの船が琉球にやって来る。
  122. チヌムイ(第二稿)   山南王、汪応祖、死す。
  123. タブチの決意(第二稿)   弟の死を知ったタブチは隠居する。
  124. 察度の御神刀(第二稿)   タブチ、山南王になる。
  125. 五人の御隠居(第二稿)   汪応祖の死を知った思紹、戦評定を開く。
  126. タブチとタルムイ(第二稿)   八重瀬グスクで戦が始まる。
  127. 王妃の思惑(第二稿)   汪応祖の葬儀のあと、戦が再開する。
  128. 照屋大親(第二稿)   山南王の進貢船が帰って来る。
  129. タブチの反撃(第二稿)   タブチ、豊見グスクを攻める。
  130. 喜屋武グスク(第二稿)   尚巴志、チヌムイとミカに会う。
  131. エータルーの決断(第二稿)   タブチの長男、けじめをつける。
  132. 二人の山南王(第二稿)   島尻大里グスク、他魯毎軍に包囲される。
  133. 裏の裏(第二稿)   尚巴志、具志頭グスクを開城させる。
  134. 玻名グスク(第二稿)   尚巴志、玻名グスクを攻める。
  135. 忘れ去られた聖地(第二稿)   尚巴志とササ、古いウタキを巡る。
  136. 小渡ヌル(第二稿)   尚巴志、小渡ヌルと出会う。
  137. 山南志(第二稿)   宅間之子、山南の歴史書「山南志」を完成させる。
  138. ササと若ヌル(第二稿)   ササ、4人の若ヌルの師匠になる。
  139. 山北王の出陣(第二稿)   中山王と山北王が山南王の戦に介入する。
  140. 愛洲のジルー(第二稿)   ササのマレビト神が馬天浜にやって来る。
  141. 落城(第二稿)   護佐丸、玻名グスク攻めで活躍する。
  142. 米須の若按司(第二稿)   島添大里のお祭りの後、尚巴志は米須に行く。
  143. 山グスク(第二稿)   米須グスクを落とした尚巴志、山グスクに行く。
  144. 無残、島尻大里(第二稿)   他魯毎、島尻大里グスクに総攻撃を掛ける。
  145. 他魯毎(第二稿)   他魯毎、山南王に就任する。
  146. 若按司の死(第二稿)   ササ、宮古島の事を調べる。
  147. 久高ヌル(第二稿)   一月遅れの久高島参詣。
  148. 山北王が惚れたヌル(第二稿)   攀安知、古宇利島に行く。
  149. シヌクシヌル(第二稿)   ササ、斎場御嶽で運玉森ヌルに就任する。
  150. 慈恩寺(第二稿)   武術道場の慈恩寺が完成する。
  151. 久米島(第二稿)   尚巴志、ウニタキ、懐機、久米島に行く。
  152. クイシヌ(第二稿)   尚巴志、ニシタキ山頂で一節切を吹く。
  153. 神懸り(第二稿)   玻名グスクヌル、安須森で神懸りする。
  154. 武装船(第二稿)   ウニタキ、山北王の軍師と酒を飲む。
  155. 大里ヌルの十五夜(第二稿)   久高島大里ヌル、島添大里グスクに来る。
  156. 南の島を探しに(第二稿)   ササと安須森ヌル、愛洲次郎の船で宮古島に行く。
  157. ミャーク(第二稿)   ササたち、与那覇勢頭と目黒盛豊見親と会う。
  158. 漲水のウプンマ(第二稿)   ササたち、漲水のウプンマと一緒に狩俣に戻る。
  159. 池間島のウパルズ様(第二稿)   クマラパ、ウバルズ様に怒られる。
  160. 上比屋のムマニャーズ(第二稿)   ササたち、平家の子孫と会う。
  161. 保良のマムヤ(第二稿)   ササと安須森ヌル、アラウスの古いウタキに入る。
  162. 伊良部島のトゥム(第二稿)   高腰グスクの熊野権現で神様たちと酒盛り。
  163. スタタンのボウ(第二稿)   ササたち、来間島に寄って多良間島に行く。
  164. 平久保按司(第二稿)   アホウドリに歓迎されたササたち、平久保按司と会う。
  165. ウムトゥ姫とマッサビ(第二稿)   ササたち、ノーラ姫とウムトゥ姫に会う。
  166. 神々の饗宴(第二稿)   於茂登岳の山頂で、神様たちと酒盛り。
  167. 化身(第二稿)   名蔵の白石御嶽と水瀬御嶽で神様と会う。
  168. ヤキー退治(第二稿)   ササたち屋良部岳に登り、山頂で雷雨に遭う。
  169. タキドゥン島(第二稿)   タキドゥンの話を聞いて驚くササたち。
  170. ユーツンの滝(第二稿)   クンダギに登って、イリウムトゥ姫と会う。
  171. ドゥナン島(第一稿)   ササたち、クン島からドゥナン島へ向かう。
  172. ユウナ姫(第一稿)   ウラブダギに登ったササたち、ドゥナン島の村を巡る。
  173. 苗代大親の肩の荷(第一稿)   尚巴志、苗代大親の隠し事を知って笑う。
  174. さらばヂャンサンフォン(第一稿)   会同館で三姉妹たちの送別の宴が開催。
  175. トゥイの旅立ち(第一稿)   前山南王妃、ナーサと一緒に奥間に行く。
  176. 今帰仁での再会(第一稿)   前山南王妃、今帰仁に行って姪と会う。
  177. アミーの娘(第一稿)   尚巴志、ウニタキからトゥイの事を聞く。
  178. 婿入り川(第一稿)   山北王の若按司が山南王の婿になる。
  179. クブラ村の南遊斎(第一稿)   ササたち、ダンヌ村からクブラ村に行く。
  180. 仕合わせ(第一稿)   ササと愛洲次郎、二人だけの時を過ごす。
  181. ターカウ(第一稿)   ササたち、黒潮を越えて台湾に行く。



主要登場人物

 

第一部 目次

目次 第一部

尚巴志伝 第一部 月代の石

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このイラストはは和々様よりお借りしました。

 

  1. 誕生(最終決定稿)   尚巴志、佐敷苗代に生まれる。
  2. 馬天浜(最終決定稿)   サミガー大主とヤマトゥの山伏、クマヌ。
  3. 察度と泰期(最終決定稿)   浦添按司察度、過去を振り返る。
  4. 島添大里グスク(最終決定稿)   島添大里グスク、汪英紫に奪われる。
  5. 佐敷グスク(最終決定稿)   尚巴志の父、佐敷按司になる。
  6. 大グスク炎上(最終決定稿)   大グスク、汪英紫(島添大里按司)に奪われる。
  7. ヤマトゥ酒(最終決定稿)   早田三郎左衛門、馬天浜に来る。
  8. 浮島(最終決定稿)   尚巴志、早田左衛門太郎と旅に出る。
  9. 出会い(最終決定稿)   尚巴志、伊波按司の娘と剣術の試合をする。
  10. 今帰仁グスク(最終決定稿)   尚巴志、今帰仁に行く。
  11. 奥間(最終決定稿)   尚巴志、奥間村に滞在する。
  12. 恋の病(最終決定稿)   旅から帰った尚巴志、マチルギを想う。
  13. 伊平屋島(最終決定稿)   尚巴志、祖父の故郷に行く。
  14. ヤマトゥ旅(最終決定稿)   尚巴志、ヤマトゥへ旅立つ。
  15. 壱岐島(最終決定稿)   尚巴志、壱岐島で察度の噂を聞く。
  16. 博多(最終決定稿)   尚巴志、ヤマトゥの都を見て驚く。
  17. 対馬島(最終決定稿)   尚巴志、早田左衛門太郎の故郷に滞在する。
  18. 富山浦(最終決定稿)   尚巴志、高麗に行く。
  19. マチルギ(最終決定稿)   尚巴志の恋敵、ウニタキ現れる。
  20. 兵法(最終決定稿)   尚巴志、対馬で修行に励む。
  21. 再会(最終決定稿)   帰って来た尚巴志、マチルギと再会。
  22. ウニタキ(最終決定稿)   尚巴志、ウニタキと一緒に勝連グスクに行く。
  23. 名護の夜(最終決定稿)   尚巴志、マチルギと今帰仁に行く。
  24. 山田按司(最終決定稿)   尚巴志、マチルギの叔父、山田按司と会う。
  25. お輿入れ(最終決定稿)   マチルギ、尚巴志に嫁ぐ。
  26. 高麗の対馬奇襲(最終決定稿)   早田左衛門太郎の本拠地、高麗に攻められる。
  27. 豊見グスク(最終決定稿)   シタルー(汪応祖)、豊見グスクを築く。
  28. サスカサ(最終決定稿)   尚巴志とマチルギ、馬天ノロと旅に出る。
  29. 長男誕生(最終決定稿)   マチルギと馬天ノロ、神様になる。
  30. 出陣命令(最終決定稿)   察度、各按司に今帰仁征伐を命じる。
  31. 今帰仁合戦(最終決定稿)   中山王、山北王の今帰仁グスクを攻める。
  32. 次男誕生(最終決定稿)  尚巴志の次男(尚忠)と山田按司の次男(護佐丸)生まれる。
  33. 十年の計(最終決定稿)   尚巴志、佐敷按司(父)、鮫皮大主(祖父)と密談する。
  34. 東行法師(最終決定稿)   父が隠居して、尚巴志、佐敷按司となる。
  35. 首里天閣(最終決定稿)   察度、浦添按司を武寧に譲って隠居する。
  36. 浜川大親(最終決定稿)   ウニタキは妻子を殺され、シタルーは明に行く。
  37. 旅の収穫(最終決定稿)   奥間のサタルーと対馬のユキ。
  38. 久高島(最終決定稿) 尚巴志はマチルギに怒られ、ウニタキはチルーといい感じ。
  39. 運玉森(最終決定稿)   三好日向、尚巴志のために山賊になる。
  40. 山南王(最終決定稿)   承察度が亡くなり、若按司が山南王になる。
  41. 傾城(最終決定稿)   山南王、中山王の怒りを買って、汪英紫に攻められる。
  42. 予想外の使者(最終決定稿)   尚巴志夫婦、弟のマサンルー夫婦と旅をする。
  43. 玉グスクのお姫様(最終決定稿)   尚巴志、玉グスクと同盟を結ぶ。
  44. 察度の死(最終決定稿)   山北王のミンと奥間の長老も亡くなる。
  45. 馬天ヌル(最終決定稿)   馬天ノロ、御嶽巡りの旅に出る。
  46. 夢の島(最終決定稿)   早田左衛門太郎、慶良間の夢の島に行く。
  47. 佐敷ヌル(最終決定稿)  尚巴志の妹、マシューの気持ちとマカマドゥの決心。
  48. ハーリー(最終決定稿)   尚巴志夫婦と佐敷ノロ、ハーリーを見物。
  49. 宇座の御隠居(最終決定稿)   宇座の泰期が亡くなり、尚巴志夫婦は悲しむ。
  50. マジムン屋敷の美女(最終決定稿)  尚巴志、島添大里グスクに側室を入れる。
  51. シンゴとの再会(最終決定稿)   早田左衛門太郎、朝鮮に投降する。
  52. 不思議な唐人(最終決定稿)   尚巴志、懐機と出会う。
  53. 汪英紫、死す(最終決定稿)   懐機、旅から帰り、武術を披露する。
  54. 家督争い(最終決定稿)   達勃期と汪応祖が山南王の家督を争う。
  55. 大グスク攻め(最終決定稿)   尚巴志、大グスクを攻め落とす。
  56. 作戦開始(最終決定稿)   尚巴志、大グスクノロと再会する。
  57. シタルーの非情(最終決定稿)   達勃期、弟の汪応祖に敗れる。
  58. 奇襲攻撃(最終決定稿)   尚巴志、島添大里グスクを攻め落とす。
  59. 島添大里按司(最終決定稿)   尚巴志、島添大里按司になる。
  60. お祭り騒ぎ(最終決定稿)   尚巴志、城下の者たちと戦勝祝い。
  61. 同盟(最終決定稿)   尚巴志、山南王と同盟する。
  62. マレビト神(最終決定稿)   外間ノロと佐敷ノロにマレビト神が現れる。
  63. サミガー大主の死(最終決定稿)   神の声を聞いたウニタキ。
  64. シタルーの娘(最終決定稿)   山南王のお姫様の悩みと青い海
  65. 上間按司(最終決定稿)   明国の使者が二十年振りにやって来る。
  66. 奥間のサタルー(最終決定稿)   尚巴志、奥間ノロに魅了される。
  67. 望月ヌル(最終決定稿)   謎の爺さん、望月党を語る。
  68. 冊封使(最終決定稿)   首里の宮殿の儀式で、武寧と汪応祖、正式に王になる。
  69. ウニョンの母(最終決定稿)   ウニタキ、亡くなった妻の秘密を知る。 
  70. 久米村(最終決定稿)   尚巴志とウニタキ、懐機に呼ばれて久米村に行く。
  71. 勝連無残(最終決定稿)   勝連按司が奇病に倒れる。 
  72. 伊波按司(最終決定稿)   大きな台風が来て各地で被害が出る。
  73. ナーサの望み(最終決定稿)   ウニタキ、ナーサを味方に引き入れる。
  74. タブチの野望とシタルーの誤算(最終決定稿)  八重瀬按司、中山王と同盟する。
  75. 首里グスク完成(最終決定稿)   中山王と山南王の決戦が迫る。
  76. 首里のマジムン(最終決定稿)   尚巴志、首里グスクを奪い取る。 
  77. 浦添グスク炎上(最終決定稿)   浦添グスクは焼け落ち、亜蘭匏は消える。
  78. 南風原決戦(最終決定稿)   尚巴志、中山軍を壊滅させる。
  79. 包囲陣崩壊(最終決定稿)   達勃期は出直し、汪応祖は首里を攻める。
  80. 快進撃(最終決定稿)   尚巴志、中グスク、越来グスクを攻め落とす。
  81. 勝連グスクに雪が降る(最終決定稿)   尚巴志、勝連グスクを落とす。

 

尚巴志伝 第二部 目次

 

・尚巴志伝の年表

・第一部の主要登場人物

・尚巴志の略歴

・尚巴志の祖父、サミガー大主の略歴

・尚巴志の父、思紹の略歴

・馬天ヌル(馬天ノロ)の略歴

・中山王、察度の略歴

・中山王、武寧の略歴

・汪英紫の略歴

・山南王、汪応祖の略歴

・泰期の略歴

・クマヌの略歴

・三好日向の略歴

・早田左衛門太郎の略歴

・ウニタキの略歴

・懐機の略歴

・倭寇年表

第二部 主要登場人物

サハチ       1372-1439  尚巴志。島添大里按司
マチルギ      1373-    尚巴志の妻。伊波按司の娘。
サグルー      1390-    尚巴志の長男。妻は護佐丸の妹、マカトゥダル。
ジルムイ      1391-    尚巴志の次男。後の尚忠。妻はサムの娘、ユミ。
ミチ        1393-    尚巴志の長女。島添大里ヌル、サスカサ。
イハチ       1394-    尚巴志の三男。妻は具志頭按司の娘、チミー。
チューマチ     1396-    尚巴志の四男。妻は山北王の娘、マナビー。
マグルー      1398-1453  尚巴志の五男。妻は兼グスク按司の娘、マウミ。
思紹        1354-1421 中山王。尚巴志の父。
佐敷ヌル      1374-    尚巴志の妹、マシュー。シンゴと結ばれ娘を産む。
佐敷大親      1376-    尚巴志の弟、マサンルー。妻は奥間大親の娘、キク。
平田大親      1378-    尚巴志の弟、ヤグルー。妻は玉グスク按司の娘。
与那原大親     1383-    尚巴志の弟、マタルー。妻はタブチの娘、マカミー。
クルー       1388-    尚巴志の弟、妻は山南王シタルーの娘、ウミトゥク。
馬天ヌル      1357-    思紹の妹、尚巴志の叔母。
ササ        1391-    馬天若ヌル。父はヒューガ。母は馬天ヌル。
ヒューガ      1355-1470 三好日向。中山の水軍大将。
苗代大親      1360-    思紹の弟。サムレー総隊長。武術師範。
マカマドゥ     1392-    苗代大親の三女。マウシ(護佐丸)の妻。
クグルー      1386-    泰期の三男。苗代大親の娘婿。
サミガー大主    1356-    思紹の弟、ウミンター。
シビー       1395-    尚巴志の従妹。メイユーの弟子になる。
ウニタキ      1372-1433 三星大親。「三星党」の頭。
チルー       1368-    ウニタキの妻。尚巴志の母の妹。
イーカチ      1373-    「三星党」の副頭。絵画き。
ナツ        1381-    ウニタキの配下から尚巴志の側室になる。
シズ        1389-    ウニタキの配下。ササと一緒にヤマトゥに行く。
ヤールー      1385-    ウニタキの配下。サグルーを守っている。
ファイチ      1375-1453 懐機。明国の道士。尚巴志の客将。
サスカサ      1354-    ミチにサスカサを譲り、運玉森ヌルになる。
マウシ       1391-1458 真牛。山田按司の次男。尚巴志の甥。護佐丸。
マカトゥダル    1392-    護佐丸の妹。サグルーの妻。
マサルー      1364-    山田按司の家臣。
シラー       1391-    マサルーの次男。
クマヌ       1346- 1412 中グスク按司。中山の重臣
美里之子      1362-    越来按司。中山の重臣。思紹の義弟。
當山之子      1365-    美里之子の弟。浦添按司になる。
クサンルー     1387-    當山之子の長男。浦添按司
カナ        1391-    當山之子の長女。浦添ヌル。
サム        1372-    後見役から勝連按司になる。伊波按司の四男。
ユミ        1392-    サムの長女。ジルムイ(尚忠)の妻。
ナーサ       1352-    首里の遊女屋「宇久真」の女将。
マユミ       1389-    「宇久真」の遊女。
宇座按司      1355-    泰期の次男。父の跡を継いで明国への使者となる。
シタルー      1362-1413  山南王。汪応祖
トゥイ       1363-    シタルーの正妻。山南王妃。察度の娘。
タルムイ(他魯毎) 1385-1429  豊見グスク按司。シタルーの長男。妻は尚巴志の妹。
豊見グスクヌル   1382-    シタルーの長女。タルムイの姉。
兼グスク按司    1389-    ジャナムイ。シタルーの次男。
保栄茂按司     1393-    グルムイ。シタルーの三男。妻は山北王の娘。
長嶺按司      1389-    シタルーの娘婿。
マアサ       1896-    シタルーの五女。
座波ヌル      1382-    山南王シタルーの側室。
島尻大里ヌル    1368-    ウミカナ。シタルーの妹。
タブチ       1360-    八重瀬按司。山南王シタルーの兄。
エータルー     1381-1413  タブチの長男。
エーグルー     1388-    タブチの三男。新グスク按司
チヌムイ      1395-    タブチの四男。
ミカ        1392-    八重瀬若ヌル。タブチの六女。チヌムイの姉。
八重瀬ヌル     1361-    タブチの妹。シタルーの姉。
サイムンタルー   1361-1429  早田左衛門太郎。対馬島倭寇の頭領。
早田六郎次郎    1387-    左衛門太郎の跡継ぎ。妻はユキ。
ユキ        1388-    六郎次郎の妻。尚巴志の娘。母はイト。
イト        1372-    対馬島の女船長。ユキの母。
シンゴ       1372-    早田新五郎。左衛門太郎の弟。
マツ        1372-    中島松太郎。早田左衛門太郎の家臣。
トラ        1372-    大石寅次郎。早田左衛門太郎の家臣。
早田五郎左衛門   1349-    左衛門太郎の叔父。朝鮮国の富山浦に住む商人。
早田丈太郎     1371-    五郎左衛門の長男。漢城府の津島屋の主人。
浦瀬小次郎     1375-    五郎左衛門の娘婿。
早田ナナ      1388-    早田次郎左衛門の娘。
早田左衛門次郎   1387-    六郎次郎の従兄弟。
早田小三郎     1391-    六郎次郎の義弟。
サングルミー    1371-    与座大親。中山の進貢船の正使。
メイファン     1379-    張美帆。明国の海賊の娘。
メイリン      1374-    張美玲。メイファンの姉。
スーヨン      1387-    張思永。メイリンの娘。
メイユー      1376-    張美玉。メイファンの姉。尚巴志の側室になる。
ラオファン     1338-    黄敬。三姉妹の武術の師匠。
リェンリー     1376-    黄怜麗。ラオファンの娘。
ジォンダオウェン  1364-    鄭道文。三姉妹の配下の海賊。
ユンロン      1387-    鄭芸蓉。ジォンダオウェンの娘。 
リュウジャジン   1362-    劉嘉景。三姉妹の配下の海賊。
リィェンファ    1377-    楊蓮華。富楽院の妓楼『桃香滝』の女将。
ヂュヤンジン    1375-    朱洋敬。懐機の友。宮廷に仕える役人。
永楽帝       1360-1424  明国の皇帝。
リュウイェンウェイ 1389-    劉媛維。富楽院の最高級妓楼『酔夢楼』の妓女。
ファイホン     1379-    懐虹。懐機の妹。
ヂャンサンフォン  1247-    張三豊。武当山の道士で、武当拳創始者
シンシン      1390-    范杏杏。張三豊の弟子。
フカマヌル     1372-    外間ノロ。久高島のノロ尚巴志の腹違いの妹。
大里ヌル      1387-    久高島のノロ。月の神様を祀る。
奥間大親      1357-    ヤキチ。奥間から来た尚巴志の護衛役。中山の重臣
平安名大親     1348-    勝連の重臣。ウニタキの叔父。
勝連ヌル      1369-    ウニタキの姉。
伊波按司      1363-    マチルギの兄。
山田按司      1365-    マチルギの兄。
攀安知       1376-1416  山北王。
マナビー      1397-    攀安知の次女。チューマチの妻。
涌川大主      1377-    攀安知の弟。
勢理客ヌル     1356-    アオリヤエ。攀安知の叔母。
アタグ       1355-    山北王に仕えるヤマトゥの山伏。
本部のテーラー   1376-1416  攀安知の幼馴染み。サムレー大将。
リュウイン     1359-    劉瑛。山北王の軍師。
油屋、ウクヌドー  1350-    奥堂。山北王に仕える博多筥崎八幡宮の油屋。
兼グスク按司    1378-    ンマムイ。武寧の次男。妻は攀安知の妹。
マハニ       1379-    兼グスク按司の妻。山北王、攀安知の妹。
マウミ       1399-    ンマムイの長女。
ヤタルー師匠    1359-    阿蘇弥太郎。ンマムイの武術の師匠。
慈恩禅師      1350-1448  禅僧であり武芸者。ヒューガの師匠。
飯篠修理亮     1387-1488 武芸者。長威斎。
二階堂右馬助    1390-    慈恩の弟子。
一文字屋孫三郎   1361-    次郎左衛門の弟。坊津の一文字屋主人。
みお        1394-    一文字屋孫三郎の三女。
村上又太郎     1386-    村上水軍の頭領の長男。上関を守っている。
村上あや      1392-    村上又太郎の妹。
塩飽三郎入道    1358-    塩飽水軍の頭領。
一文字屋次郎左衛門 1355-    京都の一文字屋の主人。
まり        1394-    一文字屋次郎左衛門の三女。
高橋殿       1376-    足利義満の側室。道阿弥の娘。
対御方       1379-    足利義満の側室。高橋殿に仕えている。
平方蓉       1383-    陳外郎の娘。高橋殿に仕えている。
足利義持      1386-1428  室町幕府第四代将軍。
日野栄子      1390-1431  足利義持の奥方。
勘解由小路殿    1350-1410  斯波道将。将軍様の補佐役。
斯波左兵衛督    1371-1418  勘解由小路殿の嫡男。将軍様の補佐役。
中条兵庫助     1359-    将軍様の武術指南役。慈恩禅師の弟子。
中条奈美      1380-    中条兵庫助の娘。夫が戦死し、高橋殿に仕える。
外郎       1360-    陳宗奇。薬師。外交使節の接待役。
魏天        1350-    将軍様に仕える明国の通事。
栄泉坊       1389-    東福寺を追い出された画僧。
増阿弥       1368-    奈良の田楽新座の太夫
一徹平郎      1355-    北野天満宮の宮大工。
源五郎       1359-    腕はいいが変わり者の瓦職人。
新助        1379-    龍ばかり彫っている等持寺の大工。
渋川道鎮      1372-1446  九州探題。勘解由小路殿の娘婿。
宗讃岐守貞茂    1364-1418  対馬守護。
平道全       1376-    宗貞茂の家臣。
宗金        1380-    博多妙楽寺の僧。
李芸        1373-1445  倭寇にさらわれた母親を探している朝鮮の役人。
シーハイイェン   1390-    施海燕。旧港宣慰司、施進卿の次女。施二姐。
ツァイシーヤオ   1390-    蔡希瑶。シーハイイェンの親友。
シュミンジュン   1342-    徐鳴軍。シーハイイェンの師匠。張三豊の弟子。
ワカサ       1364-    旧港の通事。若狭出身の倭寇
奥間の長老     1348-    ヤザイム。奥間大主。
サタルー      1387-    奥間の長老の跡継ぎ。尚巴志の息子。
奥間ヌル      1374-    奥間村のノロ尚巴志の娘ミワを産む。
奥間のサンルー   1382-    「赤丸党」の頭。クマヌの息子。
クジルー      1393-    サンルーの配下。マサンルーの息子。
米須按司      1357-1414  摩文仁大主。武寧の弟。若按司の妻はタブチの娘。
摩文仁按司     1383-1414  米須按司の次男。
玻名グスク按司   1358-1414  中座大主。タブチの義兄。
真壁按司      1353-1414  山グスク大主。玻名グスク按司の義兄。
伊敷按司      1363-    ナーグスク大主。真壁按司の義弟。
イサマ       1375-    伊平屋島の田名大主の長男。田名親方の兄。
我喜屋大主     1359-    田名大主の弟。イサマの叔父。
サミガー親方    1361-    与論島で鮫皮を作っている親方。
麦屋ヌル      1373-    先代の与論按司の娘。ウニタキの従妹。
ハル        1395-    山南王のシタルーから尚巴志に贈られた側室。
クムン       1373-    島尻大里から来た石屋。
スヒター      1391-   マジャパイト王国の女王クスマワルダニの娘。
辺戸ヌル      1360-   安須森の麓の辺戸村のヌル。
カミー       1402-    アフリヌルの孫娘。
屋嘉比のお婆    1320-    先々代の屋嘉比ヌル。
福寿坊       1387-    備前児島の山伏。
辰阿弥       1384-    時衆の武芸者。
ブラゲー大主    1353-    チヌムイの祖父。貝殻を扱うウミンチュの親方。
小渡ヌル      1380-    父は越来按司。母は山北王珉の妹。久高ヌルになる。
照屋大親      1351-    山南王の重臣。交易担当。
糸満大親      1367-    山南王の重臣
新垣大親      1360-1414  山南王の重臣。タブチの幼馴染み。
真栄里大親     1362-1414  山南王の重臣
波平大親      1366-    山南王の重臣
波平大主      1373-    波平大親の弟。サムレー大将。タルムイ側に付く。
国吉大親      1375-    山南王の重臣。妻は照屋大親の娘。
賀数大親      1368-    山南王の重臣。タルムイ側に付く。
兼グスク大親    1363-    山南王の重臣。タルムイ側に付く。
石屋のテハ     1375-    シタルーのために情報を集めていた。
大村渠ヌル     1366-    初代山南王の娘。前島尻大里ヌル。
慶留ヌル      1371-    シタルーの従妹。前島尻大里ヌル。
愛洲次郎      1390-    愛洲水軍の大将の次男。
寺田源三郎     1390-    愛洲次郎の家臣。
河合孫次郎     1390-    愛洲次郎の家臣。
堂之比屋      1362-    久米島堂村の長老。
堂ヌル       1384-    堂之比屋の娘。
新垣ヌル      1380-    久米島北目村のヌル。
大岳ヌル      1386-    久米島大岳のヌル。
具志川若ヌル    1397-    具志川ヌルの娘。
クイシヌ      1373-    久米島ニシタキのヌル。
クマラパ      1339-    狩俣按司マズマラーの夫。元の国の道士。
マズマラー     1357-    狩俣の女按司
タマミガ      1389-    クマラパとマズマラーの娘。
那覇勢頭     1360-    目黒盛の重臣。船長として琉球に行く。
目黒盛豊見親    1357-    ミャークの首長。
漲水のウブンマ   1379-    漲水ウタキのヌル。目黒盛の従妹。
アコーダティ勢頭  1356-    野崎按司重臣。船長としてトンド国に行く。
ムマニャーズ    1342-    上比屋の先代の女按司
ツキミガ      1390-    ムマニャーズの孫娘。
アラウスのウプンマ 1340-    戦死したアラウス按司の妹。
マムヤ       1339-    保良の女按司の末娘。先代の野城按司
チルカマ      1349-    クマラパの妹。先代の石原按司
阿嘉のトゥム    1365-    久米島からミャークに渡った兄弟の弟。伊良部島に住む。
スタタンのボウ   1360-    多良間島の女按司。クマラパの弟子。
ハリマ大殿     1359-    ボウの夫。ターカウの倭寇
平久保按司     1355-    石垣島按司。ターカウの倭寇
ブナシル      1360-    名蔵の女按司
ミッチェ      1387-    ブナシルの娘。父親は富崎按司
マッサビ      1369-    ウムトゥダギのフーツカサ。池間島出身。
サユイ       1391-    マッサビの娘。弓矢の名人。
阿嘉のグラー    1362-    マッサビの夫。久米島からミャークに渡った兄弟の兄。
ガンジュー     1386-    熊野の山伏、願成坊。
タキドゥン     1348-    島添大里按司の息子で、タキドゥン島の按司になる。
ユミ        1361-    ドゥナン島サンアイ村のツカサ。
ナーシル      1391-    ユミの娘。父は苗代大親

 

スサノオ            ヤマト国の大王。牛頭天王
豊玉姫             スサノオの妻。
玉依姫             スサノオ豊玉姫の娘。ヒミコ。アマテラス。
アマン姫            玉依姫の妹。アマミキヨ
ユンヌ姫            アマン姫の娘。
アキシノ            厳島神社の内侍。初代今帰仁ヌル。
クミ姫             久米島の神様。ビンダキ姫の三女。
ウパルズ            池間島の神様。ウムトゥ姫の長女。
赤名姫             ウパルズの孫。ユンヌ姫と行動を共にする。
ウムトゥ姫           石垣島於茂登岳の神様。ビンダキ姫の次女。
ノーラ姫            石垣島の名蔵の神様。ウムトゥ姫の次女。
ヤラブ姫            ノーラ姫の三女。
ビシュヌ            クバントゥオンの神様。シィサスオンの神様でもある。
ラクシュミ           ビシュヌの妻。ミズシオンの神様。
サラスワティ          ヤラブダギの神様。弁財天。
イリウムトゥ姫         二代目ウムトゥ姫の次女。クン島の神様。
ユウナ姫            イリウムトゥ姫の次女。ドゥナン島の神様。

 

2-180.仕合わせ(第一稿)

 ササたちはドゥナン島(与那国島)に一か月近く滞在した。
 六日間掛けて各村々に滞在したあと、サンアイ村に戻ったササたちは、ナウンニ村にいるムカラーを呼んで、ジルーの船をクブラの港に移動するように頼んだ。ゲンザとマグジがムカラーと一緒に行った。ジルーも行こうとしたが、ゲンザとマグジに残れと言われて残り、ミーカナとアヤーが一緒に行った。船をクブラ港に移動したあと、ムカラーは戻って来たが、ゲンザたちは南遊斎(なんゆうさい)に引き留められてクブラ村に滞在した。
 クマラパは子供たちがいるドゥナンバラ村に行き、ガンジューとミッチェが一緒に行った。ガンジューはクマラパの武当拳(ウーダンけん)を見て、自分も身に付けたいと思い、クマラパの弟子になっていた。ガンジューが行くのなら、わたしも行くと言ってミッチェもついて行った。
 シンシンはダティグ村のツカサに武当拳の指導を頼まれてダティグ村に行った。ナナとサユイとタマミガが一緒に行った。
 安須森(あしむい)ヌルはダンヌ村のツカサから馬天浜(ばてぃんはま)に行った時の事をもっと詳しく聞きたいと言ってダンヌ村に行った。玻名(はな)グスクヌルが若ヌルたちを連れて安須森ヌルに従った。
 残されたのはササとジルーだけになった。
「みんな、勝手な事をして、一体、どうなってんだ?」とジルーがササに言った。
「あたしたちも行きましょ」とササはジルーの手を引いた。
「どこに行くんだ?」
「眺めのいい所よ」
 ササとジルーはティンダハナタに向かった。子供たちが遊んでいるかと思ったが誰もいなかった。
 ササは景色を眺めながら、
「あたし、六歳の時に、馬天浜でイシャナギ島(石垣島)のマッサビ様や名蔵(のーら)のブナシル様、ダンヌ村のツカサ様と会っていたのよ。上比屋(ういぴやー)の女按司(みどぅんあず)、百名(ぴゃんな)のウプンマ様、クンダギのツカサ様もいたわ」とジルーに言った。
 ジルーはうなづいただけで何も言わなかった。
「六歳の時の事を思い出した時、あたしがこの島に来る事は、あの時から決まっていたような気がしたわ。あなたが琉球に来た時、あたしのマレビト神が来るってわかっていたの。それで迎えに行って、あなたと会って、マレビト神に違いないと思ったわ。でも、一緒に旅をして、あなたの事が少しわかってくると、やっぱり違ったのかなと思ったの。南の島を探しに行きたいとあなたに言った時、あなたは喜んで船を出すと言ってくれた。そして、ミャークに行って、多良間島(たらまじま)、イシャナギ島、クン島(西表島)と行って、ドゥナン島に来たわ。あなたと出会わなければ、あたしはドゥナン島には来られなかったのよ。今、この島にあなたと一緒にいるという事は、あなたはやっぱり、あたしのマレビト神だったんだわ。あたしの母も父と出会った時には気づかなかったの。久高島のウタキに籠もって、心が開放されて、父がマレビト神だってわかったの。わたしは頭の中で色々と考えすぎたのかもしれないわ」
 ジルーはササを見て優しく笑った。その笑顔を見た途端、ササは何も考えられなくなった。
 それからの事はよくわからない。気がついたら綺麗な砂浜にジルーと二人だけでいた。目の前に青い海が広がり、右側に岩場が飛び出していて、左側には川があるようだった。振り返ると密林が続いていて、人家は見当たらなかった。
「ここはどこなの?」とササはジルーに聞いた。
 ジルーは首を振った。
「どうして、ここにいるのか、俺にもわからないんだ。ティンダハナタでササの話を聞いたのは覚えている。その後の事は夢の中にいるようで、ぼんやりとしているんだ。ただ、わかっているのは、俺たちはあそこの洞窟(どうくつ)で、何日か過ごしたらしい」
「えっ?」とササはジルーが指差した岩場を見た。
 洞窟らしい穴が見えた。洞窟に行ってみると、火を燃やした後があり、どこから持って来たのか、鉄の鍋(なべ)の中に食べ残した煮物があった。空になった瓢箪(ひょうたん)が三つも転がっていて、藁(わら)を敷き詰めた寝床もあった。
「あたしたち、ここでお酒を飲んだのね」とササは笑った。
「海に入って魚や貝も捕ったらしい」と言って、ジルーが隅にある魚の骨や貝殻を指差した。
「お酒はまだあるかしら?」とササは聞いた。
「あと一つある」とジルーが酒の入った瓢箪を手に取った。
「今晩、それを飲んでから帰りましょ」とササは言って、ジルーに抱き付いた。
 次の日、ササたちは浜辺から見えた山に登った。ウラブダギ(宇良部岳)が見え、島の南側にある浜辺にいた事がわかった。道などなかったが密林の中を通って、何とかサンアイ村に帰ってきた。
 安須森ヌルと玻名グスクヌル、ナーシルと若ヌルたちがササとジルーを迎えた。
「お帰り」と安須森ヌルが笑った。
「お師匠!」と若ヌルたちがササを囲んだ。
 ササとジルーは四日間、行方知れずになっていた。ササは覚えていないが、ティンダハナタから帰って来たササはナーシルに酒の用意を頼み、しばらく、どこかに行くけど心配しないでと言ったらしい。ナーシルは酒の用意をして、鉄の鍋と食糧も持たせた。
 安須森ヌルは自分の経験から、二人がとこかに行くだろうと気づいていた。二人が行きやすいように、二人だけにしたのだった。
「よかったわね」と安須森ヌルはササとジルーを見て笑った。
 その夜、みんなが帰って来て、ササとジルーを祝福した。
 ササとジルーがいなくなったのと同じ日に、ミッチェとガンジューもいなくなっていた。二人はトゥンガン(立神岩)の近くにある浜辺で結ばれたという。ミッチェとガンジューもみんなから祝福された。
「わしは熊野でササさんたちと会った時、琉球に行かなければならないと思いました。わしはその頃、何度も同じ夢を見ていたのです。それは見た事もない山に、わしが登っている夢です。その山には見た事もない変な木がいっぱいありました。ササさんたちから琉球の話を聞いて、その山は琉球の山に違いないと思ったのです。もう、居ても立ってもいられなくて、琉球行きの船に飛び乗りました。でも、着いた所はターカウ(台湾の高雄)でした。琉球に行かなければならないと焦りましたが、琉球からの船はターカウには来ません。ヤマトゥに戻って出直そうかとも考えましたが、ヤマトゥに帰ったら熊野に連れ戻されるような気がしてやめました。冬になって、ミャークからの船が来ました。その船にミッチェが乗っていたのです。ミッチェを見て、わしは驚きました。わしが見ていた夢の山の山頂にいた女子(おなご)がミッチェだったのです。夢の中のミッチェは後ろ姿しか見せなくて、わしが山頂に着くと振り返るのですが、いつも、そこで夢から覚めてしまいます。でも、夢の中の女子はミッチェに違いないと思いました。わしはミッチェと一緒にイシャナギ島に行きました。玉取崎(たまとぅりざき)で船から降りて、玉取崎のツカサから馬を借りて、名蔵まで行きました。そして、ウムトゥダギ(於茂登岳)を見た時、夢に出て来た山だとわかりました。やはり、夢に出て来たのはミッチェだと確信しました」
琉球に行かなくてよかったわね」と安須森ヌルが言った。
 ガンジューはうなづいて、ミッチェを見た。
「わたしはターカウでガンジューと出会った時、マレビト神だとわかりました」とミッチェは言った。
「でも、試合をしたら、わたしよりも全然弱くて、こんな人がマレビト神であるはずがないと否定したのです」
「わしも身を守るための武術は身に付けていますが、ミッチェが強すぎるのです」とガンジューは言った。
「否定から肯定に変わった理由は何だったの?」と安須森ヌルが聞いた。
「ガンジューの優しさです。ガンジューは船酔いした人たちの面倒を見ていました。ウムトゥダギで採った薬草でお薬を作って、それを飲ませていました。怪我の治療も見事でした。そんなガンジューを見て、わたしは少しづつ惹かれていったのかもしれません。でも、頭の中では否定し続けていたのです。この島に来て、ガンジューたちが島の娘たちと楽しくやっているのを見て、わたしは怒りました。あの時は自分でも驚きました。考える前に行動に出ていたのです。あんな事は初めてです。でも、あの時、頭ではなくて、心が肯定したのだと思います。その後は、心に素直に生きようと思いました」
「ササにしろ、ミッチェにしろ、余計な事を考え過ぎるのよ」と安須森ヌルは二人を見て笑った。
「マシュー姉(ねえ)の時はどうだったの?」とササが聞いた。
「マシュー姉だって、シンゴさんと出会ってから、随分経ってから結ばれたんでしょ。シンゴさんじゃないって否定していたんじゃないの?」
 安須森ヌルは楽しそうに笑った。
「あたしはシンゴさんに初めて会った時、何も感じなかったわ。あの時のあたしはマレビト神の事なんて考えてもいなかったのよ。お師匠の馬天(ばてぃん)ヌルは毎年、ウタキ巡りの旅に出ていたし、あたしが留守を守らなければならないって必死だったのよ。二度目にシンゴさんが来た時は戦(いくさ)の最中だったわ。兄は大(うふ)グスクを攻め落として、島添大里(しましいうふざとぅ)グスク攻めに加わっていたわ。あたしは毎日、戦の勝利を祝っていたの。兄が島添大里グスクを攻め落として戦が終わって、あたしも島添大里グスクに移る事になったわ。その時、シンゴさんがお引っ越しの手伝いに来てくれたの。みんな、自分たちの事で精一杯で、誰も手伝ってくれなかったから、とても助かったわ。荷造りが終わって、一休みした時、シンゴさんが、あたしの事を好きだって言ったのよ。あたし、今まで、男の人からそんな事を言われた事がないから、胸がドキドキして変になっちゃったのよ。それからはもう夢の中よ。二人でどこかに行ったようだけど覚えていないわ。何日かして帰って来たら、お屋敷の中はそのままになっていて、誰もあたしがいなくなった事に気づいていなかったわ。島添大里グスクでお清めをしていたんだろうと思っていたみたい」
「マシュー姉らしいわ」と言ってササは笑った。
 話を聞いていた玻名グスクヌル、タマミガ、サユイ、ナーシルは、
「わたしたちにも素敵なマレビト神が現れないかしら」と羨ましそうに言った。
 翌日からササとジルーはサンアイ村で暮らし、ミッチェとガンジューはドゥナンバラ村で暮らした。ゲンザとマグジはミーカナとアヤーを連れてクブラ村に行き、ターカウ行きが決まったら、すぐにみんなに知らせると言った。シンシンとナナはダティグ村に戻り、玻名グスクヌル、タマミガ、サユイの三人はマレビト神を探すために村々を巡った。安須森ヌルは若ヌルたちを連れてダンヌ村に行った。

 


 十一月二十三日の早朝、ササたちはみんなに見送られて、一月近く滞在したドゥナン島に別れを告げ、ターカウへと向かった。ナーシルは母親の許しを得て、一緒に来た。母親のユミはナーシルを琉球まで連れて行って、父親に会わせてやってくれとササたちに頼んだ。ササたちは喜んで引き受けた。
 キクチ殿の船が先頭を行き、ササたちの船が続き、平久保(ぺーくぶ)の太郎の船が殿(しんがり)を務めた。
 船は丑寅(うしとら)(北東)の風を受けて、気持ちよく西へと進んで行った。
「ムカラーから聞いたんだが、日が暮れる前に黒潮を越えないと危険らしい」とジルーがササに言った。
「大丈夫なの?」とササは心配そうに聞いた。
 ヤマトゥ旅の行き帰りに、トカラの口之島と永良部島の間で黒潮を越えるが、その時の船の揺れと船が軋む音は何度も経験しているが慣れる事はなく、恐ろしかった。
「大丈夫だよ」とジルーはササの肩をたたいて笑った。
「大丈夫ね」とササも笑ってうなづいた。
 ジルーが船尾に行ったあと、ササは空を見上げた。
「ユンヌ姫様、いるの?」と声を掛けると、
「いるわよ」とユンヌ姫の声が聞こえた。
「お邪魔だと思って声を掛けなかったのよ。おめでとう」
「ありがとう。ユンヌ姫様のマレビト神ってどんな人だったの?」
「素敵な人だったわ。伯母様の船に乗ってユンヌ島(与論島)に来たのよ」
「伯母様って、玉依姫(たまよりひめ)様?」
「そうよ。その頃の伯母様はヒミコって呼ばれていたわ。ヤマトゥの女王様だったのよ。ユキヒコは大叔父様(豊玉彦)の孫だったの。お祖母(ばあ)様(豊玉姫)を連れてヤマトゥに行って以来、ずっと、大叔父様の子孫が船頭(船長)として琉球に来ていたのよ。ユキヒコは父親の跡を継ぐために、その年、初めて琉球に来たの。そして、あたしと結ばれたのよ。あたしは二人の娘を産んだわ。でも、ユキヒコはヤマトゥの戦で戦死してしまったのよ。次女のキキャ姫は父親のユキヒコに会っていないのよ」
「そうだったの。ユンヌ姫様も辛い思いをしてきたのね」
「もう遙か昔の事よ。ササと初めてヤマトゥに行った時、久し振りにユキヒコと会ったのよ。ユキヒコったら大きなお墓に眠っていたわ。英雄として戦死したみたい。あたしが来たので驚いていたけど歓迎してくれたわ」
「よかったわね」とササは言ったあと、「最近、キキャ姫様には会ったの?」と聞いた。
「会ったわ。山北王(さんほくおう)が鬼界島(ききゃじま)を攻めたって聞いたので、様子を見に行ったのよ。元気に戦を楽しんでいたわ」
「鬼界島は大丈夫なの?」
「大丈夫よ。山北王に奪われる事はないわ」
「アキシノ様と赤名姫様も一緒にいるの?」
「メイヤ姫も一緒よ」
「ありがとう。あたしたちを守ってね」
「任せてちょうだい」と赤名姫とメイヤ姫が声を揃えて言った。
「何かあったらお知らせします」とアキシノが言った。
 ササはクマラパからターカウの事を聞いた。
「わしが初めてターカウに行ったのは五十年近くも前じゃ。その時は明国の海賊がいた」
「メイユーの伯父さんでしょ。クマラパ様はメイユーに会ったの?」
「いや、会ってはいない。噂では美人の女海賊だって評判じゃった」
 ササは笑って、「メイユーは今、安須森ヌルの兄さんの側室になっているのよ」と言った。
「なに、中山王の世子(せいし)の側室なのか」
 ササはうなづいた。
「娘を産んで、杭州(こうしゅう)で育てているの。でも、杭州の拠点が危険になったので、ムラカ(マラッカ)に移るらしいわ」
「ムラカか。トンド(マニラ)に行った時、ムラカの事は聞いた事がある。鄭和(ジェンフォ)の大船団がムラカを拠点にしてから栄えるようになったと言っておった。側室なのに、海賊をしているのかね?」
「メイユーは海賊が似合っているから、それでいいのよ」とササは笑った。
 クマラパは首を傾げたが、話を続けた。
「わしが二度目にターカウに行ったのは、七、八年後じゃった。アコーダティ勢頭(しず)と一緒に行ったんじゃが、その時にはキクチ殿がいたんじゃよ。その頃のターカウはまだ城もなく、あちこちで穴を掘ったり、土塁を築いたりしていた。翌年もアコーダティ勢頭と行ったんじゃが、堀と土塁に囲まれた城ができていたんじゃ。翌年はわしはトンドに行ったのでターカウには行っていない。次の年にターカウに行ったら、高い土塁に囲まれた唐人(とーんちゅ)の村があったんじゃ。明国の海賊が住み始めたのかと思ったら、トンドから来た唐人たちの村じゃった」
「キクチ殿はミャークよりも先にトンドと交易していたのですか」
「そうじゃよ。わしがアコーダティ勢頭とターカウに行った時、わしらは明国を目指していたんじゃ。しかし、明国は海禁政策を取ったので、近づくと捕まってしまうってキクチ殿に言われたんじゃよ。それで、明国に行くのはやめて、トンドに行く事にしたんじゃ」
「トンドの人たちが拠点を置いたという事は、トンドの人たちは毎年、ターカウに来るのですか」
「毎年、来ているようじゃ。ターカウに行けばヤマトゥの商品が手に入るからのう。特にヤマトゥの刀は南蛮(なんばん)(東南アジア)の者たち誰もが欲しがっているんじゃよ。わしはその後、しばらく、ターカウには行かなかった。佐田大人(さーたうふんど)の戦(いくさ)があったり、ミャークが琉球と交易を始めたので、ターカウに行く必要もなくなったんじゃ。琉球との交易をやめたあと、わしは与那覇勢頭(ゆなぱしず)と一緒にターカウに行った。十八年振りじゃった。ターカウも随分と変わっていた。港には大きな船がいくつも泊まっていた。キクチ殿の城は拡張されて、土塁も高くなっていて、まるで明国の城塞都市のようじゃった。城下の村は土塁に囲まれた中にあって、大通りに面して家々が建ち並び、賑やかに栄えていた。唐人たちの村も大きくなっていて、ヤマトゥンチュの城と唐人たちの城を結ぶ大通りにも家々が建ち並んでいた。その中程に熊野権現という神社があって、山伏が何人もいた。神社の前の広場は市場になっていて、大勢の人たちが行き交っていたんじゃよ。以前、キクチ殿が作ってくれたミャークの宿舎もヤマトゥンチュの城の中にあった。十年近くも来なかったのに、壊されずにあったんじゃ」
「十年じゃなくて十八年でしょ」
「わしは十八年振りじゃったが、野崎按司(ぬざきあず)は琉球との交易が始まるまで、一年おきに行っていたんじゃよ。佐田大人が暴れている時は中止になったがのう。それから四年後、わしはマズマラーを連れてターカウに行ったんじゃ。その時はミャークの宿舎も新築されて、立派な屋敷になっていた」
 ササはニヤニヤしながらクマラパを見て、
「マズマラーさんとの出会いを聞かせて」と言った。
 いつの間にか、タマミガとサユイが来ていて、
「あたしも聞きたいわ」とタマミガが言った。
「お母さんから聞いておるじゃろう」とクマラパが言うとタマミガは首を振って、
「お父さんが狩俣(かずまた)を守ってくれたので、一緒になったとしか聞いていないわ。どこで、お母さんと出会ったの?」
 クマラパは苦笑して、話し始めた。
「あれは三度目のトンド旅から帰って来たあとじゃった。アコーダティ勢頭も何とか唐人の言葉がわかるようになって、もうわしが一緒に行かなくても大丈夫じゃろうと、わしは野崎を出て各地を旅して回ったんじゃ。わしが船を造って、ターカウやトンドに行っていた事は皆、知っていて、どこに行っても歓迎してくれたんじゃよ。ミャークを一回りして北の岬に来た時、池間島(いきゃまじま)を見て、渡ってみたくなったんじゃ」
「その時、狩俣に寄ったの?」とタマミガが言った。
「いや、その時は寄っていない。わしはウミンチュに頼んで池間島に渡った。池間按司(いきゃまーず)に歓迎されて、海辺を散歩していた時じゃ。突然、女の声が聞こえたんじゃよ」
「ナナムイウタキに入ったのですか」とササが聞いた。
「ナナムイウタキとウパルズ様の事はツカサから聞いたが、ウタキには入ってはおらん。海辺に立って夕暮れの海を眺めていたんじゃ。ウパルズ様の声じゃと思った。その声は、『よく来てくれたわ。歓迎するわ』と言って、『近いうちに、あなたのやるべき事かあるわ』と言ったんじゃよ。わしのやるべき事とは何かと聞いたが、答えは返って来なかったんじゃ。ツカサにその事を話したら、ツカサは驚いていた。そして、ウパルズ様の事を詳しく教えてくれたんじゃ。ウパルズ様は琉球から来た神様で、狩俣にも琉球から来た神様がいると聞いて、わしは狩俣に行ってみたんじゃ」
「お母さんと出会ったのね?」
「そうじゃ。出会った途端、わしは一目惚れしたんじゃよ。最初、狩俣に住んでいるウミンチュの女じゃろうと思った。年の頃からして、子供も二、三人はいるじゃろうと思ったんじゃ。わしが村のツカサに会いたいと言ったら、わたしがツカサですと言ったんじゃよ。わしは驚いた。わしはマズマラーの屋敷に行って、琉球から来た神様の事を聞いた。本当は神様の事よりマズマラーの事が聞きたかったんじゃが聞けなかった。話が終わって、わしは帰ろうとした。帰りたくなかったが留まる理由も見つからなかったんじゃ。そしたら、マズマラーが武芸を教えてくれと言ってきたんじゃ。わしは喜んで引き受けて、狩俣で暮らす事になったんじゃよ」
「お母さんはお父さんのお弟子だったの?」
「そうだったんじゃよ。年齢(とし)も大分離れていたからのう。一緒になろうとは言い出せなかったんじゃ」
 ササがクマラパを見て笑った。それを見て、タマミガとサユイも笑っていた。
「女子(いなぐ)に惚れると男子(いきが)は弱くなるものなんじゃ」とクマラパは言った。
「その時から何年後に、あたしは生まれたの?」
「まだまだ先じゃよ。わしが狩俣に落ち着いて二年後、佐田大人がやって来たんじゃ。わしは村を守るために村を石垣で囲んだ。そして、兵を育てるために伊良部島(いらうじま)に行った。ウプラタス按司がやられたと聞いて、わしは慌てて狩俣に帰って来た。佐田大人の兵が狩俣を襲ったが見事に追い返す事ができた。その夜、わしはようやくマズマラーと結ばれたんじゃ。マズマラーは跡継ぎの娘を欲しがっていたが、なかなか、子宝に恵まれなかった。大勢の人が亡くなった戦の事をマズマラーは気にしていたから体調を崩していたのかもしれん。わしは気分転換のために、マズマラーを連れてトンドに行ったんじゃ。マズマラーは何を見ても驚いていて楽しそうじゃった。トンドから帰って来て、お前が生まれたんじゃよ」
「トンドのお話はお母さんからよく聞いたわ」とタマミガが言った。
「本当はね、お母さん、お父さんと出会った時、この人と結ばれるってわかったって言っていたわ。それで、お弟子になるって言って、お父さんを引き留めたのよ」
「なに、それは本当かね?」
 タマミガはうなづいた。
「いつか、あたしにもそんな人が現れるって言ったわ。それは会った途端にわかるって。そんな人と出会ったら、決して手放してはだめよ。何としてでも引き留めなさいって言ったのよ」
「そうじゃったのか。それを言ってくれれば、お前はもっと早くに生まれていたかもしれんな」
「そしたら、みんなと一緒に旅はできなかったわ。丁度いい時に生まれたのよ」
「そうじゃな」とクマラパはうなづいて、海の方を見た。
 それから一時(いっとき)(二時間)後、船が急に揺れ始めた。
黒潮の中に入ったようだ」とジルーが来て、ササたちに教えた。

 

 

秀よし 金瓢(ひょうたん酒) 1.8L