長編歴史小説 尚巴志伝

第一部は尚巴志の誕生から中山王武寧を倒すまで。第二部はその後の尚巴志の活躍です。お楽しみください。

2-192.尚巴志の進貢(第一稿)

 土砂降りだった雨もやんで、佐敷グスクではお祭りが始まっていた。
 馬天浜(ばてぃんはま)からシンゴたちも来ていて、山グスクに行っていたルクルジルー(早田六郎次郎)たちもマウシ(山田之子)と一緒に来ていた。
 大きなお腹をしたナツも子供たちを連れて来ていた。サハチが心配して、休んでいろと言っても、まだ大丈夫よと言って聞かなかった。サハチも一緒に行ったら、ウニタキとファイチも来ていて、久し振りに三人で酒盛りを始めた。
「五月に送る進貢船(しんくんしん)の使者が決まりましたよ」とファイチが言った。
「サハチの最初の進貢だ。サングルミーが行くんだろう」とウニタキは言ったが、ファイチは首を振った。
「まもなく冊封使(さっぷーし)が来ますからね。サングルミーさんにはいてもらわないと困ります」
「そうか。それもそうだな」とウニタキはうなづいた。
「末吉大親(しーしうふや)に正使を務めてもらう事に決まりました。去年、南風原大親(ふぇーばるうふや)と一緒に順天府(じゅんてんふ)(北京)まで行っているので大丈夫でしょう」
「末吉大親南風原大親は俺たちが明国に行った時、サングルミーの従者として一緒に行ったな」とサハチが言った。
「あの二人は同い年なんです。言葉に堪能な南風原大親が去年、先に正使になって、末吉大親も負けるものかと頑張って、今年、正使になったのです」
南風原大親は朝鮮(チョソン)にも二度行っている。朝鮮の言葉も話せるとカンスケが驚いていたよ」
南風原大親は一月に行っているから、二人は向こうで会うかもしれません」
「俺たちが明国に行ったのは、もう八年も前だ。また行きたくなったな」とウニタキが言った。
今帰仁(なきじん)攻めが終わったら、また三人で行こう」とサハチが言うと、
「そいつは楽しみだ」とウニタキが嬉しそうに笑った。
「ムラカ(マラッカ)まで行って、ヂャン師匠を驚かせましょう」とファイチも楽しそうに笑った。
 お芝居が始まった。ハルとシビーの新作『佐敷按司』だった。
 十七歳のサグルーがヤマトゥから帰って来る場面から始まった。武術師範の美里之子(んざとぅぬしぃ)の娘、ミチに惚れたサグルーは、美里之子に認めてもらうために武術修行の旅に出る。久高島でシラタル親方と出会い、剣術の極意を授かって佐敷に帰ると、ミチはサハチを産んでいた。美里之子に認められ、ミチと一緒になったサグルーは苗代大親(なーしるうふや)を名乗って、武術道場の師範代になる。
 島添大里按司(しましいうふざとぅあじ)が亡くなって家督争いが始まる。大(うふ)グスクで様子を見守っていた苗代大親は、島添大里グスクが八重瀬按司(えーじあじ)に攻め取られた事を知る。苗代大親は大グスク按司に命じられて、佐敷にグスクを築いて佐敷按司になる。
 佐敷按司になって五年後、島添大里按司になった八重瀬按司と大グスク按司の戦が起こり、佐敷按司も参戦する。佐敷按司の弟、苗代之子(なーしるぬしぃ)が活躍するが、美里之子は戦死し、大グスク按司も戦死して大グスクは島添大里按司に奪われてしまう。佐敷按司は島添大里按司に屈服する事なく、佐敷グスクを守り通すが、今帰仁合戦の後、若按司のサハチに跡を譲って隠居し、頭を丸めて旅に出る。
 かつて、自分が経験した事だが改めてお芝居にして見ると、昔を思い出して、胸の奥がジーンとなってきた。観客たちも昔を思い出して感動しているようだった。
 佐敷按司を演じたのは隊長のミフーで、十七歳から隠居する三十九歳まで、見事に演じていた。ミチを演じたのはナグカマで、苗代之子を演じたのはファイリンだった。
 女子サムレーでもないファイリンが出て来たのでファイチは驚いていた。身が軽い事は丸太引きのお祭りで証明済みだが、大薙刀(うふなぎなた)を振り回す内原之子(うちばるぬしぃ)との戦いは武芸の腕も並ではない事を示していた。ファイチはファイリンの太刀さばきを見て、嬉しそうに目を細めていた。
 戦の場面では太鼓の音と法螺貝(ほらがい)が戦場の雰囲気を醸し出し、全編を通じて、ユリの吹く笛が流れていた。その曲が場面場面とうまくあって、お芝居を盛り上げていた。
 僧侶姿の佐敷按司が舞台から消え、笛の調べも消えると指笛が響き渡って、歓声がどっと沸き起こった。
 旅芸人たちも来ていて、『豊玉姫(とよたまひめ)』を演じ、サハチも一節切(ひとよぎり)を吹いた。ファイチもヘグム(奚琴)を弾き、ウニタキもミヨンと一緒に三弦(サンシェン)を弾いて歌った。辰阿弥(しんあみ)と福寿坊(ふくじゅぼう)の念仏踊りを皆で踊って、お祭りは終わった。
 雨が降りそうな空模様だったが、お祭りが終わるまで降らずに済み、翌日からまた雨降りの日が続いた。
 ユリはハルとシビーを連れて、島尻大里(しまじりうふざとぅ)のお祭りの準備を手伝うために島尻大里グスクに行った。
 五月三日、ナツが女の子を産んだ。ナツにとっては三人目の子供で、ナツの母親の名前をもらって、ハナと名付けられた。ハナの元気な泣き声に驚いたのか、梅雨も明けたようだった。
 ハナの誕生祝いにやって来たウニタキに、
「明日のハーリーだが、俺が行った方がいいかな」とサハチは聞いた。
「クルー(手登根大親)が行くんだろう。お前がわざわざ顔を出す事もない。ハーリーはすでに庶民たちのお祭りになっている。お前が行けば、豊見(とぅゆみ)グスク按司も気を使う事になる。やめた方がいい」
「そうだな。クルー夫婦に任せよう」とサハチはうなづいて、「豊見グスク按司の妻は、未だに中山王(ちゅうざんおう)を恨んでいるのか」と聞いた。
「恨んでいるかもしれんな。実家がなくなってしまったんだからな。中グスクから嫁いで来た日に、祖父の中グスク按司が殺されている。望月党(もちづきとう)の仕業なんだが、中山王が殺したと思っているようだ」
「そうか‥‥‥望月党なんて知らないだろうからな。親父は南風原(ふぇーばる)で戦死して、弟は中グスクで戦死している。恨むな言うのは無理な話だな」
「戦だから仕方がない」とウニタキは言った。
 侍女のマーミがお茶を持ってきた。
「ナツ様が羨ましい」とぽつりと言って去って行った。
「マーミも長いな」とサハチはウニタキに言った。
「ナツが『まるずや』を任された時、ナツの代わりとして侍女になったんだ。もう十年近いんじゃないのか。どうやら、サグルーが好きなようだ。サグルーが山グスクに行ったので、面白くないらしい」
「なに、サグルーと何かあったのか」
「何もないだろう。マーミの片思いさ。マーミはササとヤマトゥに行っていたシズと同期なんだよ」
「シズはササと南の島に行かなかったが、何をしているんだ?」
「今は今帰仁にいるよ。ヤマトゥ言葉がしゃべれるからヤマトゥンチュたちを探っているんだ」
「何のために?」
今帰仁攻めの時、ヤマトゥンチュが戦に加わったら面倒な事になるだろう」
「そうか。いつ攻めるかまだ決まってはいないが、冬に攻めるとなると、ヤマトゥンチュたちが城下にいる事になるんだな。前回、武寧(ぶねい)が今帰仁を攻めた時、ヤマトゥンチュたちはどうしていたんだ?」
「戦に加わった者もいたようだが、ほとんどの者たちは伊江島(いーじま)に避難していたようだ」
伊江島か。伊江島には按司はいるのか」
「いる。古くからいるようだが、先代の山北王(さんほくおう)(珉)の姉が嫁いでいる。今の伊江按司は山北王の従兄(いとこ)だ。今回もヤマトゥンチュたちは伊江島に避難する事になるだろうが、戦に参加する奴も出てくるだろう。奴らの様子を探って、なるべく、戦に参加させないようにしなければならない」
「そうだな。ヤマトゥンチュの恨みは買いたくはない。すまんがよろしく頼むぞ」
「戦をするからには勝たねばならん。敵の兵力はできるだけ削減する」
「うむ」とサハチはうなづいて、「そろそろ本気になって作戦を練らなければならんな」と厳しい顔つきで言った。そして、思い出したかのように、
「ところで、石屋のテハは何をしているんだ?」と聞いた。
「テハは他魯毎(たるむい)(山南王)に仕えて、情報集めをしているよ。島尻大里の城下に屋敷があるんだが、豊見グスクの城下にも屋敷を持って、マクムと娘が暮らしている」
「マクムは豊見グスクにいるのか」
「マクムの娘は他魯毎の妹だからな。まだ八歳だが、やがては島尻大里グスクに引き取って、山南王(さんなんおう)の妹としてどこかに嫁がせるつもりなんだろう」
「テハは中山王を探っているのか」
「いや、新垣大親(あらかきうふや)と真栄里大親(めーざとぅうふや)だ。二人とも親父を処刑されたからな。不穏な動きがないか見張っているんだ。それと、真壁按司(まかびあじ)も見張っている。東方(あがりかた)の八重瀬(えーじ)、具志頭(ぐしちゃん)、玻名(はな)グスク、米須(くみし)の城下にも配下の者を置いている。テハよりマクムの方が上手(うわて)だ。テハの動きはマクムを通して、すべて筒抜けだよ。話は変わるが、トゥイ様(前山南王妃)がヤマトゥに行くそうだな」
「そうなんだ。俺も驚いたよ。三月の半ばに、トゥイ様はナーサと一緒に首里(すい)グスクに行って親父に頼んだらしい。親父は二つ返事で承諾したそうだ」
「ナーサがヤマトゥ旅に出たら、『宇久真(うくま)』の女将(おかみ)はどうなるんだ?」
「マユミが女将の代理をするようだが、そろそろ、ナーサも女将を引退するんじゃないかな。若く見えるが、もう六十を過ぎているからな」
「マユミで大丈夫なのか」
「『宇久真』もできてから九年が経っている。遊女(じゅり)たちも入れ替わって、マユミの先輩たちは皆、辞めている。最初からいるのはマユミだけになったんだ。マユミが跡を継ぐしかないだろう。今はまだ頼りない所もあるが、マユミなら女将が務まるさ」
「そうだな。重臣たちの側室に納まった遊女も多い。ヤシマは首里グスクの御内原(うーちばる)の侍女になったし、ミフーはヒューガ殿の側室になって、息子を産んでいるしな」
「お前のお気に入りだったユシヌは外間親方(ふかまうやかた)の後妻に納まったしな」
「ユシヌは可愛かった。まさか、外間親方に取られるとは思ってもいなかった。マユミが女将になったら、お前、マユミを側室に迎えられなくなるぞ」
「何を言っている? マチルギが許すわけないだろう。マチルギで思い出したが、マチルギはお前が去年の正月にキラマの島に行った事に気づいたぞ」
 ニヤニヤしていたウニタキは急に真面目な顔になってサハチを見つめた。
「島添大里のお祭りに来て、ユーナと出会って、ユーナからいつ戻ったのか聞いたそうだ」
「まいったな。その事で、お前に何か言ったのか」
「いや、何も言わない」
「そうか。マチルギに気づかれたか‥‥‥」
「島の者たちはどう思っているんだ?」
「水軍のウーマから聞いたんだが、マチルギはアミーが娘を産んだ六日後にやって来たそうだ。その時、マチルギの機嫌が悪かったので、アミーの相手はお前に違いないと皆が思ったようだ」
「何だ、マチルギの勘違いで、俺だと思われたのか」
「今年の正月、ヒューガ殿が例年通り、島に新年の挨拶に行った。アミーの娘がヒューガ殿になついたので、島の者たちはヒューガ殿が父親かもしれないと思ったようだ。現に、俺がアミーに会いに行った時、ヒューガ殿も一緒だったからな。アミーは神様から授かった娘だから父親の詮索はしないでくれと島の者たちに言ったようだ。ヌルのマレビト神ではないが、アミーは島の者たちに尊敬されているからな。皆も納得して、今は神様の子供だと信じているようだ」
「神様の子供に落ち着いたか。でも、マチルギは知っている。チルーを悲しませるような事をしたら、お前を脅すかもしれんぞ」
「わかっている」とウニタキは苦笑した。

 


 梅雨が明けた青空の下、豊見グスクは子供たちで賑やかだった。去年は山南王と王妃が来ていたが、今年は来ていなかった。王様が来ると警備が厳重になって、庶民たちが萎縮してしまうので、今年は豊見グスク按司に任せたようだった。トゥイ様は島尻大里ヌルと一緒に来ていた。
 クルーが妻のウミトゥクと子供たちを連れてやって来て、豊見グスク按司(ジャナムイ)に歓迎された。ウミトゥクはジャナムイの一つ違いの姉で、今でも頭が上がらなかった。妹の長嶺按司(ながんみあじ)の妻も来ていて、久し振りの再会を喜んだ。
 チューマチ(ミーグスク大親)も妻のマナビーを連れてやって来た。マナビーは姉のマサキ(保栄茂按司の妻)と弟のミン(山南王世子)との再会を喜んだ。
 豊見グスク按司の妻、ナチは叔母との再会を涙を流して喜んでいた。叔母の久場(くば)ヌルは三歳の娘を連れてやって来た。
 久場ヌルから名前を呼ばれた時、ナチには誰だかわからなかった。中グスクヌルだったアヤ叔母さんよと言われて、ナチは久場ヌルをじっと見つめた。知らずに涙が流れてきた。中グスクを奪われた時、叔母も死んだと思っていた。
「叔母さん、生きていたのね‥‥‥」
「もっと早くに会いたかったんだけど、来られなかったわ」
 ナチは涙を拭いて笑いかけると、「今までどこにいたのですか」と聞いた。
「中グスクにいたわ」
「えっ、ずっと捕まっていたのですか」
「そうじゃないわ。新しい中グスク按司の娘をヌルにするための指導をしていたのよ」
「えっ、叔母さんは敵に寝返ったのですか」
 久場ヌルは苦笑して、「あなたから見たらそう見えるわね」と言った。
「あの時、わたしも死ぬつもりだったわ。でも、母に言われて、生きていく決心をしたのよ」
「敵(かたき)を討つためにですか」
 久場ヌルは首を振った。
「あの時、何が起こったのか、教えて下さい」
 久場ヌルはうなづいて、九年前の出来事を思い出しながらナチに話した。目を潤ませて、黙って聞いていたナチは話が終わると、
「もし、弟が降伏していたら、どうなっていたのですか」と聞いた。
「サンルーが降伏したら、中山王の孫娘を嫁に迎えて中グスク按司になれたかもしれないわ」
「そんなの嘘です」
「嘘じゃないわ。中山王は無益な殺しはしないわ。抵抗した者たちは殺されたけど、女や子供たちは助けて実家に帰したのよ。わたしには帰る所もないし中グスクに残ったの」
「母も実家に帰ったのですか」
「そうよ。北谷(ちゃたん)にいるわ」
「母が生きていたなんて‥‥‥」
 ナチは涙をこぼし、堪えきれずに叔母の胸で泣いた。
 翌日、ナチは久場ヌルと一緒に母に会いに北谷に向かった。
 大勢の観客が見守る中、中山王の龍舟(りゅうぶに)と山北王(さんほくおう)の龍舟が競い合って、わずかの差で中山王が優勝した。山北王の龍舟に乗っていたのはテーラーの弟の辺名地之子(ひなじぬしぃ)で、中山王の龍舟に乗っていたのはマガーチ(苗代之子)だった。いつもは弟の慶良間之子(きらまぬしぃ)(サンダー)が乗っていたが、今年は俺がやると言って、見事に優勝を飾っていた。島尻大里ヌルのお陰かなとサハチは思った。
 八日後、島尻大里グスクで、初めてのお祭りが行なわれた。サハチも女子(いなぐ)サムレーたちを引き連れて出掛けた。西曲輪(いりくるわ)が開放されていて、城下の人たちで賑わっていた。ほとんどの人たちがグスクに入るのは初めてで、皆、感激していた。
 今まで閉ざされていたグスクが開放されるなんて夢のようだと言っている者がいた。
 豊見グスクはハーリーの時に開放された。豊見グスク按司は城下の人たちに慕われていた。そんな豊見グスク按司が山南王になってよかった。島尻大里は以前よりも栄えるに違いないと言っている者もいた。
 西曲輪には露店がいくつも出ていて、華やかに飾られた舞台もあった。舞台ではまだ何もやっていないが、島尻大里ヌルと座波(ざーわ)ヌル、ユリとハルとシビーが準備をしていた。サハチたちは舞台に行った。
按司様(あじぬめー)、いらっしゃい」とハルが笑った。
「ユリさんたちのお陰で、うまく行きそうです」と島尻大里ヌルがサハチにお礼を言った。
「お兄様」と言う声で振り返ると、王妃のマチルーがいた。驚いた事にマチルーは女子サムレーの格好だった。
「お前、なんて格好だ?」とサハチは呆れた。
「豊見グスクにいた頃は忘れていたけど、マアサが昔を思い出させてくれたの。わたしが物心ついた頃から、女子サムレーはいて、わたしも憧れていたのよ。お嫁に行かなくていいのだったら、女子サムレーになっていたわ」
「マチルー」と呼ばれて、マチルーが振り返ると懐かしい顔が並んでいた。
 幼馴染みで共に剣術の修行に励んだマイがいた。先輩のカリーと後輩のアミーもいた。
「みんな、よく来てくれたわ。ありがとう」
「王妃として何かと忙しいだろうが、今日はお祭りだ。昔の仲間と昔話でも語れ」
 マチルーは目を潤ませながらうなづいた。
 マチルーの案内で、奥の方にある客殿に行くと、按司たちや重臣たちが酒盛りをしていた。
 以前、ハーリーに行った時の事をサハチは思い出して、場違いな所に来てしまったように感じたが、手を振っているンマムイの姿が見えた。
「兼グスク按司を招待したのか」とサハチがマチルーに聞くと、
「保栄茂按司(ぶいむあじ)の妻のマサキが、兼(かに)グスク按司の奥さんのマハニさんに会いたいと言って招待したのです。ハーリーの時に来なかったので、お祭りに呼んだのです」
「そうだったのか」
 サハチはンマムイを誘おうかとも思ったが、自分の命を狙ったシタルーへの恨みがあるので来ないだろうと思って誘わなかった。昔の事なんか忘れたような顔をして、重臣たちと酒を飲んでいるンマムイを見て、サハチは笑った。
 マチルーは女子サムレーたちを連れて、どこかに行った。
 ンマムイがいたお陰で、サハチもその場に馴染む事ができた。去年の戦の時、名前を何度も聞いたが会った事のなかった重臣たちと酒を酌み交わした。寝返った振りをしていた照屋大親(てぃらうふや)はさすがに貫禄のある男だった。この男がいれば他魯毎も大丈夫だろうと思った。グスク内の蔵を守るために残った波平大親(はんじゃうふや)は、成程、この男かとうなづける男だった。二人は裏切り者と言われながらも先代の王妃に従っていた。マチルーも重臣たちに慕われる王妃になってほしいとサハチは思った。
 他魯毎の弟たちにも初めて会った。豊見グスク按司も保栄茂按司も阿波根按司(あーぐんあじ)も、按司の息子として、何不自由なく育ったという感じだが、妹婿の長嶺按司は一癖ありそうな気がした。山南王だった兄が朝鮮に逃げてしまい、その後、苦労したのかもしれなかった。
 お芝居が始まるというので、サハチはンマムイと一緒に舞台の近くまで行った。すでに、大勢の子供連れの人たちが舞台の前に座り込んでいた。サハチとンマムイは一番後ろに座って、マアサが作った女子サムレーたちが演じる『瓜太郎(ういたるー)』を観た。初めてにしてはまあまあの出来栄えで、観客たちは指笛を鳴らして喜んでいた。
 休憩を挟んで、旅芸人たちのお芝居『王妃様(うふぃー)』が始まった。サハチは途中まで観て引き上げる事にした。今晩、ルクルジルーたちの送別会が『宇久真』であるので、日が暮れる前に首里に行かなければならなかった。
 ンマムイも一緒に帰るというので、客殿にいた侍女に、女子サムレーたちを呼んでもらった。
「お前は泊まって行けばいいだろう」とサハチがンマムイに言ったら、
「俺はいいんだけど、マハニが怖いと言うんだ」と言った。
「そうか。ひどい目に遭わされたからな」
 女子サムレーたちは客殿の二階にいたようだった。マハニとンマムイが連れてきた女子サムレーも一緒だった。
 サハチがマハニに挨拶をしていたら、
按司様、お久し振りです」とンマムイの女子サムレーの隊長が言った。
 サハチには誰だかわからなかった。
「馬天浜のマシューと一緒に佐敷グスクに通って剣術を習っていたフニです」
 馬天浜のマシューはシビーの姉だった。二人が仲良く、マチルギから剣術を習っていたのをサハチは思い出した。
「確か、糸満(いちまん)に嫁いだのではなかったのか」
「そうです。嫁いだ翌年、阿波根(あーぐん)にグスクができて、夫がサムレーになりたいと言い出したのです。わたしが鍛えて、夫はサムレーになれました」
「そうか、お前が鍛えたのか」とサハチは笑った。
「わたしと同期だったのです」とカリーが言った。
「こんな所で会うなんて、本当に驚きました。あの頃、わたしより強かったので、お嫁に行くなんて勿体ないと思っていたんですけど、兼グスクの女子サムレーの隊長を務めていると聞いて、わたしも喜びました」
「そうか。阿波根グスクで娘たちを鍛えていたのはお前だったのか」
「そうです。そして、女子サムレーを作りました」
「これから首里に行くんだが、お前も来ないか。マチルギか喜ぶだろう」
「お師匠に会いたい」と言ってフニはンマムイを見た。
「よし、俺たちも首里に行こう」とンマムイは笑った。
 首里に行ったフニはマチルギとの再会を喜び、同期だった『まるずや』の主人のサチルーとも再会を喜んだ。
 サハチはンマムイを連れて、『宇久真』に行った。ヤマトゥに帰るルクルジルーたち、シンゴとマグサ、交易船に乗るクルー、ジクー禅師、クルシ、福寿坊、北原親方(にしばるうやかた)、クレー、朝鮮に行く本部大親(むとぅぶうふや)、越来大親(ぐいくうふや)、チョルとカンスケたちが集まった。北原親方は首里一番組の副隊長だったが、伊是名親方(いぢぃなうやかた)(マウー)が与那原大親(ゆなばるうふや)になったので、四番組のサムレー大将になっていた。思紹(ししょう)も途中から顔を出して、
「ヤマトゥは戦をやっているかもしれん。無理をせず、充分に気を付けて行って来てくれ」と言った。
 翌日は馬天浜の『対馬館』で送別会があり、船乗りたちと一緒に浜辺で酒盛りを楽しんだ。
 その翌日、ルクルジルーたちは帰って行った。シンゴの船にはウニタキの次男のマサンルーとマガーチの長男のサジルーがクレーと一緒に乗っていた。
「マシュー(安須森ヌル)もマユもいないので、今年は退屈だった」とシンゴは笑った。
「もうすぐ、無事に帰って来るだろう。南の島の人たちを連れてな。来年まで我慢しろ」
「来年は今帰仁攻めだろう」
「予定はそうなんだが、相手の出方次第だな。南部の状況はいいんだが、ヤンバルの按司たちを分断しなければならない」
「お前の事だから大丈夫だと思うが、負ける戦はするなよ」
「わかっている。焦らず、時期を見極めるつもりだ。若い二人をよろしく頼む」
 シンゴはうなづくと小舟(さぶに)に乗って船に向かった。
 浮島では交易船が船出していた。トゥイ様とナーサはマアサが率いる女子サムレー四人と一緒に船に乗り込んだ。越来(ぐいく)ヌルのハマはタミーの事を心配して、今年もヤマトゥ旅に出た。
 勝連では朝鮮に行く船が船出した。
 十日後、サハチが世子(せいし)尚巴志(しょうはし)の名前で送る進貢船が船出した。正使は末吉大親、副使は桃原之子(とうばるぬしぃ)、サムレー大将は外間親方と勝連(かちりん)のサムレー大将、屋慶名親方(やきなうやかた)が五十人のサムレーを率いて乗っていた。毎年、行っているクグルーとシタルーも行き、平田のサングルー、中グスク按司の長男のマジルー、佐敷のシングルーとヤキチの兄弟も唐旅(とうたび)に出掛けた。
 シングルーはヤマトゥ旅から帰って、ファイリンと一緒になったため、明国には行っていなかった。ファイリンから明国の言葉を習い、いつか正使になって、ファイリンを明国に連れて行くと張り切っていた。

 

 

 

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目次 第二部

尚巴志伝 第二部

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このイラストはは和々様よりお借りしました。



  1. 山田のウニウシ(第二稿)   護佐丸、尚巴志を頼って首里に行く。
  2. 胸のときめき(第二稿)   護佐丸、島添大里で恋をする。
  3. 恋の季節(第二稿)   サグルーとササ、山田で魂を抜かれる。
  4. キラマの休日(第二稿)   尚巴志夫婦、毎年恒例の旅で慶良間の島に行く。
  5. ナーサの遊女屋(第二稿)   中山王の家臣たちの懇親の宴。
  6. 宇座の古酒(第二稿)   尚巴志、宇座の御隠居の倅と古酒を飲む。
  7. 首里の初春(第三稿)  中山王となった思紹の初めての正月。
  8. 遙かなる船路(第二稿)  尚巴志、ウニタキ、懐機、明国に行く。
  9. 泉州の来遠駅(第二稿)   明国に着いた尚巴志たちは来遠駅に落ち着く。
  10. 麗しき三姉妹(第二稿)   尚巴志たち、福州に行きメイファンと再会する。
  11. 裏切り者の末路(第二稿)   尚巴志たち、メイファンの敵討ちを助ける。
  12. 島影に隠れた海賊船(第二稿)   尚巴志たち、明の海賊船に乗る。
  13. 首里のお祭り(第二稿)   護佐丸、ササたちと祭りの警備をする。
  14. 富楽院の桃の花(第二稿)   尚巴志たち、明国の都、応天府に着く。
  15. 応天府の夢に酔う(第二稿)   尚巴志たち、最高級の妓楼で夢を見る。
  16. 真武神の奇跡(第二稿)   討伐軍を破って皇帝になった永楽帝
  17. 武当山の仙人(第二稿)   尚巴志たち、武当山で張三豊と出会う。
  18. 霞と拳とシンシンと(第二稿)   尚巴志とウニタキ、張三豊に武術を習う。
  19. 刺客の背景(第二稿)   馬天ノロ、刺客の正体を探る。
  20. 龍虎山の天師(第二稿)   尚巴志たち、道教の本山、龍虎山に行く。
  21. 西湖のほとりの幽霊屋敷(第二稿)   尚巴志たち、三姉妹と再会する。
  22. 清ら海、清ら島(第二稿)  三姉妹と張三豊が琉球に来る。
  23. 今帰仁の天使館(第二稿)   旅に出た張三豊たちが帰って来る。
  24. 山北王の祝宴(第二稿)   攀安知、志慶真の長老から今帰仁の歴史を聴く。
  25. 三つの御婚礼(第二稿)   サグルー、尚忠、護佐丸、妻を迎える。
  26. マチルギの御褒美(第二稿)   尚巴志、妻のマチルギにしぼられる。
  27. 廃墟と化した二百年の都(第二稿)   尚巴志、ウニタキと浦添に行く。
  28. 久高島参詣(第二稿)  思紹王、女たちを連れて久高島へ行く。
  29. 丸太引きとハーリー(第二稿)   尚巴志、豊見グスクでハーリーを見る。
  30. 浜辺の酒盛り(第二稿)   尚巴志、ヤマトゥに行くマチルギたちを見送る。
  31. 女たちの船出(第二稿)   マチルギたち、長い船旅を楽しみ博多に着く。
  32. 落雷(第二稿)   尚巴志、雷鳴を聞きながらマジムン退治を思い出す。
  33. 女の闘い(第二稿)   三姉妹の船が来て、メイユーとナツが会う。
  34. 対馬の海(第二稿)   マチルギ、対馬島でイトとユキに会う。
  35. 龍の爪(第二稿)   尚巴志、ウニタキ、懐機、朝鮮旅の計画を練る。
  36. 笛の調べ(第二稿)   久し振りに佐敷グスクから笛の音が流れる。
  37. 初孫誕生(第二稿)   尚忠の長男、尚志達、生まれる。
  38. マチルギの帰還(第二稿)   女たちがヤマトゥから無事に帰国する。
  39. 娘からの贈り物(第二稿)   尚巴志、マチルギから旅の話を聞く。
  40. ササの強敵(第二稿)   馬天ノロ、日代(ティーダシル)の石を探し始める。
  41. 眠りから覚めたガーラダマ(第二稿)   ササ、読谷山で古い勾玉を見つける。
  42. 兄弟弟子(第二稿)   尚巴志、兼グスク按司武当拳の試合をする。
  43. 表舞台に出たサグルー(第二稿)   サグルー、尚巴志の代理を見事に務める。
  44. 中山王の龍舟(第二稿)   ウニタキの新しい隠れ家が完成する。
  45. 佐敷のお祭り(第二稿)   尚巴志の一節切と佐敷ヌルの横笛に大喝采
  46. 博多の呑碧楼(第二稿)   朝鮮旅に出た尚巴志たち、博多に着く。
  47. 瀬戸内の水軍(第二稿)   尚巴志村上水軍と塩飽水軍の頭領と会う。
  48. 七重の塔と祇園祭り(第二稿)   尚巴志たち、京都に着く。
  49. 幽玄なる天女の舞(第二稿)   尚巴志が一節切を吹くと美女が舞う。
  50. 天空の邂逅(第二稿)   尚巴志たち、七重の塔に登って感激する。
  51. 鞍馬山(第二稿)   尚巴志たち、鞍馬山で武術修行。
  52. 唐人行列(第二稿)   尚巴志、増阿弥の芸に感動する。
  53. 対馬の娘(第二稿)   尚巴志、イトと再会、ユキとミナミに会う。
  54. 無人島とアワビ(第二稿)   尚巴志、昔の顔なじみと再会する。
  55. 富山浦の遊女屋(第二稿)   尚巴志たち、富山浦(釜山)に渡る。
  56. 渋川道鎮と宗讃岐守(第二稿)   尚巴志九州探題対馬守護に会う。
  57. 漢城府(第二稿)   尚巴志たち、朝鮮の都に到着する。
  58. サダンのヘグム(第二稿)   尚巴志たち、ナナの案内で都見物。
  59. 開京の将軍(第二稿)   尚巴志たち、高麗の都に行く。
  60. 李芸とアガシ(第二稿)   尚巴志、李芸と会う。
  61. 英祖の宝刀(第二稿)   佐敷ノロ、神様の声を聞いて宝刀を探す。
  62. 具志頭按司(第二稿)   佐敷ノロ、お祭りでお芝居を上演する。
  63. 対馬慕情(第二稿)   尚巴志、家族を連れて舟旅に出る。
  64. 旧港から来た娘(第二稿)   尚巴志、旧港の施二姐と会う。
  65. 龍天閣(第二稿)  尚巴志、旧港の船を連れて琉球に帰る。
  66. 雲に隠れた初日の出(第二稿)   尚巴志、上間グスクの警固を強化する。
  67. 勝連の呪い(第二稿)   尚巴志の義兄サムが勝連按司になる。
  68. 思紹の旅立ち(第二稿)   思紹、張三豊と一緒に明国に行く。
  69. 座ったままの王様(第二稿)   佐敷大親とジクー禅師、ヤマトゥに行く。
  70. 二人の官生(第二稿)   尚巴志、明国に送る留学生を決める。
  71. ンマムイが行く(第二稿)   兼グスク按司、家族を連れて今帰仁に行く。
  72. ヤンバルの夏(第二稿)   兼グスク按司、家族を連れてヤンバルを巡る。
  73. 奥間の出会い(第二稿)   兼グスク按司、奥間で隠し事を聞いて驚く。
  74. 刺客の襲撃(第二稿)   兼グスク按司、ヤンバルの山中で襲われる。
  75. 三か月の側室(第二稿)   メイユー、尚巴志の側室になる。
  76. 百浦添御殿の唐破風(第二稿)   首里グスク正殿の改築が完成する。
  77. 武当山の奇跡(第二稿)   思紹、武当山で張三豊の凄さを知る。
  78. イハチの縁談(第二稿)   米須按司と玻名グスク按司が東方に寝返る。
  79. 山南王と山北王の同盟(第二稿)   山北王の娘が山南王の三男に嫁いで来る。
  80. ササと御台所様(第二稿)   ササ、伊勢神宮で神様の声を聞く。
  81. 玉依姫(第二稿)   ササ、豊玉姫のお墓で玉依姫の声を聞く。
  82. 伊平屋島と伊是名島(第二稿)   伊平屋島の親戚たちが逃げてくる。
  83. 伊平屋島のグスク(第二稿)   サグルーと尚忠と護佐丸、伊平屋島に行く。
  84. 豊玉姫(第二稿)   ヒューガの師匠、慈恩禅師が琉球に来る。
  85. 五年目の春(第二稿)   尚巴志、龍天閣で今年の計画を練る。
  86. 久高島の大里ヌル(第二稿)   ササ、神様から願い事を頼まれる。
  87. サグルーの長男誕生(第二稿)   兼グスク按司の新しいグスクが完成する。
  88. 与論島(第二稿)   ウニタキ、与論島に行き、与論ヌルと再会する。
  89. ユンヌのお祭り(第二稿)   尚巴志、ササたちと与論島に行く。
  90. 伊是名島攻防戦(第二稿)   伊是名島で中山王と山北王の戦が始まる。
  91. 三王同盟(第二稿)   中山王と山北王の同盟が決まり、山南王も加わる。
  92. ハルが来た(第二稿)   山南王から尚巴志に側室が贈られる。
  93. 鉄炮(第二稿)   三姉妹がアラビアの商品と鉄炮を持って来る。
  94. 熊野へ(第二稿)   ササ、将軍様の奥方と一緒に熊野詣でに出掛ける。
  95. 新宮の十郎(第二稿)   サスカサ、神倉山で十郎の話を聞く。
  96. 奄美大島のクユー一族(第二稿)   本部のテーラー奄美大島を攻める。
  97. 大聖寺(第二稿)   首里に最初のお寺が完成する。
  98. ジャワの船(第二稿)   ヤマトゥに行った交易船がジャワの船を連れて来る。
  99. ミナミの海(第二稿)   早田左衛門太郎が、イトとユキとミナミを連れて来る。
  100. 華麗なる御婚礼(第二稿)   チューマチ、山北王の娘マナビーを妻に迎える。
  101. 悲しみの連鎖(第二稿)   玉グスク按司から始まって、続けて五人が亡くなる。
  102. 安須森(第二稿)   佐敷ノロ、ササたちを連れて安須森に行く。
  103. 送別の宴(第二稿)   尚巴志、早田左衛門太郎たちを連れて慶良間の島に行く。
  104. アキシノ(第二稿)   ヤマトゥ旅に出た佐敷ノロとササたち、厳島神社に行く。
  105. 小松の中将(第二稿)   大原寂光院で高橋殿が平維盛と華麗に舞う。
  106. ヤンバルのウタキ巡り(第二稿)   馬天ノロたち、今帰仁に行く。
  107. 屋嘉比のお婆(第二稿)   馬天ノロ、安須森で神様にお礼を言われる。
  108. 舜天(第二稿)   馬天ノロ浦添ノロを連れて喜舎場森に行く。
  109. ヌルたちのお祈り(第二稿)   馬天ノロたち、南部のウタキを巡る。
  110. 鳥居禅尼(第二稿)   佐敷ノロ、熊野で平維盛の足跡をたどる。
  111. 寝返った海賊(第二稿)   三姉妹が来て、大きな台風も来る。
  112. 十五夜(第二稿)   サスカサ、島添大里グスクで中秋の名月を祝う。
  113. 親父の悪夢(第二稿)   山南王、悪夢にうなされて、出陣を決意する。
  114. 報恩寺(第二稿)   ヤマトゥの交易船が旧港の船を連れて帰国する。
  115. マツとトラ(第二稿)   尚巴志対馬の旧友を連れて首里に行く。
  116. 念仏踊り(第二稿)   辰阿弥が首里のお祭りで念仏踊りを踊る。
  117. スサノオ(第二稿)   懐機の娘が佐敷大親の長男に嫁ぐ。
  118. マグルーの恋(第二稿)   ヤマトゥ旅に出たマグルーを待っている娘。
  119. 桜井宮(第二稿)   馬天ノロ、各地のノロたちを連れて安須森に行く。
  120. 鬼界島(第二稿)   山北王の弟、湧川大主、喜界島を攻める。
  121. 盂蘭盆会(第二稿)   三姉妹、パレンバン、ジャワの船が琉球にやって来る。
  122. チヌムイ(第二稿)   山南王、汪応祖、死す。
  123. タブチの決意(第二稿)   弟の死を知ったタブチは隠居する。
  124. 察度の御神刀(第二稿)   タブチ、山南王になる。
  125. 五人の御隠居(第二稿)   汪応祖の死を知った思紹、戦評定を開く。
  126. タブチとタルムイ(第二稿)   八重瀬グスクで戦が始まる。
  127. 王妃の思惑(第二稿)   汪応祖の葬儀のあと、戦が再開する。
  128. 照屋大親(第二稿)   山南王の進貢船が帰って来る。
  129. タブチの反撃(第二稿)   タブチ、豊見グスクを攻める。
  130. 喜屋武グスク(第二稿)   尚巴志、チヌムイとミカに会う。
  131. エータルーの決断(第二稿)   タブチの長男、けじめをつける。
  132. 二人の山南王(第二稿)   島尻大里グスク、他魯毎軍に包囲される。
  133. 裏の裏(第二稿)   尚巴志、具志頭グスクを開城させる。
  134. 玻名グスク(第二稿)   尚巴志、玻名グスクを攻める。
  135. 忘れ去られた聖地(第二稿)   尚巴志とササ、古いウタキを巡る。
  136. 小渡ヌル(第二稿)   尚巴志、小渡ヌルと出会う。
  137. 山南志(第二稿)   宅間之子、山南の歴史書「山南志」を完成させる。
  138. ササと若ヌル(第二稿)   ササ、4人の若ヌルの師匠になる。
  139. 山北王の出陣(第二稿)   中山王と山北王が山南王の戦に介入する。
  140. 愛洲のジルー(第二稿)   ササのマレビト神が馬天浜にやって来る。
  141. 落城(第二稿)   護佐丸、玻名グスク攻めで活躍する。
  142. 米須の若按司(第二稿)   島添大里のお祭りの後、尚巴志は米須に行く。
  143. 山グスク(第二稿)   米須グスクを落とした尚巴志、山グスクに行く。
  144. 無残、島尻大里(第二稿)   他魯毎、島尻大里グスクに総攻撃を掛ける。
  145. 他魯毎(第二稿)   他魯毎、山南王に就任する。
  146. 若按司の死(第二稿)   ササ、宮古島の事を調べる。
  147. 久高ヌル(第二稿)   一月遅れの久高島参詣。
  148. 山北王が惚れたヌル(第二稿)   攀安知、古宇利島に行く。
  149. シヌクシヌル(第二稿)   ササ、斎場御嶽で運玉森ヌルに就任する。
  150. 慈恩寺(第二稿)   武術道場の慈恩寺が完成する。
  151. 久米島(第二稿)   尚巴志、ウニタキ、懐機、久米島に行く。
  152. クイシヌ(第二稿)   尚巴志、ニシタキ山頂で一節切を吹く。
  153. 神懸り(第二稿)   玻名グスクヌル、安須森で神懸りする。
  154. 武装船(第二稿)   ウニタキ、山北王の軍師と酒を飲む。
  155. 大里ヌルの十五夜(第二稿)   久高島大里ヌル、島添大里グスクに来る。
  156. 南の島を探しに(第二稿)   ササと安須森ヌル、愛洲次郎の船で宮古島に行く。
  157. ミャーク(第二稿)   ササたち、与那覇勢頭と目黒盛豊見親と会う。
  158. 漲水のウプンマ(第二稿)   ササたち、漲水のウプンマと一緒に狩俣に戻る。
  159. 池間島のウパルズ様(第二稿)   クマラパ、ウバルズ様に怒られる。
  160. 上比屋のムマニャーズ(第二稿)   ササたち、平家の子孫と会う。
  161. 保良のマムヤ(第二稿)   ササと安須森ヌル、アラウスの古いウタキに入る。
  162. 伊良部島のトゥム(第二稿)   高腰グスクの熊野権現で神様たちと酒盛り。
  163. スタタンのボウ(第二稿)   ササたち、来間島に寄って多良間島に行く。
  164. 平久保按司(第二稿)   アホウドリに歓迎されたササたち、平久保按司と会う。
  165. ウムトゥ姫とマッサビ(第二稿)   ササたち、ノーラ姫とウムトゥ姫に会う。
  166. 神々の饗宴(第二稿)   於茂登岳の山頂で、神様たちと酒盛り。
  167. 化身(第二稿)   名蔵の白石御嶽と水瀬御嶽で神様と会う。
  168. ヤキー退治(第二稿)   ササたち屋良部岳に登り、山頂で雷雨に遭う。
  169. タキドゥン島(第二稿)   タキドゥンの話を聞いて驚くササたち。
  170. ユーツンの滝(第二稿)   クンダギに登って、イリウムトゥ姫と会う。
  171. ドゥナン島(第二稿)   ササたち、クン島からドゥナン島へ向かう。
  172. ユウナ姫(第二稿)   ウラブダギに登ったササたち、ドゥナン島の村を巡る。
  173. 苗代大親の肩の荷(第二稿)   尚巴志、苗代大親の隠し事を知って笑う。
  174. さらばヂャンサンフォン(第二稿)   会同館で三姉妹たちの送別の宴が開催。
  175. トゥイの旅立ち(第二稿)   前山南王妃、ナーサと一緒に奥間に行く。
  176. 今帰仁での再会(第二稿)   前山南王妃、今帰仁に行って姪と会う。
  177. アミーの娘(第二稿)   尚巴志、ウニタキからトゥイの事を聞く。
  178. 婿入り川(第二稿)   山北王の若按司が山南王の婿になる。
  179. クブラ村の南遊斎(第二稿)   ササたち、ダンヌ村からクブラ村に行く。
  180. 仕合わせ(第二稿)   ササと愛洲次郎、二人だけの時を過ごす。
  181. ターカウ(第二稿)   ササたち、黒潮を越えて台湾に行く。
  182. 伝説の女海賊(第二稿)   ササたち、高雄で女海賊の活躍を聞く。
  183. 龍と鳳凰(第一稿)   唐人町の宮殿にお世話になるササたち。
  184. トンド(第一稿)   ササたち、トンド王国に着く。
  185. 山北王の進貢(第一稿)  リュウイン、山北王の使者として明国に行く。
  186. 二つの婚礼(第一稿)   マグルーとマウミ、ウニタルとマチルーが結ばれる。
  187. 若夫婦たちの旅(第一稿)   ウニタル夫婦とマグルー夫婦、旅に出る。
  188. サハチの名は尚巴志(第一稿)   今帰仁のお祭りからウニタキが帰って来る。
  189. トンドの新春(第一稿)   ササたち、新年の祝宴で二日酔い。
  190. パティローマ(第一稿)   ササたち、波照間島に行く。
  191. キキャ姫の遊戯(第一稿)   湧川大主、喜界島を攻める。
  192. 尚巴志の進貢(第一稿)   サハチ、尚巴志の名前で進貢船を送る。



主要登場人物

 

第一部 目次

目次 第一部

尚巴志伝 第一部 月代の石

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このイラストはは和々様よりお借りしました。

 

  1. 誕生(最終決定稿)   尚巴志、佐敷苗代に生まれる。
  2. 馬天浜(最終決定稿)   サミガー大主とヤマトゥの山伏、クマヌ。
  3. 察度と泰期(最終決定稿)   浦添按司察度、過去を振り返る。
  4. 島添大里グスク(最終決定稿)   島添大里グスク、汪英紫に奪われる。
  5. 佐敷グスク(最終決定稿)   尚巴志の父、佐敷按司になる。
  6. 大グスク炎上(最終決定稿)   大グスク、汪英紫(島添大里按司)に奪われる。
  7. ヤマトゥ酒(最終決定稿)   早田三郎左衛門、馬天浜に来る。
  8. 浮島(最終決定稿)   尚巴志、早田左衛門太郎と旅に出る。
  9. 出会い(最終決定稿)   尚巴志、伊波按司の娘と剣術の試合をする。
  10. 今帰仁グスク(最終決定稿)   尚巴志、今帰仁に行く。
  11. 奥間(最終決定稿)   尚巴志、奥間村に滞在する。
  12. 恋の病(最終決定稿)   旅から帰った尚巴志、マチルギを想う。
  13. 伊平屋島(最終決定稿)   尚巴志、祖父の故郷に行く。
  14. ヤマトゥ旅(最終決定稿)   尚巴志、ヤマトゥへ旅立つ。
  15. 壱岐島(最終決定稿)   尚巴志、壱岐島で察度の噂を聞く。
  16. 博多(最終決定稿)   尚巴志、ヤマトゥの都を見て驚く。
  17. 対馬島(最終決定稿)   尚巴志、早田左衛門太郎の故郷に滞在する。
  18. 富山浦(最終決定稿)   尚巴志、高麗に行く。
  19. マチルギ(最終決定稿)   尚巴志の恋敵、ウニタキ現れる。
  20. 兵法(最終決定稿)   尚巴志、対馬で修行に励む。
  21. 再会(最終決定稿)   帰って来た尚巴志、マチルギと再会。
  22. ウニタキ(最終決定稿)   尚巴志、ウニタキと一緒に勝連グスクに行く。
  23. 名護の夜(最終決定稿)   尚巴志、マチルギと今帰仁に行く。
  24. 山田按司(最終決定稿)   尚巴志、マチルギの叔父、山田按司と会う。
  25. お輿入れ(最終決定稿)   マチルギ、尚巴志に嫁ぐ。
  26. 高麗の対馬奇襲(最終決定稿)   早田左衛門太郎の本拠地、高麗に攻められる。
  27. 豊見グスク(最終決定稿)   シタルー(汪応祖)、豊見グスクを築く。
  28. サスカサ(最終決定稿)   尚巴志とマチルギ、馬天ノロと旅に出る。
  29. 長男誕生(最終決定稿)   マチルギと馬天ノロ、神様になる。
  30. 出陣命令(最終決定稿)   察度、各按司に今帰仁征伐を命じる。
  31. 今帰仁合戦(最終決定稿)   中山王、山北王の今帰仁グスクを攻める。
  32. 次男誕生(最終決定稿)  尚巴志の次男(尚忠)と山田按司の次男(護佐丸)生まれる。
  33. 十年の計(最終決定稿)   尚巴志、佐敷按司(父)、鮫皮大主(祖父)と密談する。
  34. 東行法師(最終決定稿)   父が隠居して、尚巴志、佐敷按司となる。
  35. 首里天閣(最終決定稿)   察度、浦添按司を武寧に譲って隠居する。
  36. 浜川大親(最終決定稿)   ウニタキは妻子を殺され、シタルーは明に行く。
  37. 旅の収穫(最終決定稿)   奥間のサタルーと対馬のユキ。
  38. 久高島(最終決定稿) 尚巴志はマチルギに怒られ、ウニタキはチルーといい感じ。
  39. 運玉森(最終決定稿)   三好日向、尚巴志のために山賊になる。
  40. 山南王(最終決定稿)   承察度が亡くなり、若按司が山南王になる。
  41. 傾城(最終決定稿)   山南王、中山王の怒りを買って、汪英紫に攻められる。
  42. 予想外の使者(最終決定稿)   尚巴志夫婦、弟のマサンルー夫婦と旅をする。
  43. 玉グスクのお姫様(最終決定稿)   尚巴志、玉グスクと同盟を結ぶ。
  44. 察度の死(最終決定稿)   山北王のミンと奥間の長老も亡くなる。
  45. 馬天ヌル(最終決定稿)   馬天ノロ、御嶽巡りの旅に出る。
  46. 夢の島(最終決定稿)   早田左衛門太郎、慶良間の夢の島に行く。
  47. 佐敷ヌル(最終決定稿)  尚巴志の妹、マシューの気持ちとマカマドゥの決心。
  48. ハーリー(最終決定稿)   尚巴志夫婦と佐敷ノロ、ハーリーを見物。
  49. 宇座の御隠居(最終決定稿)   宇座の泰期が亡くなり、尚巴志夫婦は悲しむ。
  50. マジムン屋敷の美女(最終決定稿)  尚巴志、島添大里グスクに側室を入れる。
  51. シンゴとの再会(最終決定稿)   早田左衛門太郎、朝鮮に投降する。
  52. 不思議な唐人(最終決定稿)   尚巴志、懐機と出会う。
  53. 汪英紫、死す(最終決定稿)   懐機、旅から帰り、武術を披露する。
  54. 家督争い(最終決定稿)   達勃期と汪応祖が山南王の家督を争う。
  55. 大グスク攻め(最終決定稿)   尚巴志、大グスクを攻め落とす。
  56. 作戦開始(最終決定稿)   尚巴志、大グスクノロと再会する。
  57. シタルーの非情(最終決定稿)   達勃期、弟の汪応祖に敗れる。
  58. 奇襲攻撃(最終決定稿)   尚巴志、島添大里グスクを攻め落とす。
  59. 島添大里按司(最終決定稿)   尚巴志、島添大里按司になる。
  60. お祭り騒ぎ(最終決定稿)   尚巴志、城下の者たちと戦勝祝い。
  61. 同盟(最終決定稿)   尚巴志、山南王と同盟する。
  62. マレビト神(最終決定稿)   外間ノロと佐敷ノロにマレビト神が現れる。
  63. サミガー大主の死(最終決定稿)   神の声を聞いたウニタキ。
  64. シタルーの娘(最終決定稿)   山南王のお姫様の悩みと青い海
  65. 上間按司(最終決定稿)   明国の使者が二十年振りにやって来る。
  66. 奥間のサタルー(最終決定稿)   尚巴志、奥間ノロに魅了される。
  67. 望月ヌル(最終決定稿)   謎の爺さん、望月党を語る。
  68. 冊封使(最終決定稿)   首里の宮殿の儀式で、武寧と汪応祖、正式に王になる。
  69. ウニョンの母(最終決定稿)   ウニタキ、亡くなった妻の秘密を知る。 
  70. 久米村(最終決定稿)   尚巴志とウニタキ、懐機に呼ばれて久米村に行く。
  71. 勝連無残(最終決定稿)   勝連按司が奇病に倒れる。 
  72. 伊波按司(最終決定稿)   大きな台風が来て各地で被害が出る。
  73. ナーサの望み(最終決定稿)   ウニタキ、ナーサを味方に引き入れる。
  74. タブチの野望とシタルーの誤算(最終決定稿)  八重瀬按司、中山王と同盟する。
  75. 首里グスク完成(最終決定稿)   中山王と山南王の決戦が迫る。
  76. 首里のマジムン(最終決定稿)   尚巴志、首里グスクを奪い取る。 
  77. 浦添グスク炎上(最終決定稿)   浦添グスクは焼け落ち、亜蘭匏は消える。
  78. 南風原決戦(最終決定稿)   尚巴志、中山軍を壊滅させる。
  79. 包囲陣崩壊(最終決定稿)   達勃期は出直し、汪応祖は首里を攻める。
  80. 快進撃(最終決定稿)   尚巴志、中グスク、越来グスクを攻め落とす。
  81. 勝連グスクに雪が降る(最終決定稿)   尚巴志、勝連グスクを落とす。

 

尚巴志伝 第二部 目次

 

・尚巴志伝の年表

・第一部の主要登場人物

・尚巴志の略歴

・尚巴志の祖父、サミガー大主の略歴

・尚巴志の父、思紹の略歴

・馬天ヌル(馬天ノロ)の略歴

・中山王、察度の略歴

・中山王、武寧の略歴

・汪英紫の略歴

・山南王、汪応祖の略歴

・泰期の略歴

・クマヌの略歴

・三好日向の略歴

・早田左衛門太郎の略歴

・ウニタキの略歴

・懐機の略歴

・倭寇年表

第二部 主要登場人物

サハチ       1372-1439  尚巴志。島添大里按司
マチルギ      1373-    尚巴志の妻。伊波按司の娘。
サグルー      1390-    尚巴志の長男。妻は護佐丸の妹、マカトゥダル。
ジルムイ      1391-    尚巴志の次男。後の尚忠。妻はサムの娘、ユミ。
ミチ        1393-    尚巴志の長女。島添大里ヌル、サスカサ。
イハチ       1394-    尚巴志の三男。妻は具志頭按司の娘、チミー。
チューマチ     1396-    尚巴志の四男。妻は山北王の娘、マナビー。
マグルー      1398-1453  尚巴志の五男。妻は兼グスク按司の娘、マウミ。
思紹        1354-1421 中山王。尚巴志の父。
佐敷ヌル      1374-    尚巴志の妹、マシュー。シンゴと結ばれ娘を産む。
佐敷大親      1376-    尚巴志の弟、マサンルー。妻は奥間大親の娘、キク。
平田大親      1378-    尚巴志の弟、ヤグルー。妻は玉グスク按司の娘。
与那原大親     1383-    尚巴志の弟、マタルー。妻はタブチの娘、マカミー。
クルー       1388-    尚巴志の弟、妻は山南王シタルーの娘、ウミトゥク。
馬天ヌル      1357-    思紹の妹、尚巴志の叔母。
ササ        1391-    馬天若ヌル。父はヒューガ。母は馬天ヌル。
ヒューガ      1355-1470 三好日向。中山の水軍大将。
苗代大親      1360-    思紹の弟。サムレー総隊長。武術師範。
マカマドゥ     1392-    苗代大親の三女。マウシ(護佐丸)の妻。
クグルー      1386-    泰期の三男。苗代大親の娘婿。
サミガー大主    1356-    思紹の弟、ウミンター。
シビー       1395-    尚巴志の従妹。メイユーの弟子になる。
ウニタキ      1372-1433 三星大親。「三星党」の頭。
チルー       1368-    ウニタキの妻。尚巴志の母の妹。
イーカチ      1373-    「三星党」の副頭。絵画き。
ナツ        1381-    ウニタキの配下から尚巴志の側室になる。
シズ        1389-    ウニタキの配下。ササと一緒にヤマトゥに行く。
ヤールー      1385-    ウニタキの配下。サグルーを守っている。
ファイチ      1375-1453 懐機。明国の道士。尚巴志の客将。
サスカサ      1354-    ミチにサスカサを譲り、運玉森ヌルになる。
マウシ       1391-1458 真牛。山田按司の次男。尚巴志の甥。護佐丸。
マカトゥダル    1392-    護佐丸の妹。サグルーの妻。
マサルー      1364-    山田按司の家臣。
シラー       1391-    マサルーの次男。
クマヌ       1346- 1412 中グスク按司。中山の重臣
美里之子      1362-    越来按司。中山の重臣。思紹の義弟。
當山之子      1365-    美里之子の弟。浦添按司になる。
クサンルー     1387-    當山之子の長男。浦添按司
カナ        1391-    當山之子の長女。浦添ヌル。
サム        1372-    後見役から勝連按司になる。伊波按司の四男。
ユミ        1392-    サムの長女。ジルムイ(尚忠)の妻。
ナーサ       1352-    首里の遊女屋「宇久真」の女将。
マユミ       1389-    「宇久真」の遊女。
宇座按司      1355-    泰期の次男。父の跡を継いで明国への使者となる。
シタルー      1362-1413  山南王。汪応祖
トゥイ       1363-    シタルーの正妻。山南王妃。察度の娘。
タルムイ(他魯毎) 1385-1429  豊見グスク按司。シタルーの長男。妻は尚巴志の妹。
豊見グスクヌル   1382-    シタルーの長女。タルムイの姉。
兼グスク按司    1389-    ジャナムイ。シタルーの次男。
保栄茂按司     1393-    グルムイ。シタルーの三男。妻は山北王の娘。
長嶺按司      1389-    シタルーの娘婿。
マアサ       1896-    シタルーの五女。
座波ヌル      1382-    山南王シタルーの側室。
島尻大里ヌル    1368-    ウミカナ。シタルーの妹。
タブチ       1360-    八重瀬按司。山南王シタルーの兄。
エータルー     1381-1413  タブチの長男。
エーグルー     1388-    タブチの三男。新グスク按司
チヌムイ      1395-    タブチの四男。
ミカ        1392-    八重瀬若ヌル。タブチの六女。チヌムイの姉。
八重瀬ヌル     1361-    タブチの妹。シタルーの姉。
サイムンタルー   1361-1429  早田左衛門太郎。対馬島倭寇の頭領。
早田六郎次郎    1387-    左衛門太郎の跡継ぎ。妻はユキ。
ユキ        1388-    六郎次郎の妻。尚巴志の娘。母はイト。
イト        1372-    対馬島の女船長。ユキの母。
シンゴ       1372-    早田新五郎。左衛門太郎の弟。
マツ        1372-    中島松太郎。早田左衛門太郎の家臣。
トラ        1372-    大石寅次郎。早田左衛門太郎の家臣。
早田五郎左衛門   1349-    左衛門太郎の叔父。朝鮮国の富山浦に住む商人。
早田丈太郎     1371-    五郎左衛門の長男。漢城府の津島屋の主人。
浦瀬小次郎     1375-    五郎左衛門の娘婿。
早田ナナ      1388-    早田次郎左衛門の娘。
早田左衛門次郎   1387-    六郎次郎の従兄弟。
早田小三郎     1391-    六郎次郎の義弟。
サングルミー    1371-    与座大親。中山の進貢船の正使。
メイファン     1379-    張美帆。明国の海賊の娘。
メイリン      1374-    張美玲。メイファンの姉。
スーヨン      1387-    張思永。メイリンの娘。
メイユー      1376-    張美玉。メイファンの姉。尚巴志の側室になる。
ラオファン     1338-    黄敬。三姉妹の武術の師匠。
リェンリー     1376-    黄怜麗。ラオファンの娘。
ジォンダオウェン  1364-    鄭道文。三姉妹の配下の海賊。
ユンロン      1387-    鄭芸蓉。ジォンダオウェンの娘。 
リュウジャジン   1362-    劉嘉景。三姉妹の配下の海賊。
リィェンファ    1377-    楊蓮華。富楽院の妓楼『桃香楼』の女将。
ヂュヤンジン    1375-    朱洋敬。懐機の友。宮廷に仕える役人。
永楽帝       1360-1424  明国の皇帝。
リュウイェンウェイ 1389-    劉媛維。富楽院の最高級妓楼『酔夢楼』の妓女。
ファイホン     1379-    懐虹。懐機の妹。
ヂャンサンフォン  1247-    張三豊。武当山の道士で、武当拳創始者
シンシン      1390-    范杏杏。張三豊の弟子。
フカマヌル     1372-    外間ノロ。久高島のノロ尚巴志の腹違いの妹。
大里ヌル      1387-    久高島のノロ。月の神様を祀る。
奥間大親      1357-    ヤキチ。奥間から来た尚巴志の護衛役。中山の重臣
平安名大親     1348-    勝連の重臣。ウニタキの叔父。
勝連ヌル      1369-    ウニタキの姉。
伊波按司      1363-    マチルギの兄。
山田按司      1365-    マチルギの兄。
攀安知       1376-1416  山北王。
マナビー      1397-    攀安知の次女。チューマチの妻。
涌川大主      1377-    攀安知の弟。
勢理客ヌル     1356-    アオリヤエ。攀安知の叔母。
アタグ       1355-    山北王に仕えるヤマトゥの山伏。
本部のテーラー   1376-1416  攀安知の幼馴染み。サムレー大将。
リュウイン     1359-    劉瑛。山北王の軍師。
油屋、ウクヌドー  1350-    奥堂。山北王に仕える博多筥崎八幡宮の油屋。
兼グスク按司    1378-    ンマムイ。武寧の次男。妻は攀安知の妹。
マハニ       1379-    兼グスク按司の妻。山北王、攀安知の妹。
マウミ       1399-    ンマムイの長女。
ヤタルー師匠    1359-    阿蘇弥太郎。ンマムイの武術の師匠。
慈恩禅師      1350-1448  禅僧であり武芸者。ヒューガの師匠。
飯篠修理亮     1387-1488 武芸者。長威斎。
二階堂右馬助    1390-    慈恩の弟子。
一文字屋孫三郎   1361-    次郎左衛門の弟。坊津の一文字屋主人。
みお        1394-    一文字屋孫三郎の三女。
村上又太郎     1386-    村上水軍の頭領の長男。上関を守っている。
村上あや      1392-    村上又太郎の妹。
塩飽三郎入道    1358-    塩飽水軍の頭領。
一文字屋次郎左衛門 1355-    京都の一文字屋の主人。
まり        1394-    一文字屋次郎左衛門の三女。
高橋殿       1376-    足利義満の側室。道阿弥の娘。
対御方       1379-    足利義満の側室。高橋殿に仕えている。
平方蓉       1383-    陳外郎の娘。高橋殿に仕えている。
足利義持      1386-1428  室町幕府第四代将軍。
日野栄子      1390-1431  足利義持の奥方。
勘解由小路殿    1350-1410  斯波道将。将軍様の補佐役。
斯波左兵衛督    1371-1418  勘解由小路殿の嫡男。将軍様の補佐役。
中条兵庫助     1359-    将軍様の武術指南役。慈恩禅師の弟子。
中条奈美      1380-    中条兵庫助の娘。夫が戦死し、高橋殿に仕える。
外郎       1360-    陳宗奇。薬師。外交使節の接待役。
魏天        1350-    将軍様に仕える明国の通事。
栄泉坊       1389-    東福寺を追い出された画僧。
増阿弥       1368-    奈良の田楽新座の太夫
一徹平郎      1355-    北野天満宮の宮大工。
源五郎       1359-    腕はいいが変わり者の瓦職人。
新助        1379-    龍ばかり彫っている等持寺の大工。
渋川道鎮      1372-1446  九州探題。勘解由小路殿の娘婿。
宗讃岐守貞茂    1364-1418  対馬守護。
平道全       1376-    宗貞茂の家臣。
宗金        1380-    博多妙楽寺の僧。
李芸        1373-1445  倭寇にさらわれた母親を探している朝鮮の役人。
シーハイイェン   1390-    施海燕。旧港宣慰司、施進卿の次女。施二姐。
ツァイシーヤオ   1390-    蔡希瑶。シーハイイェンの親友。
シュミンジュン   1342-    徐鳴軍。シーハイイェンの師匠。張三豊の弟子。
ワカサ       1364-    旧港の通事。若狭出身の倭寇
奥間の長老     1348-    ヤザイム。奥間大主。
サタルー      1387-    奥間の長老の跡継ぎ。尚巴志の息子。
奥間ヌル      1374-    奥間村のノロ尚巴志の娘ミワを産む。
奥間のサンルー   1382-    「赤丸党」の頭。クマヌの息子。
クジルー      1393-    サンルーの配下。マサンルーの息子。
米須按司      1357-1414  摩文仁大主。武寧の弟。若按司の妻はタブチの娘。
摩文仁按司     1383-1414  米須按司の次男。
玻名グスク按司   1358-1414  中座大主。タブチの義兄。
真壁按司      1353-1414  山グスク大主。玻名グスク按司の義兄。
伊敷按司      1363-    ナーグスク大主。真壁按司の義弟。
イサマ       1375-    伊平屋島の田名大主の長男。田名親方の兄。
我喜屋大主     1359-    田名大主の弟。イサマの叔父。
サミガー親方    1361-    与論島で鮫皮を作っている親方。
麦屋ヌル      1373-    先代の与論按司の娘。ウニタキの従妹。
ハル        1395-    山南王のシタルーから尚巴志に贈られた側室。
クムン       1373-    島尻大里から来た石屋。
スヒター      1391-   マジャパイト王国の女王クスマワルダニの娘。
辺戸ヌル      1360-   安須森の麓の辺戸村のヌル。
カミー       1402-    アフリヌルの孫娘。
屋嘉比のお婆    1320-    先々代の屋嘉比ヌル。
福寿坊       1387-    備前児島の山伏。
辰阿弥       1384-    時衆の武芸者。
ブラゲー大主    1353-    チヌムイの祖父。貝殻を扱うウミンチュの親方。
小渡ヌル      1380-    父は越来按司。母は山北王珉の妹。久高ヌルになる。
照屋大親      1351-    山南王の重臣。交易担当。
糸満大親      1367-    山南王の重臣
新垣大親      1360-1414  山南王の重臣。タブチの幼馴染み。
真栄里大親     1362-1414  山南王の重臣
波平大親      1366-    山南王の重臣
波平大主      1373-    波平大親の弟。サムレー大将。タルムイ側に付く。
国吉大親      1375-    山南王の重臣。妻は照屋大親の娘。
賀数大親      1368-    山南王の重臣。タルムイ側に付く。
兼グスク大親    1363-    山南王の重臣。タルムイ側に付く。
石屋のテハ     1375-    シタルーのために情報を集めていた。
大村渠ヌル     1366-    初代山南王の娘。前島尻大里ヌル。
慶留ヌル      1371-    シタルーの従妹。前島尻大里ヌル。
愛洲次郎      1390-    愛洲水軍の大将の次男。
寺田源三郎     1390-    愛洲次郎の家臣。
河合孫次郎     1390-    愛洲次郎の家臣。
堂之比屋      1362-    久米島堂村の長老。
堂ヌル       1384-    堂之比屋の娘。
新垣ヌル      1380-    久米島北目村のヌル。
大岳ヌル      1386-    久米島大岳のヌル。
具志川若ヌル    1397-    具志川ヌルの娘。
クイシヌ      1373-    久米島ニシタキのヌル。
クマラパ      1339-    狩俣按司マズマラーの夫。元の国の道士。
マズマラー     1357-    狩俣の女按司
タマミガ      1389-    クマラパとマズマラーの娘。
那覇勢頭     1360-    目黒盛の重臣。船長として琉球に行く。
目黒盛豊見親    1357-    ミャークの首長。
漲水のウブンマ   1379-    漲水ウタキのヌル。目黒盛の従妹。
アコーダティ勢頭  1356-    野崎按司重臣。船長としてトンド国に行く。
ムマニャーズ    1342-    上比屋の先代の女按司
ツキミガ      1390-    ムマニャーズの孫娘。
アラウスのウプンマ 1340-    戦死したアラウス按司の妹。
マムヤ       1339-    保良の女按司の末娘。先代の野城按司
チルカマ      1349-    クマラパの妹。先代の石原按司
阿嘉のトゥム    1365-    久米島からミャークに渡った兄弟の弟。伊良部島に住む。
スタタンのボウ   1360-    多良間島の女按司。クマラパの弟子。
ハリマ大殿     1359-    ボウの夫。ターカウの倭寇
平久保按司     1355-    石垣島按司。ターカウの倭寇
ブナシル      1360-    名蔵の女按司
ミッチェ      1387-    ブナシルの娘。父親は富崎按司
マッサビ      1369-    ウムトゥダギのフーツカサ。池間島出身。
サユイ       1391-    マッサビの娘。弓矢の名人。
阿嘉のグラー    1362-    マッサビの夫。久米島からミャークに渡った兄弟の兄。
ガンジュー     1386-    熊野の山伏、願成坊。
タキドゥン     1348-    島添大里按司の息子で、タキドゥン島の按司になる。
ユミ        1361-    ドゥナン島サンアイ村のツカサ。
ナーシル      1391-    ユミの娘。父は苗代大親

 

スサノオ            ヤマト国の大王。牛頭天王
豊玉姫             スサノオの妻。
玉依姫             スサノオ豊玉姫の娘。ヒミコ。アマテラス。
アマン姫            玉依姫の妹。アマミキヨ
ユンヌ姫            アマン姫の娘。
アキシノ            厳島神社の内侍。初代今帰仁ヌル。
クミ姫             久米島の神様。ビンダキ姫の三女。
ウパルズ            池間島の神様。ウムトゥ姫の長女。
赤名姫             ウパルズの孫。ユンヌ姫と行動を共にする。
ウムトゥ姫           石垣島於茂登岳の神様。ビンダキ姫の次女。
ノーラ姫            石垣島の名蔵の神様。ウムトゥ姫の次女。
ヤラブ姫            ノーラ姫の三女。
ビシュヌ            クバントゥオンの神様。シィサスオンの神様でもある。
ラクシュミ           ビシュヌの妻。ミズシオンの神様。
サラスワティ          ヤラブダギの神様。弁才天
イリウムトゥ姫         二代目ウムトゥ姫の次女。クン島の神様。
ユウナ姫            イリウムトゥ姫の次女。ドゥナン島の神様。

 

2-191.キキャ姫の遊戯(第一稿)

 奄美大島(あまみうふしま)の万屋(まにや)に着いた湧川大主(わくがーうふぬし)は機嫌がよかった。
 琉球に来ていた鬼界島(ききゃじま)(喜界島)の船を永良部島(いらぶじま)沖で沈める事に成功していた。これで敵の兵力は五十人は減っただろう。大将だった青鬼とやらも死んだに違いない。ただ、その船は山北王(さんほくおう)の船だった。憎らしい事に、鬼界按司(ききゃあじ)のために残した船を奪い取って、琉球に行っていたのだった。
 万屋奄美按司がいる赤木名(はっきな)の反対側にあって、鬼界島攻めの拠点として、小高い丘の上に万屋グスクが築かれてあった。去年、来られなかった湧川大主は奄美按司に命じて、万屋にグスクを築かせた。新しいグスクは湧川大主を満足させる出来栄えだった。グスクを囲っている石垣はそれ程高くはないが、敵が攻めて来るわけではないので充分だった。グスク内にはサムレーたちの屋敷もあり、丘の上に湧川大主の屋敷があった。案内してくれた万屋之子(まにやぬしぃ)が、湧川大主の屋敷の隣りにあるのはヌルの屋敷だと言ったので、
「この辺りのヌルなのか」と湧川大主は聞いた。
「いえ、琉球から来られたマジニ殿(前浦添ヌル)です。このグスクができてから、若ヌルと一緒に暮らしております」
「なに、マジニがここにいるのか」
 湧川大主はマジニに会いに赤木名に行こうと思っていた。まさか、ここにいるなんて思ってもいなかった。嬉しい気持ちを顔には出さず、万屋之子と一緒にヌルの屋敷に行った。
 マジニは留守だった。
 万屋之子は湧川大主を屋敷に案内すると、湧川大主の到着を奄美按司に知らせると言って赤木名に向かった。万屋グスクから赤木名グスクまでは一里(四キロ)余りの距離だという。
 湧川大主は配下の者を鬼界島に送って、敵の様子を探らせた。グスク内に物見櫓(ものみやぐら)があったので登ってみた。鬼界島がよく見えた。戦死した鬼界按司のためにも、御所殿(ぐすどぅん)(阿多源八)を倒して、島を奪い取らなければならなかった。
 マジニはどこにいるのだろうと周りを見回したが姿は見えなかった。一昨年(おととし)、マジニと一緒に過ごした日々を思い出し、戦(いくさ)が終わったら今帰仁(なきじん)に連れて帰ろうと思った。妻は亡くなったので、マジニを正式な妻に迎えてもいい。マジニは山北王妃の妹だから誰も反対しないだろう。
 屋敷に戻って鬼界島の絵図を見ながら、マジニの事をあれこれ想っていたら、諸喜田大主(しくーじゃうふぬし)が顔を出して、奄美按司が来たと知らせた。外に出てみると、馬に乗った奄美按司が何台もの荷車と女たちを連れてやって来ていた。
「随分と早いお越しでしたね。準備はしていたのですが間に合いませんでした。申しわけございません」
「なに、謝る事はない。立派なグスクを造ってくれてありがとう。ここなら誰にも気兼ねする事なく、鬼界島攻めに専念できる」
「城女(ぐすくんちゅ)たちを連れてまいりましたので、さっそく、歓迎の宴(うたげ)の用意をさせましょう」
「船旅で疲れているからな、皆も喜ぶだろう」
 奄美按司は男たちに荷物を運ぶように命じ、女たちには料理を作るように命じた。
「ヌルのマジニが若ヌルと一緒にここで暮らしていると聞いたが、どうして、ここにいるんだ?」と湧川大主はさりげなく奄美按司に聞いた。
「神様の事はわしにはわかりませんが、何でも古いウタキがあの山にあるそうです」
 そう言って奄美按司は西側の山脈(やまなみ)の南端の山を指差した。
「赤木名グスクにも古いウタキがあって、マジニ殿は若ヌルと一緒に、そのウタキに籠もっておりました。赤木名の神様とあの山の神様はつながりがあるようです。あの山でお祈りするのに、こちらの方が近いというので、こちらに移ったのです。中山王(ちゅうざんおう)のヌルだけあって、マジニ殿は大したヌルです。赤木名の者たちにも尊敬されております。そんなヌル殿に娘を預ける事になって、本当に感謝しております」
「そうか。あの山に古いウタキがあるのか」
 湧川大主は山を眺めながら、マジニを呼んでくれてありがとうと神様に感謝していた。
 マジニと若ヌルは夕方に帰って来て、グスクが賑やかなのに驚き、湧川大主に会いに来た。
 荷物の整理をしていた湧川大主はマジニを見ると、会いたかったぞと喉まで出かかった言葉を呑み込んで、「久し振りだな」と言った。以前に比べて随分と大きくなった若ヌルが、湧川大主をじっと見つめていたのだった。
「お待ちしたおりました」とマジニは嬉しそうに笑った。
 一年半振りに見るマジニは何となく神々しく見え、以前よりも美しくなっているように感じた。
「昨年は色々な事があって大変だったようですね」
 湧川大主はうなづいた。
「こちらに来る準備は整っていたのだが、来られなくなってしまった。妻が亡くなり、義父(羽地按司)も亡くなってしまった。一番大変だったのは明国の海賊が永楽帝(えいらくてい)にやられた事だ。明国の商品が不足して、中山王に頼らざるを得なくなったんだ。久し振りに進貢船(しんくんしん)も出した。リュウイン(劉瑛)を使者として送ったので、新しい進貢船を賜わる事ができるだろう」
リュウイン様が明国に行ったのですか」
「中山王の進貢船に乗って十五年振りの里帰りだ。皇帝になる前の永楽帝と会った事があると言っていたから、うまくいくだろう。それに南部で戦が起こって、山北王も南部に兵を送ったんだ。そして、若按司のミンが南部に行った」
「えっ、ミン様が南部に? どうして、若按司が南部に行ったのですか」
「ミンは山南王(さんなんおう)の世子(せいし)として島尻大里(しまじりうふざとぅ)グスクに入ったのだよ」
「えっ、山北王の若按司が山南王の世子?」
 マジニにはわけがわからなかった。
「若按司が南部に行ってしまったら、山北王の跡継ぎはどうなるのです?」
「次男のフニムイが継ぐ。山北王は中山王を倒して中山王になり、ミンが山南王になって、フニムイが山北王になるというわけだ」
「兄上様(山北王)は中山王を倒す決意をしたのですね?」
「今すぐというわけではないが、五年後あたりには倒すだろう。今、中山王はお寺造りに専念している。材木でもう少し稼がせてもらって、首里(すい)の都が完成したら攻め取るという手筈だ」
「ようやく、父の敵(かたき)を討ってくれるのですね?」
「そなたの父親が築いた首里グスクに戻れるだろう」
 マジニは父の武寧(ぶねい)と一緒に行った首里グスクを思い出していた。完成したばかりのグスクは高い石垣に囲まれた素晴らしいグスクだった。完成の儀式を執り行なう前日、父は殺され、首里グスクも奪われた。あのグスクに戻れるのかと思うとマジニは嬉しくもあったが、今帰仁にいた頃のように単純に喜ぶ事はできなかった。
 鬼界島のウタキでキキャ姫に出会ってから、マジニは変わった。
 マジニは十二歳になった年に、伯母の浦添(うらしい)ヌルのもとでヌルになるための修行を始めた。高いシジ(霊力)があったわけでもなく、長姉のウニョンが勝連(かちりん)に嫁ぎ、次姉のマアサが今帰仁に嫁いだので、三女のマジニがヌルを継ぐ事に決まった。伯母と一緒にウタキでお祈りをしても神様の声を聞いた事はなかった。
 台風で倒れた首里天閣(すいてぃんかく)の跡地に新しいグスクを造る事に決まって、伯母と一緒に地鎮(ぢちん)の儀式をした時、古いウタキが見つかって、伯母は神様の声に従って、そこを聖域としてグスク内に取り込んだ。キーヌウチである。神様の声が聞こえなかったマジニにはよくわからないが、伯母はキーヌウチを決めるのにかなり苦労したようだった。封じ込められている神様がいて、その神様を助け出さなければならないと言っていたが、マジニにはよくわからなかった。伯母はその神様を助けようとして命を縮めてしまい、首里グスクが完成する前に亡くなってしまった。
 伯母は亡くなる時、封じ込められている神様を救うのがマジニのやるべき事だと言った。でも、神様の声が聞こえないマジニにはどうしたらいいのかわからなかった。伯母が亡くなって二か月後、マジニがいつものように浦添グスク内のウタキでお祈りをしていると伯母の声が聞こえた。神様になった伯母の声だった。
 首里グスクの完成の儀式の前日、伯母から儀式のやり方を確認している時、浦添グスクが炎上して、グスクから逃げ出した。母の無事を確認して、父の敵(かたき)を討つために姉のマアサを頼って今帰仁に行った。今帰仁に行ってから伯母の声は聞こえなくなってしまった。今帰仁ヌルと一緒にクボーヌムイ(クボー御嶽)でお祈りをしても神様の声は聞こえなかった。ここにいらっしゃる神様は今帰仁の御先祖様の神様なので、マジニに聞こえないのは当然よと今帰仁ヌルは言った。
 伯母の母親は勝連按司の娘だった。勝連按司浦添按司だった英祖(えいそ)の子孫だという。英祖の子孫だったから、伯母には英祖時代の浦添ヌルたちの声が聞こえた。マジニの母は前田大親(めーだうふや)の娘なので、英祖とは何の関係もなく、英祖時代の浦添ヌルたちの声は聞こえなかったのだった。
 鬼界島に来たマジニはキキャ姫と出会い、母親の先祖が鬼界島の出身だと聞いて驚いた。鬼界島の歴史を聞いて、自分も鬼界島の一族なんだと思った。奄美大島に渡って赤木名のウタキでハッキナ姫の声を聞いた。ハッキナ姫はキキャ姫の孫だった。ハッキナ姫はマジニが奄美大島に来たのは鬼界島を守るためだと言った。マジニには意味がわからなかった。ハッキナ姫の母親のカサン姫がアマンデーと呼ばれる山にいると聞いて、マジニは若ヌルを連れて行ってみた。カサン姫は鬼界島の歴史を詳しく教えてくれた。
 鬼界島には古くからヤマトゥンチュが入って来た。六百年前、太宰府(だざいふ)の役人たちがやって来て、『唐路館(とうろかん)』という役所を建てて住み着いた。役人たちは珍しい物をいっぱい持ってきた。島の人たちは喜んで役人たちを迎え入れた。遣唐使(けんとうし)は廃止されたが、ヤマトゥと貝殻の交易は盛んに行なわれていた。やがて、役人たちは徳之島(とぅくぬしま)で焼き物を始めて、その焼き物は琉球にも渡って貝殻と交換された。三百年くらい前になると、太宰府の力も弱まって平家の時代となる。平清盛(たいらのきよもり)の父親、忠盛は日宋貿易の拠点として、鬼界島に配下の者を送り込んで来た。島の人たちは歓迎して迎え入れた。その後、薩摩(さつま)から逃げてきた阿多平四郎(あたへいしろう)も迎え入れ、壇ノ浦で敗れた平家の残党も迎え入れた。山北王は話し合いをする事もなく、突然、攻めて来た。戦死した者も多い。島を守るために、湧川大主を倒さなければならないとカサン姫は言った。
 歓迎の宴が終わったあと、やっと二人きりになれた湧川大主とマジニは、満月の下、浜辺を散歩していた。
「鬼界島を攻めるのですね?」とマジニは湧川大主の横顔を見ながら言った。
「今年は何としても攻め落とさなくてはならない」と湧川大主は力強く言った。
「どうして、話し合いをしなかったのですか」
「話し合い?」
「話し合いをすれば、島の人たちも受け入れてくれたと思います」
「話し合いか‥‥‥」
 最初に鬼界島を攻めた前与論按司(ゆんぬあじ)は与論島を攻め落とした実績があった。与論島には勝連按司の一族がいたので、力尽くで攻め落とした。徳之島にも中山王に従っている按司がいたので、話し合う事もなく、攻め落とした。奄美大島には按司はいなくて、各地の首長たちを降伏させた。鬼界島も簡単に降伏するだろうと思い、話し合う事など、最初から念頭になかった。
「もう遅すぎる」と湧川大主は言った。
「二度の鬼界島攻めで、二百人もの兵が戦死している。鬼界按司も殺された。今更、話し合いなどできる状況ではないんだ」
 湧川大主はマジニを見て笑うと、マジニを抱き寄せた。

 


 その頃、鬼界島の花良治(ひらじ)村のギン爺の家で、島ヌルのミキはギン爺と囲碁を打っていた。
「去年、来なかったので諦めたかと思ったが、湧川大主はまたやって来たのか」とギン爺が白石を打ちながら言った。
「今までにかなりの犠牲者が出ているから、湧川大主も必死になって攻めて来るでしょう」とミキが碁盤を見ながら黒石を打って、囲んだ白石を取った。
「まいったのう。源八たちはまた、ガマ(鍾乳洞)に隠れる事になるのか」
 ミキは首を振った。
「一昨年(おととし)は鉄炮(てっぽう)(大砲)の音に驚いて負けたのよ。鉄炮の玉の威力はそれ程でもないわ。落ち着いて攻めればきっと勝てます」
 ギン爺はミキを見て笑うと、
「諸喜田大主も来たのかね?」と聞いて、白石を打って、囲んだ黒石を取った。
「来たわ」
「何も敵の大将と結ばれる事もなかったじゃろうに」
「今は敵でも、諸喜田大主の先祖は平家よ。キキャ姫様も許してくださったわ」
 ミキが黒石を打つと、
「親子の対面はさせるのか」と言いながらギン爺は白石を打った。
「諸喜田大主が戦死したらね。島を守るために立派に戦死したと言って」
「可愛そうな事じゃのう。そういえば湧川大主と仲のいいヌルがいたが、まだ奄美大島にいるのかね?」
「今頃は再会を楽しんでいる事でしょう。でも、マジニも悩んでいるはずだわ。マジニはわたしたちと同族だからね。鬼界島を助けたいけど、湧川大主も裏切れない。今後の行動次第で、マジニの生き方は決まるでしょう。わたしは娘を産んだけど、マジニは産んでいないわ。キキャ姫様が望まなかったのでしょう」
「なぜじゃ?」
「マジニは中山王の娘としてヌルになったけど、ヌルとしては半人前よ。子供を産んだら、湧川大主の妻として治まってしまうと思ったのでしょう」
「キキャ姫様はマジニを使うつもりなのか」
奄美大島に一族のヌルがいるのはいい事よ。カサン姫様の子孫たちは倭寇(わこう)に滅ぼされてしまったからね」
 ミキが黒石を打った時、突然、赤ん坊の泣き声が響いた。
リュウのお目覚めだわ」とミキは隣の部屋へと行った。

 


 次の日の夕方、鬼界島に偵察に行った者たちが戻って来た。諸喜田大主と作戦を練っていた湧川大主は、「御所殿はいたか」と聞いた。
「敵はわしらが来た事を知っているようで、守りが厳重で御所殿の屋敷には近づけませんでした。しかし、物見櫓に登った時に姿を見ました」
「守りは厳重か」と言って湧川大主はニヤッと笑った。
「港も兵が守っています。ただ、敵の船は瀬玉泊(したまどぅまい)(早町)に泊まっている一隻しか見当たりません。琉球に行ったのは山北王の船だったので、あと二隻はあるはずなのですが」
「まさか、すでにヤマトゥに行ったのか」
「わかりません」
「敵の兵力は?」
「およそ三百はいそうです」
「なに、三百?」と湧川大主は驚いた顔をして、諸喜田大主を見た。
「一昨年、諸喜田大主殿が鍛えた百人の兵が加わり、さらに百人の兵を鍛えたようです」
「わしが鍛えた兵たちが御所殿の兵になっているのか」と諸喜田大主が苦笑した。
「それに、以前は棒を持っていた兵たちも皆、槍を持っていて、弓矢も持っています」
「ヤマトゥから武器も仕入れたか。懲りぬ奴らだ。兵の配置は?」と湧川大主は聞いた。
「御所殿の屋敷を守っているのが五十、湾泊(わんどぅまい)に百、小野津(うぬつ)、沖名泊(うきなーどぅまい)(志戸桶)、瀬玉泊にそれぞれ五十です」
 湧川大主は絵図に兵力を書き込むと、
「敵は湾泊から攻めると思っているようだな」と諸喜田大主に言った。
 昨夜の歓迎の宴の酒と料理が残してあるので、今晩はゆっくり休めと言って、偵察に行った者たちを帰した。
「三百の兵とは驚きましたな。わしらより多い」と諸喜田大主が絵図を見ながら言った。
「なに、わしらには鉄炮がある。恐れるには足らん」
 諸喜田大主はうなづいて、
「瀬玉泊を攻めて、まずは敵の船を沈めた方がいいでしょう」と言った。
「そうだな。今回は御所殿を逃がすわけにはいかんからな」と湧川大主は言って、改めて諸喜田大主と作戦を練った。
 翌日は朝から雨が降っていて、攻撃は延期となった。次の日も雨降りで、梅雨に入ったようだった。
「焦る事はない。待ち構えている敵と戦えば損害が出る。敵が待ちくたびれた頃に攻めればいい」
 湧川大主はそう言って、諸喜田大主に近在の若者たちを集めて鍛えるように命じた。
 戸口の左馬頭(さまのかみ)が陣中見舞いにやって来た。湧川大主は左馬頭を歓迎して、酒を飲みながら御所殿の事を聞いた。
「あの島は閉鎖的で、よその島の者たちとあまり付き合わんのじゃ。それで、わしもあの島の事はよく知らんのじゃよ」
「鬼界島の奴らは琉球では薩摩の倭寇に扮しているが、薩摩とは取り引きしていないらしい。どこと取り引きをしているか知りませんか」
「これも噂で、本当かどうかは知らんが、豊後(ぶんご)の大友氏ではないかと聞いた事がある」
「大友氏?」
 湧川大主は大友氏というのを知らなかった。大友氏は今帰仁に来ていなかった。
「鬼界島は古くから中山王と取り引きをしているのですか」
「わしらが琉球と取り引きを始めたのは、中山王の察度(さとぅ)が明国と進貢を始めたあとじゃ。明国の商品が手に入ると聞いて浮島に行ったんじゃ。鬼界島の奴らが来たのは、十年位経ってからだと思う。それまでは倭寇をしていたようじゃ。詳しい事はわからんが、八代目か九代目の御所殿は高麗(こーれー)で戦死したそうじゃ」
 二日後、雨がやんで晴れ間が顔を出し、湧川大主は総攻撃を命じた。
 諸喜田大主が五十人の兵を率いて瀬玉泊に向かい、根謝銘大主(いんじゃみうふぬし)が五十人の兵を率いて小野津に向かい、湧川大主は百人の兵を率いて湾泊に向かった。
 諸喜田大主が瀬玉泊に着いた時、敵の船はなかった。逃げられたかと思ったが、船を探している時間はなかった。鉄炮の音を合図に総攻撃に出なければならなかった。
 四半時(しはんとき)(三十分)後、鉄炮の音が響き渡った。諸喜田大主は船を港に近づけて、敵兵を目掛けて弓矢を撃った。敵兵は火矢で応戦してきたが、ほとんどが船まで届かず、海に落ちた。やがて、矢も尽きたのか火矢も飛んで来なくなった。諸喜田大主は小舟を下ろして、自ら先頭に立って上陸した。盾(たて)を構えて進んだが、敵の矢は数本飛んで来ただけだった。
 瀬玉泊は高台に囲まれた所にあって、御所殿の屋敷は高台の上にあった。鉄炮の音が鳴り響く中、敵が高台の方に逃げて行くのが見えた。
「追え!」と諸喜田大主は兵たちに命じた。
「敵の罠(わな)があるかもしれん。気を付けろ!」
 そう叫んだが、落とし穴に落ちた者が三人いた。さらに細い坂道を登って行き、上から狙い撃ちされて四人の兵が倒れた。
 諸喜田大主は兵たちを退却させた。
「あの道は敵が待ち伏せしている。他の道を探せ」
 別の道が見つかったが、そこも敵が待ち伏せしていて二人が倒された。諸喜田大主は高台を見上げて悪態をつくと、兵たちを撤収させた。別の場所に上陸して攻撃した方がいいと思った。
 船に戻ると船乗りたちが騒いでいた。船腹に穴を開けられて浸水しているという。小さな穴だったので塞ぐ事ができたが、三か所も穴が開いていた。
 小野津に上陸した根謝銘大主も敵の罠にはまって十六人の兵を失い、さらに二か所、船に穴を開けられた。
 湾泊を攻めた湧川大主は百発の鉄炮の玉を打ち込んだ。湾泊に五十発、御所殿の屋敷の周辺に五十発を打ち込んだ。しかし、前回の時のように敵兵が逃げ散る事もなく、火の手も上がらなかった。上陸した兵は敵の待ち伏せに遭って次々に倒されて、退却を余儀なくされた。湧川大主の武装船は穴を開けられる事はなかったが、完全なる敗北だった。
「去年、来なかったので、敵に準備の時間を与えてしまった」と湧川大主は悔しがった。

 


 敵を見事に追い返した御所殿はギン爺と祝杯を挙げていた。
 御所殿は湾泊で指揮を執っていた。兵たちを土を入れた叺(かます)(土嚢)で囲んだ穴の中に隠れさせて、鉄炮の玉が飛んで来ても決して動くなと命じた。鉄炮の玉に当たって戦死した兵も数人いたが、敵兵の損害の方が多く、見事に敵を追い払っていた。
「親父が倭寇だった頃の経験が役に立ちましたね」と御所殿はギン爺に言った。
「高麗でわしらは鉄炮にやられたんじゃ。わしらは穴の中に隠れていて助かった。岩陰に隠れていた奴らは岩の破片にやられて死んだんじゃよ。あの時は本当に死ぬかと思った。何とか島に帰って来たわしらは、それ以後、倭寇をやめたんじゃよ」
「俺が五歳の時でした。お爺から倭寇働きの活躍を聞いて、俺も倭寇になりたいと憧れましたよ」
「時代は変わった。未だに倭寇をやっている者もいるが、皆、滅ぼされるじゃろう。これからは地道に交易に励む事じゃ。それを邪魔する湧川大主は倒さなければならんがのう」
 ギン爺は先代の御所殿で、隠居して鎮西入道(ちんぜいにゅうどう)と名乗っているが、島の人たちからはギン爺と呼ばれて親しまれていた。島ヌルのミキはギン爺の娘だった。
 その頃、ミキは花良治のウタキに登って、キキャ姫にお礼を言っていた。
「これからが面白くなるのよ」とキキャ姫は笑った。
「一昨年の仕返しができたわね。一昨年は鉄砲なんていう、わたしが知らない武器を使ったから、わたしも驚いて撤退させたけど、鉄砲なんて、ただの脅しに過ぎないわ。湧川大主は今回の負け戦に懲りて、梅雨が明けるまで攻めて来ないでしょう。今度はこっちから攻める番よ」
「えっ、万屋を攻めるのですか」
「そうよ。攻めて来るなんて思っていないから安心しているはずよ。攻めて行って、鉄炮を積んだ船を沈めてしまいなさい」
鉄炮の玉で作った先の尖った金槌(かなづち)は役に立ちましたね」
「また造るといいわ。貴重な鉄を贈ってくれるんだから、どんどん武器を造りなさい。琉球に行っていた船も無事に帰ってきて、浦原(うらばる)に隠れているわ」
「えっ、青鬼(松田刑部)が無事に帰って来たのですね」
「今頃は源八(御所殿)と会っているはずよ」
「二隻の船で琉球に行ったのは正解だったのですね」
「そうよ。湧川大主が必ず、船を追って来ると思ったのよ。思っていた通り、永良部島沖で沈められたわ。石をたっぷりと積んだ山北王の船をね」
「梅雨が明けたら、今度はどうやって対処するのですか」
「梅雨が明けるまでに、攻められないようにするのよ。湧川大主が万屋から逃げ出すように仕向けるのよ。マジニにも協力してもらおうかしら」
「わかりました」と言って、ミキはお祈りを終えた。
 キキャ姫の楽しそうに笑う声が、ミキの耳の中に響き渡った。

 

 

 

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