長編歴史小説 尚巴志伝

第一部は尚巴志の誕生から中山王武寧を倒すまで。第二部はその後の尚巴志の活躍です。お楽しみください。

2-228.志慶真ヌル(第一稿)

 庶民の格好に戻ったササたちは、朝早く勢理客(じっちゃく)村を発って、充分に気を付けながら今帰仁(なきじん)に向かった。
 何事もなく、一時(いっとき)(二時間)足らずで今帰仁城下に着いた。城下の賑やかさにササたちは驚いた。交易に来ているヤマトゥのサムレーたちが大勢行き交っていた。城下の人たちの表情は明るく、すでに、奥間(うくま)の噂をしている人たちもいなかった。
 ササたちは『まるずや』に顔を出した。『まるずや』にもお客がいっぱいいて、欲しい物を買い求めていた。店主のマイチがササたちに気づいて、裏にある屋敷に案内した。
 屋敷にはウニタキがいた。絵図を眺めていたウニタキはササたちを見ると、
「おっ、早いな」と笑った。
「城下が賑やかなので驚いたわ」とササはウニタキに言った。
「今の時期はいつもこんな風だよ」
 振り返って見ると、以前、今帰仁に来たのはヂャンサンフォンとシンシンが琉球に来た時で、随分と昔だった。あの時は夏だったので、ヤマトゥンチュたちはいなかった。その後、辺戸岬(ふぃるみさき)まで行った時も、安須森(あしむい)ヌルと一緒に安須森まで行った時も、危険を感じて今帰仁には来ていなかった。
「志慶真(しじま)ヌルは亡くなったのね?」とササが聞くとウニタキはうなづいた。
「昨夜(ゆうべ)、亡くなったよ」
「葬儀は今日なの?」
「今日か明日だろう。昨日から各地のヌルが集まって来ている」
「誰が来ているの?」
今帰仁ヌル、勢理客ヌル、屋部(やぶ)ヌル、仲尾(なこー)ヌル、本部(むとぅぶ)ヌル、今の所はその五人だ」
 一昨年(おととし)の安須森参詣の時、母から紹介されたので五人の顔は知っていた。屋部ヌルは先代の名護(なぐ)ヌルで、仲尾ヌルは先代の羽地(はにじ)ヌルで、本部ヌルはテーラーの妹だった。皆、母と仲がよさそうだったので、話せばわかってくれるだろうとササは思った。
「シジマと関係のないタマ(東松田の若ヌル)と屋賀(やが)ヌルは行かない方がいいだろう」とウニタキは言った。
「馬天(ばてぃん)ヌル様と一緒に旅をした時、わたしは志慶真ヌル様に会った事がありますし、ヌル様のお屋敷も知っています」とタマは言った。
 ウニタキは当時の事を思い出した。
「あの時、お前もいたんだったな。それなら、馬天ヌルの弟子という事にして行けばいい」
 屋賀ヌルをウニタキに預けて、ササたちはヌルの着物に着替えて志慶真村に向かった。愛洲(あいす)ジルーたちとゲンは島添大里(しましいうふざとぅ)のサムレーという事で一緒に来た。今帰仁グスクの高い石垣を左に見ながらグスクの裏へと続く道を進んだ。
 志慶真村に着くと、忙しそうに人々が行き交っていて、皆、小声で志慶真ヌルの事を話していた。タマの案内で志慶真ヌルの屋敷に行くと、屋敷から出て来た今帰仁ヌルと出会った。ササたちを見た今帰仁ヌルは驚いた顔をした。
「あなたは確か、馬天ヌルの娘さんじゃないの?」
「運玉森(うんたまむい)ヌルのササです」
「どうして、あなたがここにいるの?」
「神様のお告げがあって、志慶真ヌルを継ぐべき人を連れてまいりました」
「何ですって?」と驚いた声を出して、今帰仁ヌルはササと一緒にいるヌルたちを見た。
 明国のヌルとヤマトゥのヌルは見覚えがあるが、二人のヌルは知らなかった。
「この村で生まれて、十一歳の時に村を出て行ったミナです」とササはシジマを紹介した。
「えっ、ミナ?」
 今帰仁ヌルはミナを見たが、わからないようだった。
「それより、どうして、志慶真ヌルが亡くなった事をあなたが知っているの? 亡くなったのは昨夜(ゆうべ)の事なのよ」
 今帰仁ヌルが大声を出したので、何事かと人々が集まって来た。
「あら、あなた、ササじゃないの?」と勢理客ヌルが言った。
「お久し振りです」とササは挨拶をした。
「志慶真ヌルを継ぐ人を連れて来たって言うのよ。ミナという、この女を御存じですか」と今帰仁ヌルは勢理客ヌルに聞いた。
 勢理客ヌルはミナを見たが知らないようだった。
「ミナなの?」という声が聞こえた。
 人々をかき分けて、ミナと同年配の女が現れた。
「もしかして、タキちゃん?」とミナが女に言った。
「そうよ。タキよ。あなた、無事に生きていたのね」
 タキはミナの手を取って、ミナを見つめた。
「タキちゃん」と言って、タキを見つめているミナの目から涙がこぼれ落ちた。
「この人は本当にこの村の生まれなの?」と勢理客ヌルがタキに聞いた。
「本当です。ナハーピャーのお婆の孫娘です」
「えっ、ナハーピャーのお婆の孫娘?」
 ナハーピャーのお婆は志慶真のウトゥタルの孫で、ヌルではなかったがシジ(霊力)の高いお婆だったので、勢理客ヌルも知っていた。
「ナハーピャーのお婆の孫娘がどうして、南部にいるの?」
「ナハーピャーのお婆がミナの事を思って、旅のお坊さんに託したのです」
「姉を殺したのはあなたたちなのね?」と誰かが言った。
 怖い顔をした女がササたちを睨んでいた。
「マカーミ、何を言っているの?」と今帰仁ヌルが女に言った。
「だって、おかしいわ。姉は昨夜、亡くなったのに、亡くなるのがわかっていたかのように現れたわ。きっと、姉は呪い殺されたのよ」
「人を呪い殺すなんて、わたしたちにそんな力はありません」とササは言った。
「あなたがミナを連れて来たのもおかしいわ。どうして、ミナがあなたの所にいるのよ」
 マカーミは志慶真ヌルの妹で、諸喜田大主(しくーじゃうふぬし)の妻だとウニタキから聞いていた。ミナの事を知っているようだった。
「ミナは旅のお坊さんに連れられてキラマ(慶良間)の島に行きました。佐敷按司(さしきあじ)を隠居した今の中山王(ちゅうざんおう)はキラマの島で密かに兵を育てていました。ミナもその島で修行をして、女子(いなぐ)サムレーになって島添大里に来たのです。志慶真生まれなのでシジマと呼ばれたミナは、自分が神人(かみんちゅ)だとは知らずに女子サムレーとして島添大里グスクを守っていました。去年の暮れ、油屋のユラと島添大里の娘が志慶真のウトゥタル様の事を調べるためにヤンバルに行きました。その時、護衛としてシジマも一緒に行ったのです。屋嘉比(やはび)のお婆と出会って、シジマは幼い頃の事を思い出しました。シジマは屋嘉比のお婆の計らいで志慶真村を出て行った事がわかったのです」
「屋嘉比のお婆がミナに関わっていたの?」と勢理客ヌルが驚いた顔をしてササに聞いた。
「屋嘉比のお婆は志慶真ヌルとミナを守るために、二人を引き離したのです」
「どういう事なの?」
「志慶真ヌル様のガーラダマ(勾玉)は初代の今帰仁ヌルだったアキシノ様が、クボーヌムイヌルを継いだ時に受け継いだ古いガーラダマです。ミナが神人として目覚めた時、そのガーラダマは本当の主人であるミナのもとへと行きたがって、志慶真ヌル様は亡くなってしまうかもしれないのです。だから、屋嘉比のお婆は二人を引き離したのです。そして、今回、早めにやって来たのは、若ヌルがそのガーラダマを身に着ける前に来ないと大変な事になるからです。先代の志慶真ヌル様は今の志慶真ヌル様が身に付けられるように、ガーラダマを眠りに就かせましたが、若ヌルが身に付けると拒否反応を起こします。軽い拒否反応でしたら首から外せば治りますが、重いと首から外すこともできずに亡くなってしまいます」
「大変だわ。若ヌルはどこにいるの?」と勢理客ヌルが屋敷の方を振り返った。
 その時、「誰か、来て!」と本部ヌルが叫びながら駈け込んで来た。
 人垣をかき分けてササたちは本部ヌルの所に行って、本部ヌルが指差す方を見た。若ヌルの屋敷なのか、離れがあって、その縁側で若ヌルが苦しんでいた。屋部ヌルと仲尾ヌルが若ヌルの首からガーラダマをはずそうとしているがはずせないようだった。
 ササたちは若ヌルのそばに行った。ガーラダマの紐が若ヌルの首に食い込んでいて、若ヌルの顔は真っ青になっていた。
「あなたの出番よ」とササはミナに言った。
 ミナはうなづいて、若ヌルに近づいた。ミナがガーラダマに触ると、若ヌルの首を絞めていた紐は急に緩んで、若ヌルは激しい息をして、目を見開いた。ミナは若ヌルの首からガーラダマをはずした。
「大丈夫?」と今帰仁ヌルが若ヌルに聞いた。
 若ヌルは首を押さえながら、うなづいた。
「一体、何をしていたの?」と勢理客ヌルが仲尾ヌルに聞いた。
「凄いガーラダマねって見ていたんだけど、若ヌルが悲しんでいたから、あなたがこのガーラダマを継ぐのよって見せに行ったんです。若ヌルが志慶真ヌルを継ぐ自信がないって言ったので、このガーラダマを身に着ければ、力が湧いてきて、あなたにも務められるって励ましたのです。若ヌルもその気になって身に付けた途端、苦しみだしたのです。はずそうとしても首に食い込んでいて、はずせませんでした。誰だか知りませんが、あのガーラダマを簡単にはずしたなんて、とても信じられません」
「あなたもナハーピャーのお婆を知っているでしょ。お婆の孫娘のミナが帰って来たのよ」
「えっ、ナハーピャーのお婆の孫娘?」
 仲尾ヌルはガーラダマを持って呆然と立っているミナを見た。
「あなたがそのガーラダマを身に付ける事ができたら、あなたたちの言う事を信じるわ」と勢理客ヌルが言った。
 ミナは持っているガーラダマを見つめた。古い翡翠(ひすい)のガーラダマで、二寸(約六センチ)余りもある見事な物だった。
「大丈夫よ」とササがミナに言った。
 ミナはササを見つめてうなづいた。ガーラダマを捧げてから、ゆっくりと紐を頭に通して首から下げた。一瞬、ガーラダマが光ったように感じた。紐が首を絞める事もなく、ミナはホッと胸を撫で下ろした。
 ミナの様子をじっと見ていた勢理客ヌルが、「何ともないのね?」と聞いた。
 ミナはうなづいた。
 今帰仁ヌル、屋部ヌル、仲尾ヌル、本部ヌル、そして、若ヌルが驚いた顔をしてミナを見ていた。
「屋嘉比のお婆が来た」と誰かが叫んだ。
「ええっ!」と勢理客ヌルが驚いた顔をして振り返った。
 ササたちも驚いた。九十歳を過ぎたお婆がわざわざやって来るなんて信じられなかった。
 人々がお婆のために道をあけた。根謝銘(いんじゃみ)ヌルと屋嘉比ヌルに両側を支えられて、お婆が杖を突きながら近づいて来た。
 ガーラダマを身に付けているミナを見て、
「お前が来ていたのか」とお婆は言った。
「ミナを御存じだったのですね?」と勢理客ヌルがお婆に聞いた。
 お婆は若ヌルを見て、「間に合ってよかった」と安心したように言った。
 ササたちを見たお婆は、「そなたたちがミナを連れて来てくれたのか」と聞いた。
「馬天ヌルの娘のササです。お婆の事は母から色々と伺っています」
「なに、ササ?」と言って、お婆はササをじっと見つめた。
「馬天ヌルの娘じゃったのか。ササという名は神様からよく聞いている。凄いヌルだというので、会ってみたいと思っていたんじゃ。そうか、馬天ヌルの娘じゃったのか」
 お婆はササを見つめたまま、何度もうなづいていた。
 お婆の一声で、ミナが志慶真ヌルを継ぐ事に決まった。若ヌルはヌルから解放されて喜んだ。
 屋嘉比のお婆がササを凄いヌルだと認めたので、ササたちも志慶真ヌルの葬儀とミナの志慶真ヌル就任の儀式に参加する事が許され、屋嘉比のお婆と一緒にお客様用の屋敷に滞在した。
 お婆は屋嘉比の古い神様から、ササが瀬織津姫(せおりつひめ)様を琉球に連れて来た事を知り、御先祖のアキシノ様が瀬織津姫様の子孫だった事を知った。琉球中の神様がセーファウタキに集まって、瀬織津姫様を歓迎したという。瀬織津姫様を連れて来たササとは一体、何者なのか。そんな凄いヌルが、今の琉球にいたなんて信じられなかった。ササというのは安須森ヌルの事に違いないと思っていたが、馬天ヌルの娘だと知って驚いた。
 お婆はササから瀬織津姫様の事を聞いて、「神様の事を調べるために南の島に行ったり、ヤマトゥに行ったりと羨ましい事じゃ。わしが若かったら一緒に行ってみたかったのう」と言って楽しそうに笑った。
 翌日、クボーヌムイ(クボー御嶽)で志慶真ヌルの葬儀とミナの志慶真ヌル就任の儀式が行なわれた。アキシノ様もミナが志慶真ヌルになった事を喜んでくれた。屋嘉比のお婆に聞こえるアキシノ様の声が、ミナにも聞こえる事を知った勢理客ヌルは、ミナを認めないわけにはいかなかった。勢理客ヌルにも今帰仁ヌルにもアキシノ様の声は聞こえなかった。
 勢理客ヌルがミナを認めたので、志慶真大主も認め、村人たちもミナの帰郷を歓迎した。
 無事に役目を終えたので、勢理客村に帰ろうとしたら、タマが首を振った。
「お婆を屋嘉比まで送って行った方がいいわ」とタマは言った。
 タマの目を見て、ササはタマの言いたい事を悟った。
「わかったわ。お婆を送って行きましょう」
 志慶真村にもう一泊して、翌朝、『まるずや』にいる屋賀ヌルを連れて、屋嘉比のお婆たちと一緒に親泊(うやどぅまい)に向かった。お婆は勢理客ヌルが用意してくれたお輿(こし)に乗っていた。
 親泊から国頭按司(くんじゃんあじ)の船に乗って、屋嘉比川(田嘉里川)の河口にある港まで行った。小舟(さぶに)に乗って屋嘉比川を遡(さかのぼ)って、お婆の屋敷の近くまで行って上陸した。屋敷に着くとお婆は疲れたと言って横になった。
 ササたちは屋嘉比ヌルの案内で屋嘉比森(やはびむい)のウタキに行って、お祈りを捧げた。お婆が言っていた古い神様は安須森姫の娘の屋嘉比姫だった。
「もうすぐ、お婆の寿命が尽きるので見守ってあげてね」と屋嘉比姫はササに言った。
「最後にやるべき事が、ミナを志慶真ヌルにする事だと言って、無理をして志慶真村まで行ったのよ。やるべき事をやって、ササにも会えたので、お婆は今、とても満足しているわ。千代松(ちゅーまち)が本部大主(むとぅぶうふぬし)を倒して今帰仁按司になった時、お婆は三歳だったわ。千代松が今帰仁按司だった頃、南部では戦が絶えなかったけど、ヤンバルは平和だった。飢饉(ききん)や台風の被害が出ても、千代松はすぐに対処したわ。西威(せいい)を倒して浦添按司(うらしいあじ)になった察度(さとぅ)は千代松を尊敬していて、千代松を見倣って、中南部を平和にしたのよ。百年近くもヤンバルを見守ってきたお婆は、千代松の頃のような平和な時代が来る事を願っているわ」
「お婆の願いがかなうように努力します」とササは屋嘉比姫に言った。
 屋嘉比森からお婆の屋敷に戻ると、奥間ヌルが若ヌルのミワを連れて来ていた。
「お師匠たちが来ているなんて驚いたわ」とミワが言って、ササたちとの再会を喜んだ。
「お婆に呼ばれたような気がして、やって来たのよ」と奥間ヌルは言った。
 ミワの父親がサハチだと聞いたタマは驚いた。サハチには正妻のマチルギの他に側室のナツと女海賊のメイユーがいる事を知った時、按司なんだから側室がいても当然だと思ったタマも、奥間ヌルがサハチの娘を産んでいた事には驚いた。見た所、奥間ヌルはかなりシジの高いヌルのようだ。でも、わたしは負けないと密かに競争心を燃やしていた。
 夕方、目を覚ましたお婆は元気になっていて、ササたちのために酒の用意をさせ、自分も少し飲んで、昔話を懐かしそうに話してくれた。
 先代の奥間ヌル、今の奥間ヌルの祖母とは仲がよくて、二人であちこちのウタキを訪ねて旅をしたという。昔はウタキ巡りの旅をしているヌルもいたが、だんだんと減ってきてしまった。馬天ヌルがウタキ巡りの旅をしていると聞いて、まだ、そんなヌルがいたかと嬉しくなった。そして、馬天ヌルの娘のササはヤマトゥまで行って瀬織津姫様を琉球に連れて来た。
「そなたのようなヌルがいれば、琉球の今後も安心じゃ」とお婆は嬉しそうに言った。
 うまそうに酒を口に運んで、「今宵は最高の酒じゃのう」とお婆は楽しそうに笑った。
 翌朝、お婆が目を覚ます事はなかった。眠ったまま、あの世へと逝ってしまった。
 お婆の死は国頭按司によって各地に知らされ、各地からお婆を慕っていた人たちが集まってきた。ヌルたちもやって来た。志慶真ヌルになったミナも今帰仁ヌルと一緒にやって来た。玉グスクヌルが来たら、ササたちの正体がばれてしまうと心配したが、来る事はなかった。根謝銘ヌルに玉グスクヌルの事を聞いたら、玉グスクヌルはお婆がスムチナムイに入る事を断ったという。
「お婆に逆らった唯一のヌルよ。来るはずはないわ」と言った。
 勢理客ヌルも若ヌルたちを連れて来て、ササたちがいるので驚いた。
「あなたたち、まだ、いたの?」
「お婆に誘われて一緒に来たのです」
「そう。でも、あなたたちはお婆の葬儀には出なくてもいいわ。よそ者がいたらお婆も喜ばないわ」
「よそ者じゃないわ。お婆はササたちを歓迎してくれたのよ」と奥間ヌルが言った。
「あなたも奥間の事は諦めて、南部に行ったらどうなの」
 お婆が亡くなった途端に勢理客ヌルの態度は変わっていた。今まで恐れていたお婆がいなくなって、自分が一番偉いと勘違いしているようだった。
 ササたちは屋嘉比ヌルと根謝銘ヌルに挨拶をして、ミナを励まして、引き上げる事にした。奥間ヌルも若ヌルと一緒に辺土名(ふぃんとぅな)に帰った。
 国頭の城下を抜けて喜如嘉(きざは)に行くと、水軍大将の喜如嘉大主が現れた。お婆に頼まれたと言って、ササたちを船に乗せて仲尾泊(なこーどぅまい)まで送ってくれた。ササたちは神様になったであろうお婆に感謝した。
 羽地の『まるずや』に泊まって、翌朝、勢理客村に向かったが、先に湧川(わくがー)グスクのウタキに行って、カユ様と会った。
 カユ様にアビー様の事を聞くと、「会えなかったわ」と言った。
「ええっ!」とササたちは驚いた。
「どこを探してもいないのよ。おかしいと思って魔界を覗いてみたらアビーがいたわ。でも、わたしには会う事はできないの。アビーは神様ではなくて、マジムン(悪霊)になってしまったようだわ」
「えっ、アビー様がマジムンなのですか」
「きっと、滅ぼされた今帰仁按司たちの怨霊が取り憑いて、アビーはマジムンになってしまったんだと思うわ」
「すると、玉グスクヌルはマジムンになったアビーに操られているのですか」
「そのようだわ。そして、戦(いくさ)が始まったら、屋賀ヌル、タマ、美浜(んばま)ヌル、慶留(ぎる)ヌルも操るに違いないわ。アビーを退治しなければ、中山王は負けるわよ」
「アビーにそんな力があるのですか」
「例えば慶留ヌルを操って山南王(さんなんおう)を殺したら南部は混乱状態に陥って、中山王は山北王(さんほくおう)を攻めて来られなくなるわ。タマを操って島添大里按司を殺させるかもしれないしね」
「えっ、タマはまだ操られてはいないのですよね」
「大丈夫よ。操られていたら、あなたと一緒にはいないわ」
 ササはホッとした。一瞬、タマがアビーに操られて、マレビト神は島添大里按司だと言ったのかと心配した。
「勢理客ヌル様ですが、シネリキヨですか」とシンシンが聞いた。
「屋嘉比のお婆が亡くなった途端、態度が変わったのです。アビーに操られているような気がしました」とササが言った。
「勢理客ヌルは先々代の今帰仁按司(帕尼芝)の娘だから、シネリキヨかどうかはわからないわ。正妻の娘ならわかるけど、側室の娘だったら調べようがないわ」
「調べる事はできないのですか」
「難しいわね。でも、マジムンになったアビーなら勢理客ヌルを操る事はできるわ。勢理客ヌルは叔母の今帰仁ヌルとその前の羽地ヌルの声が聞こえるだけなのよ。アビーが本部大主の頃の今帰仁ヌルだと言って勢理客ヌルに声を掛ければ、古い神様の声が聞こえたと喜んで、アビーの言う事を聞くようになるわ。今まで、それができなかったのは屋嘉比のお婆がいたからなのよ。マジムンになったアビーも屋嘉比のお婆にはかなわなかったのよ」
「アビーは勢理客ヌルを操って、何をするつもりなのですか」
「ヤンバルのヌルたちを自分の思い通りに動かして、動揺している按司たちを山北王のもとに結束させようとするわ」
「そんな事はさせられないわ」 
「アビーを退治するしかないのよ。あなたたちがね」
「えっ、あたしたちがやるのですか」とササたちは驚いた。
「あなたのお母さんは真玉添(まだんすい)(首里)のマジムンを退治したし、勝連(かちりん)のマジムンも退治したでしょ。あなたにもできるはずよ」
「マジムンを退治するにはスムチナムイに行かなければなりませんよね」
「スムチナムイよりも高い乙羽山(うっぱやま)の方がいいわ。あの山の頂上は見晴らしがいいから、昔、今帰仁を見張る砦(とりで)があったのよ。わたしがここに帰って来てからも登っていたし、わたしの娘たちも登っていたから道はあると思うわ」
 カユ様の案内で乙羽山の山頂を目指したが、道はすでになかった。
「わたしの孫娘までは弓矢を持って山の中を走り回っていたんだけど、その後、誰も山の中に入らなくなってしまったのかしら」とカユ様は言った。
 ササたちは持って来ていた山刀(やまなじ)を出して、カユ様が示した辺りの草を刈りながら山を登って行った。半時(はんとき)(一時間)ほどて山頂に着いた。山頂も木が生い茂っていて、眺めもそれほどよくはなかった。平地を探して儀式をやるために草を刈った。
 マジムン退治には四人のヌルが必要だった。ササはタマと屋賀ヌルを見て、タマを選んだ。タマも屋賀ヌルもアビーの声を聞いている。儀式の最中にアビーの声に従ってしまえば、マジムン退治は失敗してしまう。タマのマレビト神がサハチだという事を信じて、タマを使うしかなかった。
 北側にササ、南側にシンシン、東側にナナ、西側にタマが座って、顔を見合わせた。
「マジムンを退治する事を念じて、あたしが言う事を繰り返して下さい。マジムン退治が終わるまでやめる事はできません。苦しくても最後までやり遂げて下さい」とササは言って、三人は厳しい顔付きをしてうなづいた。
 ヂャンサンフォンの呼吸法をやって心を静め、首から下げているガーラダマを着物の外に出した。ササのは瀬織津姫のガーラダマ、シンシンのは瀬織津姫の曾孫、吉備津姫(きびつひめ)のガーラダマ、ナナのはクボーヌムイヌルの孫のクーイヌルのガーラダマ、タマのは屋良(やら)ヌルのガーラダマ、皆、古いガーラダマだった。
「始めるわよ」とササが言って両手を合わせると、母から教わったお祓(はら)いの祝詞(ぬるとぅ)を唱えた。
 三人も両手を合わせ、ササが言った通りに同じ言葉を唱えた。
 屋賀ヌルとゲンと愛洲ジルーたちはマジムン退治がうまく行くように願いながら、両手を合わせて見守った。
 樹木(きぎ)のざわめきや鳥の鳴き声が消えて、急に辺りが静まり返った。
 ササたちが唱える祝詞が、まるで神様の声のように響き渡った。
 真っ黒な雲が流れて来て、稲妻が光り、突然、大雨が降って来た。四人のヌルたちは大雨に動じる事なく、祝詞を唱え続けた。
 稲光と同時に大きな雷鳴が続けざまに響き渡った。木が倒れる物凄い音もした。
 屋賀ヌルとゲンと愛洲ジルーたちは恐ろしくなって逃げ出したい心境だったが、ササたちを置いて逃げるわけにはいかない。雨に打たれながらも、目をつぶってじっと我慢した。
 大粒の雹(ひょう)が音を立てて落ちてきた。雹が頭に当たって屋我ヌルが悲鳴を上げた。愛洲ジルーたちは持っていた荷物を頭上に上げて雹を防いだ。
 ササたちは雹に打たれながらも祝詞を唱え続けていた。
 辺り一面が白い雹に覆われた。
 稲妻が光って、黒い塊のような物が四人のヌルたちの真ん中に落ちてきて、地中に入って行ったように見えた。
 雹が雨に変わって、黒い雲が流れて行った。やがて雨もやんで、青空が広がり、日も差してきた。
「終わったわ」とササが言った。
 その言葉に安心したかのようにタマが倒れた。シンシンとナナも体がフラフラしていて、今にも倒れそうだった。シンシンは周りに落ちている大きな雹に気づいて、手に取って眺めると、
「どうなっちゃったの?」とササに聞いた。
 ナナも不思議そうな顔をして雹を手に取った。
「うまく行ったわね」とカユ様の声が聞こえた。
「この山に封じ込められたのはアビーなのですか」とササはカユ様に聞いた。
「アビーじゃないわ。アビーに取り憑いていたマジムンたちよ」
「すると、アビーは神様になったのですか」
「アビーは武芸好きな明るい娘だったのよ。父親が殺されたからって、いつまでも根に持っているような娘じゃないのよ。神様になったと思うわ。アビーに操られていた玉グスクヌルも目を覚ましたはずよ」
 ササたちはマジムンを封じ込めた地に石を積んで封印をして、乙羽山を下りた。
「凄かったな」とジルーがササに言った。
「うまく行ったのは、このガーラダマのお陰だと思うわ」とササは着物の下にあるガーラダマを押さえた。
琉球にあんな大きな雹が降るなんて思ってもいなかった」とジルーが笑うと、
「母たちがやった勝連のマジムン退治では雪が降って来たのよ」とササは言った。
「その時は馬天ヌル様と誰が一緒にやったんだ?」とゲンザが聞いた。
「マシュー姉(ねえ)(安須森ヌル)と久高島(くだかじま)のフカマヌルと奥方様(うなぢゃら)よ」
「奥方様?」とジルーたちは怪訝な顔をした。
「奥方様は神人(かみんちゅ)なのよ」とササが言ったので、ジルーたちは顔を見合わせて驚いていた。
 登って来た道を下りて行ったら、そこを左に曲がればスムチナムイに行けるとカユ様が言った。ササたちはカユ様の案内で、草を刈りながらスムチナムイを目指した。乙羽山の中腹辺りにあるスムチナムイは意外と近かった。
 古いウタキでお祈りをすると前回と違う神様の声が聞こえた。
「アビー様ですか」とササが聞くと、
「そうだけど、あなたは誰なの?」と言った。
 ササは名乗ったが、運玉森がどこなのか知らないようだった。タマが以前に話をした事があると言っても、アビーはタマの事を覚えてはいないし、屋賀ヌルの事も知らなかった。
「カユ様がよろしく伝えてくれと言っていました」と言うと、
「カユ様って、お師匠のカユ様の事?」と聞いて、そうだと言うと、会いたいわと言って、カユ様に会いに行ってしまった。
 あとの事はカユ様に任せる事にして、ササたちは山から下りて、玉グスクヌルの屋敷に向かった。
 玉グスクヌルは娘と一緒に畑仕事をしていて、ササたちが挨拶をしても誰だかわからなかった。ササたちとタマの事は覚えていないが、屋賀ヌルだけは若い頃に一緒に修行をした事を覚えていた。
「用があって、ヤンバルに来たのでちょっと寄ってみただけです」と屋賀ヌルは言った。
 以前の冷たい顔付きもすっかり変わって、玉グスクヌルは娘と楽しそうに笑い合っていた。
 ササたちは玉グスクヌルと別れて勢理客村に向かった。
「今頃は勢理客ヌル様も夢を見ていたような顔をしているわね」とササが言って、みんなで笑った。

 

 

 

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目次 第二部

尚巴志伝 第二部

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このイラストはは和々様よりお借りしました。



  1. 山田のウニウシ(第二稿)   護佐丸、尚巴志を頼って首里に行く。
  2. 胸のときめき(第二稿)   護佐丸、島添大里で恋をする。
  3. 恋の季節(第二稿)   サグルーとササ、山田で魂を抜かれる。
  4. キラマの休日(第二稿)   尚巴志夫婦、毎年恒例の旅で慶良間の島に行く。
  5. ナーサの遊女屋(第二稿)   中山王の家臣たちの懇親の宴。
  6. 宇座の古酒(第二稿)   尚巴志、宇座の御隠居の倅と古酒を飲む。
  7. 首里の初春(第三稿)  中山王となった思紹の初めての正月。
  8. 遙かなる船路(第二稿)  尚巴志、ウニタキ、懐機、明国に行く。
  9. 泉州の来遠駅(第二稿)   明国に着いた尚巴志たちは来遠駅に落ち着く。
  10. 麗しき三姉妹(第二稿)   尚巴志たち、福州に行きメイファンと再会する。
  11. 裏切り者の末路(第二稿)   尚巴志たち、メイファンの敵討ちを助ける。
  12. 島影に隠れた海賊船(第二稿)   尚巴志たち、明の海賊船に乗る。
  13. 首里のお祭り(第二稿)   護佐丸、ササたちと祭りの警備をする。
  14. 富楽院の桃の花(第二稿)   尚巴志たち、明国の都、応天府に着く。
  15. 応天府の夢に酔う(第二稿)   尚巴志たち、最高級の妓楼で夢を見る。
  16. 真武神の奇跡(第二稿)   討伐軍を破って皇帝になった永楽帝
  17. 武当山の仙人(第二稿)   尚巴志たち、武当山で張三豊と出会う。
  18. 霞と拳とシンシンと(第二稿)   尚巴志とウニタキ、張三豊に武術を習う。
  19. 刺客の背景(第二稿)   馬天ノロ、刺客の正体を探る。
  20. 龍虎山の天師(第二稿)   尚巴志たち、道教の本山、龍虎山に行く。
  21. 西湖のほとりの幽霊屋敷(第二稿)   尚巴志たち、三姉妹と再会する。
  22. 清ら海、清ら島(第二稿)  三姉妹と張三豊が琉球に来る。
  23. 今帰仁の天使館(第二稿)   旅に出た張三豊たちが帰って来る。
  24. 山北王の祝宴(第二稿)   攀安知、志慶真の長老から今帰仁の歴史を聴く。
  25. 三つの御婚礼(第二稿)   サグルー、尚忠、護佐丸、妻を迎える。
  26. マチルギの御褒美(第二稿)   尚巴志、妻のマチルギにしぼられる。
  27. 廃墟と化した二百年の都(第二稿)   尚巴志、ウニタキと浦添に行く。
  28. 久高島参詣(第二稿)  思紹王、女たちを連れて久高島へ行く。
  29. 丸太引きとハーリー(第二稿)   尚巴志、豊見グスクでハーリーを見る。
  30. 浜辺の酒盛り(第二稿)   尚巴志、ヤマトゥに行くマチルギたちを見送る。
  31. 女たちの船出(第二稿)   マチルギたち、長い船旅を楽しみ博多に着く。
  32. 落雷(第二稿)   尚巴志、雷鳴を聞きながらマジムン退治を思い出す。
  33. 女の闘い(第二稿)   三姉妹の船が来て、メイユーとナツが会う。
  34. 対馬の海(第二稿)   マチルギ、対馬島でイトとユキに会う。
  35. 龍の爪(第二稿)   尚巴志、ウニタキ、懐機、朝鮮旅の計画を練る。
  36. 笛の調べ(第二稿)   久し振りに佐敷グスクから笛の音が流れる。
  37. 初孫誕生(第二稿)   尚忠の長男、尚志達、生まれる。
  38. マチルギの帰還(第二稿)   女たちがヤマトゥから無事に帰国する。
  39. 娘からの贈り物(第二稿)   尚巴志、マチルギから旅の話を聞く。
  40. ササの強敵(第二稿)   馬天ノロ、日代(ティーダシル)の石を探し始める。
  41. 眠りから覚めたガーラダマ(第二稿)   ササ、読谷山で古い勾玉を見つける。
  42. 兄弟弟子(第二稿)   尚巴志、兼グスク按司武当拳の試合をする。
  43. 表舞台に出たサグルー(第二稿)   サグルー、尚巴志の代理を見事に務める。
  44. 中山王の龍舟(第二稿)   ウニタキの新しい隠れ家が完成する。
  45. 佐敷のお祭り(第二稿)   尚巴志の一節切と佐敷ヌルの横笛に大喝采
  46. 博多の呑碧楼(第二稿)   朝鮮旅に出た尚巴志たち、博多に着く。
  47. 瀬戸内の水軍(第二稿)   尚巴志村上水軍と塩飽水軍の頭領と会う。
  48. 七重の塔と祇園祭り(第二稿)   尚巴志たち、京都に着く。
  49. 幽玄なる天女の舞(第二稿)   尚巴志が一節切を吹くと美女が舞う。
  50. 天空の邂逅(第二稿)   尚巴志たち、七重の塔に登って感激する。
  51. 鞍馬山(第二稿)   尚巴志たち、鞍馬山で武術修行。
  52. 唐人行列(第二稿)   尚巴志、増阿弥の芸に感動する。
  53. 対馬の娘(第二稿)   尚巴志、イトと再会、ユキとミナミに会う。
  54. 無人島とアワビ(第二稿)   尚巴志、昔の顔なじみと再会する。
  55. 富山浦の遊女屋(第二稿)   尚巴志たち、富山浦(釜山)に渡る。
  56. 渋川道鎮と宗讃岐守(第二稿)   尚巴志九州探題対馬守護に会う。
  57. 漢城府(第二稿)   尚巴志たち、朝鮮の都に到着する。
  58. サダンのヘグム(第二稿)   尚巴志たち、ナナの案内で都見物。
  59. 開京の将軍(第二稿)   尚巴志たち、高麗の都に行く。
  60. 李芸とアガシ(第二稿)   尚巴志、李芸と会う。
  61. 英祖の宝刀(第二稿)   佐敷ノロ、神様の声を聞いて宝刀を探す。
  62. 具志頭按司(第二稿)   佐敷ノロ、お祭りでお芝居を上演する。
  63. 対馬慕情(第二稿)   尚巴志、家族を連れて舟旅に出る。
  64. 旧港から来た娘(第二稿)   尚巴志、旧港の施二姐と会う。
  65. 龍天閣(第二稿)  尚巴志、旧港の船を連れて琉球に帰る。
  66. 雲に隠れた初日の出(第二稿)   尚巴志、上間グスクの警固を強化する。
  67. 勝連の呪い(第二稿)   尚巴志の義兄サムが勝連按司になる。
  68. 思紹の旅立ち(第二稿)   思紹、張三豊と一緒に明国に行く。
  69. 座ったままの王様(第二稿)   佐敷大親とジクー禅師、ヤマトゥに行く。
  70. 二人の官生(第二稿)   尚巴志、明国に送る留学生を決める。
  71. ンマムイが行く(第二稿)   兼グスク按司、家族を連れて今帰仁に行く。
  72. ヤンバルの夏(第二稿)   兼グスク按司、家族を連れてヤンバルを巡る。
  73. 奥間の出会い(第二稿)   兼グスク按司、奥間で隠し事を聞いて驚く。
  74. 刺客の襲撃(第二稿)   兼グスク按司、ヤンバルの山中で襲われる。
  75. 三か月の側室(第二稿)   メイユー、尚巴志の側室になる。
  76. 百浦添御殿の唐破風(第二稿)   首里グスク正殿の改築が完成する。
  77. 武当山の奇跡(第二稿)   思紹、武当山で張三豊の凄さを知る。
  78. イハチの縁談(第二稿)   米須按司と玻名グスク按司が東方に寝返る。
  79. 山南王と山北王の同盟(第二稿)   山北王の娘が山南王の三男に嫁いで来る。
  80. ササと御台所様(第二稿)   ササ、伊勢神宮で神様の声を聞く。
  81. 玉依姫(第二稿)   ササ、豊玉姫のお墓で玉依姫の声を聞く。
  82. 伊平屋島と伊是名島(第二稿)   伊平屋島の親戚たちが逃げてくる。
  83. 伊平屋島のグスク(第二稿)   サグルーと尚忠と護佐丸、伊平屋島に行く。
  84. 豊玉姫(第二稿)   ヒューガの師匠、慈恩禅師が琉球に来る。
  85. 五年目の春(第二稿)   尚巴志、龍天閣で今年の計画を練る。
  86. 久高島の大里ヌル(第二稿)   ササ、神様から願い事を頼まれる。
  87. サグルーの長男誕生(第二稿)   兼グスク按司の新しいグスクが完成する。
  88. 与論島(第二稿)   ウニタキ、与論島に行き、与論ヌルと再会する。
  89. ユンヌのお祭り(第二稿)   尚巴志、ササたちと与論島に行く。
  90. 伊是名島攻防戦(第二稿)   伊是名島で中山王と山北王の戦が始まる。
  91. 三王同盟(第二稿)   中山王と山北王の同盟が決まり、山南王も加わる。
  92. ハルが来た(第二稿)   山南王から尚巴志に側室が贈られる。
  93. 鉄炮(第二稿)   三姉妹がアラビアの商品と鉄炮を持って来る。
  94. 熊野へ(第二稿)   ササ、将軍様の奥方と一緒に熊野詣でに出掛ける。
  95. 新宮の十郎(第二稿)   サスカサ、神倉山で十郎の話を聞く。
  96. 奄美大島のクユー一族(第二稿)   本部のテーラー奄美大島を攻める。
  97. 大聖寺(第二稿)   首里に最初のお寺が完成する。
  98. ジャワの船(第二稿)   ヤマトゥに行った交易船がジャワの船を連れて来る。
  99. ミナミの海(第二稿)   早田左衛門太郎が、イトとユキとミナミを連れて来る。
  100. 華麗なる御婚礼(第二稿)   チューマチ、山北王の娘マナビーを妻に迎える。
  101. 悲しみの連鎖(第二稿)   玉グスク按司から始まって、続けて五人が亡くなる。
  102. 安須森(第二稿)   佐敷ノロ、ササたちを連れて安須森に行く。
  103. 送別の宴(第二稿)   尚巴志、早田左衛門太郎たちを連れて慶良間の島に行く。
  104. アキシノ(第二稿)   ヤマトゥ旅に出た佐敷ノロとササたち、厳島神社に行く。
  105. 小松の中将(第二稿)   大原寂光院で高橋殿が平維盛と華麗に舞う。
  106. ヤンバルのウタキ巡り(第二稿)   馬天ノロたち、今帰仁に行く。
  107. 屋嘉比のお婆(第二稿)   馬天ノロ、安須森で神様にお礼を言われる。
  108. 舜天(第二稿)   馬天ノロ浦添ノロを連れて喜舎場森に行く。
  109. ヌルたちのお祈り(第二稿)   馬天ノロたち、南部のウタキを巡る。
  110. 鳥居禅尼(第二稿)   佐敷ノロ、熊野で平維盛の足跡をたどる。
  111. 寝返った海賊(第二稿)   三姉妹が来て、大きな台風も来る。
  112. 十五夜(第二稿)   サスカサ、島添大里グスクで中秋の名月を祝う。
  113. 親父の悪夢(第二稿)   山南王、悪夢にうなされて、出陣を決意する。
  114. 報恩寺(第二稿)   ヤマトゥの交易船が旧港の船を連れて帰国する。
  115. マツとトラ(第二稿)   尚巴志対馬の旧友を連れて首里に行く。
  116. 念仏踊り(第二稿)   辰阿弥が首里のお祭りで念仏踊りを踊る。
  117. スサノオ(第二稿)   懐機の娘が佐敷大親の長男に嫁ぐ。
  118. マグルーの恋(第二稿)   ヤマトゥ旅に出たマグルーを待っている娘。
  119. 桜井宮(第二稿)   馬天ノロ、各地のノロたちを連れて安須森に行く。
  120. 鬼界島(第二稿)   山北王の弟、湧川大主、喜界島を攻める。
  121. 盂蘭盆会(第二稿)   三姉妹、パレンバン、ジャワの船が琉球にやって来る。
  122. チヌムイ(第二稿)   山南王、汪応祖、死す。
  123. タブチの決意(第二稿)   弟の死を知ったタブチは隠居する。
  124. 察度の御神刀(第二稿)   タブチ、山南王になる。
  125. 五人の御隠居(第二稿)   汪応祖の死を知った思紹、戦評定を開く。
  126. タブチとタルムイ(第二稿)   八重瀬グスクで戦が始まる。
  127. 王妃の思惑(第二稿)   汪応祖の葬儀のあと、戦が再開する。
  128. 照屋大親(第二稿)   山南王の進貢船が帰って来る。
  129. タブチの反撃(第二稿)   タブチ、豊見グスクを攻める。
  130. 喜屋武グスク(第二稿)   尚巴志、チヌムイとミカに会う。
  131. エータルーの決断(第二稿)   タブチの長男、けじめをつける。
  132. 二人の山南王(第二稿)   島尻大里グスク、他魯毎軍に包囲される。
  133. 裏の裏(第二稿)   尚巴志、具志頭グスクを開城させる。
  134. 玻名グスク(第二稿)   尚巴志、玻名グスクを攻める。
  135. 忘れ去られた聖地(第二稿)   尚巴志とササ、古いウタキを巡る。
  136. 小渡ヌル(第二稿)   尚巴志、小渡ヌルと出会う。
  137. 山南志(第二稿)   宅間之子、山南の歴史書「山南志」を完成させる。
  138. ササと若ヌル(第二稿)   ササ、4人の若ヌルの師匠になる。
  139. 山北王の出陣(第二稿)   中山王と山北王が山南王の戦に介入する。
  140. 愛洲のジルー(第二稿)   ササのマレビト神が馬天浜にやって来る。
  141. 落城(第二稿)   護佐丸、玻名グスク攻めで活躍する。
  142. 米須の若按司(第二稿)   島添大里のお祭りの後、尚巴志は米須に行く。
  143. 山グスク(第二稿)   米須グスクを落とした尚巴志、山グスクに行く。
  144. 無残、島尻大里(第二稿)   他魯毎、島尻大里グスクに総攻撃を掛ける。
  145. 他魯毎(第二稿)   他魯毎、山南王に就任する。
  146. 若按司の死(第二稿)   ササ、宮古島の事を調べる。
  147. 久高ヌル(第二稿)   一月遅れの久高島参詣。
  148. 山北王が惚れたヌル(第二稿)   攀安知、古宇利島に行く。
  149. シヌクシヌル(第二稿)   ササ、斎場御嶽で運玉森ヌルに就任する。
  150. 慈恩寺(第二稿)   武術道場の慈恩寺が完成する。
  151. 久米島(第二稿)   尚巴志、ウニタキ、懐機、久米島に行く。
  152. クイシヌ(第二稿)   尚巴志、ニシタキ山頂で一節切を吹く。
  153. 神懸り(第二稿)   玻名グスクヌル、安須森で神懸りする。
  154. 武装船(第二稿)   ウニタキ、山北王の軍師と酒を飲む。
  155. 大里ヌルの十五夜(第二稿)   久高島大里ヌル、島添大里グスクに来る。
  156. 南の島を探しに(第二稿)   ササと安須森ヌル、愛洲次郎の船で宮古島に行く。
  157. ミャーク(第二稿)   ササたち、与那覇勢頭と目黒盛豊見親と会う。
  158. 漲水のウプンマ(第二稿)   ササたち、漲水のウプンマと一緒に狩俣に戻る。
  159. 池間島のウパルズ様(第二稿)   クマラパ、ウバルズ様に怒られる。
  160. 上比屋のムマニャーズ(第二稿)   ササたち、平家の子孫と会う。
  161. 保良のマムヤ(第二稿)   ササと安須森ヌル、アラウスの古いウタキに入る。
  162. 伊良部島のトゥム(第二稿)   高腰グスクの熊野権現で神様たちと酒盛り。
  163. スタタンのボウ(第二稿)   ササたち、来間島に寄って多良間島に行く。
  164. 平久保按司(第二稿)   アホウドリに歓迎されたササたち、平久保按司と会う。
  165. ウムトゥ姫とマッサビ(第二稿)   ササたち、ノーラ姫とウムトゥ姫に会う。
  166. 神々の饗宴(第二稿)   於茂登岳の山頂で、神様たちと酒盛り。
  167. 化身(第二稿)   名蔵の白石御嶽と水瀬御嶽で神様と会う。
  168. ヤキー退治(第二稿)   ササたち屋良部岳に登り、山頂で雷雨に遭う。
  169. タキドゥン島(第二稿)   タキドゥンの話を聞いて驚くササたち。
  170. ユーツンの滝(第二稿)   クンダギに登って、イリウムトゥ姫と会う。
  171. ドゥナン島(第二稿)   ササたち、クン島からドゥナン島へ向かう。
  172. ユウナ姫(第二稿)   ウラブダギに登ったササたち、ドゥナン島の村を巡る。
  173. 苗代大親の肩の荷(第二稿)   尚巴志、苗代大親の隠し事を知って笑う。
  174. さらばヂャンサンフォン(第二稿)   会同館で三姉妹たちの送別の宴が開催。
  175. トゥイの旅立ち(第二稿)   前山南王妃、ナーサと一緒に奥間に行く。
  176. 今帰仁での再会(第二稿)   前山南王妃、今帰仁に行って姪と会う。
  177. アミーの娘(第二稿)   尚巴志、ウニタキからトゥイの事を聞く。
  178. 婿入り川(第二稿)   山北王の若按司が山南王の婿になる。
  179. クブラ村の南遊斎(第二稿)   ササたち、ダンヌ村からクブラ村に行く。
  180. 仕合わせ(第二稿)   ササと愛洲次郎、二人だけの時を過ごす。
  181. ターカウ(第二稿)   ササたち、黒潮を越えて台湾に行く。
  182. 伝説の女海賊(第二稿)   ササたち、高雄で女海賊の活躍を聞く。
  183. 龍と鳳凰(第二稿)   唐人町の宮殿にお世話になるササたち。
  184. トンド(第二稿)   ササたち、トンド王国に着く。
  185. 山北王の進貢(第二稿)  リュウイン、山北王の使者として明国に行く。
  186. 二つの婚礼(第二稿)   マグルーとマウミ、ウニタルとマチルーが結ばれる。
  187. 若夫婦たちの旅(第二稿)   ウニタル夫婦とマグルー夫婦、旅に出る。
  188. サハチの名は尚巴志(第二稿)   今帰仁のお祭りからウニタキが帰って来る。
  189. トンドの新春(第二稿)   ササたち、新年の祝宴で二日酔い。
  190. パティローマ(第二稿)   ササたち、波照間島に行く。
  191. キキャ姫の遊戯(第二稿)   湧川大主、喜界島を攻める。
  192. 尚巴志の進貢(第二稿)   サハチ、尚巴志の名前で進貢船を送る。
  193. ササの帰国(第二稿)   南の島の人たちを連れて、ササたち帰国する。
  194. 玉グスク(第二稿)   ササ、豊玉姫から瀬織津姫の事を聞く。
  195. サミガー大主の小刀(第二稿)   タキドゥン按司の話を聞いて驚く尚巴志
  196. 奥間のミワ(第二稿)   ササたち、愛洲次郎の船でヤマトゥに行く。
  197. リーポー姫(第二稿)   他魯毎冊封するための冊封使琉球に来る。
  198. 他魯毎の冊封(第二稿)   諭祭の儀式と冊封の儀式が無事に終わる。
  199. 満月(第二稿)   ササたち、阿蘇山に登り、那智から天川の弁才天社に行く。
  200. 瀬織津姫(第二稿)   富士山麓の湖畔で、神様たちと酒盛り。
  201. 真名井御前(第二稿)   六甲山で武庫津姫、真名井御前の声を聞く。
  202. 八倉姫と大冝津姫(第二稿)   阿波に渡り、八倉比売神社と大粟神社に行く。
  203. 大物主(第二稿)   ササたち、三輪山に行き、サルヒコ、豊姫と会う。
  204. 重陽の宴(第二稿)   平田のお祭りが終わって、ミャークの船が帰国する。
  205. 王女たちの旅の空(第二稿)   リーポー姫たち、今帰仁に行き山北王と会う。
  206. 天罰(第二稿)   湧川大主、援軍を迎えて鬼界島を攻める。
  207. 大三島の伊予津姫(第二稿)   ササたち、大三島の入日の滝で伊予津姫と会う。
  208. 国頭御殿(第二稿)   リーポー姫たち、国頭グスクに行く。
  209. 南蛮船の帰国(第二稿)   馬天浜の張三豊を偲ぶお祭りに弟子たちが集まる。
  210. 大義名分(第二稿)   リーポー姫と冊封使が帰国して、進貢船が船出する。
  211. ナコータルー(第二稿)   尚巴志、山北王の材木屋の親方と会う。
  212. 志慶真のウトゥタル(第二稿)  ハルとシビーとユラ、ヤンバルに行く。
  213. 湧川大主の憂鬱(第二稿)   湧川大主、鬼界島攻めから帰って来る。
  214. ファイテとジルーク(第二稿)   五年間の留学から帰って来た二人。
  215. それぞれの新年(第二稿)   新年の儀式も無事に済んで龍天閣で作戦会議。
  216. 奥間ヌルの決断(第二稿)   油屋のユラ、お祭りの準備のため今帰仁に帰る。
  217. 奥間炎上(第二稿)   諸喜田大主、奥間を攻める。
  218. 李芸と再会(第二稿)   李芸と早田五郎左衛門が琉球に来る。
  219. 須久名森(第一稿)   タミー、須久名森の古いウタキを見つける。
  220. 被慮人探し(第一稿)   李芸、遊女屋「松風楼」の女将と会う。
  221. シネリキヨ(第一稿)   ササたち、沢岻に行き、浜比嘉島に行く。
  222. 東松田の若ヌル(第一稿)   ササたち、喜名に行き、宇座の牧場に行く。
  223. 大禅寺(第一稿)   ササたち、キーヌウチから沢岻に行く。
  224. 長老たちの首里見物(第一稿)   首里のお祭りでお芝居「千代松」を上演。
  225. 祝い酒(第一稿)   尚巴志、真喜屋之子の手柄話を聞く。
  226. 見果てぬ夢(第一稿)   李芸、今帰仁で被慮人を見つける。
  227. 悪者退治(第一稿)   ササたち、シジマを連れてヤンバルに行く。
  228. 志慶真ヌル(第一稿)   シジマ、志慶真ヌルになる。



主要登場人物

 

第一部 目次

目次 第一部

尚巴志伝 第一部 月代の石

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このイラストはは和々様よりお借りしました。

 

  1. 誕生(最終決定稿)   尚巴志、佐敷苗代に生まれる。
  2. 馬天浜(最終決定稿)   サミガー大主とヤマトゥの山伏、クマヌ。
  3. 察度と泰期(最終決定稿)   浦添按司察度、過去を振り返る。
  4. 島添大里グスク(最終決定稿)   島添大里グスク、汪英紫に奪われる。
  5. 佐敷グスク(最終決定稿)   尚巴志の父、佐敷按司になる。
  6. 大グスク炎上(最終決定稿)   大グスク、汪英紫(島添大里按司)に奪われる。
  7. ヤマトゥ酒(最終決定稿)   早田三郎左衛門、馬天浜に来る。
  8. 浮島(最終決定稿)   尚巴志、早田左衛門太郎と旅に出る。
  9. 出会い(最終決定稿)   尚巴志、伊波按司の娘と剣術の試合をする。
  10. 今帰仁グスク(最終決定稿)   尚巴志、今帰仁に行く。
  11. 奥間(最終決定稿)   尚巴志、奥間村に滞在する。
  12. 恋の病(最終決定稿)   旅から帰った尚巴志、マチルギを想う。
  13. 伊平屋島(最終決定稿)   尚巴志、祖父の故郷に行く。
  14. ヤマトゥ旅(最終決定稿)   尚巴志、ヤマトゥへ旅立つ。
  15. 壱岐島(最終決定稿)   尚巴志、壱岐島で察度の噂を聞く。
  16. 博多(最終決定稿)   尚巴志、ヤマトゥの都を見て驚く。
  17. 対馬島(最終決定稿)   尚巴志、早田左衛門太郎の故郷に滞在する。
  18. 富山浦(最終決定稿)   尚巴志、高麗に行く。
  19. マチルギ(最終決定稿)   尚巴志の恋敵、ウニタキ現れる。
  20. 兵法(最終決定稿)   尚巴志、対馬で修行に励む。
  21. 再会(最終決定稿)   帰って来た尚巴志、マチルギと再会。
  22. ウニタキ(最終決定稿)   尚巴志、ウニタキと一緒に勝連グスクに行く。
  23. 名護の夜(最終決定稿)   尚巴志、マチルギと今帰仁に行く。
  24. 山田按司(最終決定稿)   尚巴志、マチルギの叔父、山田按司と会う。
  25. お輿入れ(最終決定稿)   マチルギ、尚巴志に嫁ぐ。
  26. 高麗の対馬奇襲(最終決定稿)   早田左衛門太郎の本拠地、高麗に攻められる。
  27. 豊見グスク(最終決定稿)   シタルー(汪応祖)、豊見グスクを築く。
  28. サスカサ(最終決定稿)   尚巴志とマチルギ、馬天ノロと旅に出る。
  29. 長男誕生(最終決定稿)   マチルギと馬天ノロ、神様になる。
  30. 出陣命令(最終決定稿)   察度、各按司に今帰仁征伐を命じる。
  31. 今帰仁合戦(最終決定稿)   中山王、山北王の今帰仁グスクを攻める。
  32. 次男誕生(最終決定稿)  尚巴志の次男(尚忠)と山田按司の次男(護佐丸)生まれる。
  33. 十年の計(最終決定稿)   尚巴志、佐敷按司(父)、鮫皮大主(祖父)と密談する。
  34. 東行法師(最終決定稿)   父が隠居して、尚巴志、佐敷按司となる。
  35. 首里天閣(最終決定稿)   察度、浦添按司を武寧に譲って隠居する。
  36. 浜川大親(最終決定稿)   ウニタキは妻子を殺され、シタルーは明に行く。
  37. 旅の収穫(最終決定稿)   奥間のサタルーと対馬のユキ。
  38. 久高島(最終決定稿) 尚巴志はマチルギに怒られ、ウニタキはチルーといい感じ。
  39. 運玉森(最終決定稿)   三好日向、尚巴志のために山賊になる。
  40. 山南王(最終決定稿)   承察度が亡くなり、若按司が山南王になる。
  41. 傾城(最終決定稿)   山南王、中山王の怒りを買って、汪英紫に攻められる。
  42. 予想外の使者(最終決定稿)   尚巴志夫婦、弟のマサンルー夫婦と旅をする。
  43. 玉グスクのお姫様(最終決定稿)   尚巴志、玉グスクと同盟を結ぶ。
  44. 察度の死(最終決定稿)   山北王のミンと奥間の長老も亡くなる。
  45. 馬天ヌル(最終決定稿)   馬天ノロ、御嶽巡りの旅に出る。
  46. 夢の島(最終決定稿)   早田左衛門太郎、慶良間の夢の島に行く。
  47. 佐敷ヌル(最終決定稿)  尚巴志の妹、マシューの気持ちとマカマドゥの決心。
  48. ハーリー(最終決定稿)   尚巴志夫婦と佐敷ノロ、ハーリーを見物。
  49. 宇座の御隠居(最終決定稿)   宇座の泰期が亡くなり、尚巴志夫婦は悲しむ。
  50. マジムン屋敷の美女(最終決定稿)  尚巴志、島添大里グスクに側室を入れる。
  51. シンゴとの再会(最終決定稿)   早田左衛門太郎、朝鮮に投降する。
  52. 不思議な唐人(最終決定稿)   尚巴志、懐機と出会う。
  53. 汪英紫、死す(最終決定稿)   懐機、旅から帰り、武術を披露する。
  54. 家督争い(最終決定稿)   達勃期と汪応祖が山南王の家督を争う。
  55. 大グスク攻め(最終決定稿)   尚巴志、大グスクを攻め落とす。
  56. 作戦開始(最終決定稿)   尚巴志、大グスクノロと再会する。
  57. シタルーの非情(最終決定稿)   達勃期、弟の汪応祖に敗れる。
  58. 奇襲攻撃(最終決定稿)   尚巴志、島添大里グスクを攻め落とす。
  59. 島添大里按司(最終決定稿)   尚巴志、島添大里按司になる。
  60. お祭り騒ぎ(最終決定稿)   尚巴志、城下の者たちと戦勝祝い。
  61. 同盟(最終決定稿)   尚巴志、山南王と同盟する。
  62. マレビト神(最終決定稿)   外間ノロと佐敷ノロにマレビト神が現れる。
  63. サミガー大主の死(最終決定稿)   神の声を聞いたウニタキ。
  64. シタルーの娘(最終決定稿)   山南王のお姫様の悩みと青い海
  65. 上間按司(最終決定稿)   明国の使者が二十年振りにやって来る。
  66. 奥間のサタルー(最終決定稿)   尚巴志、奥間ノロに魅了される。
  67. 望月ヌル(最終決定稿)   謎の爺さん、望月党を語る。
  68. 冊封使(最終決定稿)   首里の宮殿の儀式で、武寧と汪応祖、正式に王になる。
  69. ウニョンの母(最終決定稿)   ウニタキ、亡くなった妻の秘密を知る。 
  70. 久米村(最終決定稿)   尚巴志とウニタキ、懐機に呼ばれて久米村に行く。
  71. 勝連無残(最終決定稿)   勝連按司が奇病に倒れる。 
  72. 伊波按司(最終決定稿)   大きな台風が来て各地で被害が出る。
  73. ナーサの望み(最終決定稿)   ウニタキ、ナーサを味方に引き入れる。
  74. タブチの野望とシタルーの誤算(最終決定稿)  八重瀬按司、中山王と同盟する。
  75. 首里グスク完成(最終決定稿)   中山王と山南王の決戦が迫る。
  76. 首里のマジムン(最終決定稿)   尚巴志、首里グスクを奪い取る。 
  77. 浦添グスク炎上(最終決定稿)   浦添グスクは焼け落ち、亜蘭匏は消える。
  78. 南風原決戦(最終決定稿)   尚巴志、中山軍を壊滅させる。
  79. 包囲陣崩壊(最終決定稿)   達勃期は出直し、汪応祖は首里を攻める。
  80. 快進撃(最終決定稿)   尚巴志、中グスク、越来グスクを攻め落とす。
  81. 勝連グスクに雪が降る(最終決定稿)   尚巴志、勝連グスクを落とす。

 

尚巴志伝 第二部 目次

 

・尚巴志伝の年表

・第一部の主要登場人物

・尚巴志の略歴

・尚巴志の祖父、サミガー大主の略歴

・尚巴志の父、思紹の略歴

・馬天ヌル(馬天ノロ)の略歴

・中山王、察度の略歴

・中山王、武寧の略歴

・汪英紫の略歴

・山南王、汪応祖の略歴

・泰期の略歴

・クマヌの略歴

・三好日向の略歴

・早田左衛門太郎の略歴

・ウニタキの略歴

・懐機の略歴

・倭寇年表

第二部 主要登場人物

サハチ       1372-1439  尚巴志。島添大里按司
マチルギ      1373-    尚巴志の妻。伊波按司の娘。
サグルー      1390-    尚巴志の長男。妻は護佐丸の妹、マカトゥダル。
ジルムイ      1391-    尚巴志の次男。後の尚忠。妻はサムの娘、ユミ。
ミチ        1393-    尚巴志の長女。島添大里ヌル、サスカサ。
イハチ       1394-    尚巴志の三男。妻は具志頭按司の娘、チミー。
チューマチ     1396-    尚巴志の四男。妻は山北王の娘、マナビー。
マグルー      1398-1453  尚巴志の五男。妻は兼グスク按司の娘、マウミ。
思紹        1354-1421 中山王。尚巴志の父。
佐敷ヌル      1374-    尚巴志の妹、マシュー。シンゴと結ばれ娘を産む。
佐敷大親      1376-    尚巴志の弟、マサンルー。妻は奥間大親の娘、キク。
平田大親      1378-    尚巴志の弟、ヤグルー。妻は玉グスク按司の娘。
与那原大親     1383-    尚巴志の弟、マタルー。妻はタブチの娘、マカミー。
クルー       1388-    尚巴志の弟、妻は山南王シタルーの娘、ウミトゥク。
馬天ヌル      1357-    思紹の妹、尚巴志の叔母。
ササ        1391-    馬天若ヌル。父はヒューガ。母は馬天ヌル。
ヒューガ      1355-1470 三好日向。中山の水軍大将。
苗代大親      1360-    思紹の弟。サムレー総隊長。武術師範。
マカマドゥ     1392-    苗代大親の三女。マウシ(護佐丸)の妻。
クグルー      1386-    泰期の三男。苗代大親の娘婿。
サミガー大主    1356-    思紹の弟、ウミンター。
シビー       1395-    尚巴志の従妹。メイユーの弟子になる。
ウニタキ      1372-1433 三星大親。「三星党」の頭。
チルー       1368-    ウニタキの妻。尚巴志の母の妹。
イーカチ      1373-    「三星党」の副頭。絵画き。
ナツ        1381-    ウニタキの配下から尚巴志の側室になる。
シズ        1389-    ウニタキの配下。ササと一緒にヤマトゥに行く。
ヤールー      1385-    ウニタキの配下。サグルーを守っている。
ファイチ      1375-1453 懐機。明国の道士。尚巴志の客将。
サスカサ      1354-    ミチにサスカサを譲り、運玉森ヌルになる。
マウシ       1391-1458 真牛。山田按司の次男。尚巴志の甥。護佐丸。
マカトゥダル    1392-    護佐丸の妹。サグルーの妻。
マサルー      1364-    山田按司の家臣。
シラー       1391-    マサルーの次男。
クマヌ       1346- 1412 中グスク按司。中山の重臣
美里之子      1362-    越来按司。中山の重臣。思紹の義弟。
當山之子      1365-    美里之子の弟。浦添按司になる。
クサンルー     1387-    當山之子の長男。浦添按司
カナ        1391-    當山之子の長女。浦添ヌル。
サム        1372-    後見役から勝連按司になる。伊波按司の四男。
ユミ        1392-    サムの長女。ジルムイ(尚忠)の妻。
ナーサ       1352-    首里の遊女屋「宇久真」の女将。
マユミ       1389-    「宇久真」の遊女。
宇座按司      1355-    泰期の次男。父の跡を継いで明国への使者となる。
シタルー      1362-1413  山南王。汪応祖
トゥイ       1363-    シタルーの正妻。山南王妃。察度の娘。
タルムイ(他魯毎) 1385-1429  豊見グスク按司。シタルーの長男。妻は尚巴志の妹。
豊見グスクヌル   1382-    シタルーの長女。タルムイの姉。
兼グスク按司    1389-    ジャナムイ。シタルーの次男。
保栄茂按司     1393-    グルムイ。シタルーの三男。妻は山北王の娘。
長嶺按司      1389-    シタルーの娘婿。
マアサ       1896-    シタルーの五女。
座波ヌル      1382-    山南王シタルーの側室。
島尻大里ヌル    1368-    ウミカナ。シタルーの妹。
タブチ       1360-    八重瀬按司。山南王シタルーの兄。
エータルー     1381-1413  タブチの長男。
エーグルー     1388-    タブチの三男。新グスク按司
チヌムイ      1395-    タブチの四男。
ミカ        1392-    八重瀬若ヌル。タブチの六女。チヌムイの姉。
八重瀬ヌル     1361-    タブチの妹。シタルーの姉。
サイムンタルー   1361-1429  早田左衛門太郎。対馬島倭寇の頭領。
早田六郎次郎    1387-    左衛門太郎の跡継ぎ。妻はユキ。
ユキ        1388-    六郎次郎の妻。尚巴志の娘。母はイト。
イト        1372-    対馬島の女船長。ユキの母。
シンゴ       1372-    早田新五郎。左衛門太郎の弟。
マツ        1372-    中島松太郎。早田左衛門太郎の家臣。
トラ        1372-    大石寅次郎。早田左衛門太郎の家臣。
早田五郎左衛門   1349-    左衛門太郎の叔父。朝鮮国の富山浦に住む商人。
早田丈太郎     1371-    五郎左衛門の長男。漢城府の津島屋の主人。
浦瀬小次郎     1375-    五郎左衛門の娘婿。
早田ナナ      1388-    早田次郎左衛門の娘。
早田左衛門次郎   1387-    六郎次郎の従兄弟。
早田小三郎     1391-    六郎次郎の義弟。
サングルミー    1371-    与座大親。中山の進貢船の正使。
メイファン     1379-    張美帆。明国の海賊の娘。
メイリン      1374-    張美玲。メイファンの姉。
スーヨン      1387-    張思永。メイリンの娘。
メイユー      1376-    張美玉。メイファンの姉。尚巴志の側室になる。
ラオファン     1338-    黄敬。三姉妹の武術の師匠。
リェンリー     1376-    黄怜麗。ラオファンの娘。
ジォンダオウェン  1364-    鄭道文。三姉妹の配下の海賊。
ユンロン      1387-    鄭芸蓉。ジォンダオウェンの娘。 
リュウジャジン   1362-    劉嘉景。三姉妹の配下の海賊。
リィェンファ    1377-    楊蓮華。富楽院の妓楼『桃香楼』の女将。
ヂュヤンジン    1375-    朱洋敬。懐機の友。宮廷に仕える役人。
永楽帝       1360-1424  明国の皇帝。
リュウイェンウェイ 1389-    劉媛維。富楽院の最高級妓楼『酔夢楼』の妓女。
ファイホン     1379-    懐虹。懐機の妹。
ヂャンサンフォン  1247-    張三豊。武当山の道士で、武当拳創始者
シンシン      1390-    范杏杏。張三豊の弟子。
フカマヌル     1372-    外間ノロ。久高島のノロ尚巴志の腹違いの妹。
大里ヌル      1387-    久高島のノロ。月の神様を祀る。
奥間大親      1357-    ヤキチ。奥間から来た尚巴志の護衛役。中山の重臣
平安名大親     1348-    勝連の重臣。ウニタキの叔父。
勝連ヌル      1369-    ウニタキの姉。
伊波按司      1363-    マチルギの兄。
山田按司      1365-    マチルギの兄。
攀安知       1376-1416  山北王。
マナビー      1397-    攀安知の次女。チューマチの妻。
涌川大主      1377-    攀安知の弟。
勢理客ヌル     1356-    アオリヤエ。攀安知の叔母。
アタグ       1355-    山北王に仕えるヤマトゥの山伏。
本部のテーラー   1376-1416  攀安知の幼馴染み。サムレー大将。
リュウイン     1359-    劉瑛。山北王の軍師。
油屋、ウクヌドー  1350-    奥堂。山北王に仕える博多筥崎八幡宮の油屋。
兼グスク按司    1378-    ンマムイ。武寧の次男。妻は攀安知の妹。
マハニ       1379-    兼グスク按司の妻。山北王、攀安知の妹。
マウミ       1399-    ンマムイの長女。
ヤタルー師匠    1359-    阿蘇弥太郎。ンマムイの武術の師匠。
慈恩禅師      1350-1448  禅僧であり武芸者。ヒューガの師匠。
飯篠修理亮     1387-1488 武芸者。長威斎。
二階堂右馬助    1390-    慈恩の弟子。
一文字屋孫三郎   1361-    次郎左衛門の弟。坊津の一文字屋主人。
みお        1394-    一文字屋孫三郎の三女。
村上又太郎     1386-    村上水軍の頭領の長男。上関を守っている。
村上あや      1392-    村上又太郎の妹。
塩飽三郎入道    1358-    塩飽水軍の頭領。
一文字屋次郎左衛門 1355-    京都の一文字屋の主人。
まり        1394-    一文字屋次郎左衛門の三女。
高橋殿       1376-    足利義満の側室。道阿弥の娘。
対御方       1379-    足利義満の側室。高橋殿に仕えている。
平方蓉       1383-    陳外郎の娘。高橋殿に仕えている。
足利義持      1386-1428  室町幕府第四代将軍。
日野栄子      1390-1431  足利義持の奥方。
勘解由小路殿    1350-1410  斯波道将。将軍様の補佐役。
斯波左兵衛督    1371-1418  勘解由小路殿の嫡男。将軍様の補佐役。
中条兵庫助     1359-    将軍様の武術指南役。慈恩禅師の弟子。
中条奈美      1380-    中条兵庫助の娘。夫が戦死し、高橋殿に仕える。
外郎       1360-    陳宗奇。薬師。外交使節の接待役。
魏天        1350-    将軍様に仕える明国の通事。
栄泉坊       1389-    東福寺を追い出された画僧。
増阿弥       1368-    奈良の田楽新座の太夫
一徹平郎      1355-    北野天満宮の宮大工。
源五郎       1359-    腕はいいが変わり者の瓦職人。
新助        1379-    龍ばかり彫っている等持寺の大工。
渋川道鎮      1372-1446  九州探題。勘解由小路殿の娘婿。
宗讃岐守貞茂    1364-1418  対馬守護。
平道全       1376-    宗貞茂の家臣。
宗金        1380-    博多妙楽寺の僧。
李芸        1373-1445  倭寇にさらわれた母親を探している朝鮮の役人。
シーハイイェン   1390-    施海燕。旧港宣慰司、施進卿の次女。施二姐。
ツァイシーヤオ   1390-    蔡希瑶。シーハイイェンの親友。
シュミンジュン   1342-    徐鳴軍。シーハイイェンの師匠。張三豊の弟子。
ワカサ       1364-    旧港の通事。若狭出身の倭寇
奥間の長老     1348-    ヤザイム。奥間大主。
サタルー      1387-    奥間の長老の跡継ぎ。尚巴志の息子。
奥間ヌル      1374-    奥間村のノロ尚巴志の娘ミワを産む。
奥間のサンルー   1382-    「赤丸党」の頭。クマヌの息子。
クジルー      1393-    サンルーの配下。マサンルーの息子。
米須按司      1357-1414  摩文仁大主。武寧の弟。若按司の妻はタブチの娘。
摩文仁按司     1383-1414  米須按司の次男。
玻名グスク按司   1358-1414  中座大主。タブチの義兄。
真壁按司      1353-1414  山グスク大主。玻名グスク按司の義兄。
伊敷按司      1363-    ナーグスク大主。真壁按司の義弟。
イサマ       1375-    伊平屋島の田名大主の長男。田名親方の兄。
我喜屋大主     1359-    田名大主の弟。イサマの叔父。
サミガー親方    1361-    与論島で鮫皮を作っている親方。
麦屋ヌル      1373-    先代の与論按司の娘。ウニタキの従妹。
ハル        1395-    山南王のシタルーから尚巴志に贈られた側室。
クムン       1373-    島尻大里から来た石屋。
スヒター      1391-   マジャパイト王国の女王クスマワルダニの娘。
辺戸ヌル      1360-   安須森の麓の辺戸村のヌル。
カミー       1402-    アフリヌルの孫娘。
屋嘉比のお婆    1320-    先々代の屋嘉比ヌル。
福寿坊       1387-    備前児島の山伏。
辰阿弥       1384-    時衆の武芸者。
ブラゲー大主    1353-    チヌムイの祖父。貝殻を扱うウミンチュの親方。
小渡ヌル      1380-    父は越来按司。母は山北王珉の妹。久高ヌルになる。
照屋大親      1351-    山南王の重臣。交易担当。
糸満大親      1367-    山南王の重臣
新垣大親      1360-1414  山南王の重臣。タブチの幼馴染み。
真栄里大親     1362-1414  山南王の重臣
波平大親      1366-    山南王の重臣
波平大主      1373-    波平大親の弟。サムレー大将。タルムイ側に付く。
国吉大親      1375-    山南王の重臣。妻は照屋大親の娘。
賀数大親      1368-    山南王の重臣。タルムイ側に付く。
兼グスク大親    1363-    山南王の重臣。タルムイ側に付く。
石屋のテハ     1375-    シタルーのために情報を集めていた。
大村渠ヌル     1366-    初代山南王の娘。前島尻大里ヌル。
慶留ヌル      1371-    シタルーの従妹。前島尻大里ヌル。
愛洲次郎      1390-    愛洲水軍の大将の次男。
寺田源三郎     1390-    愛洲次郎の家臣。
河合孫次郎     1390-    愛洲次郎の家臣。
堂之比屋      1362-    久米島堂村の長老。
堂ヌル       1384-    堂之比屋の娘。
新垣ヌル      1380-    久米島北目村のヌル。
大岳ヌル      1386-    久米島大岳のヌル。
具志川若ヌル    1397-    具志川ヌルの娘。
クイシヌ      1373-    久米島ニシタキのヌル。
クマラパ      1339-    狩俣按司マズマラーの夫。元の国の道士。
マズマラー     1357-    狩俣の女按司
タマミガ      1389-    クマラパとマズマラーの娘。
那覇勢頭     1360-    目黒盛の重臣。船長として琉球に行く。
目黒盛豊見親    1357-    ミャークの首長。
漲水のウブンマ   1379-    漲水ウタキのヌル。目黒盛の従妹。
アコーダティ勢頭  1356-    野崎按司重臣。船長としてトンド国に行く。
ムマニャーズ    1342-    上比屋の先代の女按司
ツキミガ      1390-    ムマニャーズの孫娘。
アラウスのウプンマ 1340-    戦死したアラウス按司の妹。
マムヤ       1339-    保良の女按司の末娘。先代の野城按司
チルカマ      1349-    クマラパの妹。先代の石原按司
阿嘉のトゥム    1365-    久米島からミャークに渡った兄弟の弟。伊良部島に住む。
スタタンのボウ   1360-    多良間島の女按司。クマラパの弟子。
ハリマ大殿     1359-    ボウの夫。ターカウの倭寇
平久保按司     1355-    石垣島按司。ターカウの倭寇
ブナシル      1360-    名蔵の女按司
ミッチェ      1387-    ブナシルの娘。父親は富崎按司
マッサビ      1369-    ウムトゥダギのフーツカサ。池間島出身。
サユイ       1391-    マッサビの娘。弓矢の名人。
阿嘉のグラー    1362-    マッサビの夫。久米島からミャークに渡った兄弟の兄。
ガンジュー     1386-    熊野の山伏、願成坊。
タキドゥン     1348-    島添大里按司の息子で、タキドゥン島の按司になる。
ユミ        1361-    ドゥナン島サンアイ村のツカサ。
ナーシル      1391-    ユミの娘。父は苗代大親

 

スサノオ            ヤマト国の大王。牛頭天王
豊玉姫             スサノオの妻。
玉依姫             スサノオ豊玉姫の娘。ヒミコ。アマテラス。
アマン姫            玉依姫の妹。アマミキヨ
ユンヌ姫            アマン姫の娘。
アキシノ            厳島神社の内侍。初代今帰仁ヌル。
クミ姫             久米島の神様。ビンダキ姫の三女。
ウパルズ            池間島の神様。ウムトゥ姫の長女。
赤名姫             ウパルズの孫。ユンヌ姫と行動を共にする。
ウムトゥ姫           石垣島於茂登岳の神様。ビンダキ姫の次女。
ノーラ姫            石垣島の名蔵の神様。ウムトゥ姫の次女。
ヤラブ姫            ノーラ姫の三女。
ビシュヌ            クバントゥオンの神様。シィサスオンの神様でもある。
ラクシュミ           ビシュヌの妻。ミズシオンの神様。
サラスワティ          ヤラブダギの神様。弁才天
イリウムトゥ姫         二代目ウムトゥ姫の次女。クン島の神様。
ユウナ姫            イリウムトゥ姫の次女。ドゥナン島の神様。

 

2-227.悪者退治(第一稿)

 昨日は雨降りだったが、今日は朝からいい天気で、島添大里(しましいうふざとぅ)グスクのお祭りに大勢の人たちが集まって来た。
 ミーグスクに滞在しているヤンバルの長老たちとクチャとスミもマナビー夫婦と一緒にお祭りを楽しんだ。ナコータルーの娘のマルもマナビーと一緒にいた。
 山南王妃(さんなんおうひ)のマチルーも女子(いなぐ)サムレーの格好で馬に乗って、トゥイ様(前山南王妃)と一緒にやって来た。佐敷大親(さしきうふや)のマサンルー、平田大親のヤグルー、玉グスク按司の妻のマナミー、知念按司(ちにんあじ)の妻のマカマドゥ、八重瀬按司(えーじあじ)のマタルー、手登根大親(てぃりくんうふや)のクルーもやって来て、サハチの兄弟が久し振りに勢揃いした。一の曲輪(くるわ)の屋敷の二階で酒盛りを始めたが、みんなに今帰仁(なきじん)攻めを内緒にしているのがサハチには辛かった。
 お芝居は女子サムレーたちの『女海賊(いなぐかいずく)』と旅芸人たちの『千代松(ちゅーまち)』だった。旅芸人たちは首里(すい)のお祭りが終わったあと、『千代松』の稽古に励んで、島添大里のお祭りに間に合わせていた。
 安須森(あしむい)ヌルの新作『アマミキヨ』は完成できなかった。南の島に行って色々と調べたので書けると思っていたが、実際に書いてみるとわからない事が多すぎた。神様の話なので、あまり嘘ばかり書く事もできず、もっと調べてから改めて書こうと安須森ヌルは諦めた。ササのお陰で瀬織津姫(せおりつひめ)様の行動はよくわかったので、瀬織津姫様を書こうと書き始めていた。
 『千代松』を観た長老たちは、今帰仁の英雄をよくお芝居にしてくれたと感激していた。
 三月一日、中山王(ちゅうざんおう)の書状が内密に、浦添按司(うらしいあじ)、北谷按司(ちゃたんあじ)、中グスク按司、越来按司(ぐいくあじ)、勝連按司(かちりんあじ)、安慶名按司(あぎなーあじ)、伊波按司(いーふぁあじ)、山田按司に『まるずや』あるいは『よろずや』を通して届けられた。突然の事なので、按司たちは驚いた。名護(なぐ)、羽地(はにじ)、国頭(くんじゃん)、恩納(うんな)、金武(きん)の按司たちが山北王(さんほくおう)から離反したと書いてあったので、さらに驚き、琉球を統一するために山北王を倒すという言葉に、いよいよ、その時が来たかと覚悟を決めて、密かに戦(いくさ)の準備を始めた。
 この日、ウニタキ配下の『三星党(みちぶしとう)』の者たちは、各城下にいる『油屋』で働いている湧川大主(わくがーうふぬし)の配下の者たちの見張りを強化した。もし、怪しい素振りを見せた場合は、すぐに処分しろとウニタキは命じた。
 三月三日、恒例の久高島参詣(くだかじまさんけい)が行なわれた。去年、行かなかったので安須森ヌルも参加して、ササたちも若ヌルたちを連れて合流した。
 二日後の午後、与那原(ゆなばる)にいたササたちに、志慶真(しじま)ヌルが血を吐いて倒れたとユンヌ姫が知らせてくれた。
「亡くなったの?」とササが聞くと、
「あれだけの血を吐いたら、一日も持たないと思うわ」とユンヌ姫は言った。
「わかったわ。ありがとう」
 ササたちは島添大里に向かった。
 シジマはウタキに入ってお祈りをしているという。安須森ヌルに志慶真ヌルの事を告げると、「とうとう、その日が来たわね」とうなづいた。
「基本的な事はみんな覚えたから何とかなるわよ。あとは神様の言う通りにやれば大丈夫よ。明日、行くのね」
 ササはうなづいて、「マシュー姉(ねえ)、頼みがあるのよ」と言った。
「今回の旅はちょっと危険だわ。若ヌルたちを預かってほしいの」
「そうね。今帰仁は危険よ。預かるわ。屋賀(やが)ヌルは連れて行くのね?」
「読谷山(ゆんたんじゃ)に寄って、タマ(東松田の若ヌル)も連れて行くわ」
「マサキはいいの?」
「連れて行くつもりだったんだけど、タマと屋賀ヌルがいれば大丈夫だと思うわ。もしもの事があったら、ンマムイがわめきそうだし」
 安須森ヌルは笑って、「気を付けて行くのよ」と言った。
「愛洲(あいす)ジルーたちが一緒だから大丈夫よ」
 その夜、シジマの送別の宴(うたげ)が開かれた。サハチも子供たちを連れて参加した。チューマチより下の子は皆、シジマの昔話を聞いて育っていた。シジマがいなくなると聞いて、五歳のマカマドゥがいやだと言って泣いた。
 シジマは十年間、島添大里グスクにいた。シジマから剣術を習った城下の娘たちも多かった。そんな娘たちが大勢、シジマに別れを告げに来た。シジマは目に涙を溜めながら、娘たち一人一人に別れを告げていた。非番のサムレーたちもやって来て、シジマと別れの酒杯(さかずき)を交わした。
 翌朝、ササ、シンシン、ナナ、シジマ、屋賀ヌル、愛洲ジルー、ゲンザ、マグジの八人は庶民の格好になって、読谷山に向かった。ジルーたちはヤマトゥの髷(まげ)を琉球風に直して、琉球の着物を着ていた。マグジはその姿がよく似合っていて、若ヌルたちに笑われていた。若ヌルたちに見送られて、ササたちは杖(つえ)を突きながら旅立った。
 喜名(きなー)に着いたのは正午(ひる)頃で、タマは昼食の用意をして待っていた。ササたちは昼食を御馳走になって、東松田(あがりまちだ)ヌルに見送られて恩納岳(うんなだき)に向かった。
 恩納岳の木地屋(きじやー)のタキチのお世話になって、翌朝、タマと一緒にスムチナムイに行ったゲンが案内に立ってくれた。正午頃、名護に着いて、木地屋のユシチの屋敷で昼食をいただいて、それから一時半(いっときはん)(三時間)後、玉グスクに着いた。
 玉グスクヌルのユカを訪ねると、屋賀ヌルと東松田の若ヌルが来る事を知っていて待っていたと言った。一緒にいるササたちを見て、「誰なの?」と屋賀ヌルに聞いた。
 屋賀ヌルは、ササを多幸(たこー)ヌル、シジマを伊芸(いげ)ヌル、シンシンを明国(みんこく)の襄陽(シャンヤン)ヌル、ナナをヤマトゥの若狭(わかさ)ヌルと紹介した。多幸ヌルと伊芸ヌルなんて聞いた事もないし、ヤマトゥと明国のヌルがどうして、ここに来たのかユカにはわけがわからなかった。
「多幸ヌルは東松田の若ヌルと同族、伊芸ヌルはわたしと同族です。襄陽ヌルは浮島の久米村(くみむら)のヌルで、若狭ヌルは浮島の若狭町のヌルです。スムチナムイが琉球で一番古くて、霊験あらたかのウタキだと聞いて拝みに来たのです」
 ユカはササたちをじろりと見回した。皆、ヌルとしてのシジ(霊力)が高い事は感じられた。アマミキヨのヌルではなさそうだし、連れて行っても大丈夫だろう。もし、何かがあけば、神様のばちが当たって苦しむ事になるが、それは自業自得だと思った。
 ササはユカを見て、タマが言った通り、冷たい感じがする美人(ちゅらー)だと思い、シジが高い事はわかるが、何かに取り憑かれているようだと感じた。娘のミサキは人見知りをしない笑顔の可愛い娘だった。
「いいわ。案内しましょう」とユカは言って、ササたちをスムチナムイに連れて行った。愛洲ジルーたちはミサキと一緒にヌルの屋敷で待っていた。
 アフリ川(大井川)で禊(みそ)ぎをして、ヌルの着物に着替え、急な山道を登って行くと岩場に出て、古いウタキがあった。祭壇らしき岩もなく、かなり古いウタキのようで、強い霊気が漂っていた。
 ササたちはお祈りを捧げた。
「沢岻(たくし)ヌルはわたしの事を隠していたでしょう」という神様の声が聞こえた。
 神様の声は聞こえないだろうと思っていたササたちは驚いた。
「スムチナムイヌル様ですか」とササは聞いた。
「そうよ。役行者(えんのぎょうじゃ)様からガーラダマ(勾玉)をいただいたのは沢岻ヌルだけじゃないのよ。わたしもいただいたのよ。沢岻ヌルよりも先にね。役行者様に気に入られて、あちこちを案内したのは、わたしだったのよ。ビンダキ(弁ヶ岳)に連れて行って、役行者様が弁才天(びんざいてぃん)像を彫っている時も一緒にいたのよ。沢岻ヌルは強引に役行者様を奪って行ったのよ。昔の事だから、もう怒ってはいないけど、沢岻ヌルは未だにわたしを敬遠しているわ」
 役行者からガーラダマをもらったヌルが二人もいたなんて驚きだった。
「もしかしたら、役行者様の娘さんを授かったのですか」
「授かったわよ。娘はわたしの跡を継いでくれたわ。途中で絶えてしまったけどね」
役行者様はここにもいらしたのですね?」
「来たわ。コモキナ様とお話をしていたわ。わたしにはコモキナ様の言葉はよくわからないけど、役行者様にはわかるようだったわ」
「何のお話をしていたのか御存じですか」
「コモキナ様の子孫でヤマトゥに行った瀬織津姫という神様の事を聞いていたようだわ。コモキナ様の子孫がヤマトゥに行って、凄い神様になったと役行者様は言っていたけど、わたしにはよくわからなかったのよ」
「コモキナ様というのは、アマミキヨ様の夫になったシネリキヨ様の事ですね?」
アマミキヨのヌルたちはそう言っているけど、コモキナ様の妻はアマミキヨ様だけではないのよ。当時は通い婚だったから、コモキナ様の妻はあちこちにいたわ。アマミキヨ様はその中の一人に過ぎないのよ」
「コモキナ様は特別な人だったのですか」
役行者様から聞いたんだけど、大陸にあった楚(チュ)という国の王様の息子だったらしいわ。楚という国はシネリキヨの同族が造った国で、政変が起こって逃げて来たみたい。アフリ川を遡(さかのぼ)って来て、この地に落ち着いて、御殿(うどぅん)を建てて暮らしていたらしいわ。亡くなったあと、娘がここに葬って、それがウタキになったのよ」
「コモキナ様はアマミキヨ様と、どこで会ったのですか」
「南の方に異民族が集団でやって来たという噂を聞いて見に行って、アマミキヨの娘と結ばれたのでしょう」
「『ピャンナ』という言葉を御存じですか」
「コモキナ様から聞いた事はあるけど、意味はわからないわ」
 アビー様の事も聞きたかったが、玉グスクヌルが一緒にいたので、聞くのは控えた。ササはシンシン、ナナ、タマ、シジマ、屋賀ヌルの顔を見回した。誰も聞きたい事はなさそうなので、スムチナムイヌルにお礼を言ってお祈りを終えた。
「あなたたちは一体、何者なの?」とユカが驚いた顔をしてササたちを見た。
 アビー様に追い出してもらおうと思って連れて来たのに、今まで聞いた事もない神様が現れた。アビー様は何をしているのだろう。
「神様が言っておられた役行者様の事を調べているのです」とササが言った。
役行者様って誰なの?」
「ヤマトゥの凄い神人(かみんちゅ)です」
「そう‥‥‥」と言ってユカはササたちを見て笑った。
 シネリキヨの神様と話ができるのだから、シネリキヨのヌルに違いない。味方に付けた方がいいだろうとユカは思い、「歓迎するわ」と言った。
 今晩、村人たちを集めて歓迎の宴(うたげ)を開くとユカは言って引き留めたが、急用があるので、帰りにまた寄らせてもらうと言って、ササたちはユカと別れた。
「どうするの? これから志慶真村に向かうの?」とシンシンがササに聞いた。
「ユンヌ姫様から知らせがないから急いで行っても仕方がないわ。勢理客(じっちゃく)ヌルのカユ様に会いに行きましょう。玉グスクヌルが一緒にいたので、スムチナムイヌル様にアビー様の事を頼めなかったわ。カユ様にお願いしましょう」
 ゲンが勢理客大主(じっちゃくうふぬし)の屋敷を知っていたので、四半時(しはんとき)(三十分)で着いた。勢理客大主は見知らぬヌルたちがぞろぞろと訪ねて来たので驚いた。勢理客ヌルのカユ様のお墓参りがしたいと言ったら、さらに驚いた。
「カユ様はわしの曾祖母の母親でした。どうして、カユ様を御存じなのですか」と勢理客大主は不思議そうな顔をして聞いた。
「カユ様のお母様は沢岻ヌルでした。お母様のウタキが沢岻にあって、カユ様の事はお母様からお聞きしました。カユ様のお父様は湧川按司(わくが-あじ)で、今帰仁按司になられました。娘のカユ様は今帰仁ヌルになりましたが、本部大主(むとぅぶうふぬし)が今帰仁按司になると、本部大主の娘にヌルの座を譲って、湧川に戻って湧川ヌルになりました」
「カユ様が今帰仁ヌルに?」と勢理客大主は驚いた顔でササを見た。
「カユ様は湧川按司の娘で、悪者退治(わるむんたいじ)をしていた強いヌルで、勢理客ヌルを継いだという事しか知りません。カユ様は湧川グスクがあったという丘の上に祀られていますが、湧川按司の事も詳しい事はわかりませんでした。何とぞ、詳しい事をお教え下さい」
「わかりました。今晩、お話します。日が暮れる前にカユ様のウタキに行きたいのですが、ご案内をお願いできますか」
 勢理客大主はうなづいて、孫娘のマナに案内させた。マナは十三歳で、勢理客ヌルになりたいと言った。
「勢理客大主の娘ならなれるんじゃないの?」とササが言うと、マナは首を振った。
「勢理客ヌルは今帰仁ヌル様が継ぐ事に決まっているのです」
「いつから、そんな風になったの?」
「もう三代続いているそうです。お爺が五歳の時に勢理客ヌルは絶えてしまって、今帰仁ヌル様が来て跡を継いだんです。勢理客ヌル様が亡くなると今帰仁ヌル様が跡を継ぐ事に決まったようです。でも、今の勢理客ヌル様は湧川大主様の娘を若ヌルとして育てていますから、その娘が跡を継ぐみたいです」
「勢理客ヌル様は運天泊(うんてぃんどぅまい)にいるけど、昔からこの村(しま)にはいなかったの?」
「村にも勢理客ヌル様のお屋敷はあります。今の勢理客ヌル様が運天泊に移ったみたいです。それまでは村にいたってお爺は言っていました」
「今の勢理客ヌル様はカユ様のウタキには行かないの?」
「行きません。だから、あたしがヌルになって、ちゃんとカユ様をお守りしたいと思ったのです。それに、カユ様は悪者退治をした強い人だって聞いています。あたしもカユ様みたいな強いヌルになりたいのです」
 湧川村があったという荒れ地に四半時余りで着いた。勢理客大主が通っている細い道があるだけて、草木が生い茂っていて、ここに村があったという形跡は何もなかった。
 細い山道を登って行くと所々に石垣が残っていて、一の曲輪(くるわ)と思われる眺めのいい所にウタキはあった。クバの木に囲まれていて、快い霊気に包まれていた。
 ササたちはお祈りをした。
「母から聞いたわよ」と神様の声が聞こえた。
「女子武者(いなぐむしゃ)が訪ねて行くってね。母が言った通り、みんな、凄腕のようね。アビーが何かをたくらんでいるって言っていたけど、何の事なの?」
「近いうちに中山王は山北王を倒します。神様たちには見守っていてもらうつもりなのですが、アビー様が戦に加わろうとしています」
「どうして、中山王は山北王を倒すの?」
琉球を統一するためです。戦のない琉球にするためです」
「山北王もそれは考えているわよ」
「そうなのですか」
「今、同盟を結んでいるから平和だわ。これを続ける事はできないの?」
「無理だと思います。中山王と山北王はいつかは戦わなくてはなりません」
「戦をすれば多くの犠牲者が出るわよ」
「戦のない世の中にするには、多少の犠牲は仕方がありません」
「悪者退治です」とシンシンが言った。
 カユ様は笑って、「山北王が悪者だというの?」と聞いた。
「鬼界島(ききゃじま)(喜界島)を攻めて、多くの戦死者を出しました。亡くなった兵たちの家族は泣いています。山北王は悪者です」
「確かにね。多くの人が悲しんだわ」
「山北王は交易の利益を独り占めにしていて、ヤンバルの按司たちは明国の商品を手に入れる事ができませんでした。山北王は悪者です」とササが言った。
「確かに、明国の海賊と取り引きをしていて、按司たちには参加させなかったわね」
「何も悪い事をしていないのに、山北王は奥間(うくま)を焼き払いました。山北王は悪者です」とナナが言った。
「あれにはわたしも驚いたわ。按司たちも怒っていたわね。わたしの父にも奥間から側室が贈られたわ。わたしの剣術のお師匠は奥間から来た側室だったのよ。父は奥間の人たちを大切にしていたわ。奥間の人たちを裏切ったのは、確かに悪い事だわ」
「金武按司が勝連按司と材木の取り引きをしていたのに、山北王は邪魔をしました。山北王は悪者です」と屋賀ヌルが言った。
「それはどういう事なの?」
「山北王はグスクを造るまでは手助けしてくれましたが、その後は自分の才覚で金武を守れと言ったのです。金武按司は材木を売る事を考えて、勝連按司と取り引きを始めました。勝連按司も喜んでくれて、取り引きはうまく行っていたのですが、山北王の『材木屋』が宜野座(ぎぬざ)に拠点を造って、勝連と取り引きをしたのです。『材木屋』の材木の方が良質だと言われて、金武按司の材木は取り引きできませんでした。困っていた所、『まるずや』さんがすべて引き取ってくれたのです。金武按司は山北王の従弟(いとこ)です。従弟の取り引きの邪魔をするなんて最低です」
「そんな事があったの。確かに悪者だわね」
「悪者は退治しなければなりません」とササたちは言った。
「そうね」とカユは言って、「それで、アビーは何をしようとしているの?」と聞いた。
「何をしようとしているのかはわかりませんが、中山王を倒そうとしています。それをカユ様に止めてほしいのです」
「わかったわ。アビーに会ってみるわ。でも、アビーはわたしの言う事は聞かないかもしれないわね」
「カユ様はアビー様のお師匠だったのでしょう」
「そうなんだけど、千代松が戻って来た時、わたしも千代松の兵を率いて戦ったのよ。アビーとも戦ったわ。アビーは玉グスクヌルを頼って逃げて行ったのよ。アビーの事はわたしに任せてって千代松に頼んだから、千代松の兵が玉グスクに攻めて来る事はなかったわ。でも、アビーはずっとわたしの事を恨んでいて、近くにいながら会った事もなかったのよ」
「亡くなってからも会ってはいないのですか」
「会っていないわね。でも、大丈夫よ。言う事を聞かなかったら、力尽くでも何とかするわ」
 ササたちはお礼を言った。
「ところで、勢理客ヌルなんだけど、マナを勢理客ヌルに育ててくれないかしら」
「えっ?」とササは予想外の事を言われて戸惑った。
「山北王がいなくなったら、今の勢理客ヌルは出て行くでしょ。マナが跡を継げばいいわ」
 ヌルまで殺しはしないだろうが、今の勢理客ヌルはヌルの座を剥奪される。新しい勢理客ヌルが必要だった。
「わかりました」とササは承諾した。
「武芸も仕込んでね」
「はい。カユ様のような勢理客ヌルに育てます」
「ありがとう」とカユは言った。
 ササたちもカユにお礼を言って別れた。
 両手を合わせてお祈りを続けているマナを見て、ササは軽く肩を叩いた。ハッとして、マナは目を開けた。
「今、カユ様から『頑張れ(ちばりよー)』って言われたような気がしました」
 ササはうなづいて、「あなたはわたしの弟子になるのよ」と言った。
「えっ? あたしがヌルになれるのですか」
「カユ様と約束したわ。あなたを立派な勢理客ヌルにするってね」
「でも、勢理客ヌル様はいらっしゃいます」
「運天泊にいるんだから、運天ヌルを名乗ればいいわ。カユ様が約束したんだから、あなたはきっと勢理客ヌルになれるわ。帰って御両親と相談しなくちゃね」
「ササ様の弟子になったら、わたしは首里に行くのですか」
首里の近くの与那原よ。当分は帰って来られないわよ」
「えっ?」とマナは驚いた顔でササたちを見た。
「心配しなくても大丈夫よ」とナナが言った。
「ササの弟子はあなただけじゃないわ。あなたは十人目の弟子よ」
「えっ、十人もいるのですか」
「皆、あなたと同じくらいの年齢(とし)の娘たちだから、みんな楽しくやっているわ」
 日が暮れる前に勢理客大主に屋敷に着いた。勢理客大主は村の人たちを集めて、歓迎の宴を開いてくれた。
 ササたちはカユ様の話をみんなに聞かせた。その話にみんなは驚いて、実際のカユ様は思っていた以上に凄い人だったと感激していた。
 マナが勢理客ヌルになる事に驚いた勢理客大主も息子夫婦も、よそ者に勢理客ヌルを継いでもらうよりもマナがなってくれれば、それに超した事はないと賛成してくれた。
 ササたちが酒盛りを楽しんでいた時、ユンヌ姫が志慶真ヌルの死を知らせた。
「ヌルらしい死だったわ。血を吐いて倒れたあと、無理をしてクボーヌムイまで行って、お祈りの最中に倒れて、屋敷に運ばれたけど、そのまま息を引き取ったのよ」
「わかったわ。明日、志慶真村に行くわ。ありがとう」

 


 この日、南部にいた本部のテーラーが山北王に呼ばれて今帰仁に来ていた。
 山北王の攀安知(はんあんち)は二の曲輪の屋敷で、酒の用意までして機嫌よくテーラーを迎えた。
「今回、呼んだのはお前の力が必要なんだ」と攀安知は笑って、テーラーの酒杯に酒を注いだ。
 予想外の攀安知の態度に驚いて、テーラー攀安知の顔を見つめた。怒りは治まったようだと安心したが、何をやらせようとしているのか不気味だった。
「瀬長按司(しながあじ)とはどんな奴だ?」と攀安知は聞いた。
「瀬長按司?」
「ママキを瀬長按司の三男に嫁がせようと思っているんだが、どう思う?」
「娘をまた南部に嫁がせるのか」
 長女のマサキを保栄茂按司(ぶいむあじ)に嫁がせ、次女のマナビーをミーグスク大親(うふや)に嫁がせ、三女のカリンは若ヌルになったが、四女のママキをまた南部に嫁がせるなんて、テーラーには考えられない事だった。
「瀬長島はお前のテーラーグスク(平良グスク)の近くだ。瀬長按司を味方に付ければ、瀬長島に兵を隠せる」
 成程、そういう事かとテーラーは納得した。
「瀬長按司は山南王の他魯毎(たるむい)の叔父だ。武寧(ぶねい)の弟だから、王様(うしゅがなしめー)の叔父でもあるわけだ」
「なに、俺の叔父なのか‥‥‥」
 察度(さとぅ)の葬儀の時に会ったような気もするが、よく覚えていなかった。
「叔父なら話が早い。お前に頼む。縁談を進めてくれ」
「婚礼の予定日はいつなんだ?」
「九月頃でどうじゃ?」
「半年後か‥‥‥やってみよう」とテーラーはうなづいた。
 瀬長按司は兄の敵討ちにこだわっていたので乗ってくるかもしれないとテーラーは思った。明国に行っていたテーラーは、敵討ちをやめた瀬長按司が、娘をサハチの甥と婚約させた事を知らなかった。
「それとじゃ。今帰仁のお祭りの時に武芸試合をする事に決めた。鬼界島攻めで失った兵の補充をする。庶民の若者たちから強い奴をサムレーに取り立てるんだ。その時、お前にも検分役を頼みたい」
「お祭りは二十四日だったな。一旦、帰って、また戻って来る」
「頼むぞ」
「ジルータ(湧川大主)はまだ許さんのか」
 攀安知は笑って。「もう少ししたらな」と言って、酒を飲んだ。

 

 

 

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